この胃にはほとほと愛想が尽きたね。
調子いいぞと思うのは一か月でほんの二、三日。
ちくちくと痛み、鉛が入っているように重い。
胃カメラ飲んでも特別悪いところはありません。
昔やった胃潰瘍の影響で大腸へ流れるスピードが一寸遅い位の事かな、と先生は言う。
でもね、量を減らしても腹減るなんてこと滅多にないのです。
ラーメン頼んでも半分がやっと、寿司食べてもせいぜい五個。
コップに半量水飲みすぎても胃にずっしり重みが加わり、食欲はいっぺんになくなる。
何だろうね、これって。
胃が普通の人と比べて小さくはないですか、と訴えてはみたが先生は何も答えない。
それはそうだろうカメラを通して胃の大きさまでわかる筈はない。
でもね、きっと体積が小さいと思う。
要するに細長くひょろひょろしていて丸みがないからでは、と思っている。
何でも球体がいいからね、体積も大きくて頑丈だから。
ふっくらと丸みを帯びた体つきの人は胃もきっと丸っこいに違いない。
だからあの人、胃が強いし、よく食べられる、そうだ、きっとそうだ。
これって「生まれつきの食の格差」だよ。
おふくろに似たんだね、いや、親父の方も胃が弱かった。
それでも若かりし頃は日本酒一升は軽く飲めたのに、やっぱり元々胃が弱いんだ。
何言ってるんだ馬鹿野郎、アルコールで麻痺させていただけよ。
それがいけなかったのだ、胃潰瘍をやると大体こんなものだ。
それを称して「自業自得」というんだ。
二度と「生まれつきの格差」なんて口にするんじゃないぞ。
勘違いしちゃいかんぞ。
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