経理・経理・経理マンの巣窟

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PLから法人税等をなくしてしまえ

2013-01-17 14:15:54 | 崩壊する上場企業の経理

 そもそも日本の古い企業会計原則では、法人税等のIncome Taxを、株主配当金などと同様に「利益処分項目」のひとつと考えていた。従って当期分の法人税等を費用としてPLに計上することはなかったのである。

 ところが昭和38年4月に新たに商法計算書類規則が制定され、当期の所得に対する法人税は、期末日現在すでに納税義務が発生しており、その納付期限も二ヶ月以内であるところから、これを貸借対照表の流動負債として計上し、かつ損益計算書の費用として計上するよう義務付けられたのである。

 これ以来、法人税等は費用としてPLに計上され、それを控除した後の金額が当期利益として認識されるようになった訳である。また米国では早くからこれを費用として処理していたため、もはや国際的にもこの処理が定着してしまい、法人税等を費用処理することに異を唱える学者はいなくなってしまった。

 しかしながら、本当にこれで良いのだろうか・・・。企業側で全く調整出来ない税金という支出を費用と考えていいのか、また税法基準で計算された法人税等を費用計上するため、会計との期間的なギャップが生じる。そしてそれをフォローするために税効果会計を運用し、訳の分からん繰延税金資産などを発生させるという悪循環を産んでしまった。

 株主総会重視だった旧商法と異なり、現在の会社法では、かなり柔軟に会社側で利益処分が行えるようになっている。そのため利益処分案が無くなり、株主資本等変動計算書に変わっているのだから、法人税等はこの株主資本等変動計算書の中で、剰余金の減少項目として表示したらどうであろうか。むろん期末に剰余金を流動負債の未払法人税等へ振り替える仕訳が必要なのは言うまでもない。

 こうすることにより、PLから法人税等の費用項目は消滅し、税効果会計と言ういかがわしい制度も不要となる。さらには当期利益が税引前利益と一致することになり、経営者の果たした真の功績が評価し易くなるではないか。そもそも企業努力で調整出来ない税金を、経営者の責任対象にすること自体がナンセンスだったのである。さらには、法人税等が経営責任から除外されれば、法人税等の税率が高いの低いのといった議論も影を潜めることになり、国側としても減税に頭を悩ますこともなくなるであろう。
 従って「PLから法人税等をなくす」ということは、こんなに良いことだらけの正しい会計処理なのである。ただもはや日本単独では、抜本的な会計処理方法の変更が出来ないという現実が横たわっているのが悲しい。だが国際的にみても、これだけのメリットのある会計処理への変更をしないというのは、大いなる世界的損失ではないだろうか。

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