RITという不動産関連のリサーチ会社が中国のコーヒーショップに関するレポートを発表しています。中国でコーヒーショップといえば少し前までは台湾系の上島珈琲、最近だとスターバックスのイメージが強いですが、どうも最近は韓国英現れてきているようです。残念ながら日系には多店舗展開といえるほどの展開をしているところありません。
1.店舗数
参入時期と現在の店舗数をまとめた図があります。
思っていた以上に上島珈琲が多いですが、今ではトップはスターバックスですね。この図で三番目に多い珈琲陪你は韓国系で、なんと2年しかたっていないのに400店舗以上あります。上島珈琲やスタバを圧倒的に上回る出店スペースです。実はこのコーヒーショップに入ったことがないので、見かけたら一度行ってみようと思います。この中だと漫珈琲、動物園珈琲も韓国系ですが、実は全く知りませんでした。真鍋珈琲って最近ほとんど見かけないのですが、200店舗以上あるのですね。
2.顧客ターゲットとメニュー
顧客ターゲットを見ていきますと、欧米系はビジネスマンをターゲットにしており、テイクアウトする人が多いようです。台湾系はくつろごうとする人をターゲットにしており、上島珈琲あたりだと小部屋でトランプやマージャンをしたりする人が多くいますね。韓国系はこれらと違って友人や家族でだべったりする人が多いようです。このような雰囲気のところはあまりないようで、だからこそマーケットにいうまく入り込めたといわれています。
さて、メニューを見ていきますと、欧米系は種類が少ないものの、サービスが良いという点に優位性があるようです。スタバあたりだとスタッフに浮遊怪な思いをさせられることはあまりないですね。それ以外だと頼んでもいなものを持ってきて押し付けられそうになったことがあるように、サービスレベルは確かに落ちますね。台湾系はくつろごうとする人が多く、そのためメニューも比較的がっつり食べるようなものも多く、ランチなんかも結構種類が多く、コーヒーがメインというわけではありません。韓国系は喫茶や軽食が主体で、それ向けのメニューが結構豊富だそうです。
ターゲットとメニューでセグメント分けした図を見ていきましょう。上に行けばいくほどくつろぎ、下へ行くほどビジネス、右へ行くほどメニュが豊富、左へいうほどメニューが少ないとなっています。
この図にあることは確かのその通りで韓国系は平均メニュー数は76種類、欧米系は41種類なので、およそ倍になります。メニューの幅広さが顧客を引き付けた要因とも言われています。また、韓国系はメニュー数以外にもコーヒー以外のドリンクの比率が49%と非常に高いという特徴がります。
3.メニュー構成
台湾系はがっつり食べるようなメニューが多いせいか、食品の比率が圧倒的に高くなっており、コーヒーのの比率は最も低くなっています。
4.経営モデル
欧米系は資金力が豊かであり、これをいかして直営スタイルをとっています。欧米系は実に92%が直営です。台湾系はいくつかの大エリアのエリア代理権に分け、そこからまた代理権を分け分けしてという形をとっています。あまりに分けすぎて同じエリアに複数の代理賞がいるケースも見られ、ちょっと乱れ気味です。そのため、代理権の紛争や、代理賞の流動性も高く、管理が乱れたり、メニューの基準がばらばらだったりするという問題が発生しています。直営はわずか8%しかなく、加盟の比率は87%にも上ります。韓国系は直営が19%、加盟が60%、そして残りの21%が合作経営です。合作経営とは、管理側と加盟社が共同で経営に参加し、相応が持分を保有するというものです。下図はブランド別の直営、加盟、合作経営の比率を示すものですが、特徴がよく現れています。
韓国系にはおおきく3つの優位性があるといわれています。
(1) 直営店が一定比率ありますが、直営店をうまく運営することで加盟者に対するアピールになっているという見方です。個人的には直営店と加盟店の見分けはつかないのであまり関係ないのではないかと思います。
(2) 合作経営も資金が不足する加盟社に対してチャンスを与えることのできる形態であるといえます。咖啡陪你は招商銀行と組んでおり、加盟者が合作経営するために必要な資金の銀行調達をするサポートを行っています。資金調達に当たり銀行に対して保証してくれ、提携しているがゆえに相対的に低金利で資金調達ができます。これはありがたいですね。漫珈琲の店舗のうち83%が合作経営で、純粋な加盟店は一つもありません。
(3) 加盟店であろうが直営店であろうが、会社が統一管理を行っています。フランチャイズと同じ考え方ですね。
韓国系の加盟条項を見てみましょう。
持分を40-100%まで幅広くとっております。加盟社が100%の持分を持つ場合でも場所探しまで手伝ってくれるというのはありがたいですね。店舗拡大を優先することで適当な場所を紹介してしまわないようにするのを気を付ける必要があるでしょう。ちょっと油断すると適当な場所を紹介されてしまうかもしれないというのは加盟者も注意が必要でしょう。
5.賃料・立地
さて、賃料について見ていきましょう。
一線都市の中でも欧米系は高コストの立地、台湾系は最も低コストに立地していることがわかります。韓国系は面積が台湾系と比べて小さめであり、賃料の絶対額自体は対話根井よりも低く抑えられています。韓国系は参入時期が遅めであったこともあり、好立地のところがすでに押さえられてしまっていることによるそうです。一線都市といっても郊外に立地するのが69%と高めなのもの特徴です。二線都市は面積当たりの家賃は台湾系がぶっちぎりに低くなっており、面積が大きくても絶対賃料をかなり抑えることができています。韓国系は一線都市よりも高コストの立地をしているといえ、実際に市街地の立地比率が87%にも達しています。欧米系と台湾系は二線都市においては市街地比率はほぼ同じですが、一線都市だけ見ている分には意外な感じがします。
6.マーケティング
韓国系は韓国のタレントや韓国アパレル、化粧品、内装や韓国の生活スタイルを取り入れることでお客さんを引き付けているそうです。韓国ドラマの人気にあやかっているという見方です。個人的には韓国ドラマは記憶喪失は腹違いの兄弟が出てくるドラマばかりというイメージもあり、ほとんど見ることはないのですが、これがいいという人もいるのでしょう。中国で韓流ってそんなに人気があるのでしょうか?
この他、O2O戦略としてバイク便の順豊と提携し、携帯電話で注文してバイク便で配達してもらうということもやっています。配達してくれるのは確かにありがたいですね。
以上、つらつらと書いてきましたが、日系のコーヒーショップが出てこないのが残念です。日系だとサンマルクカフェ、プロントあたりが進出していますが、店舗数が少ないのでこのような比較対象として取り上げられることはありません。今から出てきても遅いと考えているのでしょうか。2年で400店舗出した咖啡陪你の例もあるので、やり方次第ではまだ何とかなりそうな気もするのですが、果たしてやってきますでしょうか。