経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

熊本大震災に寄せて

2016-04-27 13:48:54 | 経済ニュース編

 『南九州ツアー』予定日の3日前に、突然震度7の熊本大地震が勃発した。ところがその2日後に、さらに大きなマグニチュード7.3の大地震が起こり、前の大地震は、前震に過ぎなかったと発表された。その後何度も震度6及び震度5の大きな余震が続き、震災範囲も拡大し始めたのである。
 こんなしつこい地震は聞いたことがない。被災者はもちろんのこと、テレビのニュースを見ている私自身も、イライラが募り気分が滅入ってしまった。それで30%のキャンセル料をドブに捨てて、『南九州ツアー』を直前キャンセルすることにした。

 そんなこともあったが、その後も数え切れないほどの余震が続き、さらには南阿蘇中学校の避難所で、ノロウイルスが原因とみられる症状を訴えた避難者が続出というニュースまで流れた。また阿蘇大橋が崩落したり、熊本城までが崩壊寸前状態となり、畑の中に突然活断層が飛び出したりと、史上空前の悲惨な被害状況が報告されている。

 もちろんこうした被害状況を報道することは大切なのだが、被災者としてはしばらくは静かにして欲しいかもしれない。そうした中で、最近は九州新幹線が動き出したり、熊本空港が再開したりと、少しずつインフラが回復し始めているというニュースが流れはじめ、私の中にあるイライラも少し収まりつつある。
 だが被災者たちにとっては、これから何年も悲惨な状況が続くだろうし、元通りの生活に戻れない人もいるかもしれない。我々はただただこうした人たちが早く元通りの生活と元気を取り戻してくれることを祈るだけである。

 それにしても、とにかくこの地震列島は、どうにもならない。さらには地震だけではなく、津波や火山の噴火、それに大雨と台風などまさに災害列島そのものである。外国にこれほどの災害国があるだろうか。人災である戦争やテロなどの少ない治安の良い国ではあるが、人間には全く手に負えない天災が余りにも多過ぎる。
 また今回の熊本大地震は、決して他人ごとではない。いずれ首都圏にも同クラスの大地震が必ず起こるに違いない。そのときは史上最大の大参事となるはずだ。そしてビルは倒壊し、インフラも破壊され、日本経済は当面立ち上がれないほどの大打撃を受けることになるだろう。

 従ってその時は日経平均も、今回のように1日大幅下落した後にすぐに回復という訳にはゆかない。それどころか株式市場閉鎖という事態を招くかもしれない。
 また諸々の被害が大き過ぎて、自衛隊、警察、消防、だけでは救助作業もままならないはずだ。結局は全世界の支援を受けながら、何十年もかかって気の遠くなるような復興作業を続けてゆくしかないだろう。
 そんなことは誰でも分かっている。分かっていても、人間には根本的な予防は何も出来ない。出来るのは小さな準備と予防だけ。それでもその小さな準備を怠るわけにはゆかない。
 とにかく自然の力は恐ろしいのだ。そして現在こうして無事に生活していることはまさに奇跡であり、実にありがたいことなのである。あとは神に祈るしかないのだろうか。

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電卓たちの変遷

2016-04-10 09:54:45 | たそがれ経理マン編

 経理マンに欠かせない計算アイテムと言えば、今ではパソコンになってしまったが、大昔はそろばんで、ちょと昔は電卓であった。私が経理を目指した頃はまだそろばんが全盛期で、達人経理マンの履歴書には必ず「珠算1級」と記されていたものである。だがそれも私が社会人になって数年間であり、電卓の普及とともにいつの間にか、経理マンの引き出しの中からそろばんが消えてしまった。
 
 さて今回はそろばんの話ではなく、そのそろばんを消滅させた「電卓」についての想い出を綴ってみたい。今でこそ電卓は手のひらサイズとなり、100円ショップの店頭にも並ぶようになったが、1960年代に初めて登場した日本製の電卓は、重量が15kgから20kg以上、消費電力も50Wから100Wを超える大型の卓上計算機だった。しかもその価格はなんと車1台分の値段であった。

 その後の電卓は、トランジスタからIC採用へと変革されることになり、大幅な価格破壊の波が押し寄せることになる。そしてとうとう1972年には、カシオ計算機より定価が12,800円のカシオミニが発売され、『答一発』のキャッチフレーズとともに大ヒット製品となるのである。

 その頃になると、税理士試験も電卓携帯が許可されるのだが、残念ながら6桁のカシオミニでは役に立たず、5万円前後で売られていた10桁の電卓を購入せざるを得なかった。それは薄給の税理士事務所に勤務していた私の1か月分の給与とほぼ同額であり、当時としてはかなり痛い出費であった。私は昼のランチをやめ、手弁当に変えて辛抱することにした。

 とにかく計算の多い簿記論、法人税法、所得税法、相続税法などでは、電卓が必須アイテムなので、ケチってそろばんで代用するわけにはゆかなかったのである。ただ悔しいことに、翌年から電卓全体が急激に低価格化され、私が買った10桁の電卓も1万円程度に値下がりしてしまったのだ。悔しくて悔しくて堪らなかったが、5万円で買った電卓を使用して『簿記論』に合格したことだけが、たった一つの慰めであった。

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悲しきかな、シャープの経営陣

2016-04-01 09:42:43 | 経済ニュース編

 シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)の買収に合意し、政府系の産業革新機構との提携を蹴ってしまったため、もう引き返すことが出来ない。そのために案の定、したたかな鴻海の会長に翻弄され続けられる羽目になってしまった。
 このきっかけは、買収に合意する直前になって、シャープが3000億円に上る財務上の潜在的リスクについての資料を鴻海側に提示したことにあった。これにより鴻海は早速隠していた牙を剥き出し、難癖を付けはじめたのである。そんなバカなと、叫びたくなる。なぜもっと早くその潜在リスクを公表しなかったのだろうか。もしかすると隠し切れなくなったシャープの役員が、怖くなって直前に吐露してしまったのかもしれない。
 
 もちろん鴻海側にしても、いまさら合意を棒に振るわけにもゆかず、結果的には買収に合意したものの、ゴネ得で買収額を1000億円も値切ってしまった。さらには、シャープが破たんした場合には、液晶事業の全てを鴻海が優先的に取得できるという条件までが付加されてしまったらしい。
 いずれにせよ、シャープも日本のメガバンクも鴻海に好きなようにあしらわれているではないか。まあ一代でシャープを買収できるほど巨大な企業に成長させ大富豪にのし上がった剛腕創業者会長と、所詮はチンピラサラリーマンに過ぎないシャープの役員たちとでは、はじめから勝負の行方は目に見えていたはずである。
 
 そもそもシャープが鴻海を選んだ理由は、シャープのブランド存続、既存従業員と広範囲にわたる商品ラインアップの継続に理解を示されたこと。またメインバンクからの債務切り捨てを行わないこと。シャープ及びその子会社の経営の独立性を維持・尊重すること。シャープの技術保持、日本における研究開発・製造機能を維持し、シャープのコア技術の流出を防止するため相互に協力していくこと。などなどあたかもシャープやメインバンクに好都合な条件が了解されたと思い込んでしまったのだろう。

 だが今回の鴻海の豹変ぶりを垣間見れば、そんな約束が守られる保証はない。もしかすると少しずつ難癖をつけて、なし崩しに反故されてしまうかもしれない。それにしても日本側の経営陣は、甘い!甘い!甘い!甘過ぎて話にならない。いずれにせよ、破たんした会社に美味しい話などあるものか。ましてや海千山千の国際社会をしたたかに泳いできた外国企業に、そんなお人好しが存在するわけがないのだ。

 そもそもシャープの破たんは、亀山ブランドの過信と軟弱経営の結晶だと言われている。だからこそ、本来ならもっともっと真っ赤な血と真っ黒な汗をドロドロ流して、のたうち回らねば経営再建など出来るはずもないのだ。それを大した血も汗も流さず、ただ自身にだけ都合良く、丸く収めたいというだけの甘い戦略しか考えられないから、詐欺まがいの買収に引っかかってしまうのであろう。
 身から出た錆びと言ってしまえばそれまでだが、これでは一生懸命働いてきた従業員や個人株主は踏んだり蹴ったりで全く浮かばれないではないか。ああ情けなや。情けないを通り過ぎて、悲しくてやりきれない。

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