失われた時を求めて

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懐かしのニューミュージック(15) 増殖

2007-08-12 18:23:10 | 音楽:懐かしのニューミュージック
昭和55年6月5日 発売

 5月の家庭訪問の季節。右腕を骨折していた友だちで柔道部員のMが、中学校の柔道場で練習していました。窓から「そんな腕じゃ投げられないだろう~」と野次を飛ばしていた私を含めた数人に、「ふざけんな! 投げられるゼ。」と啖呵を切ったM。そして私が彼の相手をすることになりました。
 右腕を包帯で吊っているMとは組みにくく、私が攻めあぐねていると、Mは一本背負いを仕掛けてきました。私の体は簡単にフワッと浮き、そのまま投げられてしまいました。‥‥と、そこまでは良かったのですが、Mは片腕のためにバランスを崩し、私の上に倒れこんできました。
 「グギッ‥‥」
 体の中でにぶい音がして、肩に痛みが‥‥。私の左肩が脱臼しました。みんなが心配して私の周りに集まってきて、だれかが私の腕を引っ張ってグリグリやっているうちに、一応外れた肩は元に戻りました。しかし、素人がやった処置です。大事をとって私は接骨院に行きました。

 そして、それから2週間ほど接骨院に通う羽目になりました。


‥‥え? それと『増殖』と、どういう関係があるかって? ちょうどこの接骨院通いの時期にこのアルバムが発売され、このアルバムと肩の痛みの思い出が重なっているという話でした(^^ゞ

 この『増殖』はたしか限定生産のはずだったので、慌てて予約しに行きました。ところが、その後いつまでも販売され続けたので不思議だったのですが、どうやら後に一般販売になったようですネ。

 このアルバムは25cmという、ちょっと変わった規格で発売されました。そのため、画像のジャケットの周囲の赤い部分は段ボール製のケース(?)です。この赤い段ボールケースの裏面には、いろいろとスネークマンショーのネタが書かれています。
 ジャケット写真は晴臣さん、教授、ユキヒロのフィギュアを並べたもので、手作り感がタップリです。今なら画像処理でお手軽につくれるのでしょうが、それではこの味は出ません。12月にメディコム・トイからこのフィギュアがフィギュア化され(?)て発売されますネ。(「vinyl collectible dolls」→「その他」→「Yellow Magic Orchestra 増殖人形3体セット」を見てください。)

 このアルバムの特筆すべき点は、「スネークマンショー」とのコラボレーションですネ。雰囲気を統一させるためか、楽曲も適度に力が抜けています。私もこのアルバムをきっかけに「スネークマンショー」にハマりました。

●jingle“YMO”
●Nice Age
 ユキヒロのヴォーカルがイイですネ。
 「ニュース速報。22番は今日で1週間経ってしまったんですけども、でももうそこにはいなくなって、彼は花のように姿を変えました。」のアナウンスは、元サデスティック・ミカ・バンドのミカさんです。この謎のメッセージの内容は、ポール・マッカートニーの日本での大麻所持による逮捕の隠喩です。「Coming up like a flower」はポールの当時の最新曲「Coming Up」からの引用です。

●‘Snakeman Show’My Company is very famous!, I'm a rich man.
 当時の大平首相を皮肉ったギャグ。大平正芳氏は直後の6月11日に総理大臣在職中に急逝されて驚きました。

●Tighten Up(Japanese Gentlemen Stand Up Please!)
 アーチー・ベル&ドレルズのカバー。晴臣さんのエレキベースが堪能できます。ギターは大村憲司さん。
 ヴォコーダーや打ち込みのパーカッション風の音色が使われていますが、あまりテクノっぽくなく、ストレートにバンド・サウンドが楽しめます。
 咲坂さんというか、小林克也さんのシャウト(?)が全編にフィーチャーされています。(ところどころに桃内さん、というか伊武雅刀さんの声が入っていて、曲の中でギャグを展開しています。)

●‘Snakeman Show’Do you understand, Mr. Ohira?
 英語が全く通じない「大平」に対して、どんどん過激な言葉で日本人をバカにしていくギャグ。「short legs」「yellow monkey」「pigs」などの語が聴き取れ、英語のリスニング力アップに役立ちました(?)。

●Here We Go Again(Tighten Up)
 突然再び「Tighten Up」が始まります。

●‘Snakeman Show’だ~れ~? 警察だ!
 このギャグは爆笑して何度も聴きました! 最初は渋かった伊武さんの刑事が、どんどん壊れていきます‥‥。

●Citizens Of Science
 「Solid State Survivor」を彷彿させる、硬質な楽曲。あまり好きではありません‥‥。
 曲中の語りは、作詞者のChris Mosdel氏によるものです。

●‘Snakeman Show’ハヤチヤ・マンペイ
 林家三平師匠は、この後9月にお亡くなりになりました。
 「パンダは何食ってるんだろうネェ? パンだぁ‥‥。」というギャグがありますが、この後7月にカンカンが死亡。このアルバムの「スネークマンショー」で採り上げられた人物(・動物)が次々にお亡くなりになるのが怖かったです‥‥。仲間内では「呪いのレコード」なんて呼んでいました‥‥。

●Multiplies
 Madnessを彷彿させるスカ・ビートの楽曲。イントロのギターのフレーズは『荒野の七人』の引用でしょうか。大村憲司さんのギターがメロディを奏でて大活躍です。

●‘Snakeman Show’イイものもある。だけど悪いものもある。
 中身の無い「イイものもある。だけど悪いものもある。」という評論が延々と繰り返されるギャグ。
 「ボクはYMOが‥‥」と言いかけて小林さんや伊武さんに遮られる声は、桑原茂一さんでしょう。

●The End Of Asia
 レコードにはクレジットがありませんでした。古きよき日本民謡(馬子唄)をモチーフにしたアレンジが新鮮です。
 「あ~、日本はイイ国だなぁ~‥‥。」という伊武さんのセリフは、皮肉っぽくてイイですネ。この頃から日本はデタラメな国になり始めていたようです。


 このアルバムが発売される直前の6月2日には『夜のヒットスタジオ』に出演し、日本中が彼らの動向に注目していました。この出演では、別のスタジオにコンピューターなどの巨大な機材を組み上げての演奏でした。
 昭和55('80)年2月にはライヴ・アルバム『公的抑圧』も発売され、YMOはノリにノッて、売れに売れていた時期です。何をやっても影響力がありました。

 この後、『オレたちひょうきん族』に出演して漫才をやったり、メディアへの露出が多くなりました。彼らはあの状況を楽しんでいたのでしょうか。

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