去年7月に発覚した英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の中国における贈賄事件、今年9月に30億元の罰金刑が言い渡されています。決して小さな金額ではありません。本来なら業界全体が引き締め気分で運営していく必要があるかと思いますが、あれから医薬業界はどこまでクリーンになったのでしょうか。
ところで、中国の新聞で医薬品業界のキックバック用のキャッシュの生み出し方が紹介されていました。顧問先の医薬企業に配信しているニュースレターでも紹介したのですが、異業種でも興味のある人も多いかと思いますのでここで紹介いたします。なお、決してこのような行為を奨励しているわけではないことをあらかじめ申し上げておきますね。
よく使われる方法として次の2種類があります。
(1) 医薬品流通企業経由:主に増値税発票 の購入を通じて仕入をコストアップし、小売薬局を利用して現金を生み出す。
(2) 製薬企業経由:主に原料や包装材料、飲食接待、出張、広告宣伝、交通、会議などの費用について架空の発票を発行して出荷コストアップし、P/L上収益を減らして、裏で現金を生み出す。
(1)の「医薬品流通企業を通す」場合のプロセスは大体下記の通りとなります。そして、キックバックの「相場」は平均で医者に40%、MRに15%と言われています。
このフロー図の流れは次のようになります。
① 医薬品卸企業が大型医薬物流企業から医薬品を購入、代金支払の引き換えに発票を入手。小売薬局へ8%割引で転売、条件は現金払い且つ発票なし。
② 医薬品卸企業が別途医薬品を購入。病院へ転売する際、上記(1)で入手した発票と併せて購入コストを水増し、増値税と所得税の節約を図る。
③ 上記(1)で小売薬局からもらった現金を利用してMR(医薬代表)や医者などへキックバックを配分。
「節税効果」(上記事例の場合)
しかし、この方法が発覚されて以降、最近はより隠蔽しやすい「製薬医薬企業を通す」方法が増える傾向にある模様です。
みなさん、マネしちゃだめですよ!