シャボン玉の詩

前へ前へと進んできたつもりでしたが、
今では過去の思い出に浸る時間も大切にしなければ、
と思っています。

紅葉 (夕焼日記より)

2008-10-27 09:41:03 | Weblog
作品32(夕焼日記より)

紅葉は山の上から中腹、裾野、平野へと下ってくる。
そして、北から南へと移っていく。
木の葉は気温の変化を知っている。
生きる術を知っている。
木の葉は落ちても次がまたある。
地球四十六億年の歴史。
気の遠くなるような時間が今を創った。
千年前の人も、一万年前の人も、この美しさをみてきた。
人々は自然を愛し、自然とともに歩いてきた。
見よ、この紅葉を。
幾人の人が涙し、感激し、雄叫びをあげたことか。
人々の心は優しさと愛に満ちている。
信じよう、その心を。
さあ開こうその心を。
幸せはそこにある。

疲れた日 (夕焼日記より)

2008-10-20 09:57:25 | Weblog
作品31(夕焼日記より)

睡眠は十分、特別痛いところもない。
しかし、体全体が重く、だるい。
脳は雲の上にいる。
何もしたくない。
何も考えたくない。
きっと疲れているのだ。
「田園」をかけ、椅子を倒して目を閉じる。
音は耳から入り、勝手に抜けていく。
雲の上か、大地の中か。
まるで何かに抱かれているみたい。
このまま心臓が止まったっていい。
何の不安もありません。
きっと幸せなんだろう。
ゴルフの後って、いつもこんな具合だ。

孫との初風呂 (夕焼日記より)

2008-10-12 09:35:50 | Weblog
作品30(夕焼日記より)

バンザイして、と言って服を脱がせた。
靴下とズボンは座り込んで自分で脱ぎ始める。
びっくりするほど順調だ。
パンツは?と言ったら。いやだ、と言う。
それじゃお風呂に入れないよ、と言ったら、さっさと脱いだ。
よかった、うまくいった。
お風呂の中ではあの手この手。
一所懸命一緒に遊ぶ。
もう安心だ。
シャンプーでの頭洗いは最後の難関。
目が痛い、と泣き出しそうに言う。
心臓がどーんと鳴る。
しかし、大丈夫目を閉じて、と、冷静だ。
何度もお湯をかけ、タオルを渡す。
自分で顔を拭き、私の顔を見てにっこり。
誰かさんによく似ている。
可愛い。
お利口さんだったね、と言ってこちらもにっこり。
初めての孫とのお風呂。
何だか昔の息子といるような気分。

お酒の味 (夕焼日記より)

2008-10-05 09:39:40 | Weblog
作品29(夕焼日記より)

指折り数え、足し算と掛け算。
一度では心もとなく何度も繰り返す。
おかずの種類と量の目測。
それから蛋白とカロリーの集計だ。
これではなかなか食事にならぬ。
刺身が色あせてきているではないか。
やがて、ようやくコップに手がかかる。
うまい。しびれるようなこの味。
やっぱりお酒は熱めのほうがよい。
今日は思いのほかいけそうだぜ。
酒の肴は少しずつだ、もったいないから。
思い切ってワングラス追加。
脳がほんわりとろけてきた。
これだ。
妻相手にすっかり饒舌。
すこぶるご機嫌がよろしい。
彼女だって喜んでいる。
とうとう二つをあけた。
米のご飯を食べないのが秘訣、すっかり忘れていたぜ。
もう大丈夫、自信を持てばいい。
素質はあるのだから。
今日は私のアルコール記念日。