2011年も終わりだというのに割と重要な通達が発表されています。2011年12月24日付で《外商投資産業指導目録(2011年改正)》が公布され、2012年1月31日より施行されることとなりました。目録の調整は昨年からずっと話題になっておりましたがようやくの4年ぶりの改正ということになります。目録自体は中国単独でできるものは外資に対して奨励しない、でも自分でできないものは奨励して、自国に取り込んでいくことが狙いとなっています。そのため、奨励類・許可類・制限類・禁止類と分かれて売る類別の内容が改正のたびに調整が行われています。今回の調整内容を以下にざっと見ていきます。
外商投資産業指導目録(20011年改正版)の原文はこちらをクリック
1. 奨励類条項を増加し、制限類と禁止類の条目を減少
(1)奨励類の増加
・新エネルギー自動車キーパーツ、IPv6に基づく次世代ネットワークシステム設備、自動車充電ステーション、ベンチャー投資企業、知的財産権サービス、海上石油汚染食い止め技術サービス、職業技能研修等を追加
・不用電気電子製品・機電設備・電池回収処理の条目の追加
・戦略性新興産業とサービス業を政策扶助の重点とする
省エネ環境保護、新生代情報技術、生物、ハイエンド装備製造、新エネルギー、新材料、新エネルギー自動車等の戦略性新興産業の奨励)
(2)ハイエンド製造業を重点分野とする
新技術、新工芸、新材料、新設備の使用、改造と伝統産業の引き上げの打ち出し、紡織・化学工業・機械製造との分野の新製品、新技術の条目の追加
(3)医療機構、ファイナンシャルリース会社等を制限類から許可類に変更
(4)自動車完成車製造、多結晶シリコン、石炭化工等のプロジェクトを奨励類より削除
2. 一部分野の外資に対する出資比率制限の取り消し
(1)新エネルギー発電設備等の条目の出資比率制限を取消
今般奨励類より削除された条目については、《中西部地区外商投資郵政産業目録》を改正する際、中西部地区への産業移転、発展を促進するために考慮するとのことですので、おそらく反映されることになるでしょう。
さて、ざっと見てみますと技術レベルの高いものとサービス業に対して奨励して行こうというのがうかがえます。その中で、自動車完成車製造業が出資比率50%未満という制限付きのまま奨励類から許可類に調整され、自動車のキーパーツの製造と研究開発は奨励類のままとなっています。自動車の製造はできるようになったけれど、部品についてはまだ単独ではしんどいので外資を奨励しますよということでしょう。類別の引き上げにあてはまった業種については今後の進出に当たって有利になっていくわけですが、実際に事業展開していくに当たっては個別の業種に対応する細かな通達(ex:優遇政策等)類等も検討材料とする必要があります。しかしながら、展開する地域によっては投資誘致のインセンティブとして地方が優遇政策を提供する場合があり、しかしながらその優遇政策の中には国家が認めていないものもあり、逆に言えばいつ反故にされるかわからないものもあるので、そのあたりは注意する必要があります。