経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

生き残れる個人商店

2015-10-25 13:42:05 | ひとりごと

 私がまだ小さい頃、世田谷の実家では和菓子の製造販売を行っていた。ところが私が中学生の頃に父親が胃がんを患い、辛く厳しい製造業を続けることは難しくなってしまう。それでやむなく郊外に転居して、乾き菓子とパンの販売店を開業することになったのである。
 仕入れて売るだけだから、粗利は大体売値の2割程度、それでも当初はそこそこ儲かっていた。ところが近くにスーパーマーケットが出来たとたん、全くお客が来なくってしまったのだ。それもそのはず、スーパーには何でもあるし、モノによっては商店が問屋から仕入れる卸値より安く売っているからである。だから逆に個人商店である我々も、行列して特売品をスーパーから購入し定価で店に並べたものだった。

 こんな状況が続けば、種類が少なく売値が高い個人商店が衰退するのは目に見えている。ただ唯一の救いは、当時のスーパーはまだ午後6時頃までしか営業していなかったことである。個人商店はその隙間、つまり鬼(スーパー)のいない夜10時過ぎ頃まで営業することによって生き延びていた。だがやがてセブンイレブンなどのコンビニが立ち上がってきて、早朝や深夜の隙間産業まで奪われてしまうのだ。そして次々と個人商店は潰れてしまったのである。

 もはや買って売るだけの単純な商売では、大資本に立ち向かうことは出来ない。だからと言って製造業でも、誰でも創れるものを漫然と製造しているだけでは、大企業の下請けになり下がって買いたたかれるだけで、やがては切り捨てられてゆく運命が待っているだけであろう。
 では個人商店は、なす術もなく絶滅してゆくだけなのだろうか。農業や漁業でさえ、将来は大企業が参入しようとしているご時世である。従って個人商店が生き残るのは、なかなか難しい時代なのだが、特定の職種においてはなんとか生き延びてゆけるかもしれない。

 いま個人商店がなんとか凌いでいる商売は、農業・漁業・畜産業など国の保護を受けている自営産業、ラーメン屋・蕎麦屋・フレンチ・ケーキ屋・バーなどの飲食店、医者・弁護士・税理士・設計士などの士業くらいのものである。この中でも、大企業と競合している飲食店が一番厳しく、栄枯盛衰の激しい商売ではないだろうか。
 そして大企業に勝つには、ただ美味いだけではだめだ。美味でかつ特徴のあるものを、そこそこの値段で売らなくてはならないし、大企業にない柔軟で愛想の良い対応も必要である。そしてネットやTVで評判になること。しかし人の心は移ろいやすいものである。頑固さやこだわりも必要だが、絶えず時代の空気を読み、新しい商品の開発を怠ってはならない。
 つまりこれらを簡単にまとめれば、品質・価格・サービス・話題性などの、トータルコストパフォーマンスの良さこそが、個人商店が生き残る道と言えるのではないだろうか。また例え成功しても決して傲慢さに溺れず、常に謙虚なる探求心を持ち続けることが永遠のテーマなのである。

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再び軽減税率論議!!

2015-10-15 19:58:30 | 経済ニュース編

 野田税調会長が更迭されて、やっと消費税軽減税率に向かって前進かと思ったら、今度は麻生財務大臣が札幌市内の講演会で、次のように再びこの問題を蒸し返した。
「言っておきますけど、財務省は反対ですよ、本当は。やれやれ、って人が多いんだもん。だから問題なんだ。面倒くさい、ってみんな言っているよ」

 冗談じゃない、面倒くさいだけで、難しい政策を放り投げるような政治家は不要だと言いたいが、なんとなく麻生さんの本音も判らないではない。ところが彼の毒舌はそれだけに留まらず、「公明党さん、そちらの責任でやってくれるんでしょうね、俺たちに押しつけないで下さいよ」とか更には「安くした分財源が減りますから、その分だけ福祉に回る金が減りますから」と発言したと言う。

 さてさて、いくら現実路線と本音主義で分かり易いと評判の麻生さんだったが、そこまで言い放ってしまってはお終いだね。これでは政策不在、国民不在も甚だしいではないか。そもそも消費税の増税分は、福祉にしか使えなかったはずである。とにかくこの発言には失望し、返す言葉もないくらいだ。
 もしかすると、私の誤解かもしれないが、文面通りに解釈すれば誰だって怒るのではないだろうか。もし発言の趣旨が別のところあるのなら、誤解されないような訂正を素早く行ったほうが良いだろう。

 いずれにせよ、従来の処理方法全てを御破算にして、これからインボイス方式を導入するのでは、実務は次の消費税増税までには絶対に間に合わない。そんなことは、実務を知っている経理マンなら誰でも承知の助であろう。消費税はあらゆる取引に関わってくるため、根本的な大改正を行うと、経理だけではなく数値の絡む会社のシステム全てを変更しなくてはならないからである。
 だから軽減税率に必須とされる『インボイス=税額票』導入に、中小事業者が反対しているという小さな問題どころではないのだ。つまり全日本の企業全体のシステムが麻痺してしまうと言う大問題が発生してしまうのである。

 だからと言って、最近取り下げられた財務省案の還付方式では、基本的な税の論点から逸脱しており、国際社会では物笑いとなるだけであろう。では一体どうした良いのか、その結論は既にこのブログで二度も公開しているのだが、悲しいかな当ブログの知名度の弱さで、いまだマスコミに取り上げられていないようだ。まずは、下記の過去記事をご覧あれ。
きりのない軽減税率論争

 さて公明党が軽減税率つまり多段階税率に拘るのは、消費増税により一般庶民が苦しまないためであることは間違いないはず。それならもう少し頭の中を柔軟にして、結果として増税感が無くなるのなら、消費税のシステムや手法には拘らないほうが賢明だろう。

 つまり多段階税率にするからシステムが複雑になるのである。だから、従来通り単一税率のままにしておき、『一定の生活必需品』を非課税にすれば、現状のシステムはほとんど修正する必要がないのだ。この生活必需品の範囲については、すでに本ブログで述べたとおりだが、食料品の範囲を生鮮食料品等に絞り込み、それに交通費・通信費・教育費・医療費などを加え、軽減税率ではなく非課税(0%税率)とすれば良いのである。もちろん生活必需品の範囲は、税収不足にならない程度に調整すれば良い。それこそ財務省の得意技ではないか。

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血液型と経理マン

2015-10-06 10:32:40 | 一口メモ

 今や血液型による性格判断と相性診断が当たり前のように論じられ、殆どの人々がそれを信じ切っている様子である。ことに女性たちの間では、血液型別の性格判定は、ほぼ常識として定着した感がある。
 さて、そもそも血液型による性格診断は、相撲研究家として鳴らした故・能見正比古氏が、血液型と気質の因果関係について独自のデータを集積し、1973年に『血液型人間学』という書籍を著したのがはじまりである。
 当時また若かった私は、その本を読んで痛く感銘し、その内容を丸ごと信じて疑わなかった。それで人に会うたびに、血液型と性格の関連性と相性などを請け売りしたものである。だが当時はほとんどの人が「血液型と性格との関連」には、あまり関心を示さなかった。
 
 ところがその後、能見正比古氏が多くの書籍を出版し、テレビにも積極的に出演したため、1970年代後半になるとマスコミに注目されはじめ、現代にまで続くブームを巻き起こしてしまったのである。
 だが誰も彼もが血液型と性格の関連性を疑わなくなった頃、天邪鬼な私自身は、逆に『血液型のような先天的なもの』よりも、『環境のような後天的なもの』の影響のほうが遥かに性格形成に関与していると公言するようになってしまった。

 具体的には、まず都会で育ったのか、田舎で育ったのか、父親は自営業か会社員だったのか。また自分が育った家庭は、金持ちだったのか、貧乏だったのか。そして兄弟姉妹は、男女何人いて、何番目だったのか、などの育った環境を拾い出してみればよい。きっと同じような環境で育った人々の性格に類似性を認めることだろう。三つ子の魂百までとはよく言ったものだ。

 さらには、その人の職業や職場環境も、性格形成に大いに関与しているはずである。何と言っても人生の大半の時間を過ごしている「職場環境と仕事内容」に影響を受けないほうがおかしいのだ。
 という訳で、公務員や大企業に勤務する人々は紳士的になり、中小企業に勤務する人たちは、どうしてもあくが強くなってしまうのである。また人付き合いの多い営業マンは、体育会系で明るいタイプが多く、法律や規則に縛られる経理マンは、慎重で神経質なタイプが多くなってしまうのではないだろうか。

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