Gabbie's Cafe

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Olives

2011年01月29日 | Cafe Gallery

一昨年の桜の咲く頃、大分から川崎へ戻って来てすぐ、新居の玄関先を飾りたいと思って、2本のオリーブの苗木を買い求めました。たしか一株5~600円ぐらいの、ちいさなかわいらしい木でした。

毎年、近所の桜並木が満開の花を咲かせるその下に、『桜祭り』と銘打っていくつもの露天が軒を並べるのですが、そんな風にして農協の駐車場に出ていた苗屋さんで、たまたま通りがかりに買ったのでした。

オリーブは、別の品種を2本植えるとよく実をつけるとか、そんな知識もまったくなくただ衝動買いのようにして買ったので、フラントイオという品種を2本買ってしまって、あとで反省。

まぁ、はじめからあまり実なんて、期待していなかったのです。エントランスの両側を、ナチュラルに飾ってくれればもうそれでいいかな、と。
町で目にするオリーブの木にしても、たまにひとつか2つ実をつけている大きな木があるぐらいでしたから、ましてや片手間に植えようという自分のオリーブに、収穫を期待するわけもなく…

小さなスクエアの鉢に植えた2本のオリーブは、思いがけずぐんぐんと丈を伸ばして、ゆらゆらと風にそよぐようになりました。そして伸びた分の枝から、翌春には房状になったたくさんの白い花が咲きました。

わぁ、オリーブの花なんて始めて見た!それにしてもこんなにいっぱい咲いたなら、少しぐらいは受粉するかもしれないなぁ。
…でもまぁ、実がなるための『違う品種2本』ではないし、あんまり期待しないでいてみよう。

しかし…花が終わってよくよく見ると、小さな緑の玉が、それぞれの房にいくつも残っているのを見つけました。
おお?ずいぶん受粉しているな?
いやいや、でもきっと育ちはしないんだろうな、きっと落ちるに違いない…

ぬか喜びに終わりたくないので、なるべく期待しないようにしていよう。

けれども6月になる頃には、残った実はどんどん大きくなり、次第にオリーブらしい模様を見せるようになってきた。
おやおや?これはもしかして…


…夏。
折りしも、日本列島は記録的な猛暑に襲われ、朝夕に水をやっても、小さなオリーブの鉢は干上がるような日々が続きました。水が切れると、実ったオリーブもなんだかしわしわになってしまい、なんだか、とても生き残りそうにない風情…
それに追い討ちをかけるように、私が規則的に水をやることができないような、危機的な状況も発生してしまいました。
せっかくたくさん実が残ったのに、干からびて落ちてしまうかもしれないな…そんな風に絶望的に思った時も…

けれども、オリーブは生き残りました。ほんのいくつか落ちた実はありましたが、晩秋になり、朝夕の風が冷たく感じるころには、緑だった実は黒く熟れはじめ、師走の声を聞く頃には、約50個の実が収穫の時を迎えました。


…平和の象徴、オリーブ。
洪水の後、箱舟の中から放たれたハトが、くわえて帰ってきたという。
初めて育ててみましたが、実に強い木なのですね、オリーブという木は。だって、大洪水の後の陸地に、真っ先に芽吹いた生命力の強い木ですものね。

真の平和とは、きっとそんな風に、触れたら壊れてしまうようなデリケートなものではなく、もっとたくましく根強いもの。洪水に襲われても、日照りに干上がりそうになっても、必ず命をつなぎ、息を吹き返すもの。

…この木を見ていると、そんな気がする。
条件が良いとかそんなことはきっと関係なく、過酷な中を生き抜いて、こんな風にして驚くべき、豊かな実を結ぶ。
みこころに適った、実を結ぶ。


我が家の象徴的なオリーブの苗から、教えられたこと。忘れず、これからもいたい。

2月が選定の時期というオリーブ。シロウトの私に、必要に応じた大胆な選定ができるかしら。

ひとまわり大きな鉢を用意して、受粉用にふさわしいという別の品種も買い足して…勇気を出して臨んでみよう。