シャボン玉の詩

前へ前へと進んできたつもりでしたが、
今では過去の思い出に浸る時間も大切にしなければ、
と思っています。

病気のいろいろ(難しい不整脈 その3)

2017-07-08 15:10:00 | Weblog
カテーテルアブレーション。
心臓に信号を送る異常な回路を断つ施術の事である。
根治治療はこれしかない、年齢的にも今しかないと先生は言う。
そうでなくても私の苦しみは最早限界に来ていた。
瞬時に決断し、その日を待ち焦がれたのは当然の事であった。

こうして遂にその日は来た。
3時間ぐらいで終わり、3,4日で退院と聞かされていた。
ルンルンとした気分で手術室に向かう。
4人の先生が手術室で待ち構えている。
手術は始まる。

間もなく猛烈な、あの発作に襲われる。
「来た、来た、来た」と先生の声が聞こえる。
恐らく異常な回路を発見したときのモニターの画像を見ているのだろう。
私は早鐘のように、大きく打つ心臓の鼓動の苦しさと必死に闘う。
これがそうだったか、と思う。
要するに再現テストによる治療に違いないと思った。
その度に私は手すりを握りしめ声を立てて懸命に耐える。
こうして異常な回路を探し当て、断ち切っているのであろうと思って辛抱する。
ここを乗り越えれば不整脈の発作から解放されるのだと言い聞かせながら頑張る。
「来た、来た、来た」を何回聞いたであろう。
何回うめき声をあげ、手すりを握りしめたことであろう。
最後の方で「痛っ」と感じたが、「終わりましたよ」と先生は言う。
全てが終わった、これで新しい人生を謳歌できる。
私は凱旋将軍のような気分で女房殿の待つ部屋に帰る。

残念ながらその日の夕方から急性膵炎&急性腎不全の症状が現れ始める。
急性膵炎の炎症がなかなか引かず、50日後退院した。
その間、腎臓機能の低下はクレアチニン3.0で落ち着いた。
これらの合併症は我が不徳の致すところ、既に書き記したとおりである。

以来12年、不整脈の発作は起こらない。
要するに合併症として残った慢性腎不全との交換みたいなものである。
私はこれで良しと思っている。