6/8 へと 【十一夜 ☆家族】 から
戸籍上から不文律と化す入籍原因ある院長だと知らなかった私にしてみれば、いや、全ての知らない人から観た場合、
「(彼女を)家に住まわせてやっている」
この院長の言葉こそが正しい認識と世間であり、姉妹が反社会的な人間たちになる。
ここから院長に同情もしてしまった私が、咲いて落ちる二つの命を持つ本来の花椿に生きようとした彼女を惨たらしく殺してしまったんだ。
私さえ・・・・・、
わたしが見舞いにくるのを毎日毎日待っていた・・・
滞空時間に重力に押しつぶされたくないと、
「ボクは好きだったんだよ。でも妻子持ちなんだ。お姉さんや姪っ子さんはボクを憎んでおられる。
『見舞いには行くな。行っても無駄だ。家族の問題だ。嫌われるから行くな』と言われていた。みなさん、思い違いしておられる。
彼女が会いたがっている。会える、なんて知らなかった」
休まず一息に胸の煙を吐き出せました。
「どうしてお姉さんに話さなかったの? わたしが言ってあげましょうか」
「彼女は喜ばない。あんなに仲が好かった姉妹だから、もう彼女はお姉さんの幸福を願っているはずだ。今のボクには彼女を悲しませるような真似はできない」
この私へと愛弟子が、
〝コクリ〟答えてから眼差しを伏せるのは、わたしがはっきり答え終わるのと、ほぼ同時でした。
「離婚も出来ないだろう」
付け加える私の言葉に、
「じゃ誰が悪いの?」
「ボク!」
すぐさま問い掛けに答えた私の、
ふたりとも朗らかに笑ってくれて訪れた高気圧の爽やかさに小躍りできる胸を割った女と男の受け持ちから持ち場に位置は、クシャクシャに崩せる目鼻立ちどころか入院後の長い長い苦しみも何もかも一発で解放してくれた。
「(院長には)人には守らねばならないものもあって、重圧もあったんだろう。立場だったんだろう」
なんて言えた私は〝ずいぶん御山で年を取った〟
言った途端に家族が浮かぶ。自分でも驚愕に耐えない自身を持て余した私で覚えています。
・・・言葉に溺れていた。
〝姉は大切にしてくれるだろう〟とは言ったものの、頷いた愛弟子とは裏腹に全く自信は無かった。
が、しかし、口が滑る軽さなく、気重に・・・道を塞いだ。
この年月において、姉と院長の夜の営みどころか彼女に対した性描写は完全に私の記憶から抜け落ちたままだったんです。
楽しかった思い出だけを、七夕で思い出せただけでした。