2012年7月3日
あらすじは、【 朝顔 】
2009年11月2日
【八夜 ★抹殺】 から 【十一夜 ☆家族】 から
憎い彼女でした。そして愛おしかった。なぜだろう、逆らえない。
忘れていた素直だったであろう幼子ではの自分になる。表裏一体となった感情を〝アルファベットの九番目〟と言うのだろうか。この年になると恥ずかしくって活字にも出来ない。
彼女の場合は〝恋心〟だったと思う。それで良い。
男と女の心の奥に日々で運動する凹凸の波が何かの弾みで、ピッタリ収まってしまった。湿り気で膨張した桐の箪笥の引き出しみたいに離れなくなってしまう。それだけのこと。
ただ、だから、彼女は逝った。応えなければ、男ではいられない。
こののち何人もが殺された今も、院長を告発した途端に医院を息子に代替わりして、本人は米国移住して今に至るも、カネも何もかも犠牲にして社会を守り続けた私の過去に後悔はない。が家族は違う。
が法治国家としては、これで済ませてもらっては困る。なぜ、移住できたのか。この問題が公になって喜ぶのは裏社会の人たちです。だから捜査も打ち切りでは納得できない。
「あなたは妹があんなに好きになった人なのよ」 この言の葉、
「姉は守ってください」 との彼女の遺言にしてしまっただけの私。
単純なこと。『姉だけは・・・』 こう言い遺されては、どうしようもない。だから悔いもない。
が、母に妻に娘は、家族は、別だ。
原点に立ち戻る。
と、彼女は逝った。まだ、その年でした。
地元の県警採用の現職警察官から猛勉強して司法試験に合格したという弁護士から電話が入った。院長の依頼を受けたという。
わたしから出向いてあげた。事務所は赤坂の職安の裏道に面した汚いビルの奥まった細い通路の突き当たりにあった暗くて狭い物置小屋みたいな部屋でした。
ドアを開けて二歩のソファに招いておきながら、わたしが座る前から、
「奥様に連絡を取るとーーーーー」
脅しつけてきた。この手の、似つかわしい浅読みで、
「(私の印象から)こんな男をなぜ怖がるのか」
とも、院長からの依頼の内容と私の印象とのギャップに戸惑っている。
この弁護士の主張は〝ただこれだけ〟
他には何も中身など無かった。
なにか引っ掛かった。姉だけを強調した呼び出しには何か隠れていると感じた。
当の弁護士でさえ首を捻っている。じゃ動くなってんだ。
ここに家具屋の義兄弟が関与しているのかも知れない、していなくても何か知っているだろう、と私は直感した。家具屋の店には車で十分の近さでした。予感は的中していた。
院長に預けていただけの、2400の絵画が半額で処分されようとしていた。
彼女が購入していた絵画を墓標の資金に充当するべく預かったら、壁の日焼けが見苦しかったんで隠すために掛けてあげただけでした。
私は一度も家具屋の店に行った事がなかったので、まさか来るとは思わなかったらしい。完全な詐欺。
その足で弁護士会館に出向いて代理人を紹介してもらった、