功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『胡惠乾血戰西禅寺』

2007-08-27 22:11:20 | カンフー映画:傑作
胡惠乾血戰西禅寺/冷面氷心血覇/胡惠乾怒打機房
Showdown at the Cotton Mill/Bold Face, Heart and Blood
1978

●再び午馬(ウー・マ)監督&譚道良(レオン・タン)出演作の紹介だ。今回は主役が戚冠軍(チー・クワンチュン)で、タイトルにもある少林英雄・胡惠乾の物語を描いている。本作は主人公が次々と敵を倒すという点で『太極八蚊』にも通じるものがあるが、本作の場合はただただ戚冠軍が暴れまくっているだけで、それほどストーリー性は無い。
とある町に来た戚冠軍は、父の仇である清の連中を打倒すべく、手始めに山茅(サン・マオ)を撃破し、続いていきなり敵の本拠地に押し入ると、譚道良の弟でB級功夫片にいくつか出演している譚道恭(タン・タオクン…残念ながら故人らしい)を撃破し、三徳和尚や荊國忠らの待つ西禅寺へ凱旋し、妻と子にも再会した。ところで余談だが、本作中で荊國忠は"童師兄"と呼ばれている。胡惠乾に三徳和尚ときて"童師兄"とくれば…荊國忠の役は童千斤なのか!?『少林與武當』ではムキムキの羅奔(ロー・マン)が童千斤を演じていたので、でぶっちょの荊國忠が演じると違和感がなくもないような…。
さて、敵だって黙ってはいない。続いて李強が少林寺の内通者である張鵬(本作の武術指導)と結託して戚冠軍をおびき出し、彼の妻子を誘拐する。しかし戚冠軍は提灯を置いて李強らを陽動し、本拠の防備が手薄なうちに妻子を助け出すと李強を一掃した。続いて戚冠軍を罠に陥れようと次なる刺客の張紀平が出撃するが、こちらも戚冠軍に一蹴される。裏切り者の張鵬と姑息な策を弄せずにタイマン勝負を挑んだ陳森林も倒れて後がない敵側だが、白眉道人からの増援が来ると聞いて笑みを浮かべた。
その頃、西禅寺に同門だと言って近付く不振な男、譚道良の姿があった。彼は三徳和尚にある人の位牌を渡し、弔ってもらうように頼んで寺を去った。しかしその位牌の名前には…。その後、茶店で戚冠軍と出会うと、譚道良は力自慢の戚冠軍に「あの大木を引っこ抜いてみないか?」ともちかけた。
敵の刺客のほとんどを倒して意気揚々の戚冠軍は自信満々に挑戦する。このくだりにデジャブを感じた方も多いと思うが、これは『少林與武當』で羅奔が鹿峯にやられたときと全く同じ展開。そして譚道良の役名は高忠進!つまりというかやっぱりというか、譚道良は敵であったのだ!
荊國忠の犠牲でどうにか脱出し寺まで戻った戚冠軍。譚道良も追撃に現れたが、なんとか少林寺の羅漢陣によって水際で食い止められた。三徳和尚の治療によって回復した戚冠軍は、譚道良打倒と父の仇討ちを果たすべく、やっと一矢報いたので祝賀ムードな敵本拠に攻め込むのだった。
戚冠軍と譚道良といえば例の"借金踏み倒し事件"のせいか、譚道良が背後から戚冠軍に蹴りを入れるシーンがどことなくその話とダブって見え、複雑な気持ちになる…っていうか、本作の譚道良は戚冠軍を騙す役なので、かなりシャレにならない役回りである(爆
だが、この顔合わせだけあってラストの拳技VS脚技の対決は珠玉の完成度で、全編に渡ってひたすら辻斬り行為を繰り返す戚冠軍のアクションも素晴らしい。話としては戦ってばかりで前述の通り『太極八蚊』よりも悪く言えば話は薄いが、良く言えばシンプルになってマイルドに解りやすくなっている。功夫アクションについては二重丸で、その筋立ても往年のショウブラ作品を髣髴とさせる正統派なものに仕上がっていました。

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2 コメント

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はじめまして。 (珍珠)
2007-08-31 21:41:40
いつも楽しく拝見させて頂いてます。

譚さまびいきで、私もこの映画は観ました。
悪者の彼もなかなかクールで良かったですよ!

最後に戚冠軍が死んでしまう時に口の中から塊が出て来るのですが、
私は、アレはきっと魂だったんだな!と思い込んでいます(笑)

これからも更新楽しみにしています。
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まだまだ未開拓な譚道良作品 (龍争こ門)
2007-09-01 21:11:26
珍珠さんこんばんは!&お返事遅れてスミマセン…。
私もそちらのサイトはよく拝見させて貰っています。邵氏関連の作品では役名に至るまで細かに調べ上げていらして、ホントに凄いと思います。その他、あまり知らないキャセイの作品など興味深いレビューも一杯でついつい見入ってしまいます(笑

>悪者の彼もなかなかクールで良かったですよ!
本作での譚道良は、最初敵か味方か解らないミステリアスなキャラクターとして登場していますが、その佇まいは確かに格好良かったですね。
譚道良関連では傑作との声が高い『潮州怒漢』『南拳北腿活閻王』『珠江大風暴』が是非見てみたいところです。

>私は、アレはきっと魂だったんだな!と思い込んでいます(笑)
そ、それでは最後に立ち往生したのは、魂を超越した意思のなせる技だったということですか!(笑
とはいえ、妻と子を残して死んじゃったのであのラストはちょっと寂しい気がしないでもないです。

>これからも更新楽しみにしています。
こちらこそ、これからも宜しくお願いします!
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