Duke MBA 日本人ブログ

Duke University - Fuqua School of Business(非公式)

Japan Trekについて

2017-06-04 02:39:31 | 課外活動

はじめまして、1年生のYTです。怒涛のようにFuquaでの1年が過ぎて行きましたが、中身の濃い1年の中でも最も楽しく印象に残っているのがJapan Trekです。今回は2017年のJapan Trekについてお話ししたいと思います。

 

1 Japan Trekとは

Fuquaでは、学校が提供する正式な研修旅行(?)であるGATEがSpring BreakおよびSpring 2後に開催されます(参加は任意)。一方、その他にも学生が自主的に企画するTrekというものが存在し、人気のものですとIsrael Trek, Morocco Trek等があります。Japan Trekは、去年数年振りに復活し、今年が実質2回目でした。

Fuqua Japan Trek 2017の概要

○日程:3/6 (月)~ 3/14(火) (Spring Break中に開催)

○参加人数:日本人organizers5名、participants76名(2016年は合計30名弱)

○行程:東京⇒箱根⇒名古屋or奈良or京都⇒京都⇒広島⇒大阪

 

2 Japan Trekに参加した目的・理由

International Student Bootcampが始まった頃、FY5人で話し合いをしたのですが、その時に「今年もJapan Trekをやろう」ということになりました。私は社費なので、私費の同級生に比べれば時間もあるということで参加の意思表明はしたものの、正直に言うと内心乗り気ではありませんでした。理由は、①純ドメなので、留学に来たからには少しでもアメリカなり外国にいる時間を長くして、cultural sensitivityを高めたい、②Japan Trekで回るであろう各都市には嫌というほど行っており、改めて行きたくないと感じた、の2点です。もともと熱しにくく冷めにくい性格というのもあるのですが…

そんな私を変えたのは10月後半に開催したJapan Trek Information Sessionでした。Japan Trekに興味を持ってくれている学生に対して、日本人organizersがTrek概要にかかるプレゼンを行ったのですが、学生達が日本に大興奮している様子を見て、また“We are so excited about Japan!” “We are looking forward to visiting Japan with you guys!”と言っているのを聞いて、体のそこから何かが沸き上がってくるのを感じました。日本人として、外国人が日本という国に興奮しているのを見るのは心底嬉しく、business schoolに入ってから初めて(というよりも人生で初めて)日本人であることを誇りに感じました。こうなったら皆に日本を心底楽しんで欲しい、日本の大ファンになって欲しいと思い、そこからはJapan Trekの準備に魂を注入するようになりました。Trekから自分が何を得られるかよりも、みんながTrekから何を得られるかを考えるようになったという点で、Information Sessionは自分にとって大きな転機になったと思います。

 

3 準備期間について

3月の本番まで半年ほどかけて準備をしましたが、organizersでの話し合い、旅程の作り込み、スライド作り、participants・旅行会社とのやりとり…等、今から考えると結構大変だったなと思います。但し、準備それ自体は大変ながらも楽しく、backgroundの異なる日本人と仕事(?)をする機会というのも滅多にないので、各人の考え方の違いやそれをどうまとめ上げていくかというプロセスも、大変勉強になりました。

上記の通り各人の考え方が異なる部分はありましたが、全体を通してのFuqua Japan Trekのコンセプトは”hospitality”, ”customization”であったと思います。76人のparticipantsをマネージするのは大変ではありますが、私達は可能な限り「団体バスに詰め込むだけの旅行」は避け、自分達で予約するところは予約をし、時にはバスガイドのようになり、オプションも出来るだけ増やして、いかにparticipantsが最高の経験を出来るか、という点を最大限重視して準備に臨みました。

 

4 Japan Trek本番について

大変な長さになってしまいますので各日程についての詳細記述は控えますが、以下に行程概要を記載します。

 

○3/6(月):welcome party@東京

○3/7(火):浅草観光 ⇒  option1:寿司作り体験+渋谷・原宿観光 or option2:書道体験+秋葉原観光 ⇒ ディナー

○3/8(水):free time@東京 (option1: 歌舞伎 or option2:ラーメン博物館 or option 3:皇居ラン) ⇒ ディナー

○3/9(木):芦ノ湖 ⇒ 大涌谷 ⇒ 箱根彫刻の森美術館 ⇒ 箱根旅館宴会

○3/10(金):option1名古屋:TOYOTA工場見学 ⇒ リニア・鉄道館見学 ⇒ ディナー ⇒ 京都

         option2奈良:奈良公園 ⇒ 興福寺 ⇒ 東大寺 ⇒ 京都 ⇒ ディナー

         option3京都:嵐山cycling ⇒ お茶体験 ⇒ ディナー

○3/11(土):金閣寺 ⇒ 伏見稲荷大社 ⇒ 着物体験+清水寺 ⇒ 祇園 ⇒ ディナー

○3/12(日):原爆ドーム・平和記念公園 ⇒ 宮島 ⇒ 広島旅館宴会

○3/13(月):大阪難波 ⇒ 大相撲観戦 ⇒ ディナー ⇒ farewell party

○3/14(火):解散

かなりの弾丸スケジュールでしたし、途中様々なトラブルもありましたが、何とかスケジュール通り各地を回ることが出来ました。とにかくみんな日本酒が大好きで、居酒屋の日本酒が底をついたこともありました…(笑)時差ボケが解消仕切らず、打ち合わせなり作業なりもあり毎日3時間くらいしか寝れませんでしたが、心から楽しい旅行でした!参加者の皆が言う通り、once-in-a-life-time tripになったと思います!

 

5 所感

楽しかったばかりではなく、Japan Trekでは非常に大きな学びがありました。

1)自信を持つことの大切さ

アメリカで学校生活を送っていると、外国ということで無意識に引っ込み思案になってしまったり、何より英語面でのハンデにより積極的に発言をすることが出来ない部分がありました。しかし、Japan Trekでは、participantsは全く日本語が分からないため、否が応でも頼られる存在、leadershipを発揮しなければいけない立場になります。そんな環境に1週間もいると、80人の前で英語を即興で話すこと、外国人を引率して歩くことが普通になってきます。自分では感じていなかったのですが、Japan Trekに参加していたC LEADのメンバー達から、「日本でのYTは、スゴく自信に満ちていていいねって、皆言っているよ!」と言われました。外国で生活していることを言い訳にして消極的になっていた自分が恥ずかしいと思いましたし、一番の原因は外部ではなく自分自身にあるのだと痛感しました。

2)熱意を持つことの大切さ

Business schoolに通う自分はもともとhard skillを重視しがちな部分があり、それはそれで大切なのですが、今回のJapan Trekではsoft skillの中でも特に熱意を持つことの大切さを学びました。恐らく同じ行程を組んでいたとしても、私達organizersがただ単に作業のような形でJapan Trekをこなしてしまっては、participantsはここまで喜んでくれなかっただろうと思います。私達organizers全員が、participantsが楽しんでくれることを第一に考えて、陰で事務作業に徹したり、時にはアホみたいな芸をしたり(笑)、飲みまくったりしていましたが、それにparticipants達が上手く呼応してくれて、全体として最高に盛り上がり、皆にとってonce-in-a-life-time tripになったのだと思います。熱意は国境を超える、ではないですが、そうした熱意や影での働きを見てくれていて、皆とても感謝をしてくれました。Japan Trek後に、participantsがプレゼントしてくれた皆のサイン入りbasketballは、一生の宝物です!

3)日本という国の素晴らしさ

アメリカで日常生活を送っていると、「あ~、日本のコンビニは便利だな」「納豆美味しいな」「日本の配送はしっかりしてるな」等の(ある意味小さなスケールでの)日本の良さを感じることはありますが、それとともに日本で生活していた時には意識していなかった日本の上下関係・人間関係の窮屈さ、変に他人の目を気にする窮屈感等のネガティブな面を感じてもいました。しかし、日本という国を大勢の外国人と旅行するという貴重な経験を通じて、日本という国を新たな視点から捉えることが出来ましたし、日本の素晴らしさを学ぶことが出来ました。私が一番印象に残っているのは、広島の宮島で、中国人の女性参加者と話した時のことです。「この広島が、Japan Trekの中で一番感動した。平和記念公園は素晴らしかったし、この宮島は信じられない位に美しい。私は日本という国にjealousyを感じている。私の国と違って負の歴史を隠そうとせず(注:筆者はその点についてはわかりませんが)、自分達が悪い所は悪いと認めた上で、原爆投下という悲しい出来事を堂々と世界に発信し、その歴史が2度と繰り返されないように尽力している。日本人、日本という国のこうした姿勢を私達は学ぶべきだと思うし、日本は本当に素晴らしい国だと思う」と彼女は泣きそうになりながら話していました。私は心底感動し、日本人に生まれて良かったと思いましたし、帰国後どんな些細なレベルであっても良いので日本に役に立つような仕事がしたいなと思いました。

 

改めて、Japan TrekはFuqua1年目の中で最高の経験でした!!!


MANAGEMENT 747 -- Leadership

2017-05-30 02:06:45 | Leadership

こんにちは,Class of 2017のKoheiです.今回は,私が二年生の最後に履修し,最も印象に残った授業のひとつである"Leadership"というクラスを紹介したいと思います.この授業は,非常に予習・宿題が多いと評判の授業で,ほとんどの学生が重いワークロードを敬遠するため,定員が75名のクラスに40人程度しか履修していません.逆に,履修する学生はとても熱意に満ち溢れた人たちばかりなので,非常に活発な議論を体験することができました.全12回の授業を通して,5人組のチームで毎授業前に,与えられた題材に関するリーダーシップについて議論したり,プレゼンの準備をしたりします.私のチームメートは4人のアメリカ人で,MBA Association/ClubのPresidentやFuqua Action News Anchor,など,個性が際立ち,学校内で目立ったリーダーシップを発揮しているメンバーに恵まれました.共通の知り合いからは『The Dream Team』と呼ばれるほどの熱血ぶりで,毎回,非常に充実した議論が繰り広げられました.以下,授業を受けて良かったと感じた点です.

 

①   授業中の議論

日本人にとっては,非常にタフです.例えば,映画のワンシーンを5分ほど見せられた後で,『さぁ,このリーダーシップについて議論しよう』と討論が始まります.通常の授業では事前に与えられたビジネスケースの内容を議論するため,予習をすることで英語力不足を補うことができますが,この授業では事前準備が利きません.私はMBA以前に英語での学習・仕事・生活経験がなく,語学の習得に最も苦労した学生の一人でしたが,字幕なしで映画を見ても全てを聞き取ることができない,アメリカ人の早い英語についていけない,映画の背景にある文化的な知識がない,など非常に苦労しました.二年生の最終学期で,最も英語力が高まった時期だからこそ何とか議論についていくことができましたが,一年生時の英語力では討論に参加することが難しかったと思います.また,議論内容も,Moral, Change management, Philosophy, Crisis, Diversity, Gender issue, など幅広く議論され,深刻に自身の経験を語るクラスメートの姿が印象的でした.例えば,Gender Discrimination の議論では非常に心が揺さぶられました.私は日本人男性が大多数を占める均質な職場しか経験したことがありませんでしたが,女性のクラスメートが涙を流しながら経験を語ったり,チームメートが非常に小さく思える論点に執拗に食い下がってきたり,誰かが世の中に対する半ばあきらめの観点での意見を述べたり,多様性に関わる問題を学ぶ良い機会でした.

 

②   ゲストスピーカー

2回に1回のペースでゲストスピーカーが訪問し,講義をしたり,自身のリーダーシップ経験を語ってくれたりします.印象に残ったゲストスピーカーの一人は,マットレス会社の工場長をしていた時の危機管理マネジメントについて話をしてくれました.ある日,工場が大爆発を起こして3日間燃え続ける中で,いかに従業員を守りつつ損失を最小化するか,という内容です.全米ニュースになる大事故の中で,限られた時間と情報中で,何を根拠に判断をくだし,その結果どうなったか,をリアルに語ってくれました.また,事故後,レイオフの判断を下した後,従業員が自殺してしまい一生悔いることになった経験から,トップマネジメントの判断の重さを伝えてくれました.

もう一人の印象的なゲストスピーカーは,女性初の陸軍士官学校出身で将官になったイラク駐在経験の長い軍人です.授業前に彼女の生涯キャリアについて書かれた十数ページのリーダーシップケースを読み,チームメートと議論し,彼女のリーダーシップを理解した後で生のスピーチを聞きます.物語を読んで感銘を受けていた中で,本人が登場して生の経験談を聞き,質問ができることは,非常に印象的な経験です.例えば,彼女が若いころに,女性であるがゆえにわざと厳しい訓練を受けさせられた話(内容はサバイバル訓練で生の鶏の内臓を食べるなど,非常に過激なものでした。。。),若いころに直面した組織の硬直性に対して,後に自身がトップに立った時にどのように考え決断したかについての話,イラクで絶対不可能と思われる指令を与えられた際,極限に追いつめられる中で自身が元来楽観主義であることに気が付き救われた話,犠牲になった部下を心に刻み,どのように未来を向いて生きていくか,など非常に深い内容でした.

これらは他では聞くことのできない実際の体験談であり,将来,自分が組織のトップに立ったときに,どのように判断を下すべきか,その判断がどれほど大きな影響を及ぼすのか,を考える良い参考になりました.

 

③   フィードバック

受講する学生は,Six Domains of Leadership という理論を基に,各自のリーダーシップについて分析します.これは,リーダーシップは6つの要素(Personal, Relational, Contextual, Inspirational, Supportive, Responsible)に分解され,ピラミッド型になってお互いが依存しあって成立する,という考え方で,開発されたツールを元にプロフェッショナルやパーソナルな出来事を振り返り,各領域のリーダーシップについて自己評価を行います.また,職場の同僚や学校の友人から,自身のリーダーシップ像を客観的に評価してもらうこともできます.私は二年生の最後に履修したため,二年間を共に過ごしたFuquaの友人のうち,私を多面的に評価できそうな6名に評価をもらいました.Fuquaでは,ほとんどの学校行事がStudent-ledで運営されており,リーダーシップを発揮する機会が多くあります.その中で,自分自身がどのようにリーダーとして見られているのか,普段は絶対に得られない非常に貴重な機会です.チームあってのリーダーシップであり,一人では絶対に完結しません.他者からどのように見られ,どういうリーダー像を描かれているかを知ることは,自身のリーダーシップの成長にとって非常に重要であり,また,私にとってはMBA二年間の総括にもなりました.例えば,以下のようなフィードバックをもらいました.

Positive

- He is incredibly caring and thoughtful. He makes the effort to get to know those around him on a personal level and remembers the small things that a person has shared about themselves. This automatically fosters trust in the relationship.

- He led the large group incredibly well. He was organized and made sure everyone was staying in line, while also having fun and staying incredibly well liked.

- Extremely authentic individual who makes others look up to him.

Constructive

- Reluctance to ask for help. He tends to put too much on his own shoulders.

- Would like to see him defend his ideas more, explaining where his logic comes from.

- He should be a bit more assertive. He tends to accept others' statement without fully sharing his own thoughts.

評価をくれた6人の中でも,フィードバックの深さにばらつきはありますが,親しい友人で,かつ共に苦境を乗り越えた仲間ほど,私のことをよく理解してくれ,一段深い洞察をくれました.これらを元に,よりいっそう自身を深く分析することで,さらにリーダーシップを磨くことが可能になります.

The Dream Team(自称)


Global Institute ~各国の歴史から学ぶリーダーシップ教育~

2017-05-17 01:43:07 | Leadership

こんにちは,Class of 2017のKoheiです.The Fuqua School of Businessは,世界が求めるリーダーシップを持った人材を輩出することを目的としています.二年間のFuqua生活を経験した中で,私が印象を受けたリーダーシップ教育プログラム『Global Institute』についてお話ししたいと思います.

Global Institute(以下 GI)は,本授業前の8月に4週間かけて一年生全員が集中的に参加するプログラムで,『Global Institutions and Environments』, 『Leadership, Ethics, and Organizations』, 『Consequential Leadership』の3つのコースで構成されています.Global Institutions and Environments(以下 GIE)は,各国の政治・経済制度(global institutions)と経済成長の因果関係を,歴史を辿ることによって理解しようというものです.複雑な世界の政治・経済環境を理解することで,グローバル化,国際法,社会規範,国際金融,コーポレートガバナンス,などリーダーとして備えるべき諸々の課題に対する基礎理解を固めます.Leadership, Ethics, and Organizations(以下 LEO)は,組織のリーダーが直接的に対峙する課題について議論します.例えば,組織制度とインセンティブ(=systems), 交渉と意思決定(=leadership skills), 倫理感と多様性(=challenges),などをテーマとして議論し,学生がお互いの経験を共有しながら,組織を率いるために身に着けるべき知識やスキルについて理解を深めます.Consequential Leadership(以下 C-LEAD)は,より実践的なプログラムで,5-6人のチームによる様々な活動や議論を通じて自身の強み・弱みを改めて理解し,リーダーシップの意味について考えます.具体的な活動内容として,過去経験の共有,地域ボランティア活動,Improv, PDP, などがあります.Fuquaのホームページで見ることのできる「壁を登る」写真は,C-LEADの中のTeam Challenge Dayと呼ばれる課外活動になります.実際に自分で経験してみるまでは,いったいなぜ壁登り写真が前面に押し出されているのだろう。。。と不思議に思っていました.

これらの中で,私が好きなGIEについて,もう少し詳しく紹介したいと思います.GIEを通じて学ぶ内容は,現在の複雑なグローバルビジネス環境を,各国の政治・経済制度の観点から多面的・包括的に理解することであり,ファイナンスや統計学のように,直接的にビジネスに役立つものではありません.しかし,世界経済の大局を読むことは今後のキャリアを通じて習得すべきリーダーの素養であり,組織トップにとってむしろ重要な項目と私は考えます.以下3点,私がGIEを通じて感じた点をまとめます.

 

 ①Institutionsと経済成長

GIEでは,ボツワナ,中国,メキシコなどを題材に,政治制度が経済成長に与えてきた影響の歴史を学びます.初期より民主政治を採用した米国や英国は,起業家や発明家の台頭を後押しして経済成長を遂げる一方,専制政治を主とした前述の国家は,技術革新が起こらず経済が停滞した例として挙げられています.グローバル企業のマネジメントに携わる場合,国によって異なる規制,金融制度,社会規範などのビジネス環境を理解した上で意思決定しなければならないため,その国の成り立ちや政策歴史の大枠がビジネスに与える影響を学ぶことは重要です.また一方で,国家レベルの歴史の教訓は企業経営にも当てはまると私は考えました.例えば,民主主義政策では個人の財産権を認めることで起業家や発明家にインセンティブを与え,技術革新による経済成長を遂げてきましたが,これは,企業が従業員個人の特許権,成功報酬や昇進を保証することで,技術革新による企業成長が促進されることと同じ現象であると思います.上層部が組織での既得権を守ろうとした場合,技術革新や優秀な人材の登用は行われず,企業としての成長は妨げられることになります.よって企業では,一部の人間が従業員搾取によって独占的利益を享受しないよう,組織・制度設計によって暴走に制限をかける必要があります.リーダー個人の力には限界があり,いくらリーダーが素晴らしい倫理観を持っていたとしても,個人の意思が組織に負けてしまうことがあります.企業を正しい方向に導くためには,組織制度のあるべき姿を理解し,設計することがリーダーの役割であると考えます.

 

 ②Institutionsの初期設計と偶発的発展

現在の各国の政治・経済制度は,地域ごとの歴史上の出来事に影響を受け,分岐しながら発展してきました.つまり,長い歴史の積み重ねと,各国の社会構造や社会規範と複雑に絡みながら成り立っているので,リーダーの意思で直ちに変更したり,簡単に他国を模倣できるものではありません.各国のトップは,自国の政治・経済制度の歴史と構造を鑑みつつ,その時代の周辺環境に合わせて戦略を練り,政策意思決定を行います.これも企業の経営判断の類推であり,リーダーが学ぶべき示唆があると私は考えました.例えば,トヨタはトヨタ,日産は日産,ホンダはホンダの歴史に基づく企業文化や組織構造があるため,トップは簡単にビジネス形態を変更することは簡単ではありません.他社が簡単に『トヨタ生産方式』を真似できないので,日産やホンダは独自の生産方式を持つことで競争力を維持していることと同じように思います.この企業文化と組織構造は,一人のリーダーが簡単に変えられるものではなく,初期の制度設計と後世の環境変化によって偶発的に変化していくものであり,リーダー個人が容易に扱えるものではないように思います.起業家であれば,後世の環境変化による影響を考慮しつつ初期制度設計を行うことが,企業の生死の境を分けることを理解せねばなりません.大企業のトップであれば,出来上がった現在の組織構造と,地域・時代ごとの環境を理解しつつ,現在の組織の範疇で変えられる方向を模索するしかない.要するに,リーダーには出来ることと出来ないことがあるため,各国の歴史から教訓を学び,素養を身に着けることが必要であるという,リーダーである者の心構えを学んだ機会でした.

 

 ③世界が直面する課題

経済成長を遂げる中で,各国のリーダーは不安定な環境の中で,難しい問題に直面してきました.例えば,AIDS特効薬を開発する製薬会社の利益,進展国の経済発展,病気に苦しむ貧困層の患者を救うこと,これらはどれを優先すべきか正しい答えはありません.排出取引は地球規模で温暖化ガスを削減するために設計された制度でありながら,規制の穴をくぐって金儲けをする者がいたり,本当に環境に良いのか疑問のある取引が促進されています.倫理的問題(どちらを選択しても社会に負の影響を与えてしまう問題)に対しては,経営者は正解のない問題に向き合い,組織の立場から戦略を明確にした上で意思決定する覚悟が必要です.ルールが頻繁に変更される排出取引のような問題に対しても,不透明な環境の中,自社のポジションを明確にしたうえで長期戦略を立て,実行を推し進めなければなりません.

 

GIEで学ぶ内容自体は,国際政治や経済学を専攻していた人にとっては,決して深いものではないかもしれません.しかし,専門外の人間が集まって歴史を学び,大局的な観点から考察・議論することで,お互いに新たな発見をし,リーダーとしての素養を身に着けることができるのではないでしょうか.例えば,私自身もメーカーの製品開発担当として,環境保護を正義としてビジネスを推進することの正当性に疑問を持った経験がありますが,この経験を世界中の様々なバックグラウンドを持ったクラスメートと共有し,自分たちが経営者として企業利益と社会正義の間で板挟みになった場合,どのように意思決定しなければならないのか,深く議論することは非常に有用であると思いました.また,一見合理的でない経営判断のように思えても,組織構造,企業文化,環境変化などに基づいた意思決定だったのであろうと,自分の社会人経験を振り返る良い機会にもなりました.8月にGIEで学んだことは,Finance, Accounting, Marketing, Strategyなどの一般的なビジネススクールの授業を受ける上での重要な下地になったように思います.Fuquaは設立1969年と歴史が新しいためか,リーダーを育てるための多くの新しい試みを実施しています.そういった意味で,Global InstituteはFuquaがリーダーシップ教育において他MBA校と差別化されるための傑出したプログラムであると考えます.

Section 1 卒業バーベキューにて。Global Instituteで知り合うことになるセクションメートは二年経っても仲良し


Biotech & Healthcare Case Competition 2017@Kelloggに参加してきました

2017-02-04 18:28:34 | 課外活動

Class of 2017のYです。以前のポスト(http://blog.goo.ne.jp/fuqua2007/e/66d336046fdad21cd21fdc070ff50435)でご紹介したビジネスコンペについてですが、運良く書類選考を通過することができ、去る1月20日、21日にノースウェスタン大学のケロッグビジネススクールで開催された表題のコンペに参加してきましたので、その模様と感想を今日は簡単にお伝えしたいと思います。

(コンペの概要)

            今年で14回目の開催となる同コンペティションはヘルスケア関係のビジネスコンテストとしては比較的歴史が長く大規模なもののようです(Poets&Quants等でも紹介されています)。主催者によれば今年は約60のチームから応募があり、そこから11のチームを選考したとのこと。他の参加校はKelloggから2校、Wharton, Chicago, MIT, Berkeley, Tuckなどのいわゆるアメリカの有名校とイギリスからCambridge、フランスからHECのチームが参加していました。私の勝手な推察ですが、恐らく書類選考の鍵になったのはチームにヘルスケア関係のバックグラウンドがあるかどうか(参加者全員のレジュメが配布されたのですが、ほぼ全員何らかのヘルスケアのバックグラウンドがあるようでした)ということかなと思います。そういう意味で私のチームは私が政府系、もう一人がコンサルティングのヘルスケアプラクティス出身(昨夏は医療機器メーカーでインターン)、残りの二人が製薬会社出身というチームでした。またアプリケーションの際、上記のバックグラウンドに加えて人種・性別の多様性を強調したのも良かったかもしれません。

            コンペのフォーマットはコンペ当日1週間前にケースが配られ、そのケースの中に書かれている質問について回答をパワポで準備し、その内容を審査員にプレゼンするというもの。今年のお題はいわゆる「グローバルヘルス」関連のもので、具体的には、ナイジェリアでは医療機関の数が不足していることなどを背景に、特に田舎では自宅出産が多く、出産時・出産後の衛生状況が良くないことから出生後間もない子供のへその緒の切り口からウィルスが入ることが原因となって、子供が生後4週間以内に亡くなる確率(Neonatal mortality rate、日本は0.1%、ナイジェリアは4%弱)が押し上げられています。このウィルスの感染を防ぎ、へその緒を清潔に保つためのトリートメント(塗り薬)を与えられた予算の中でどうやって普及させるかということが今回の課題でした。

(コンペの結果と提案内容の概要)

            結果は非常に残念ながら入賞ならず。。。とても悔しかったです。我々が提案した内容を大まかに説明すると、ナイジェリアの都心部は田舎に比べると所得が総じて高く、比較的医療機関にアクセスしやすいことから、

こうした都心部で原価より高い値段で上記の塗り薬を販売し、そこで得られた収益を活用して所得の低い田舎部では無料で塗り薬を提供するというもの。コンペ後の審査員5人からのフィードバックでは、全員からアイデアは画期的だというコメントがありましたが、実行性の面からややクエスチョンマークがついたようです。フィードバックと併せて、優勝したチームと2位のチームのスライドも配布されましたが(コンペ当日は審査員だけがプレゼンを見ることが出来るようになっていました)、我々のものより地に足がついた実現性の高い提案になっていたと思います。例えば2位のチームとは田舎で無料で塗り薬を提供するというストラテジー自体は我々のものと同じだったのですが、無料にする際にどういうチャネルを使ってクーポンを配って、といったimplementationの部分で我々の提案よりも具体性が高かったと感じました。

(コンペ後のフィードバックと所感)

            コンペ後チームメイトの1人と打ち上げに行きました(他の二人は疲労困憊でバタンキュー)。ここでFuqua伝統のフィードバックタイム。一週間ほぼ缶詰になって一緒に作業する中で、彼女が気付いた私の強みと弱みについて指摘してもらいました。強みは分析(特に数字関連)だそうで、確かにプレゼンで使用した数字はその計算方法の説明や仮定の妥当性を含めて私が考えたものが多かったと思うので、なるほどなと思いました。他方で弱みは議論をドライブする力(決める力?)が弱い、という指摘をもらいました。これは本当にその通りで、ディスカッションをする中で議論が行き詰まった際・簡単に結論が出ずに困っている際に黙り込んでしまうシーンが多くありました。自分のこれまでの職務上の経験を踏まえてもこれは本当に当てはまっていて、やや敷衍して、例えば選択肢が二つあった際に、自分では決められずに上司の判断を仰ぐことが多かった気がします。実際のビジネスの場でも、どれだけ綺麗に論理的に説明しきれるコンテンツを用意しても、結局最後の最後はわからない部分が残るわけで、そこは自分で決めて(仮に決め切れる自信がないのであれば限られた時間の中で決められるだけの努力をして)それを押し通すくらいの力強さ・リーダーシップが自分にはまだまだ足りていないんだろうなと思うに至りました。

            結果自体には満足はいきませんでしたが、ヘルスケアにパッションを持つ他校のビジネススクール生とのネットワークが出来たこと、非常にダイバーシティの高いチームで悔しいと思えるほど一生懸命準備が出来たこと、その中で自分の強み・弱みを再認識できたことは今後の自分の財産になると思います。最後になりますが、コンペの開催にあたりご尽力頂いたKelloggの関係者の方々や後援の企業の皆様に改めて御礼申し上げます!

(コンペ後のチームでの写真、筆者は左から2番目)

 


Fuquaでファイナンスを学ぶ意義

2016-12-21 22:10:57 | 授業紹介

みなさんこんにちは。2年生のJです。今回はFuquaで学ぶファイナンスについて紹介したいと思います。ファイナンスといえばニューヨークのウォールストリートを思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、ノースカロライナのような森に囲まれた田舎でもファイナンスについて学ぶことは出来ます(笑)。私はMBA前の8年間ずっと投資の仕事をしていましたが、Fuquaのファイナンス教育にとても満足しています。

世界中の企業のCFOへのインタビューにより実世界でのリアリティーを紐解く「CFO Survey」をリードするJohn Graham教授、リスクマネジメント/アセットアロケーションの大家でありながら近年はフィンテック/ブロックチェーンに特化した授業を開講しているCampbell Harvey教授、インパクトインベストメントの研究教育センターであるCASE i3を立ち上げたCathy Clark教授など、これらは一例に過ぎませんが、たくさんの有名教授がいます。

その中でFall 2に履修したFixed Incomeについて少し書きたいと思います。教授のDouglas Breeden氏は数々の理論を提唱した学術者でありながら、資産運用会社を30年以上経営してきた実務家でもあります。Fixed Incomeにかかる理論や、各種アセットクラスの特徴、金利等を用いた経済予測、ヘッジ戦略などももちろん教えてくれるのですが、同授業の1/4位をかけて教えてくれた行動経済学が秀逸でした。LTCMの失敗から始まり、リーマンショック、Breeden教授自身の投資の成功と失敗の事例などを題材に、Duke大学の心理学の教授との共作による教材を用い、いかに人は間違いやすい生き物か、どのように人は間違った意思決定をしてしまうのかを体系的に教えてくれました。こうした教えはファイナンスというよりもマネジメントの本質そのものであり、長く実務をしてきた人からその教えを聞くことのできる機会は極めて貴重でした。

授業では行動経済学について15のまとめが教えられたのですが、そのうちの1つが「人は情報を得れば得るほど確信を増すが、必ずしも成功する確率は上がらない」というものでした。たくさん情報を得れば正しい答えを導くことが出来ると普通は思うかもしれませんが、人は元来Overconfidence(自信過剰)であることから、情報を得て自信が増すほど、自分の“間違った”考えに固執し、自分の考えを正当化するエビデンスだけに目を向けがちになり、結果として正しい答えに近づけないというものでした。

技術の発達によりこれまで以上に多くの情報を得ることが出来るようになりました。答えに近づこうと多くの情報を必死に追いかけているうちに、膨大な短期的情報の渦に飲み込まれて本質を見失いがちになっているかもしれません。良い意味で些末な情報(雑音)が入ってこないノースカロライナという田舎でこそ、ファイナンスや投資の本質に近づけるのかもしれないと感じました(ウォールストリートから遠く離れたオマハで圧倒的なパフォーマンスを誇ってきたウォーレンバフェットのように)。


Biotech and pharmaceutical strategyについて

2016-11-29 15:56:31 | 授業紹介

 みなさんこんにちは。2年生のYです。早くも年内の授業は残すところあと2週となり、学期末のレポートの作成など少々慌ただしい日々が続いています。 このブログをご覧になっている受験生の皆さんの多くは2nd Roundに向けての追い込みでお忙しい事と思いますが、留学で得られる世界の広がりは、今の頑張りを補って余りあるものになる事間違いありませんので、あと少し頑張って頂ければと思います。

さて、今日はヘルスケアに強みを持つFuquaの授業の1つ、Biotech and pharmaceutical strategyについてご紹介致します。この授業は製薬企業に関するケースをひたすら読み続けるというかなり業界Specificな授業です。 一言にヘルスケアと申しましても、当然のことながら製薬会社だけでなく医療機器メーカー、保険者、医療従事者、規制当局、そして患者さんを含めた様々なプレイヤーが存在します。私は留学以前、官庁で医療分野を中心とした社会保障関係予算の策定に携わっていました。その中で感じていた事の1つは、これだけ多くのステークホルダーが存在し、価値観も多様化してきている中で、陳腐な言い方になってしまうかもしれませんが、より良い政策作りのためにはそうした異なるステークホルダーが抱える価値や考え方に想像力をどれだけ働かせて実のある対話をし、合意形成をしていけるかが重要だなという事でした。官庁で働き続けるだけではきっと物事の見方が偏ってしまうのではないか。そうした意味で、私が留学生活、特にFuquaに期待していた事の1つは、特に医療という文脈でより幅広い見方を身につける事でした。そして、まさにこの授業を受講する中でFuquaがamazing place to beだなとしみじみ感じています。

FuquaはHSM(Health Sector Management、注1)というヘルスケアに特化した専攻で有名なのですが、そのコースに登録する学生は、年によってバラツキがありますが、現在1学年のうち30%以上(ちなみに一学年のクラスサイズは400人強です)にものぼっています。この授業は冒頭に述べた通り、製薬会社の戦略に特化するという一般的には相当マニアックと思われる授業なのですが、にもかかわらず授業の登録を希望した学生の数は定員をオーバーするほどの人気です。授業の中では毎回ケースを基に製薬企業の意思決定に関するイシュー(価格差別などを含めたプライシング、特許戦略、保険償還、開発戦略、広告等)について扱います。クラスでは、製薬会社で勤めていた人は当然のことながら、医療機関で勤務していた学生、医師や看護師などの医療従事者、医療保険会社、投資銀行やコンサルティング会社のヘルスケアプラクティスのチームで勤務・インターンしていた学生、グローバルヘルスに関するNGOで勤務していた学生、米国の上院で医療政策の立案に携わっていた学生など多種多様な学生が凄い勢いでディスカッションを行っていて、正直彼らの議論を聞いているだけでもとてもeye-openingな経験です。担当教官はDavid Ridleyという先生で、彼は米国の製薬企業や規制に熟知しています。彼の研究を基にFDA(薬や医療機器の承認を行うアメリカの規制当局)にPriority Review Voucher(注2)という制度が出来ました。また授業にはロシュの元CEOのGeroge Abercrombieが常駐し、Davidや学生の発言に実務的な観点からフィードバックを行うという理論と実践のバランスが取れた素晴らしいクラスになっています。

先進国における高齢化による医療ニーズの増大や医療技術の高度化等によりヘルスケア市場が増加の一途を辿る中、ヘルスケアに特化した専攻を設けている学校も近年増えてきている印象がありますが、この授業を取る中で改めて感じたFuquaの良さは、ヘルスケア関係のバックグランドを持つ学生の多様性と厚みがあることだなと感じています。こうしたヘルスケア分野の中での多様性が担保されている環境は、Fuquaが持つHSMの伝統と、前述の通りその名の下に集まる一定規模以上の学生の数によって成り立っているものであり、ヘルスケアを売りにしている学校の全てが必ずしもこうした学習環境を提供できるものではないと考えています。

先日の授業では、保険収載時の薬価が諸外国の薬価を参照して行われることが多いことに着目して、(1)どの国からどういう順番で、(2)いくらで、新薬を上市していくのが製薬企業によって最適かという上市戦略について、コンサルティング会社が授業に来て講演をしてくれました。折しも日本ではこれまで2年に1回だった薬価の改定を毎年行うべき、諸外国における薬価の参照を速やかに行うべき、と言った薬価制度に関する抜本的な制度改正に関する議論が経済財政諮問会議(注3)などで行われているところで、こうした制度変更は製薬会社の意思決定にも大きな影響を与えそうです。

また、今日のケースでは子宮頸がんワクチンの価格戦略について扱いました。日本ではその副反応の可能性等が指摘されたことで、一般的にはネガティブに捉えられている印象のある子宮頸がんワクチンですが、クラスメイトと話す中でアメリカでは同ワクチンを接種することがある程度一般的になってきているなど、同ワクチンに対する見方が日本とアメリカでかなり異なることなどが分かり、日本とアメリカを含めた諸外国での医療のあり方の違いなどについても気付きがありました。

・・・といった感じで毎回の授業で新しいTakeawayがあり、授業が楽し過ぎて授業の前日の日曜と水曜は毎回夜明けが待ち遠しいといった心境です。言い過ぎかもしれませんが。

ちなみにこのクラスで知り合ったクラスメイト達と来年1月に開催されるヘルスケアビジネスコンテストに出場するべく現在準備を進めています。書類などによる選考が今後行われることになっていますが、見事本選に参加できることになった暁には、その模様をこのブログでお伝えできればと思います。長くなりましたが、ご一読頂きありがとうございます。

(注1)HSMについてはこちらを御覧下さい。https://centers.fuqua.duke.edu/hsm/home/about/

(注2)同制度の詳細についてはこちらを御覧下さい。http://priorityreviewvoucher.org/

(注3)11月25日に開催された同会議に提出された薬価制度の抜本改革案等についてはこちらを御覧下さい。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1125/shiryo_04-1.pdf


GATE Cuba/Panama 体験記 (3/4) – 旅程その2- 時が止まった国・キューバ

2016-11-27 15:42:51 | 課外活動

さて、今回はGATE Cuba/Panama体験記の3回目をお送りします。やっとキューバにたどり着きました!笑

 まずは簡単にキューバの歴史、社会について書きたいと思います。20世紀初頭にアメリカの支援を受けながらスペインからの独立を獲得しましたが、その後しばらくはアメリカの影響下に置かれていました。1950年代には、アメリカの支援を受けたバチスタが政権を奪取し、アメリカ資本の流入や政権の圧政によって富が一部の強者に集まり、貧富の差が拡大しました。その中で、フィデル・カストロ、チェ・ゲバラといったバチスタ体制に反旗を翻した者達によって、最終的にキューバ革命が達成されます。それによって成立したカストロ体制は共産主義を推し進め、今日においてもキューバ共産党による一党体制が維持されています。 

 ここからは、実際の旅程を一緒にたどっていきたいと思います。一つ一つがとても濃い経験でしたので、長文になってしまいますことを予めお断りしておきます。最後の方に印象に残った出来事ベスト3がありますので、以下は読み飛ばしていただいても結構です。

●5月7日(土)

 ワシントンD.C.からパナマシティを経由して、ついにハバナ入りしました。夜の到着であったため街並みはあまり見えませんでしたが、空港の入国審査待ちで数回停電し、空港からホテルに向かう通りも電灯が少なく薄暗いことが印象的でした。空港からは現地ガイドのAlejandroが同行してくれました。彼はアメリカに留学したこともあり、流暢な英語を話します。

●5月8日(日)

 この日はCultural tourの一日でした。朝からMuseum of Fine Arts, Museum of Revolutionを訪ね、午後は街を散策しました。

 まずMuseum of Fine Artsで印象的だったのは、多くの作品が当時の社会情勢を色濃く反映していたことです。例えば、19世紀末に描かれた作品は、画家自身が当時の首長国であったスペインと盛んに行き来していたため、ピカソに代表されるキュビズムに強い影響を受けていました。また、20世紀半ばの作品には、アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロックのようなアメリカン・ポップアートのテイストが見られ、アメリカ文化への憧れが見てとれます。

 Museum of Revolutionでは、実際にキューバ革命の英雄たちが身につけていた衣服・銃器や、当時の新聞等の展示がありました。友人たちとめぐる中で目に止まったのは、当時のフィデル・カストロがどうして革命を志したか語っていたものです。趣旨としては「バチスタ政権は、民衆が望んでいることを無視している。そんな政府は存在すべきではないから打ち倒すのだ」といったものでしたが、現在の政府は本当に民衆が望んでいるものをもたらしているのか?といったところには大いに疑問があります。当時の劣悪な社会環境を知っている市民にとっては、現在の生活はそれよりも遥かによいものであることは想像に難くありません(飢えで苦しむことはなく、教育・医療サービスは無料)。他方で、インターネットの解禁に伴い、資本主義の下で豊かさを享受する国との比較がさらに容易になりつつあります。そんな中で、市民が革命の意義を認め続け、現状の社会を正当化・維持できるのか?といったことは、その後の訪問での個人的なテーマの一つとなりました。

 

●5月9日(月)

 この日は主にBusiness Visitの日となりました。午前中は在キューバ米国大使館と地元の散髪店、午後はラム博物館と自動車修理工場を訪問したのち、ヴィンテージ・カーで市内に残る砦に行きました。

 午前中の米国大使館訪問では、運良く大使からアメリカの対キューバ外交姿勢についてお話を伺いました。冷戦を象徴する1962年のキューバ危機以降国交を断絶していた両国でしたが、2015年の国交再開から今年に入ってのオバマ大統領の訪問など、対キューバ外交は大きく躍動しています。もちろん大使が発言できることとできないことがあり、その真意は行間を読み取るしかないのですが、歴史的にアメリカはラテン・アメリカの国々に深く入り込み、政権交代等において重要な役割を果たしてきたという事実があります(後に訪問するパナマもその国の一つです)。それについてはもちろん様々な意見がありますが、オーストラリア人の同級生 が「自分たちが何でもコントロールできると思っているのは傲慢だよね」とその姿勢をばっさり斬って捨てていたのが印象的でした。そういった、普段はあえて取り上げないような題材をもとに、友人たちとディスカッションをし、その意見を聞くことはとても楽しい経験でした。

 次の散髪店店主との会話は、キューバの社会を理解するのにとても役立ちました。資本主義社会で暮らした私にとって「共産主義」は今ひとつピンと来ないところがありましたが、端的に言うと資本主義の発明を否定するものです。マルクス経済学でいうところの「資本家」こそが貧富の差を生じさせ、労働者からの搾取を生む原因とみなします。そのため、「資本」「株式」「株式会社」といったものが認められません。「株式会社がない」ということについて、当初は唖然としたものですが、その店主自身もヨーロッパにて学んだ経験からその問題意識を共有していました(ちなみに上記にいくつか例は出ましたが、留学したのち再度キューバに戻ることはそこまで一般的ではないと思われます)。現在キューバでは、その経済情勢の悪化から、政府が定める200程度の職種において新たに事業を始めることが奨励されていますが、依然として株式会社は認められないため、その元手は複数人で出し合う(株式を発行する)のではなく、一個人としてその責を負わなければなりません。ご察しの通り、これは非常に非効率であり、これまで世界を発展させてきた金融という発明をことごとく否定するものです。絶対的な豊かさが幸福に直結するわけではなく、他人との比較での豊かさ、平等性が幸福感に寄与する場合があることも理解はしていますが、それにしても、と複雑な思いに駆られました。そういった、自身と異なるパラダイムの中で生きる人たちを理解しようとした際に、まずは虚心坦懐に話を聞く姿勢の重要性を感じました(もちろん最終的には自分の価値観での価値判断にはなるのですが)。自分たちの論理を適用して頭ごなしに否定するだけでは、彼らがどういった考えで過ごしているかは一向に理解できないままです。

 午後訪問したラム博物館では、キューバを代表する農産物であるサトウキビから蒸留されるラム酒の製造工程をたどり、最後に「モヒート」と呼ぶラム酒をソーダ水で割って、ミントを加えたカクテルを楽しみました。実は私はそこまでお酒が強くなく、それで酔ってしまったため、その後訪問した自動車修理工場では少し朦朧としながら話を聞くことになりました。笑

 アメリカからの禁輸を受けているキューバでは、基本的にアメリカ車の新車輸入がなく、また彼らとしても同じ車を修理しながら長く乗ることに非常に誇りを感じているようでした。単なる経済的な理由以上の動機で、自動車修理工場は運営されているようでした。その後、ヴィンテージ・カーに乗せてもらい、ハバナ市内の砦を皆で散策しました。

●5月10日(火)

 この日はハバナ郊外の共同農園を訪問しました。共同農園で生産されていた農作物・畜産物自体には目新しさはありませんでしたが、やはり共産主義下でのビジネスの難しさの一面が垣間見えました。生産性においてボトルネックになっているのは土地面積で、この点は資本を入れれば(融資を受けたり、株式を売却したり)土地を購入できて生産力が上がりますが、まずそれが共産主義下ではできません。「共同」農園という名の通り、そこに参加している人たちの土地を持ち寄って一つの農園として運営されているようです。ただ、それでも生活するに足る収入は得られているようでした。

 その後、昼食を取りながら現地のミュージシャンの方の音楽を聴き、画家の方のアトリエを訪問しました。彼らは基本的には観光客や海外からの引き合いを主な収入源にしているようでしたが、やはり娯楽を提供している仕事の常として、顧客側の興味・関心がすぐ離れてしまいやすい点に少し悲哀を感じました。

●5月11日(水)

 この日は朝からヘミングウェイ博物館を訪れた後、ハバナ市内にて有識者の意見を聞く機会に恵まれました。

 まずヘミングウェイ博物館ですが、実際にヘミングウェイがハバナで暮らしていた邸宅を見て回ることができます。中に置かれている本や家具なども、当時のまま保管されています。彼はハバナでの暮らしから構想を得て、「老人と海」を書いたと言われています。私が少し意外に思った点としては、ハバナや彼の邸宅の雰囲気と、「老人と海」で描かれているテーマとのギャップです。「老人と海」自体を読んだのは高校生か大学生の頃でしたので少しうろ覚えですが、根底に流れているテーマは「自然に対する人間の無力感」のように感じました。他方で、私が訪れた時期のハバナは天気も良く(おそらく年中あまり変わらないかとは思いますが笑)、彼の邸宅も日差しをたくさん浴びてとても明るい雰囲気で、ここから「人間の無力感」のような少し仄暗いテーマが出てくるものか?と感じました。これは想像ですが、彼の視点からはキューバの陰のような部分も、よく見えていたのかもしれません。

 午後には、ハバナ大学の経済学教授とリタイアされた外交官の方が直近の経済・社会の動きについてレクチャーをしてくださいました。彼らはやはり政府との関係が色濃く、またそもそもキューバではどこで誰が聞いているか分からない(=反政府的な話をした場合に何が起こるか分からない)ことから、政府の立場に立った議論が多かったように思います。印象に残っている点としては「キューバ政府は実はあまり変わる気がない」という点です。直近ではアメリカと外交を再開し、経済的にも交流を求めており、表向き資本主義に対して歩み寄ろうとしているように見えます。ですが、彼らの言葉の端々からは「国民はこれまで貯蓄の習慣がなかったし、税金という概念に対する理解も薄い。だからもし資本主義的なシステムに移行しても、人々は受け入れられない」といった、変化に対してネガティブな姿勢が見て取れました。ただ、キューバが経済的に苦境に立たされている点は事実で、そこに対する消極的な打開策の一つとして、渋々アメリカとの国交を開いているというのが実態のように感じられました。

●5月12日(木)

 この日は朝からまたハバナ大学にて観光業を研究している教授のレクチャーを聞いたのち、ハバナを離れバラデロという街に移動しました。

 観光業に関するレクチャーですが、教授は政府の観光政策立案にも関わっているとのことで、例によって政府見解の代弁者として発言しているようでした。観光業は、第二次産業の発達に乏しいキューバでは、農業の次に大きい、外貨獲得のための重要な産業です。しかしながら、ここでもやはりハードルとなるのは共産主義です。カリブ海に浮かぶキューバは、観光地としてドミニカやプエルトリコなどと競争関係にありますが、それらとの差別化において、取り得る施策が限られます。例えば、「高額報酬を用意して一流シェフを招致する」といった金銭的なインセンティブを与えることは難しく、ではどうやってサービスの質を向上させるかというと、「従業員教育」に頼るというのが教授の言です。私たちが実際に泊まったホテルのサービス水準に関しては、渡航以前の「共産主義=サービスの質を上げるインセンティブがない」といった先入観は良い意味で裏切られるほど、特に大きな不足は感じませんでした。他方で、プライベートで別のハバナのホテルに泊まった人の意見を聞くとがっかりだったということもあり、全体的なサービスレベルはやはり他国に比べると低いのかもしれません。また、外国資本の誘致においては、キューバ政府がジョイントベンチャー(と書きつつ、共産主義下でのリーガル・エンティティが本当にJVから想起されるような「会社」なのかは疑問ですが)の過半数の所有が必要となります。実際に同様の外資規制を持つ国は資本主義下でも存在しますので、これ自体が大きなハードルにはなり得ないかもしれませんが、そもそもの商習慣の違いやパートナーとしてのキューバ政府の振る舞いが大きな障害になり得るだろう、というのが同行していたDuddy教授の見解でした。

 その後、バラデロの街に移動しました。バラデロはハバナから車で3時間ほどの、キューバを代表するリゾート地です。まずバラデロでは、手作業で本を製作する工房を訪問しました。その後、現地に受け継がれている伝統的なダンスを、地元の方に見せてもらいました。アメリカと同様、キューバも過去にはスペインの手によって、アフリカから奴隷が輸入された歴史があります。その踊りは彼らアフリカ系キューバ人のコミュニティにおいて継承されているもので、曲調や内容もほぼアフリカ系の色合いがそのまま残されているように感じました。炎天下で踊っていた少年少女の凛々しさと つぶらな瞳がとても印象に残っています。

 夜はビーチに面したバラデロのホテルに宿泊し、友人たちと夜まで飲んでいました。海風がとても気持ちが良く、友人たちと解散した後も、海辺で波の音を聞きながら一人充実感に浸っていました。

●5月13日(金)

 この日はバラデロに所在する博物館に訪問したのち、昼食で訪れたレストランの経営者にお話を伺い、午後はダンス教室にてダンスのレクチャーを受けました。

 博物館では、スペイン入植以前から今日に至るまでのあらゆる文化財が保管されていました。特に、キューバ起源の土着文化には、インカの影響が色濃く残っているとのことでした。展示物の中でも、私が特に興味深く見ていたのは紙幣です。実はキューバには二種類の通貨が流通しています。私たちのような観光客が利用する兌換ペソ(CUC)と、一般のキューバ国民が扱うキューバ・ペソ(CUP)です。基本的に観光客にはCUPへのアクセスはなく、逆もまた然りです。これによって、観光客にはCUC表記の高い価格(1CUC=1USDであり、物価水準としてはアメリカと変わらない感覚でした)で買い物をしてもらうことで外貨を落としてもらい、国民には政府補助金が入っている国民用のCUP専用の店で買い物をすることで、たとえ月収が20USD相当しかなくても(実際に医師の月給は20-40USDだそうです)食うには困らない生活ができるようになっています。共産主義だと配給をイメージされる方もいるかもしれませんが、配給は段階的に廃止され、現在は政府が安価な価格での食料調達を保障することで配給に替える形となっています。通貨の話に戻りますと、この博物館で間近にCUPを見たのですが、CUCと大きく異なる点として三点ほどあります。一つ目は紙質。圧倒的にCUPの方が安い紙質のものが使われています。次に色。CUCは同一紙幣でも複数の色が使われているのですが、CUCは単色です。これらによって、CUCとCUPを並べて見ると、CUCの紙幣としての高級感が一目瞭然で、対外的には「人気観光地としてのキューバ」を演出しつつも、対国民目線ではシビアに通貨の印刷費用を削減しているように見て取れました。最後の違いがデザインです。国民用のCUPには、ゲバラを筆頭に、特にキューバ革命や対スペインの独立戦争の英雄の肖像画が採用されています。他方で、CUCはすべて実際にキューバ国内にある歴史上の人物の「銅像」の画で、注意深く見なければどれが誰の銅像なのかよくわかりません。そもそも近年まではアメリカ人の渡航は大幅に制限されていたとはいえ、アメリカ人を含む観光客の手に渡る紙幣に、キューバ革命を容易に想起させるようなゲバラらの肖像画を載せることは血生臭いと配慮したのでしょうか。それとも、国民用の方にあえてキューバ革命の英雄を多く配置することで、国民に対して「一時もキューバ革命の恩恵を忘れないように」と静かに圧力をかけるカストロの思惑があるようにも思えてなりませんでした。

 昼食のレストランでの経営者との談話もとても興味深く、大変充実していました。一つ目は、レストランの経営形態に関してです。まず、「経営者」と言えども、先の通り共産主義下では株式会社がなく、個人が誰かを雇用するということもできません。では、どのようにレストランが「経営」されているかというと、まずレストランの所有者は完全にオーナー一人に帰属します。実際に、レストランはオーナー個人の出資で店を構えたとのことでした。次に、レストランでの売上や費用、結果としての利益は、レストランという法人ではなく、そこで働いている人一人一人に分配されます。そこでの「従業員」は、給与の代わりにそれらの利益を分け前として受け取っているという構図です。ですので、税金に関してもすべて個人に対する所得税という形で課税されます(日本のように源泉徴収なのか申告納税なのかまでは聞きそびれましたが、課税逃れを排するという意味では源泉徴収をしているのではと推察します。とはいえ、どういう制度なのか謎ではありますが。。)。その売上・費用の配分に関しては、オーナーの裁量が入る余地があるということになります。もう一つ興味深かった点として、レストランの初期投資です。くどいようですが、共産主義下ですので、「金融」という資本主義の発明を否定します。ですので、投資の前に金融機関から融資を受けてレストランを建て、その後の利益を以て融資を返済する、という(資本主義下では)ごく当たり前の経済活動ができません。ということで、オーナーは25年(!)の貯金をはたいてレストランを自腹で建造し、現在運営するということをしています。当然ですが、このように内部資本のみしか投資に利用できない、ということは社会全体の投資額を著しく抑制します。これがキューバ人にとっての現実であり、そもそも資本主義の概念が染み付いていませんので、オーナーに「これって非効率だと思いませんでしたか?」と水を向けてみても、「これが普通だ」との答えです。「いや、それはキューバにとっては普通かもしれないけれども。。」と我らMBA生全員の頭の中に同じ思いが駆け巡ったことは想像に難くないでしょう。資本主義という豊かさと効率性、同時に格差をもたらす制度と、持続可能性に多大な難があり、生活水準は一様に低いながらも皆が比較的平等に暮らす共産主義のコントラストに、複雑な思いが去来しました。

●5月14日(土)

 ついにキューバを離れる日となりました。この日は朝からハバナ空港に向かい、パナマへと発ちました。

 キューバを発つに辺り、ガイドであるAlejandroとはここでお別れとなりました。彼についてとても印象に残っているエピソードが二つあります。一つは、彼が自身のバックグラウンドについて、全員に向けて語ってくれたことがありました。彼は一度アメリカに留学し、恐らくアメリカに残ればキューバでのツアーガイドよりも充実した暮らしを享受できたでしょう。しかし、彼はやはり祖国を捨てることができず、最終的に戻ることに決めました。彼にとって非常に重要な決断だったはずで、それを他のキューバ人に聞かれまいとして通りで立ったまま話してくれたことはとても印象的でした。もう一つは、前日夜のディナーにAlejandroを誘った時のことです。夕食は宿泊していたホテル内で取っていたため、我々は彼も誘って最後の夜を惜しもうと考えていましたが、彼は「自分はそこにいてはいけない」ということでディナーには来てくれませんでした。後で教授から伝え聞いたところによると、「ホテルは政府によって経営されており、従業員はもちろん政府につながっている。そのホテルにおいて、Alejandroが職務であるツアーガイドの範疇を超えて、我々のようなほぼアメリカ人からなる一団と仲良くしているところを見られるということは、良からぬ疑いを持たれかねない。だから彼は来れなかったんだ」とのことでした。ここまでの一週間、キューバのことについて理解が深まったつもりでいました(事実そうではあるのです)が、やはり実際に彼の国で暮らすということについての、大きな隔たりを改めて感じる

出来事でした。このディナーの後、キューバ最後の夜ということでタクシーを捕まえてクラブに行ったのですが、そこには無事にAlejandroは来てくれ、最後の思い出とすることができました。

<ここからまとめ>

 さてここまで、(ほぼ自分の記録のために)書き起こしてきましたが、キューバで特に印象に残っていることベスト3をピックアップしてみたいと思います。

第3位:キューバ独自のアートに触れ、油絵を購入

 ハバナではMuseum of fine artsにてスペイン、アメリカの影響を色濃く受けた絵画に触れたり、現地の画家のアトリエを訪問したり、バラデロではアフリカを起源とする少年少女たちのダンスを鑑賞しました。そのダンス鑑賞後にぶらっと入った絵画店にて運命の出会いがありました!

 私はもともと美術館めぐり自体が好きで、キューバでも何かあれば、とは思っていましたが、油絵に一目惚れするとは思っていませんでした。笑 40ドルにて以下の写真の絵を購入し、今は部屋に飾ってあります。これを見るたびに、キューバでの思い出が甦ります。実際に描いたアーティストの方ともその場で写真を撮りました。

第2位:共産主義下の社会、ビジネスの実態を知る

 次に、「共産主義」って一体なんなんだろう、そこで暮らすとはどういうことなのか、ということについて、自分なりの理解が構築できたことは収穫でした。

 やはり衝撃的だったのは、資本主義をことごとく否定しているその制度を知ったことで、普段我々が資本主義から受けている恩恵が大きいことを改めて理解しました。我々が訪問した散髪店店主やレストランオーナーは、雇用関係や融資といったことができないことで、資本主義経済では考えにくい非効率なやり方を取ることを余儀なくされていました。ただ、専門的な知識の差はあれ、キューバ国民は概ねアメリカという大資本主義国の豊かさを知っているのでは(同時に貧富の差についてもそうかもしれませんが)、と感じたのも事実です。それでもキューバに戻ったり、住み続けたりしている人たちの考えを直に聞けたことは、改めて「国」というものを考えるよい機会となりました。

第1位:オンボロタクシーで海岸沿いを疾走!

 キューバ滞在中には、日中はびっしりとビジネスビジットやスケジュールが詰まっていましたが、夕方以降は比較的時間に余裕があり、皆で街に繰り出してレストランやバーで楽しみました。ホテルは市の中心部から少し離れたところに位置していたため、タクシーを捕まえて街まで移動するのですが、そのタクシーが非常に古いのです。いわゆるヴィンテージ・カーと呼ばれるような、古くてもピカピカに磨かれて手入れされているものもありますが、全てがそういったわけではなく、単純に古い(おそらく軽く40年くらいは乗り回されているもの。日本だと廃車置き場に置いてあるような)ものも多くあります。

 我々が乗ったタクシーもそういった類のものでした。運転席も助手席も後部座席も、シートベルトはありません。もちろんエアバッグなんて粋なものがついているはずがありません。車高は心なしか低く 、足元にはすぐ路面が迫っているように感じます。にもかかわらず、車体はなんだか薄く、一際うるさいエンジンの音と振動が直に身体に伝わってきます。そんな状態の車体を、運転手のお兄ちゃんは60キロだか70キロだかの速度で夕暮れ時の海岸沿いのマレコン通りに疾走させます。友人たちと「これ事故になったらまず死ぬよね!?」とジェットコースターに乗っているような、心臓に悪いような気分で話していました。

 GATEの本筋とは関係のない一コマですが、昼間のスケジュールに対する充実感や友人たちと過ごす時間の楽しさ、異国の雰囲気も相まって、とても印象に残っているひと時でした。

というわけで、非常に長くなりましたが、以上でキューバ編を終わります。次回はパナマ編をお届けします!


Energy Club によるヒューストンの旅

2016-10-26 21:58:52 | 課外活動

はじめまして、一年生のCSです。7月末からデューク大学に通い、早3ヶ月が過ぎようとしています。

私は私費留学生としてFuquaに来ていますが、入学早々すでに就職活動が始まっています。通常日本人留学生の場合は、就労ビザを援助してくれるアメリカ企業を探す、または日本企業/日本に支店を置く外資系企業をターゲットに活動を行いますが、私は日米の二重国籍で米国での就労に問題がないため、卒業後もアメリカに残るも日本に帰るも選択肢としてあるので非常にラッキーです。

今回はアメリカでの就職活動の一環であるWeek-in-Cities についてお話ししたいと思います。

■Week-in-Cities とは

Week-in-Cities(WIC)は学校の休みを利用して1週間程度他都市に行って就活を行う旅行のことを言います。8月にデューク大学に入学して、全員必修である夏のGlobal Instituteから始まり、Fall 1でコア授業を受け、同時進行でリクルーティング活動をするという休みなき戦いが10月中旬のテストを境に一瞬だけ落ち着きます。約10日間の秋休みが始まるのですが、学生はこの休みを利用してデューク大学ビジネススクールの各クラブが主催するWICに参加します。これは学生がアメリカ各地に企業訪問をしに飛び立つもので、企業とのネットワーキングを主とした旅行です。例えば、テック志望の学生はサンフランシスコとシアトルに行き、グーグル、アップル、アマゾン等などを訪問します。コンサル志望の場合は、ダラス、アトランタ、シカゴ、ワシントンDC等、デュークが強いとされる地域を訪問しているようです。その他にも投資銀行やマーケティング、ソーシャルインパクト関連、ヘルスケア等々、自分の興味にあったところに登録をして行っているようです。また、WICの時期もずれていたりするので、最大で2種類のWICに参加できます。例えば、前半テックに行きそのあとシカゴでコンサル用のWICに参加する、など。

■Energy Club によるヒューストンの旅

さて今回は、私が参加したEnergy Clubによるヒューストンの旅をご紹介したいと思います。エネルギーに携わる方ならご存知かと思いますが、エネルギーの業界にとってヒューストンはメッカであり、テックにとってのシリコンバレーのようなところです。All roads lead to Houston.(全ての道はヒューストンに通ず)という言葉があるぐらい、海外のエネルギー企業も本社以上に巨大なオフィスをヒューストンに構えています。ちなみにヒューストンは全米で4番目に大きな都市なのですが、家賃がダーラムやチャペルヒルよりも安いという非常に魅力溢れる都市です。元々テクノロジー出身の私ですが、デューク大学が非常にエネルギーに強いということや、エネルギー業界のスケールの大きさに惹かれEnergy ClubのCabinet Memberになり今回のヒューストンWICを計画してリードする機会を手に入れました 。うまくいったかどうかは参加したメンバーに聞かないとわかりませんが、Organizerとしての視点からいくつかお話ししたいと思います。

■WICの規模

まず、どのくらいの規模感かというところですが、ヒューストンWICに参加したのは私を含め12人です。テックやコンサル等で大所になると50人とかになるようです。このように10人程度の小規模であれば企業訪問の際にかなり自分を売り込めるチャンスになり、実際に今回のヒューストンWICも非常に有効な就活の場となりました。数が多いとほぼただの旅行化するようですが、それはそれで非常に楽しいようです。つまり、小規模のWICは役には経ちますが毎回の企業訪問で気が抜けないので楽しむというより毎日非常に疲れます。

ヒューストンWICに参加したメンバーのほとんどがOil&Gasのバックグランドを持った人たちで、中にはチリでエネルギー業界のInvestment Bankerをやっていた人間から、メキシコのアクセンチュアで働いていて国からの支援でデュークに来た官僚、炭鉱エンジニア、化学エンジニア、等々業種は様々です。エネルギーのバックグランドがないのは私くらいでした。そんな私にこんな重要な就活旅行の指揮をとらせてくれるのですから、アメリカの寛大さに感銘を受けます。

■訪問した企業

そして、今回訪問した企業の種類ですが、事前に参加候補者にアンケートをとって訪問したい企業をリストアップしました。スーパーメジャーと呼ばれるExxonMobil、Chevron、Shellはもちろん、テック寄りのGE(Oil & Gasの本部がヒューストンにあります)、クリーンテック関連のNextEra、あとはコンサルや投資銀行もヒューストンオフィスはほぼエネルギーなので、マッキンゼー、ベイン、モルガン・スタンレーといった感じで、3日間、1日3社ペースで訪問をしました。我々とは別にエネルギー関連の投資銀行にしか興味がないという生徒もいて、そういった人達はニューヨークのWICには参加せず独自にスケジュールを組んで個別にヒューストンにある投資銀行へコンタクトしてました。その人たちは既にこの段階で面接を受けていたようです。また、今回企業にコンタクトしていて一番印象深かったのが一社も断られることが無かった、いう点です。過去の先輩方の実績もあるのでしょうが、デュークMBAの力を痛感した瞬間でもありました。 

■WICのスケジュール

今回のWICのスケジュールとしては、Fall 1の期末試験が終わり、その次の朝にヒューストンに向けて出発。2時間程度でヒューストンに到着し、メンバーの友人にヒュースト観光ツアーをしてもらい、午後にホテルにチェックイン。ヒューストンに家を持つデューク大学の仲間宅でBBQパーティ。そして、その次の日の朝から訪問開始。午前はマッキンゼー、午後はモルガン・スタンレー、エクソンモービルといった感じで回ります。ほとんどの会社が30分〜1時間をかけて会社の説明や夏のインターンシップの説明を細かく話してくれます。その後1時間くらいのQ&Aの時間を設けてくれます。Energy Clubの連中だけあって、会社のことよりも、現在の石油の価格や、IoTと天然ガスの関連性についてなどの質問が多く、質問自体も止むことはまずありませんでした。

その後は会社内のツアーがあったりなかったりですが、エクソンモービルに関しては、会社説明の後、天然ガスの探鉱に使われる3Dテクノロジーの体験や、息をのむほど巨大で美しいキャンパスのツアーをして頂きました。

■まとめ

このようなWICは、純粋に参加することだけでも非常に意味があり楽しいものですが 、Energy Club のCabinet MemberとしてWICを計画する立場は、就活には非常に有利だと感じました。というのも、直接企業のリクルーターやマネージャー陣と事前からやり取りができるので、非常に濃いネットワーキングができるからです。ただ、学校の期間中に勉強、リクルーティング、ソーシャルライフに加えWICのために時間を費やす必要があり、特に期末試験のタイミングに重なることから、なかなか精神的かつ体力的には鍛えられました。それでも計画する側としても参加する側としてもやった価値は十分にあったかと思います。ただの旅行としても、リクルーティングイベントとしても非常に楽しく、かなり充実できた期間となりました。


Campout初体験!

2016-10-01 22:13:56 | 課外活動

はじめまして、1年生のYです。6月末にDurhamに引越し、あっという間に3か月が過ぎました。9月からはいよいよFall1が始まり、統計、ミクロ経済、会計、リーダーシップ、という4つの必修授業の予習と課題に毎日追われている状態です。8月のGlobal Instituteという3週間のプログラムでは「組織のあり方」「世界の貧富の差の原因」といった壮大なテーマを扱っていただけに、今月からは打って変わっていよいよMBA必修のプログラムを勉強している、という実感が強く湧いております。世界中から集まった同級生達に刺激を受けながら、毎日を全力で乗り切っております。

さて今回のテーマはDuke大学院生の秋の伝統イベント、Campoutです。Duke大学はバスケットボールの強豪校として有名なのですが、その年間チケットを約$300で購入できる権利をかけて学校の駐車場で36時間キャンプをする、というのがCampoutです。さらに、その36時間の中で、20回以上の“チェックイン”の時間がランダムに設けられており、参加者は合図の笛が鳴る度にキャンプサイトに隣接する窓口に全員集合し、リストバンドのバーコードを読み取ってもらわなければなりません。チェックインを逃すごとに最終的な当選確率が下がってゆき、8割以上チェックインできた人のみに当選参加資格が与えられます。文字だけですと非常に意味が分かりにくいイベントですので、ここからは写真と私の実体験でお伝えしたいと思います。

9月16日(金)夜21:00、いよいよCampoutが始まりました。私はセクション(クラス)のメンバー25人程度で参加していたので、授業が17:00過ぎに終わり、参加者用のリストバンドをゲットし、クラスメイトと協力しながらテントを3つほど組み立て、一旦帰宅してシャワーを浴び、再び会場に戻って開始を迎えました。写真のように、初日夜は皆有り余るエネルギーで飲んで話して踊って・・キャンピングカーや軽トラックを借りているグループの周辺は大変盛り上がっていました。もちろん1時間に1回ほど笛が鳴る度にコップを置いてチェックインのために窓口まで走るのは忘れません。結局初日はAM3:00まで笛の呼び出しは続きました。

9月17日(土)、朝6:30に初回の笛が鳴り、寝ていてドロップアウトした人も沢山いたようです。こちらはテントサイトの様子です。所狭しとテントが立ち並んでいます。

日中はテントで寝る人、座って話す人、課題に取り組む人、飲む人(!)等、皆思い思いの過ごし方をしながら笛を待ちます。近くで子供向けのイベントも開催されており、参加者の家族も合流して楽しんでいました。

日中もチェックインは続きます。前方に窓口が見えます。

日本人チームは1,2年生共同で焼きそばを作り、近くの参加者に振舞いました。私のセクションでは、アメリカ人がSmokerという巨大な調理マシンで豚肉の塊を16時間燻してくれたため、皆で特製ハンバーガーを堪能しました。もちろんこの日もAM3:00までは皆眠れませんでした。日中寝ていた私もAM1:00頃にはまた眠気の限界がきており、椅子に座ってうとうとしながら笛を待っていました。驚かされたのはラテン系の人達のエネルギーで、初日も2日目も夜遅くまで大音量の音楽に乗って踊り歌い続けていました。

そして、9月18日(日)朝。後片付けの後はいよいよ結果発表です。最後まで参加できても、抽選に当たらないと年間チケット購入の権利は手に入りません。全てのチェックインに駆けつけ、当選確率が最高の6倍まで高まっていた私は・・・落選してしまいました。。。結局日本人は4人中2人、セクションでも参加者全体の半数程度がチケットを獲得していました。

「なぜ当たるかも分からないバスケのチケットのためにそこまでするのか」、入学前にはそのような思いも少しはありました。でも、実際にCampoutに参加して、眠さや疲れを共有しながらクラスメイトと色々なことを話したり、狭いテントで一緒に寝起きしたり、協力してテントを建てたり料理を作ったりする中で、学生同士の絆が自然に強まっていくのを実感しました。実際にクラスで気軽に話ができる友人も増え、一層学校生活が楽しく充実したものになったのを感じています。学業にも課外活動にも一生懸命なFuquaの文化に惹かれて入学し、早速その一面を味わうことができた2泊3日でした。(翌週は皆Campoutのダメージが残っていたようでひーひー言っておりました^^;)


Fuqua JAPAN BBQ Party!

2016-09-10 19:09:11 | Life

 

はじめまして。1年生のSIです。Fuquaに来て早2か月、ISB、GIという2つのカリキュラムを終え、振り返る間もなくどんどん前に進んできた、という感じですが、日々自身の成長を実感しております。どんな学び、成長があったんだ、と気になる方もおられるでしょうが、自分自身もう少し振り返る時間が必要ということで今回はご容赦いただいて、もう少し柔らかい話として、先日行ったFuqua BBQ Partyについてポストします。

 Fuqua1年生のカリキュラムはおおざっぱに7月にISB、8月にGI、があり、9月からFall1が始まる、という流れになっています。各Termの間には1週間の休みがあり、GIとFall1の間にちょうど2年生が夏休みやインターンを終え、Fall1に向け帰ってきますので、そのタイミングでFuqua在校生全体とその家族でBBQをしました。

 こちらでのBBQがどんなものかイメージいただくため、まず住環境について簡単に説明します。基本的に学生はComplexと呼ばれる集合住宅の一部屋を借りて住み、学校までは車あるいはバイク、自転車で通うという形が一般的です。Complexには共用設備が充実しており、ほとんどの場合素敵なプールやジム、ちょっとした公園、ドッグランなどがついています。Complexの入り口にはゲート等もあり、安全面もまったく問題ありません。部屋の広さと充実の共用設備は、こちらに来て私がもっとも感動したことの1つです(日本のわが家を思うと、、、あぁ。。。)。

 BBQピットも共用設備の一部で、どのComplexにも必ずついています。BBQパーティはこちらではとても一般的で、Fuqua内でも数多く企画され、そこでいろいろな人たちと知り合うことができます。今回は日本人だけということで、日本人が多く住むGarret WestというComplexにそれぞれがスーパー等で食材を持ち寄り、思う存分焼く、という形で進めました。ちなみに、スーパーもWalmartからWholefoodsまで様々な価格帯のスーパーが車で5-10分以内にあり、日本食材もアジア系スーパーで簡単に手に入ります。思ったより田舎じゃない、というのが良い意味で驚きでした。

 当日は1年生が5人、2年生が4人、交換留学生が1人、さらに各学生の家族が参加し、全体で約20名が集まる大規模なパーティになりました。子供もたくさんいて、非常になごやかなムードですごすことができました。他校から来られた交換留学生の方曰く、「Fuquaは縦のつながりも横のつながりも深く、代々培われてきたノウハウがきちんと受け継がれているのがすごい」とおっしゃっていましたが、確かに、そのあたりが就職にも強い理由なのかもしれません。私のように本格的な海外生活が初めての人間にとっても、こういったつながりは本当に助かります。その考えは日本人同士だけでなくTeam Fuqua全体に根付いており、様々な国籍の人たちと深いつながりがもてることがこの学校のすばらしさだと感じています。


GATE Cuba/Panama 体験記 (2/4) – 授業と旅程その1-ワシントンD.C.

2016-06-15 05:58:00 | 課外活動

 

今回は、GATE Cuba/Panama体験記の2回目をお送りします。
 早速ですが、GATEでは1タームかけてその国のことを学んだ上で、休暇中に現地を訪問します。では、どうやって「学ぶ」かと言えば、教授ごとにスタイルが異なりますが、Cuba/Panamaでは、教授が紹介する記事等のリーディング、ゲストスピーカーの講演、及び学生一人一人のプレゼンテーションとペーパー提出を通じて知識を深めました。Cuba/Panama及びBrazilはAmbassador Patrick Duddy氏が教授を務めています。彼はその名のとおり外交官・大使であり、パナマ・ブラジル・ベネズエラ等に調査官・大使として赴任した経験のある、人脈・経験ともに豊富な実務家です。また、65歳という年齢にもかかわらずとても情熱的で、人間としての魅力にあふれています。(最近では危機にあるベネズエラの状況について、メディアから取材を受けてもいます:http://www.foxbusiness.com/features/2016/05/25/amb-duddy-situation-in-venezuela-is-unraveling-before-our-eyes.html)
 そんな彼のおかげで、授業はとても濃い内容になりました。まず、全6回しかない授業にもかかわらず、ゲストスピーカーが6人訪れました(一回に2人訪れた回も)。またそのバックグラウンドも様々で、テレビ番組の取材のため最近キューバの首都ハバナを訪れたキューバ系アメリカ人や、キューバにてトラクターの製造業を立ち上げた起業家、また世界銀行系列の投資会社にてラテン・アメリカに対する投資戦略を検討しているマネージャー等、多岐にわたりました。彼らはもちろん彼ら自身の目線でキューバ・パナマを捉え、その現状や見通しについて話をしてくれましたので、それだけでも経済・外交・政治・歴史が複雑に絡み合う構造の一端に触れることができました。私個人としては、テレビレポーターの方が言っていた「キューバにいる間は常に監視されていた。監視されているのは(レポーターである)私だけではなく、市民もそうだった」という点が、正直に言うと想像が及ばず、特に記憶に残っていました(実際に現地に入ってから、この点は腹落ちします。これも後述します)。
 また、学生自身も実際にテーマを決めて調べることで、それぞれに理解を深めました。全員がそれをプレゼンテーションの形でクラスにて共有しましたので、幅広い分野についての知識を得ることができました。以下に一例を紹介します。
<キューバ>
●キューバ革命
●移民の状況と米国の対キューバ移民政策
●インターネットの普及状況
●自動車
●食文化
<パナマ>
●パナマ運河拡張計画
●パナマにおけるcorruption(汚職、賄賂)の状況
●FDI(Foreign Direct Investment: 外国直接投資)
 私自身もパナマ運河拡張計画について情報収集・プレゼンテーションを行いました。ご存知の通りパナマ運河は太平洋と大西洋をつなぐ物流上の要衝ですが、建造から100年以上が経過しています。その結果、拡大の一途をたどる輸送船の規模や運河通過の需要に対して、運河のサイズ・キャパシティが追いついておらず、その拡張が急務となっています。産業の多くを運河に頼る同国にとって、その拡張は国家の一大プロジェクトであり、今後の発展においても鍵となるでしょう。
 さて、これらを経て実際に現地に向かいます!最初に、旅程は以下のようになりました。
 5月6日:ワシントンD.C.
 5月7日〜13日:キューバ(ハバナ、バラデロ)
 5月14日〜18日:パナマ(パナマシティ) 
 これから、それぞれの日程で何をしたか、どういったことを学んだかについて詳述していきます(やっとですが、今しばらくお付き合いください笑)。
 D.C.では、在米パナマ大使館勤務の経済調査官、米国国務省でのキューバ担当者、米国商工会議所の中南米担当者からお話を聞きました。講義においては「アメリカから見たキューバ・パナマ」の観点に偏りがちでしたが、今回パナマ大使館勤務の調査官から話を伺ったことで、「パナマ人から見たパナマの将来見通し」の観点が増えました。やはり後者の方が楽観的に思えたことが印象的でした(立場上ということもありますが、やはり気質も関係しているのでしょうか…?)。また、国務省担当者からは、米国・キューバの国交及び禁輸の解除について、改めてそれらの手続き的違い(外交は大統領の裁量だが、禁輸は法によるものなのでその撤廃には議会の承認が必要)、大統領が交代した後での見通しを伺えたことはとても貴重でした。
 また、D.C.においては自由時間もありましたので、各々お互いに交流を深めました。私はインド人同級生と市内散策に出かけ、歩きながらお互いの価値観や将来についてゆっくり話す時間を持てたことがとても有意義でした。彼はグループの公式なリーダーではないながらも、折々に自然にリーダーシップを発揮していました。そのコミュニケーション力・グループをまとめる力については、尊敬すると同時に真似したいと思えるものであり、そういった友人と出会えたことは、このGATEでの財産の一つとなりました。
次回はキューバ編をお送りします!


GATE Cuba/Panama 体験記 (1/4) – GATEの価値とは?

2016-05-25 19:14:59 | 課外活動

こんにちは、Class of 2017のKNです。

今回は、先日参加してきましたGATE Cuba/Panamaについての体験記をお送りします。4回にわたる大作になる予定になっていますが、それだけ濃い経験となりました。第1回は実際の講義内容や旅行に入る前に、先に「GATEで何を得たか?」ということについて書きます。

まずは簡単に「GATEとは何ぞや?」ということですが、Global Academic Travel Experienceの略で、1タームかけて対象国について学び、その後のbreakにて2週間ほどかけて同国を旅行するプログラムです。行き先は年により多少異なりますが、本年度はブラジル(Spring1)、南アフリカ(Spring1, 2)、中国(Spring2)、キューバ・パナマ(Spring2)が開講されました。今回、私は20数名ほどの同級生、教授とともにキューバ・パナマを訪問いたしました。

このプログラムに対してよくある意見として、「旅行なら自分で行く。どうして高いお金を払って学校のプログラムで行かないといけないのか?」(実際に参加費は少し割高です)というものがあります。実際に、私も入学前には「単なる旅行であり、主体的にリーダーシップを伸ばすようなプログラムではない」との考えから、そこまでの興味を持っていませんでした。しかしながら、今回の参加を通じての学びがとても多く、GATEの価値をもっと伝えたいとの思いから本稿を書くことにしました。

GATE、またFuquaのMBAにおける究極的な目標は、「グローバルに通用するリーダーを育てる」ことです。今回の参加を通じて私自身が感じたGATEの価値は、以下の三点に集約されます。

  1. 国を知る
  2. 友人を知る
  3. 自分を知る

1. 国を知る

 Fuquaの卒業生には、将来的にグローバルに活躍することが期待されています。もしかすると「どの国で働くか」ということは選べない場合も出てくるかもしれません。もし文化や宗教が大きく異なる国で働くことを考えると、言わずもがな、現地の顧客・上司・部下がどういった価値観のもとに生活を営み、働いているのかということを抜きにして成果を上げることは難しいでしょう。そういった際に、経済・歴史・外交・政治・文化などを通じて、多面的にその国のことを理解する姿勢が求められます。もちろんGATEで訪れた国が将来のビジネスの舞台になれば、知識・経験を最大限に活かすことができます。ただ、今回私がキューバ・パナマの訪問を通じて得たものは、その国でしか通用しない性質のものではなく、もっと汎用性の高いものだと思っています。それは、「全く知らなかった国をゼロから知っていくプロセスとそこで必要になる姿勢」です。具体的には、歴史の重要性、虚心坦懐に相手の話を聞く姿勢、相手の視点に立つ想像力です。これについては、次稿以降で講義と旅程をたどっていく際に折々に触れることとします。

2. 友人を知る

 Fuquaはteam-based assignmentが多いため、多くの同級生とグループワークを通じて相手のことを知る機会があります。とは言いつつも、普段は皆様々な活動で忙しく、じっくりと話をする機会はなかなか取れなかったり、意識しなければ新しい友人とそういった機会を持つことは難しかったりというのも実情です。

 しかしながら、旅行中は今まで知らなかった友人たちと1日の多くの時間を過ごします。文字通り同じ釜の飯を食いながら、友人たちと議論をしたり、過去の経験について話を聞いたり、一緒に飲みに行ったりして、相手のことを理解し、新たな関係を築くことができます。また、リーダーシップの観点でも、リーダー(GATEには学生側のリーダーが2人います)がどうグループをまとめていくか、またそのリーダーをどうサポートするか、どうイベントを提案していくか、といったことからリーダーシップを発揮する/触れる機会に恵まれます。私自身、この旅行を通じて、これから関係を深めていきたい、又リーダーシップのお手本としたい友人を見つけることができたことは、大きな収穫でした。

3. 自分を知る

 人は自分と大きく異なる集団に属したり、価値観の違う文化に触れたりすることで、改めて自身の考え方や性格を知っていくことができると思います。その意味で、Fuquaに来るまで日本以外に住んだことのなかった私は、アメリカかつFuquaという環境から、改めて自分のことを見つめ直す機会をもらっています。

 さらに、今回のGATEにおいて、特にキューバという日本ともアメリカとも社会構造を大きく異にする国を訪問し、彼らの社会の一端に触れ、他の友人ともそれを題材に話をすることで、改めて自身が持つ興味・関心、価値観について知りました。それと同時に、自分の思考の癖、自分がこれまで持っていなかった視点についても自覚することができました。例えば、それは日本という国が持つ構造であったり、私自身の経済学部・会計士といったバックグラウンドから来るものであったりします(これらについても折に触れ後述します)。これらの気づきが、残りのMBA生活、又将来の人生において、どういった知識・経験を得たいか改めて考える材料となっています。

 さて、第1回から長くなりましたが、次回は「講義では何を学ぶのか?」と行程の概略、序盤のワシントンD.C.滞在についてお話ししたいと思います。

<予定>

第2回 講義内容、行程とワシントンD.C.滞在

第3回 キューバ

第4回 パナマ


Distinguished Speaker

2016-05-14 22:48:30 | その他
 

初めまして、FYのSU です。 

先日、Distinguished Speaker として元FRB総長のバーナンキ氏がFuqua に来ました。

Fuqua には様々な業界のリーダーシップポジションの方が来て、実体験や教訓などを私たち生徒に話してくれます。その中でも、Distinguished Speakerとはその名の通り“大物”スピーカーを指し、年を通して4人の大物リーダーが講演者として招かれます。そして、今年のDistinguished Speaker Series  大取りはバーナンキ元FRB議長でした。

もともとトレーディングフロアで彼の発言のヘッドラインを一字一句舐めるようにフォローしていた身からすると、生バーナンキの講演が聞ける事にミーハー心が動かされました。

講演チケットも瞬く間に売り切れ、運良くチケットが手に入った私。いつもになく厳重体制で、講演中は携帯電話の使用禁止、レコーディングもなし。

そんな中、奥様と一緒に会場に現れたバーナンキ元議長。パブリックになっている講演よりも和やかな雰囲気と感じました。Financial Crisis の事について色々と詰められても落ち着いて話す様子は、FRB政策金利発表後の記者会見での姿を思い出させられました。

特に驚く様な発言は出ませんでしたが(出ても書けないか :p)貴重な体験をさせてもらいました。

この様に世の中を引っ張るリーダー達の話を直接聞けるのは大変刺激になります。そして、私が驚いたのがこの様なスピーカーを引っ張ってくるのも学生なのです。Student-led   Culture なFuqua では学校のほぼ全ての行事を学生が企画、そして実行します。もちろん学校は十分なサポートはしてくれるものの、学生が行動しなければ実現しません。言葉を変えると行動さえすれば、周りの学生や学校のサポートが得られるということです。こういう行動力もTeam Fuqua に繋がっているのだなと感心させられる、今日この頃。その話はまた機会があればゆっくりと書きますね。

あっという間の一年が終了。8月末まで夏休みとなるので、また次回は2年生としてお送りします~! 


FCCP体験記 - Social Entrepreneurship関連のコンサルプロジェクトを通したアフリカ訪問

2016-04-14 09:49:51 | 課外活動

はじめての投稿になります、1年生のJです。FCCP(Fuqua Client Consulting Practicum)は春学期に行われるコンサルティングを経験するためのプログラムです。授業を通して、仮説思考やプロジェクトマネジメント、クライアントとのコミュニケーションなどコンサルの基礎をプロ講師から学びつつ、実際に5~6人のチームを組み、半年間かけてクライアントの問題解決に取り組みます。クライアントは国、セクター、規模など様々です。私はSocial Entrepreneur 系のプロジェクトを選び、アメリカ人2人、ブラジル人2人、日本人1人の計5人チームで、ウガンダでヘルスケア関連のサービスを提供している小規模な非営利組織のコンサルティングに取り組んでいます。春休みには2週間かけて現地訪問してきました。

ウガンダはもちろん、アフリカに訪問するのも今回が初めてでした。危険だという先入観からかなり身構えて行ったのですが、ウガンダはとても安全な国でした。人々は穏やかで、どこか控えめです。こちらから現地語で話しかけたり、友人に紹介してもらったりして一旦打ち解けると、人懐っこくさえなります。身の危険を感じることは一回もありませんでした。またウガンダは比較的雨も多く、ビクトリア湖やナイル川もあることから緑に溢れた豊かな土地です。さらに南西部には、世界でたった2カ所しかないという野生のマウンテンゴリラが見られるBwindi国立公園があります(間近で見てきました!)。食事も穀物中心かつスパイスも強くないので日本人の口に合いました。アフリカでしか手に入らないコカ・コーラ社の製品、Stoneyというジンジャーエールはとても美味しかったです!

そんな素晴らしい環境のウガンダですが、一人当たりGDPは500ドル程度と、世界中で最も貧しい国の一つです。貧困率は25%、地方に限れば61%です。その結果、まともな医療が受けられない人も多く、乳児死亡率は7%と高く、平均寿命は53歳と短いです。HIV感染率も7%と、世界で10番目に高いです。実際にKampalaやMasakaなど、ウガンダの様々な都市にある医療クリニックを訪問しましたが、錆びかけたメスや、期限切れの薬が並ぶ棚、電球のない手術室などの他、手洗いや滅菌などの初歩的な衛生管理への意識がないクリニックさえありました。こうした現状を目の当たりにし、自分の置かれた環境が如何に恵まれているかを再認識すると共に、世界に対し何か自分に出来ることは無いかと考えさせされました。

守秘義務の関係からプロジェクトの詳細は書けませんが、ウガンダ訪問を通した学びや気づき、感じたことなど、五月雨式にいくつか書きたいと思います。

1.  ビジネス環境・・・首都Kampalaの人口は約160万人です。急速に都市化が進んだ結果、道路インフラが追いついておらず市内は常に大渋滞です。停電もしばしば起こるなど、社会インフラはまだまだ弱いと言わざるを得ません。また、つい先日の大統領選では与党の選挙不正を訴えた野党候補が身柄拘束されるなど政治の不透明さも指摘されています。一方で、現地で出会ったウガンダの人々は、総じて素朴で真面目でした。派手さはありませんし、ゆっくりとしたペースではありますが、コツコツと仕事をする姿勢には安心感を得ました。経済発展を続けるアフリカとビジネスをする機会はより身近になってくると思います。その意味においても、アフリカの抱える課題と可能性を肌で感じることが出来たのはとてもいい経験でした。

2.  イノベーション・・・アフリカではとても速いスピードで、画期的なイノベーションが次々に生まれています。例えばアフリカはモバイルペイメントが世界の中で最も普及している地域であり、人々は個人資産を銀行からモバイル企業へ移管しつつあるほどです。こうした爆発的な普及の背景には、銀行といった既存インフラが無かった、または機能していなかったことがあると思います(預金者は利子を得るどころか多額の口座維持手数料を払わなくてはいけません)。アフリカで起こっているイノベーションの例を挙げれば枚挙に暇がありませんが、既存システムによる制約が少なく、社会的課題が多いことが、アフリカでイノベーションが生まれやすい構造的な理由なのだと思いました。イノベーションについてアフリカから学べることは多そうです。

3.  経営者の視点・・・クライアントはたった10人からなる小規模な組織です。その中でトップの人は若干30歳と若く、自分たちとあまり歳が変わらないにも関わらず、経営者として、資金調達から、市場調査、競合分析、ポジショニング、マーケティング、ブランディング、コストカット、効率性向上、サービス改善、新サービス開発、信用力獲得、人材採用、人材育成、リストラ、業務アウトソース、規制対応、成長戦略、長期戦略まで、様々な問題に対し最前線で奮闘していました。このように様々な経営課題が論点として挙がりましたが、これまでにMBAで習ったフレームワークが次々に頭に浮かび、議論を深掘りすることが出来ました。また夜にはチームミーティングを重ねました。表面上のチームワークに留まらず、時にお互いを刺激し合い個の力を最大化させ、また多様性を最大限に活かすなど、これまで学び身に付けてきたTeam Fuquaならではのチームワークを活かすことで翌日への良い準備ができたと思います。こうしたことからクライアントは私たちのことを本当に信頼してくれて、全てさらけ出して相談してくれました。現地訪問はたった2週間でしたが、企業経営の酸いも甘いも身近に感じさせてもらうことが出来、コンサルティングを経験するという意味においても、ためになるプログラムでした。

4.  ビジネスの力・・・先ほど衛生管理がなされていないクリニックの例を紹介しましたが、手洗いのような簡単なことを徹底するだけで感染症のリスクは減り、多くの命を救うことができます。今回のウガンダ滞在を通して、ビジネスの世界も同じであると感じました。例えば、簡単な会計仕分けや記帳が徹底していないことから現金が紛失しても気付けないクリニックが多くありましたが、その解決のためには高度な知識が必要なわけではありません。ほんの少しの改善で経営は良くなりえます。手洗いで救える命があるように、ほんの少しのビジネスの力で多くの非営利企業や新興国企業の手助けができるのだと思いました。このようにMBAの力を必要としている組織は世界中に沢山あるのだと思います。Social Entrepreneurshipに興味を持つMBA学生は年々増えていると言われていますが、かくいう私もその一人です。今回の経験を通じて、ビジネスの力をどのように活用できるのかについて、少しだけですがヒントが見えたような気がします。

最後になりますが、ウガンダでの2週間は最高に楽しかったです!!濃い時間を共に過ごしたチームメートはかけがえのない友人です。チームメートは皆、Social Entrepreneurshipや国際開発など、似たような志を持っています。このFriendshipが将来どのように発展していくか、今から楽しみでなりません。

 


Marketing Strategy

2016-04-10 02:18:59 | 授業紹介

こんにちは、一年生のKNです。

今回は、普段の授業から一つケースをご紹介します。と言いますのも、何かとGATEやFCCPなどプロジェクトもののプログラムが関心に登りますが、学校生活の大部分を占めるのはもちろん通常の授業です。充実したGeneral Management科目の一端と、授業の雰囲気を少しでも皆様に感じてほしいと考えたためです。

さて、今回は選択科目であるMarketing Strategy(Spring2, Christine Moorman教授)を取り上げます。

扱う内容は、科目名の通り「戦術的」なマーケティングの手法よりも、企業の置かれている立場をビジネスモデルから俯瞰し、マーケティングを切り口としていかに企業戦略を考えるか、という点に重きが置かれています。

先日は、アメリカにおけるある小売業において、「いかにMillennialの来店、又はウェブサイトへのアクセスを増やすか」というお題が与えられました。Millennialというのは1980~2000年ごろに生まれた、幼い頃からインターネットに親しみのある世代を指します。

このケースでは、以下のようないくつかの特徴がありました。

1. ケースが現在進行形の課題を取り上げている

 通常、ケースというと過去に実際にあった意思決定に焦点を当て、その妥当性の検討を行いながら知識の獲得・運用を行うものが多数です。しかしながら、今回のケースは実際にその企業から最新の情報が提供され、与えられた課題も現在直面しているものです。そのため、明確な答えがないのはもちろんのこと、結果すら明らかではありません。ケースの分析や解説は、ともすると単なる結果論にもなりかねませんが、今回は小売業という身近な企業のon-goingな課題ということで、他のケースよりも「手触り感」を持って取り組むことができました。

2. ケースに対するアプローチの仕方がユニーク

 次なる特徴として、ケースに対するアプローチも今回は変わっていました。通常、ケースでは全員が同じ情報を持っていることを担保するため、与えられた情報以外にアクセスすることは基本的に許されていません。他方で、今回は「ネット検索による情報収集」「実際のMillennialへのインタビュー」「店舗訪問」が許されるどころか奨励され、そういった生の情報を元に課題に取り組むこととなりました。さらには、集めた情報を昇華させ、実際の解決策を編み出す方法を学ぶため、デザイン・コンサルティングのIDEOのディレクターを授業に招聘し、直にそういった課題解決の手法を学びました。

これら、情報収集・IDEOとのセッション・解決策の立案もすべてチームでのディスカッションとして取り組んでいます。最近注目されることの多いデザイン・シンキングについて、その手法を現役のコンサルタントから学べたことは、(もちろん再現できるかということはありますが)貴重な経験でした。

3. 成果物は対象企業へのプレゼンテーション

 最後は、取り組んだ課題に対する解決策をスライドにまとめて提出しますが、指定されたチームは授業でプレゼンテーションを行いました。そこには、題材となった小売業のマネジメントがスカイプで参加をし、実際のプレゼンテーションを聞いた上でフィードバックや質問をしてくれました。和やかな雰囲気ながらも、相手は実際にその課題に取り組んでいる張本人。提案された解決策の実行方法や実効性について、的確な質問が飛ぶ場面もありました。単なる意思決定の後追いだけに留まらない、ダイナミックな経験をこの授業を通じて得られたように思います。

 私自身の学びとしては、正直なところMillennialの中でもどういった層が当該小売業に興味があるか、どんな競合他社がいるのか直観的につかめなかったところがあり、議論でもかなり苦戦しました。他方で、様々なリサーチや分析を通じて、日本とアメリカの違いはあっても、ネットに親しみのある若者の消費行動は両国で似通っていることが見てとれました。今回の議論やアプローチは今後の私自身のキャリアにおいても、振り返って活かすことができるように感じています。