功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ゲーム・オブ・デス』

2011-10-22 22:31:00 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「ゲーム・オブ・デス」
原題:GAME OF DEATH
製作:2010年

▼セガールやヴァンダムといった格闘スターが大量に現れた90年代において、新世代のブラック・ドラゴンと言うべきスターが誕生しました。詠春拳や空手を習得した黒人格闘俳優の新たな旗手…それがウェズリー・スナイプスでした。
彼は単なるアクション映画にとどまらず、演技派俳優として様々な作品に出演しています。しかし、スナイプスが主演した作品で直球の格闘映画というものは少なく、その並外れた技量をフルに活用する機会は限られていました(このへんはドルフ・ラングレンも同じ問題を抱えていたと思います)。
そんな彼も今や檻の向こうに行ってしまいましたが、本作は収監する前に製作された最後の主演作です。スナイプスは本作の前後に『エクスペンダブルズ』の出演を断っていますが、やはり本人も出演できなかったことを悔やんでいたらしく、本家からゲイリー・ダニエルズが招集されています。

■貧しい町の一角に建つ教会に1人の男が現れた。彼、指名手配犯のスナイプスは大金がぎっしり入ったバッグを下げており、この教会へ寄付したいと言う。どういった経緯があったのか説明を求めた牧師に対し、彼は前日に起きた出来事を語りだした。
CIAエージェントとして活動していたスナイプスは、上司から「武器商人のロバート・ダヴィとその支援者である投資会社のボスを暗殺せよ」との命令を受けた。半年間の潜入工作でロバート専属のボディガードとなったスナイプス。しかし、いよいよ投資会社のボスに会えるというその時、想定外の事態が発生する。
 なんと、土壇場でゲイリーらCIAの仲間たちが反旗を翻したのだ。いつまでも報われない生活に嫌気がさしていた彼らは、投資会社でロバートが受け取る予定の大金を強奪し、そのまま海外に高飛びしようと企んでいたのである。
さらに間の悪いことに、ロバートが取引の直前に心臓発作を起こしたため、病院へ寄り道する羽目に…。スナイプスは任務を優先するが、ゲイリーたちは問答無用で襲い掛かってくる。舞台は病院から投資会社へと移り、ゲイリーの率いていたグループも彼を残すのみとなった。ビルの屋上を舞台に、正義なき決戦が始まるが…?

▲物語は組織に翻弄された挙句、相反する道を選んだ2人の男が闘うというもので、なかなか渋い作風になっています。登場人物も癖のあるキャラばかりで、単なる勧善懲悪ではない本作には良くマッチングしていました。
しかし、本作は最終的に何を言いたかったのかが解らず、スナイプス自身も善悪について大っぴらに悩んだりしません。そのため、面白くなりそうな話題が宙に浮いたまま終わっているのです。カメラワークに関しても、やたらエフェクトに凝っていて見づらいことこの上なしでした。
 アクションシーンは『ザ・格闘王』のサイモン・リー(劇中にもゲイリーの仲間として出演)が指導しているため、見栄えに関しては文句なし。スナイプスとホー・スン・パク(『酔拳2』でジャッキーに顔を焼かれた人)との対決が一瞬で終わり、サイモン本人は一発で射殺されてしまうものの、各所で繰り広げられるファイトはどれも迫力満点です。
注目のスナイプスVSゲイリーもハードな内容で、蹴り技で勝るゲイリーに対してスナイプスが一瞬の隙を突き、怒涛の鉄拳ラッシュを打ち込むシーンには鬼気迫るものがありました。ハッキリ言って見どころはラストバトルのみですが、一定のクオリティは保っていたと思います。ところで……DVDの予告編、悪ノリしすぎ!(笑

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