現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

伊勢神宮は本来「歌舞音曲」禁止

2014-06-04 19:06:28 | 虚無僧日記
『13人の奏者が明かす「和」の管楽器・打楽器の世界』
杉原書店 2,300円+消費税= 2,484 円から


「和の管楽器、13人の奏者」となっていますが、なんと
(伊勢)神宮の大宮司「鷹司(たかつかさ)尚武」氏も
載っています。

実は、インタビュアーの竹内明彦氏は、私とは慶応の中等部・
高校の同級。彼は慶応の工学部に進み、そこで「鷹司」氏と
同期の縁。部活では、共に、慶応のオーケストラ「ワグネル」の
メンバーだったそうです。

伊勢神宮のトップ「大宮司」が、ヴァイオリンを弾き、
慶応の工学部卒とは、これまた意外。先日、66歳で
亡くなった「竹内」君の葬儀に「鷹司」氏も参列され、
弔辞を述べられました。

その時、司会の方が読み上げられた肩書きは「神宮大宮司」。
そうです「伊勢神宮」は一般にそう呼んでいるだけで、
正式には「神宮」なのです。

「(伊勢)神宮」には、一般の神社にはある、狛犬、鈴、
そして賽銭箱がない。さらには歌舞音曲、つまり雅楽も
神楽も無かったのだそうです。

現在、伊勢神宮にお参りした時、手前の神楽殿で
1~100万円を納めれば、その額に応じた神楽?
舞楽を演じていただけます。

(神楽?舞楽?雅楽?その違いも判らない私です)
ところがどっこい、これは昭和以降のこと。

そもそも伊勢神宮は、天皇が「国家安泰」を祈るところ。
一般人の参拝祈願(私幣)は禁断だったとは、私も
知りませんでした。(平安時代の話です)

だから神宮正殿前には、今も賽銭箱は無い。ご祈祷も
お払いも していただけない。「玉串料」という用語も
神宮にはない。「天皇(玉)が奉ずるもの」であって、
庶民が使っては いけない用語だそうです。

これでは神宮の維持ができないので、収入源として
「寄付」を募り、神楽殿でお払い、ご祈祷、舞楽の
鑑賞を受け付けているとの由。

そんな伊勢神宮の奥深い話が『パイパーズ』にも
掲載されています。


「鷹司尚武」氏は、美濃岩村の城主、大給松平家の末裔の
「松平」姓で、母が五摂家の一「鷹司信輔」の次女。
それで、尚武氏は 子供の無かった「鷹司平通・和子」夫妻の
養子となり、鷹司家を継いだとの由。そして、伊勢神宮の
大宮司は神官ではなく、摂家の鷹司家が務めることになっ
ているそうです。

「尚武」氏は、学習院高等科から慶應の工学部に進学、
1970年に卒業。同大学院を経て、日本電気株式会社(NEC)に入社。
最後は「NEC通信システム」の社長に就任。2007年6月に退任して、
戦後9人目となる(伊勢)神宮大宮司に就任。という異色の経歴。
昨年は遷宮で度々マスコミにも登場されました。

鷹司氏のお話。
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雅楽は宮中で演じるもので、神宮には無かった。
明治になって、収入源として「神楽殿での神楽の演奏」を
太政官に申請した。しかし、楽器の演奏は、宮内庁の
雅楽師に習わねばならないが、なかなか容易には教えて
くれない。ようやく許しを得て、習いに行っても、
カンタンには上達しない。神宮の専任楽師が自力で
演奏したのは昭和7年。それまで60年の歳月が
かかった。現在、神宮の専任楽師は32人。しかし
遷宮の時の雅楽は、宮内庁雅楽部の人が来て演奏する。

だが この曲は 秘曲で、大宮司といえども聴くことは
できない。

そんな閉鎖的な世界の「雅楽」だが、日本の歴史の中で
「雅楽」を演奏する人口は、現代が最多とのこと。


たしかに、名古屋では「熱田神宮」や「国府宮神社」でも
神職が演奏するし、アマチュアの団体もいくつかあります。
また「天理教」では天理大学で雅楽を教え養成し、
各支部で雅楽の演奏をしています。

といっても、一般人が「雅楽」と思って聞いているのは
「唐楽」と「高麗楽」で、「国振り(日本)」の「御神楽
(みかぐら)」は、宮内庁の賢所(かしこどころ)以外
では聴くことはできないのだそうです。


いやぁ、昔からずっとそうだったかのように思って
いたことが、実は違った、なんてこと、有りすぎ。



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