玄語

玄音の弟玄です。日々感じている事、考えている事を語っていきます。そんな弟玄が語る”玄語”です。よろしく。

庵野とバタイユ

2021-03-23 18:51:08 | Weblog
(庵野さん)

 (バタイユ)

今日もツラツラと書きます。

昨日(3/22)のNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』はあのエヴァンゲリオンの作者の庵野さん。いやーとっても面白かった。もともと自分はエヴァンゲリオンにはあまりはまらず、庵野さんといえば、最近では「シン・ゴジラ」の監督さん、そしてジブリ作品の「風立ちぬ」の主人公の声役に抜擢されたドキュメンタリーを見た時の印象が強く残っています。さらに昨日知ったのは、「風の谷のナウシカ」の最後の方で巨神兵が立ち上がり砲撃するシーンは庵野さんが描かれたシーンだったようで、このシーンはかなりインパクトがあって自分の中でも強烈な印象が残っていたので驚きました。庵野さんはかなり独特な人だろうと予測はして昨日の番組を見たのだが、予想以上の不思議な人である。

ここ最近、これはやられたなと思うほどに参ってしまっているのがフランスの思想家のジョルジュ・バタイユ。自分が漠然と感じていて言葉にならないことが見事に表現されていて、特にバタイユの翻訳者で研究者でもある酒井健さんの批評からあまりに多くを学ぶ最近なのです。その思想についてパッと言える事で言うなら、理性で作り出したものを信じていない。理性や知性を超えた非・知と言われる「聖なるもの」の経験をいかにするかを考えている。経験したら言葉にする。しかしその言葉にした途端に、その経験は固定化されてすでに違うものになっている。常にこの今の瞬間、どうなのかということだけ。要は意識的にできることの限界をわかっていて、それを超えた状態をいかに経験するかを考え続けている。

バタイユは人間の理性を超えた情念というか、フロイトのいう無意識の世界の暗い深い深淵な世界が人の内面にあり、その情念の働きにいかに向かい合うかということを重要視しています。その情念は死を強烈に意識した時に凄まじい力となって現れる。そしてその状態の事をエロティシズムともいい、人間はこのエロティシズムにより生きているともいえるという。

こういうバタイユに最近触れていることもあって、昨日の庵野さんの作品そのものが何かバタイユ的と感じてしまいました。そもそもにしてエヴァンゲリオンの碇シンジの内向的な叫びにしても、人がそれぞれ持ち合わせる負の側面へのダイレクトな向き合い。そこに触れた聴衆が自己の内面の何かに触れたので、あれだけの熱狂的な人気を得たのではないでしょうか。バタイユのエロティシズムにおいても、ある本において、エロチックな婦人の絵だけでなく、ある強烈な死の儀式の写真を見せる事で、自己の内面へ強烈なインパクトを喚起することをしているのも何か似ている気がしました。

また庵野さんの新作において、何度打ち合わせしても、あるとこまでうまくいっても、ストーリーをボツにしてしまったり、何か意識的でない、何か降りてくるまで、作品は進められないというような在り方は、何かバタイユのいう「聖なるもの」の経験をひたすらに待っているかのようでした。何においても作品ありきであり、自分自身はそのあとである、というようなことを言っておられていたのも、この人ならうなずけます。

さらに似ているなと思ったのは、お父さんの存在です。庵野さんのお父さんは不運な事故により、片足を失ってしまい、それからどこか社会を恨んでいるような状態で生き続け、それは息子である庵野さん本人にも向けられていたという。バタイユはさらにひどく、バタイユ本人が自覚した時にはすでにお父さんは梅毒に犯されており、その病状は悪化の途。神経を病み、自分で排泄などはできず、息子のバタイユが面倒をみていたという。さらには精神を病み、奇声を発したりと、家族では手に負えない状態になっていたところで、戦争が起き、それを機に家族はお父さんをおいて、疎開し、そのままそのお父さんはお手伝いさんの看病の甲斐なく、亡くなられたという。そのお父さんを捨てたという思いはその後の人生に大きく影響したと言われています。庵野さんもバタイユも父親からの影響がその後の作品や思想にどれだけ現れているのか、何か胸にくるものがあります。

昨日の「プロフェッショナル 仕事の流儀」も今までのものとはかなり異例で足掛け4年。そして最後のプロフェッショナルとは、という定義に対して、結局何も言わないというところが、いかにも庵野さんらしいと感じました。何か時代にインパクトをもたらす作品を作るクリエイターはやはり変わっています。常軌を逸しているというか、下手すると狂人との境をギリギリ行き来している、それが創造に向かえば作品となり、破壊となれば死に至る、、。このギリギリがリアルである限り、作品はある意味、ある存在となって勝手に一人歩きしていく。それが彼の作品なのだなと理解しました。が、まだおそらく完璧に納得してできたものはまだないのでしょう。そしてそれはどこまでいっても出来ないのかもしれません。
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筋肉鍛えろよ

2021-03-21 14:57:57 | Weblog


またまた前回書いてからしばらく時間が過ぎてしまった。
筆不精といいますか。まわりの状況ばかりみていると筆が進みません。
というのも何か日本は来るところまできてしまった気がしてならないからです。

結局全てはお金を基準にしてやってきたことによる退廃した状況が明らかになっただけではないか、と感じるのです。お金だけもらって結局仕事をしていない。号令は出しても結局それは誰がやるの、どうやってやるの、が出来ていない。やる側にしても時間も人も足らない、挙げ句の果てお金は中抜きされて利益相当の仕事がつくれないという状況。

国のために働いてるはずの人が、どこかタガが外れている状況。口ばかりで手を動かしていない人ばかり。どの社会を見ても、組織をみても、末端はひーひー言ってる。ピラミッドの頂点から下に向けて号令出す組織形態の勘違い。逆ピラミッドにして、多くの台座にいる人たちが働けるように末端で支点にいるお偉いさんたちは努力しなくてはいけない。そうでないと大きな仕事は動きません。兵站という最前線支援を重視しない組織観は結局敗戦時から全く変わっていない。

新しい動きはもちろんある。ただ残念なのは、ある程度若くて成功した人たちは組織を離れて投資家になってお金転がしで終わってしまっていること。より大きな組織の枠内に入って、分離させられ、多くのお金を手にはしたが、よく考えると、牙を抜かれただけ。どうもそこに気づいていない気がする。何か現役を離れると勢いがなくなって、後に残った組織は無難な大企業化していくだけ。何かいつももったいないと感じてしまう。

80年代に来日したイリイチがその当時の日本を社会心理が破綻していってる最前線の国をみたというような事を言っていた気がするが、今、まさに来るところまできてしまっている。かといって、ただ暗澹たる気持ちでいてもしょうがない。必ず抜け出し口はあるはずである。危機的状況の際には必ず抜け出す人たちが出てきて、新しい状況を作ってきたのもこの国である。

そういう人はどこから出てくるのでしょうか。何かお金や名誉ばかりある人たちからはそういう人は出てくるとは思えない。というよりもそういう人たちが何かしたところで共感できないのである。求めるのは古臭いけど、本当に人間らしい人。暑苦しくてもいい。情け深くてもいい。今ぱっとしなくてもいい。でも何かキラリと光る、これもまた古臭い言葉だが、魂を感じる人に出てきもらいたい。

心身一如という言葉があるが、心をある意味、意識的と捉えるなら、近代から現代においてはこの意識的な人が成功してきたといえる。成功は結局経済的成功のことである。身の人はどこか不器用というか、経済には無頓着。ただどちらだけが長けていてもこれからの時代ではダメかもしれない。心身一如、あえていうなら、身体の方が今は大事かもしれない。身体の感覚よりも意識的な事が優先させられて現代はできている。いわばつくりものの世界である。ましてネットやバーチャルの時代である。しかし、それによって結局、心の病、意識状態が混濁していく病気が増えている気がする。

病人に対する扱いからして、日本は逆だといえる。とにかく寝て、薬を飲んで治るのを待つという。治らないでしょう、ほとんど。悪化してばかり。欧米では、特にドイツだったかの病院は入院患者には必ず歩く事を進めているという。人間動きが止まったら終わってしまうのである。水の流れと同じで、滞ったら腐るのである。歩く事で筋肉を使い、そして足の裏が刺激されて脳にも刺激がいくので、頭は冴えていくのです。今、筋肉を鍛える事が注目されているのは、筋肉はいくつになってもどんな状態でも鍛えれば増えていき、それと同時にあるホルモンが分泌されて、それが生きる力に繋がっていることがわかってきているからという。あるプロレスラーがいじめられてる少年に、「少年よ!腕立て伏せをしろ!スクワットをしろ!筋肉を鍛えろ!友達は裏切っても筋肉は裏切らない!そしてついた筋肉は自分に自信をもたせてくれる!筋肉ついた自分に見惚れろ!かっこいい自分に見惚れろ!いじめなど気にならなくなるぜ!」ちょっともったけど、、こんな意味の事を言っていたのに感動したものです。

さて、ツラツラと書きました。たまにはこういうのも必要です。何かちゃんと書かなくてはという思いが強くて、少しこの場から遠ざかっていましたが、これからちょくちょくツラツラ書いていきます、、予定では。

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