月刊ボンジョルノ

ほとんどツイートの転載です。

またまた枕頭

2008-12-10 | Weblog
衝動的に『蝸牛庵訪問記』『私の見た明治文壇』『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』『堕落論』などをネットでまとめ買い。
風邪というか細菌性咽頭炎がおさまるにつれて、なぜか読書欲が増している。ほんとは読んでる場合じゃないんですけどね。
私は「つん読」(きゃあ、はずかしい)が苦手で、買ったまま読んでない本が置いてあるといつまでも気になるので、一旦買った本は追い立てられるような義務感を感じながらなるべく早く読んでしまう。たいていは枕元に積んどいて寝床でざくざく読んでいくので、面白い本にあたると睡眠時間が乱れて困る。

『蝸牛庵訪問記』(講談社文芸文庫)。
元岩波の編集者が露伴先生との交流を日記の体で書いたもの。
前に買おうと思ったらどこも品切れだったのだが、他の本を探していて、いつの間にか復活しているのを偶然発見した。復刊というわけでもないので、ごく一時的な品切れ状態だったらしい。
幸田文『父・こんなこと』(新潮文庫)には、これとほとんど同じ月日が娘の目から詳細かつ鮮烈に描かれているから、両方読むと面白さ倍増。
露伴先生の知的怪物ぶりと、たぶんそれゆえの空恐ろしい意地の悪さを再確認できる。
百先生も若干似たような路線の人か(ルックスを含め)ともちらりと思ったりするのだが、やはり一世代ちがうと決定的にスケールが違う。
しかし露伴先生の、ムズカしい考証なぞは申すに及ばず、『五重塔』みたいな小説さえも、このままどんどん読まれなくなっていき、教科書の文学史での扱いもどんどん軽くなっていくのだろうか。