功夫電影専科

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『風雲!格闘王』

2014-09-17 23:12:15 | 倉田保昭
「風雲!格闘王」
原題:安娜與武林
英題:Anna in Kungfu-land/Anna & Wulin
製作:2003年

▼まず最初に結論から言ってしまいますが、本作は非常に“ユルい”作品です。ストーリーやアクションはそこそこレベルだし、尺の大半は軽~いラブコメで占められています。
しかしこの“ユルさ”が本作の持ち味であり、最初から最後まで一貫して和やかなムードが保たれていました。あまり巷の評判は良くないようですが、私はこの作品を好意的に見ています(理由は後述)。

鄭伊健(イーキン・チェン)は広告代理店に勤めるプレイボーイ。社長の娘である何韻詩(デニス・ホー)と付き合っていたが、あるとき栄養ドリンクの宣伝を兼ねた格闘大会の企画が持ち上がる。
出場者を募るべく、まず鄭伊健が訪ねたのは武術の総本山・少林寺。しかし大師の劉家榮(リュー・チャーヨン)は、30年前の武術大会で弟子が駆け落ちするという事件が起きたため、対外試合には消極的であった。
 駆け落ちした弟子との関係改善ができるなら出場もやぶさかではない、と言う劉家榮の主張を了承した鄭伊健は日本へ。そこで件の弟子・倉田保昭と接触し、彼の娘・楊千[女華](ミリアム・ヨン)が出場する運びとなる。
鄭伊健に一目惚れした楊千[女華]は、大会の副賞として女優デビューできるかもしれないと聞き、有頂天で香港にやって来た。が、当の鄭伊健には何韻詩という彼女がいるため、当然のごとく恋愛模様はしっちゃかめっちゃかに…。
 そうこうしているうちに格闘大会が始まり、ひと癖もふた癖もあるファイターたちが凌ぎを削りあっていく。楊千[女華]は順調に勝ち進むが、ふとした拍子から鄭伊健の二股が発覚してしまう。
ショックで戦意喪失した彼女は準決勝で棄権するも、劉家榮の代理として決勝の大舞台に立つこととなる。果たして大会を制するのは誰なのか? そして2人の恋の行方は? 今、決勝戦のゴングは鳴った!

▲『大丈夫日記』を髣髴とさせるムチャなラブコメを軸に、大小さまざまなネタを盛り込んだ香港映画らしい本作。それでいて本作がナイスなのは、ベテランの役者をリスペクトしている点です。
倉田さんや劉家榮はもちろん、意外と出番のある羅莽(ロー・マン)にもアクションと演技の見せ場が用意され、老いてもなお快活な彼らの姿を見ることができます(羅奔はちょっと可哀想なオチでしたが・苦笑)。
 また、先述した“ユルい”雰囲気を徹底するため、絶対的な悪を置かなかったのも好印象でした。敵役としてチャールズ・イングラム(海兵隊出身のスタントマン)が存在しますが、彼自身は試合で反則技を使ったりはしません。
彼が悪役らしい行動をしたのは、最初に生意気な口を叩いた時と劉家榮を闇討ちした時くらいで、CM撮影に手間取る姿には愛嬌さえ感じます。以上の点から、私はこの作品の持つほのぼのとした空気を好ましく思っているのです。
 とはいえ、アクション的にはちょっと物足りなかったのも事実。中途半端にCGで装飾したりせずに、もっと本格的な格闘戦を見て見たかった気持ちはあります。しかし作品の“ユルさ”に合わせるなら、この位のボリュームで良かったのかもしれません。
本作特有の“ユルい”ノリには賛否が分かれるものの、期待しすぎなければ普通に楽しめるはず。ここのところ羅守耀(デニス・ロー)の監督作を立て続けに見ていた私にとっては、とても良い癒しになりました。
 ちなみに日本ロケに倉田プロモーションが関わっているせいか、倉田さんと戦う道場破りに倉田プロ出身の俳優2名が扮しています。誰が出ているかは見てのお楽しみですが、『バトルハッスル』を見れば答えが解るかも…(笑
あと監督の葉偉民(イップ・ワイマン)、劇中にウルトラマンの人形やそれっぽい特撮ドラマを出したところを見るに、ひょっとして日本の特撮マニア?

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