今朝も大きな地震があった。震度3だ。津波の心配はないと聞くと安心する。
東日本大震災 医療・福祉特区/再生へ最大限に生かそう
病院の医師など、医療スタッフの配置基準を緩和することを柱とした岩手県の「保健・医療・福祉特区」が政府に認定された。
岩手県は人口10万当たりの医師数が193.7と全国平均の230.4を大きく下回り、全国40位にある(2010年)。
震災では、沿岸部の12市町村にあった医療施設340のうち180施設が被災、医師、看護師ら34人が犠牲になった。スタッフの充足は急速には追いつかず、住民の健康不安、福祉サービスの低下が憂慮されていた。
医師配置基準の緩和は全県で認められた。
医師の派遣と配置、病院での勤務が柔軟に対応できるようになるのは好ましい。
勤務医の負担などに配慮しながら、各病院がそれぞれの進め方で治療体制を整えてほしい。
病院での医師定数は、ベッド数や外来患者数などから算定される。
常勤、非常勤の人数などによって細かいポイントがあり、例えば5.5人というように小数点で示される。
医師不足地域では、医師の充足率が定数の60%を切る「標欠病院」すれすれの施設が少なくない。
標欠に陥ると、病院収入である診療報酬が減額されて経営に響く。
特区では、医師の配置基準を通常の90%に緩める。これなら充足率が低くても、減額ラインも同時に引き下げられるため、報酬カットを回避できるなどの利点がある。
このほか沿岸部では、薬局に義務づけられる面積基準の順守も撤廃される。
国は薬品の盗難防止などのため、広い売り場を設けるよう求めているが、被災地での用地確保は困難で、店の再開を妨げる要因だった。
日常生活に医薬品が欠かせない高齢者、持病を抱える住民にとっては朗報だ。
基準改定を全国に広げることも検討してはどうか。
岩手県の高齢化率は27.2%と全国平均より4ポイント高く、25年には3人に1人が65歳以上となると見込まれている。
特区の三つ目の措置として、老人福祉施設における医師の配置基準の緩和などが盛り込まれた。
特養老人ホームに求められていた医師の配置を見直し、他の施設との連携が見込めれば、医師がいなくてもサービスを行える。
訪問リハビリテーションの事業参入も容易になり、病院と老人保健施設の経営者でなくても開設できるようになる。
沿岸部に396カ所あった社会福祉施設のうち、139施設が被災し、多数の介護職員の命が奪われた。福祉施設の再建は急務であり、一日も早く元に戻すことが求められる。
面積が広大な岩手県の場合、マンパワーのやりくりだけでは、医師が必要な地域に回らない状況がある。
インターネット回線などを使って病院同士を結ぶ「遠隔医療」が、格差解消には有効と思われる。
医療特区とともに、設備機器の整備、実証実験の積み重ねに取り組んでもらいたい。
(2012年02月21日火曜日 河北新報 社説)
医師不足、医療の格差の問題は以前からあったことだ。3・11で更に深刻化している。
特別養護老人ホームや老人保健施設などの被害状況も厳しい。入居利用者や職員の尊い生命が失われている。
悲しみの中にあっても、関係者は再建や復興に懸命な働きかけをしている。
地域の再生は、こうした人たちの頑張りにかかっている。
医療・福祉特区によって、必要な地域に、必要な介護施設が、病院が建設されていくことを願いたい。
東日本大震災 医療・福祉特区/再生へ最大限に生かそう
病院の医師など、医療スタッフの配置基準を緩和することを柱とした岩手県の「保健・医療・福祉特区」が政府に認定された。
岩手県は人口10万当たりの医師数が193.7と全国平均の230.4を大きく下回り、全国40位にある(2010年)。
震災では、沿岸部の12市町村にあった医療施設340のうち180施設が被災、医師、看護師ら34人が犠牲になった。スタッフの充足は急速には追いつかず、住民の健康不安、福祉サービスの低下が憂慮されていた。
医師配置基準の緩和は全県で認められた。
医師の派遣と配置、病院での勤務が柔軟に対応できるようになるのは好ましい。
勤務医の負担などに配慮しながら、各病院がそれぞれの進め方で治療体制を整えてほしい。
病院での医師定数は、ベッド数や外来患者数などから算定される。
常勤、非常勤の人数などによって細かいポイントがあり、例えば5.5人というように小数点で示される。
医師不足地域では、医師の充足率が定数の60%を切る「標欠病院」すれすれの施設が少なくない。
標欠に陥ると、病院収入である診療報酬が減額されて経営に響く。
特区では、医師の配置基準を通常の90%に緩める。これなら充足率が低くても、減額ラインも同時に引き下げられるため、報酬カットを回避できるなどの利点がある。
このほか沿岸部では、薬局に義務づけられる面積基準の順守も撤廃される。
国は薬品の盗難防止などのため、広い売り場を設けるよう求めているが、被災地での用地確保は困難で、店の再開を妨げる要因だった。
日常生活に医薬品が欠かせない高齢者、持病を抱える住民にとっては朗報だ。
基準改定を全国に広げることも検討してはどうか。
岩手県の高齢化率は27.2%と全国平均より4ポイント高く、25年には3人に1人が65歳以上となると見込まれている。
特区の三つ目の措置として、老人福祉施設における医師の配置基準の緩和などが盛り込まれた。
特養老人ホームに求められていた医師の配置を見直し、他の施設との連携が見込めれば、医師がいなくてもサービスを行える。
訪問リハビリテーションの事業参入も容易になり、病院と老人保健施設の経営者でなくても開設できるようになる。
沿岸部に396カ所あった社会福祉施設のうち、139施設が被災し、多数の介護職員の命が奪われた。福祉施設の再建は急務であり、一日も早く元に戻すことが求められる。
面積が広大な岩手県の場合、マンパワーのやりくりだけでは、医師が必要な地域に回らない状況がある。
インターネット回線などを使って病院同士を結ぶ「遠隔医療」が、格差解消には有効と思われる。
医療特区とともに、設備機器の整備、実証実験の積み重ねに取り組んでもらいたい。
(2012年02月21日火曜日 河北新報 社説)
医師不足、医療の格差の問題は以前からあったことだ。3・11で更に深刻化している。
特別養護老人ホームや老人保健施設などの被害状況も厳しい。入居利用者や職員の尊い生命が失われている。
悲しみの中にあっても、関係者は再建や復興に懸命な働きかけをしている。
地域の再生は、こうした人たちの頑張りにかかっている。
医療・福祉特区によって、必要な地域に、必要な介護施設が、病院が建設されていくことを願いたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます