経営戦略コンサルの洞窟

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新聞は教材

2009-05-26 13:41:47 | Weblog
日経で「製薬、研究開発費が重し」という記事があり、添付の表や文章がおかしい気がする。

タイトルだけ読むと研究開発費のために売上の増加ほど利益が伸びない、または売上の減少より大きく利益が減少してしまう、と受け取れる。しかし一緒についている表を読み解くと、研究開発費の増加より利益の増加分の方が高くなっている。唯一アステラスのみ研究費が増加して、利益が増加しているが、「製薬」ではなく、「アステラス」であろう。

そもそも記事タイトルのことを言いたいのであれば、売上高研究開発費率の変化を示してそれが増えていることを示さないといけないのではないか。それを調べると第一三共は21.9%から20.2%、エーザイは19.9%と横ばい。(武田は仕掛り研究開発のために比較しづらい)。研究開発費がなんの重しか知らないが、たとえば収益を圧迫しているとはいいにくい。

このことからもタイトルのメッセージはおかしいのではないかと思う。

この原因を考えてみると記事を書いた人の論理構成力不足と、製薬業界としてロビーメッセージがあるのではないか。

ロビーメッセージというのは製薬業界の営業利益率は場合によっては20%以上になる。この異常な収益率の高さは世界共通であるが、規制に守られ、特に価格は政府によって決定される世界だ。今医療費削減が叫ばれ、不況で赤字企業が多い中、一歩間違えば大いに叩かれる可能性のある業界である。政府は薬の値段を下げるべきだと。したがって何とか自分たちの業界も利益はでているが大変であることを貴社にアピールしている可能性があるのではないか。

改めて思うだが、タイトルの流し読みは危険だが、新聞は自分の思考力を鍛えるのにうってつけ教材になる気がする。

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