[イ布]局
英題:The Plot
製作:1991年
●先々月、『天使特警』の項で「その後の功夫映画スター」を取り上げたが、今回も同種の作品を紹介してみよう。本作は方中信(アレックス・フォン)と、人気絶頂だった任達華(サイモン・ヤム)の両名が主演を飾った黒社会アクションだ。方中信は90年代に活躍した警匪片スターで、キャリアとしては『天使行動』シリーズでの活躍が有名か。今でも一部に根強い人気を持つが、本作の彼は主演というには出番が少ない。むしろ主役と呼べるのは、今回の主題となる某氏の方であろう。
ストーリーはあまりよく解らないが、香港黒社会で覇権を巡る抗争が勃発し、潜入捜査官を巻き込んだ死闘が繰り広げられる…という感じの話だ。任達華は黒社会の幹部であったが、組織を牛耳ろうとボスの曾江を謀殺。続いて別の幹部(演者は後述)も命を狙われ、曾江の殺害現場を目撃した構成員も始末されそうになる。その一方で組織を摘発せんと、警察もまた目を光らせていた。そこで捜査官の朱寶意(エミリー・チュウ)が決死の潜入捜査を行い、組織の取引現場を潰すのに成功する。だが、組織に潜り込んだネズミの存在に任達華も気付きつつあった。
その頃、恋人をヒットマンに殺されつつも逃走を続ける幹部は方中信(幹部の友人で警察官)と再会。そこで死に際の構成員と遭遇した幹部は、曾江殺しの犯人が任達華と知る。事ここに至り、幹部は方中信に協力して組織の壊滅に挑むのだが、朱寶意がリークしている事を悟った任達華は取引現場を急遽変更。警察の突入は失敗に終わるも、異変に気付いた方中信と幹部はすぐに任達華の足取りを追った。
任達華は朱寶意を連れ去り、廃船置き場で楊群(ピーター・K・ヤン)との取引に移るが、方中信たちも仲間と共に潜入していた。かくして始まる壮絶な銃撃戦だが、その結末はあまりにも意外な形で終わるのだった…。
この作品で方中信と任達華を差し置き、実質的な主演として活躍したのは、何と"五毒"の孫建(スン・チェン)である。"五毒"と彼らのその後については何度か触れたので割愛するが、孫健はメンバーの中でも独立志向の強い男だった。楚原の武侠片や劉家良の功夫片に顔を出し、卓越した足技で幾多の強豪を相手に闘った彼の姿は、『書剣恩仇録』や『掌門人』『新少林寺三十六房』で確認できる。しかしショウブラ崩壊後は勢いが続かず、孫建は本作が製作された年を最後に銀幕からその姿を消している。
本作での孫健はショウブラ時代より一回り太っているが、得意の足技は相変わらず健在だ。中盤の女ヒットマンとの対決では、ショウブラ時代を思わせる派手な立ち回りを見せている。ラストは銃撃戦オンリーであるが、使用される火薬量が半端じゃないのでこちらもそれなりに楽しめる。個性を欠いた『天使特警』とは違って、孫健最後の勇姿も楽しめるし、銃撃アクションも堪能できる一挙両得な作品であると言えるだろう。
…と、ここでレビューを締めてもいいのだが、本作はラストがとても酷い事を付け加えておこう。終盤、銃撃戦の果てに孫健は任達華に銃で足を撃ち抜かれてしまう。そこへ朱寶意が腹にダイナマイトを巻きつけて現れた。大勢の敵が周囲を囲む中、どうやってこの状況を打破するのか気になるシーンだが、まさかあんなドリフのオチみたいな結末にしてしまうとは残念だ(涙)。方中信はその様子を呆気に取られた表情で傍観し、朱寶意の取ってつけたような回想シーンで本作は無理矢理エンディングを迎えるが…製作者は何であんなラストにしたのだろうか?
英題:The Plot
製作:1991年
●先々月、『天使特警』の項で「その後の功夫映画スター」を取り上げたが、今回も同種の作品を紹介してみよう。本作は方中信(アレックス・フォン)と、人気絶頂だった任達華(サイモン・ヤム)の両名が主演を飾った黒社会アクションだ。方中信は90年代に活躍した警匪片スターで、キャリアとしては『天使行動』シリーズでの活躍が有名か。今でも一部に根強い人気を持つが、本作の彼は主演というには出番が少ない。むしろ主役と呼べるのは、今回の主題となる某氏の方であろう。
ストーリーはあまりよく解らないが、香港黒社会で覇権を巡る抗争が勃発し、潜入捜査官を巻き込んだ死闘が繰り広げられる…という感じの話だ。任達華は黒社会の幹部であったが、組織を牛耳ろうとボスの曾江を謀殺。続いて別の幹部(演者は後述)も命を狙われ、曾江の殺害現場を目撃した構成員も始末されそうになる。その一方で組織を摘発せんと、警察もまた目を光らせていた。そこで捜査官の朱寶意(エミリー・チュウ)が決死の潜入捜査を行い、組織の取引現場を潰すのに成功する。だが、組織に潜り込んだネズミの存在に任達華も気付きつつあった。
その頃、恋人をヒットマンに殺されつつも逃走を続ける幹部は方中信(幹部の友人で警察官)と再会。そこで死に際の構成員と遭遇した幹部は、曾江殺しの犯人が任達華と知る。事ここに至り、幹部は方中信に協力して組織の壊滅に挑むのだが、朱寶意がリークしている事を悟った任達華は取引現場を急遽変更。警察の突入は失敗に終わるも、異変に気付いた方中信と幹部はすぐに任達華の足取りを追った。
任達華は朱寶意を連れ去り、廃船置き場で楊群(ピーター・K・ヤン)との取引に移るが、方中信たちも仲間と共に潜入していた。かくして始まる壮絶な銃撃戦だが、その結末はあまりにも意外な形で終わるのだった…。
この作品で方中信と任達華を差し置き、実質的な主演として活躍したのは、何と"五毒"の孫建(スン・チェン)である。"五毒"と彼らのその後については何度か触れたので割愛するが、孫健はメンバーの中でも独立志向の強い男だった。楚原の武侠片や劉家良の功夫片に顔を出し、卓越した足技で幾多の強豪を相手に闘った彼の姿は、『書剣恩仇録』や『掌門人』『新少林寺三十六房』で確認できる。しかしショウブラ崩壊後は勢いが続かず、孫建は本作が製作された年を最後に銀幕からその姿を消している。
本作での孫健はショウブラ時代より一回り太っているが、得意の足技は相変わらず健在だ。中盤の女ヒットマンとの対決では、ショウブラ時代を思わせる派手な立ち回りを見せている。ラストは銃撃戦オンリーであるが、使用される火薬量が半端じゃないのでこちらもそれなりに楽しめる。個性を欠いた『天使特警』とは違って、孫健最後の勇姿も楽しめるし、銃撃アクションも堪能できる一挙両得な作品であると言えるだろう。
…と、ここでレビューを締めてもいいのだが、本作はラストがとても酷い事を付け加えておこう。終盤、銃撃戦の果てに孫健は任達華に銃で足を撃ち抜かれてしまう。そこへ朱寶意が腹にダイナマイトを巻きつけて現れた。大勢の敵が周囲を囲む中、どうやってこの状況を打破するのか気になるシーンだが、まさかあんなドリフのオチみたいな結末にしてしまうとは残念だ(涙)。方中信はその様子を呆気に取られた表情で傍観し、朱寶意の取ってつけたような回想シーンで本作は無理矢理エンディングを迎えるが…製作者は何であんなラストにしたのだろうか?
龍虎八拳のピーターチャン、ドラゴン太極拳のマークロン 元の映画部分にアンジェラマオと超豪華?メンバーでした)そうかなと思ったのですが。
>「ロボ道士」
>「ロボハンター」
>ギャンブルキョンシー
実は私、これらフィルマーク作品はまだ未見なのです。『クローン人間ブルース・リー』も国内版は見た事が無く、これらの作品もビデオ自体お目にかかったことがありません。
ですが、孫建がフィルマークに近い位置にいたことは確かです。1986年の『Ninja Fantasy』や1987年の『Ninja Masters Of Death』で、フィルマークのニンジャ映画に彼が参戦している事が確認できます。ショウブラ離脱後は作品に恵まれなかった孫建ですが、相当切羽詰まっていたんでしょうね。
ちなみに『Ninja Masters Of Death』に出演した孫建の姿は↓の動画で確認できます。ヒゲ面で解りにくいですが、黄色い服の男が孫建です。
http://www.youtube.com/watch?v=GbeYrONWBhA
余談ついでなんですが下記の動画が何の映画からの出典かわかりますか? あと王世官という人がでてるんですがだれでしょう?
http://www.youtube.com/watch?v=3xVM4fbqpig
>私はたまに孫建と朱客の見分けがつかないことがあります
そういえばこの2人は顔が似ていますよね。ただ朱客の方が孫建より少し背が低いのと、目の離れ具合が若干違いますので、そのあたりを見比べれば宜しいかと。
>余談ついでなんですが下記の動画が何の映画からの出典かわかりますか?
最後に『蝴蝶三十六怪招』というタイトルらしき字が出ますが、これに該当する作品は見当たりませんでした。
HKMDBの情報によると朱客の最後の映画出演は1987年で、王世官の最初の映画出演は1990年とあり、両者の間にタイムラグが存在しています。この事から、この映像は映画作品の物ではないと思われますが、確たる証拠は浮かびませんでした。
ただ、この動画に出演している朱客・龍世家・王世官らは羅鋭(アレクサンダー・ルー)作品に共通して出演した経験を持っており、もしかしたら羅鋭の関わっている映像ではないかと推測されます(文字も後付けっぽいですし)。
ちなみに王世官とは↓の人です。名前は任世官に似ていますが、恐らく彼とは無関係でしょう。
http://hkmdb.com/db/people/view.mhtml?id=15896&display_set=big5
羅鋭作品や台湾映画を中心に活動しているようで、出演作の多くは未公開作がほとんど。『炎の大捜査線』や『霊幻勇士VS黒魔術』に出ているようですが、あんまり記憶にありません(汗
ふと思ったんですけど、エミリー・チュウ姐さんって、何となくかわいそうというか不憫な役が多いような・・・。
「魔界戦士」・・・死んじゃう。
「男たちの挽歌」・・・目の前で義理のお父さん死亡
「男たちの挽歌2」・・・子供が生まれたのに旦那さんが死ぬ
「復讐は夢から始まる」・・・ユンファ兄を止めようとして失敗→フェードアウト
「警察故事2」・・・役がなかったことに(違う意味でかわいそう)
そして本作・・・もうあんなアッサリなくらいならいっそ「蜂の巣にされて血まみれ」とかの方がよっぽど美しく(ってモロリョナかよ!!!)・・・。
私、エミリー姐をモデルにした女優さんの絵描いていますけど、モデルに彼女を選んだのも「もっと活躍させてあげてほしかったな」っていう惜しさからなんです。
まあ、全然似てませんけどね(泣)
乱文失礼いたしました。
>ふと思ったんですけど、エミリー・チュウ姐さんって、何となくかわいそうというか不憫な役が多いような・・・。
この方は役柄に恵まれていない印象がありますね。『中華道士』では普通のヒロインだったような気がしますが、こちらを見たのはかなり前なので記憶があやふやです(爆
ざっと検索してみたところ、どうやら彼女はプライベートにおいても色々と大変なことがあったらしく、公私ともに苦労が尽きなかったそうです。
彼女の出演作は他にもいくつか日本でソフト化されているので、もし入手できたら紹介してみたいと思います。