経営戦略コンサルの洞窟

殆ど自分のために書いておりますが、お役に立てれば

論点は分ける

2009-05-30 23:06:47 | Weblog
すべて想像の話である。

6月から薬を薬局以外でも登録販売士がいれば買えるようになる。単純に考えると薬局の売上が減少する、薬剤師の権限が狭くなる。それを補うのは何か?薬のネット販売禁止である。

多くの人が反対していてもネット販売禁止のようなありえないことが取引として起きるのである。すでに薬局以外でも薬が販売できるようになったので、薬局・薬剤師などの業界団体としてはネット販売禁止は譲れないことだろう。


まあ利害関係者ばかりで、誰が顧客か不明なまま議論すると論点が絡みあってこのような結果がでるのが普通である。

物事を議論する時はまず論点を分けるべきである。それを一つづつ議論して結論を出していく。そうしないと利害関係で変な取引関係にもつれ込んでしまうのだ。コンサルプロジェクトでも同じである。

「場面」

2009-05-29 22:45:28 | Weblog
セグメンテーションは「場面」で切った方がよいです。

一般的にマーケティングのセグメンテーションというとどのようなタイプの人か?で切ろうとします。でも実はこれは間接的なやり方なのです。直接的なセグメンテーションは「場面」で区切るのです。

なぜなら人は物やサービスを買う時に何らかの目的をもっており、それが場面になるのです。その場面を持っている人が「ある人」または「ある人のタイプ=セグメント」になるのです。

例えば、コンビニのおにぎりを買う人はどんな人か?と考えるとより、どんな場面で買うのか?お昼ご飯用?おやつ用?おやつ用?夜に買って朝ごはん用にする用?などなど場面で考えるのです。そうすると売り方なり、商品開発がお客さんの目的とする「場面」を想像しやすくなります。これを人で切って40代、男性、・・・などと区切ると買う場面から遠くなって、40歳男性用のおにぎり・・・とか訳が分かりにくくなります。

と、思ったのも今週の日経ビジネスユニクロ特集で、来る顧客で多様で「顧客が絞り込めていない」ことが強みとあります。が、顧客を絞り込むことに価値があるのではなく、ユニクロは「場面」を絞っているのです。ベーシックで値段の割に品質がよく長持ちするふくで、部屋着、外出時のインナーなど。これを理解しないとターゲットセグメントが見当たらない!ということになってしまうのです。しかし、マーケティングには必ずセグメンテーションとターゲティングはあります。


「場面」の重要性は特に近年なのではないかと思います。あまりに価値観や行動特性が多様になり、簡単に人単位でのセグメンテーションが難しくなった、逆に昔は場面と人が密接に結びついていたのかもしれません。

ただいづれにしろマーケティングにおけるセグメンテーションは「場面」の方が効果的なことが多いと思います。

新聞は教材

2009-05-26 13:41:47 | Weblog
日経で「製薬、研究開発費が重し」という記事があり、添付の表や文章がおかしい気がする。

タイトルだけ読むと研究開発費のために売上の増加ほど利益が伸びない、または売上の減少より大きく利益が減少してしまう、と受け取れる。しかし一緒についている表を読み解くと、研究開発費の増加より利益の増加分の方が高くなっている。唯一アステラスのみ研究費が増加して、利益が増加しているが、「製薬」ではなく、「アステラス」であろう。

そもそも記事タイトルのことを言いたいのであれば、売上高研究開発費率の変化を示してそれが増えていることを示さないといけないのではないか。それを調べると第一三共は21.9%から20.2%、エーザイは19.9%と横ばい。(武田は仕掛り研究開発のために比較しづらい)。研究開発費がなんの重しか知らないが、たとえば収益を圧迫しているとはいいにくい。

このことからもタイトルのメッセージはおかしいのではないかと思う。

この原因を考えてみると記事を書いた人の論理構成力不足と、製薬業界としてロビーメッセージがあるのではないか。

ロビーメッセージというのは製薬業界の営業利益率は場合によっては20%以上になる。この異常な収益率の高さは世界共通であるが、規制に守られ、特に価格は政府によって決定される世界だ。今医療費削減が叫ばれ、不況で赤字企業が多い中、一歩間違えば大いに叩かれる可能性のある業界である。政府は薬の値段を下げるべきだと。したがって何とか自分たちの業界も利益はでているが大変であることを貴社にアピールしている可能性があるのではないか。

改めて思うだが、タイトルの流し読みは危険だが、新聞は自分の思考力を鍛えるのにうってつけ教材になる気がする。

指導医レベル

2009-05-24 21:03:27 | Weblog
子供が木から落ちて運ばれてきた場合を設定してみよう。意識はしっかりしており、特に身体的な異常はなく、検査の結果、頭蓋骨に線状骨折だけが認められたとする。

○学生レベルでは、外傷の一例として対処できればよい
○研修医のレベルでは、他の障害のない単純な頭蓋骨線状骨折の場合にはすぐに帰宅が許され、むだな入院が必要でないことを、自信をもって断言できなければならない
○主任研修医のレベルでは、なぜ子供が木から落ちたのか、たとえば、一瞬のあいだ意識喪失をおこす病気を見落としてはいないのかを、考慮できなければならない
○指導医レベルでは、退院させてから数ヵ月後に起こる可能性のある合併症、PLC(pulsating leptomeningeal cyst)の存在を考慮して、2ヵ月後に、一度だけ、外来に戻すことが分からなければならない

(「アメリカ臨床医物語」中田力)


戦略コンサルにも示唆が富む一節な気がした。
研修レベルまでなら現象の把握とその対処法を理解しているか。
主任研修医レベルから根本原因を探るための仮説構築力があるか。
指導医レベルから時間軸を考えて現在ではなく、将来の課題を見抜けるか。

事前準備を忘れた

2009-05-21 14:32:35 | Weblog
久々に大失敗をしてしまった。

最終報告が数ヶ月前に終わっていたのだが、他の事業部門から参考に報告を聞きたいというリクエストで報告しにいった。

ひとしきりの説明・議論のあとに、「ところで弊社事業を今後どうすべきですかね」

準備を忘れていて、大したことが言えなかったのである。いつもならプロジェクトとまったく関係ない事業でも下調べをして、抱えていそうな課題、今後の方向の可能性ぐらいは考えていくのだが。

無駄かもしれないが、事前に考えて準備しておくことは大鉄則だ。その場で考えていい案がでるほど人は頭がよくはないのだ。

深く反省。

豚インフルエンザ

2009-05-21 14:18:50 | Weblog
インフルエンザ対策で政府が最近よくたたかれている。
高いサーモグラフィで空港で検査しても無駄だと。それに何億円使えば気が済むのかと。

そんなことは政府は百も承知だと思う。普通に考えてウィルスには潜伏期間があり、よくてもすでに飛行機から降りたときにすでに発症している人ではないと見つけられないのだ。

なのになぜ政府はそれをやったのか。他に打ち手がなかったから、何かしないとジャーナリストや国民の非難を浴びるからである。

飛行機の乗り入れなどをやめることができなければ、正直政府としてのウィルスの進入を防ぐ打ち手はないのである。だから何もしないのが正解になるわけだが、それでは「政府傍観」などと叩かれる。であればやらないよりまし、程度の考えてやっておくか、ということである。

この無駄遣いの元を辿ればジャーナリストや国民の政府依存体質が問題である。なんでもかんでも政府なんとかしろという。

ウィルスの拡大を抑えるには、ウィルスを撒き散らさないように、自分が感染しないように自らマスクなどをして、みんなで協力するしかないのである。関西であれほどウィルスがはやり関東でも拡大するかもしれないのに電車などでもほとんどみんなマスクをしていない。自分が移るかもしれない、撒き散らしてはいけない責任感とう意識がないのだ。または、まだ関東では大丈夫という少し先の未来を創造できないことが問題なのだ。

この問題は根深い。国民の意識を180変えなければいけないのだ。

政府ができることは、お金があるなら「政府に頼らず一人一人が気をつけてくれ、情報を自分で集めるのは国民の義務である、一人一人ができることはXレベルのマスクをつける(マスクは種類が多くてどれをつければリスクが減るのか分かりにくい)、うがいをすること、XXなどである。」と啓蒙すべきだろう。本来なら義務教育中に、「政府に頼らず自分で行動しろ!」、と教育機関は国民に叩き込まなければいけないが、人口の殆どは卒業しているので手遅れだ。今からでもコストをかけて教育するしかないのである。

未来の想像力についても学校で答えない問題に取り組むなどがありえるが、効果が出るまで時間がかかりすぎだ。政府は短期的には最悪の事態を何度も連呼するぐらいしかできないだろう。

だいたい豚インフルエンザだけではなく、普通のインフルエンザだって撒き散らしてはだめなのである。ここだけの問題ではない。

政府に依存することをやめればやがてやたらと高い税金もそこれまで払う必要がなくなるのである。

ソネット・エムスリー

2009-05-20 18:09:32 | Weblog
最近書くことがなくなってきたので、勝手に会社分析。

ソネット・エムスリーのビジネスは磐石か?

日経にネットでMR(製薬メーカーのネットでの営業代行)を代行する会社ソネット・エムスリーが増益増収企業として紹介されていた。営業利益率は約50%と驚異的だ。

記事によると製薬会社1社から平均2億円をもらっているという。これはMRの人件費を一人2000万円とすると約MR10人分で、全国のドクターの6割強をカバーして情報を流せるのである。通常日本の製薬大手は2500人、中堅でも1000人は抱えている。MR人件費のわずか1%以下のコストだ。

医師の情報収集もネットの比率が上がっていると思われるので、効果もそれなりにあるのだろう。だから製薬会社もそれほど価格を値切ることもなく、このシステムを使って結果製薬メーカーは営業利益50%の事業を成り立たせているのである。

成功要因を考えてみると(1)ほぼ全てのメーカーが増益増収である製薬会社を顧客にしていること、(2)MRと比較したときのコスト・効果の高さ+最初にポータルを作って医師を集めた、(3)日本の医療業界の情報閉鎖性だ。

(1)この不況で赤字ニュースが連発あれる中新聞で毎日どこかに製薬会社の増収のニュースがある業界である
(2)そのまま
(3)日本では薬を一般の人に宣伝したり情報提供したりしてはいけない。例えば製薬会社で処方箋の薬を検索すると「医療関係者ですか?」で「はい」と答えないと情報が取れないようになっている。しかも副作用情報など一切重要な情報には一般検索では見つけられない。限定された情報を限定した人にだけ流す仕組みに入り込んだ。一般消費財ならGoogleすれば殆どの情報は手に入るのである。この閉鎖性は特に日本で強いので日本を市場基盤にしたところもポイントだ。


今後を考えると(3)は気になる。

一つは人の情報収集の仕方。我々も昔はNiftyのパソコン通信、AOL、Yahooなどの整理された情報の中から情報源を探っていくのが普通であった。しかし、情報量が膨張するにつれ情報の体系化・整理の限界が訪れ、ネット全体を検索するGoogleのようなモデルが登場し、それがいまや標準となっているのである。

誰かが何らかの目的のために整理された情報、ましてや製薬会社が営業のために整理した情報などは、自分の求めている情報ではないことも多々あるだろう。ましてやポータルにログインするという行為が面倒である。

二つ目は専門性が高いとは言え、医薬品などの詳細な情報が一般の市民にいつまでも届かず、医師と医薬品会社の特権とされることである。

この二つは早かれ遅かれ医療の世界でも変わっていくものと思われる。それに備えるためにはシステムを売って儲けるよりも、情報発信の仕方の代行・コンサルティング能力で儲ける形にしないといけないのだと思う。場合によっては一般患者も目を通すかもしれず、かつ医師を満足させる内容の情報を発信することは相当付加価値が高いものなのではないだろうか。

考える時間

2009-05-12 20:51:49 | Weblog
仕事やメールが貯まってくると即座に一つ一つ仕事を片付けたくなる。

が、その仕事の仕方だと駄目なことも多い。

人間考えるには時間がいる。じっと机に座っていなくも、時間と意識があれば考えは自動的に熟成される。

だからオペレーション的な仕事はその場でメールを読んで即座に返信して片付けてもいいのだが、少し時間を置いて考える時間をとった方が多くの場合成功する。

スケジューリング一つにとっても他とのコンフリクトなど即座に思い出せないこともある。

少し時間を置いて頭の中で熟成させてからの方が、思い出すことも多い。


考えるためには時間が必要である。
スピードの差はあれこれだけは避けてはいけない。

考えることはくせ

2009-05-02 23:33:45 | Weblog
考えることはくせです。普段からやっていないとできない。

例えば10秒将棋とか短時間ばかりの勝負ばかりしていると、時間があっても長時間一つの局面を考えられない。

長く深く考える忍耐力がなくなるのである。(もちろん短時間思考は情報処理、瞬発力を養うが)


コンサルの仕事にしても資料、新聞、本を速読的に処理するような仕事ばかりしていると、それ以上深く考えることができなくなってしまう。

瞬発力も会議の場面で必要だがすべてにおいてロジックが求められるコンサルにとっては時間をかけてでも深く考える能力を身に着ける方が重要だ。それができるようになったらその時間を短縮しておけばいい。


だから、まずは考えることをくせにしないといけない。

最近自分も細切れの仕事が増えたり、仕事になれたため徐々に考えなくなっていると感じている。戻さないと。