マディソン郡の橋
cast >> Clint Eastwood, Meryl Streep, Annie Corley, Victor Slezak, Jim Haynie, Kyle Eastwood ...
producer / director >> Clint Eastwood(134min)
music >> Lennie Niehaus
soundtrack>>
たった4日間の恋に “永遠” を見出した中年の男女の愛を描いた、切なくも深い大人のラブ・ストーリー。原作は、世界中でベストセラーとなったロバート・ジェームス・ウォーラーの同名小説。映画化の争奪戦が繰り広げられ、監督や主演の候補に様々な名前が挙がり、一時はスティーヴン・スピルバーグ( filmography )が監督とも報じられたが、結局、監督・製作・主演の3役兼任で、クリント・イーストウッドが映画化。S・スピルバーグ主宰のアンブリン・エンタテイメントとC・イーストウッドのプロダクション、マルパソ・カンパニーの共同製作。
1989年 冬 ーーー フランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ filmography )の葬儀を出すために集まった長男のマイケル(ヴィクター・スレザック "Just Cause" )と妹のキャロリン(アニー・コーレイ "MONSTER" )は、母の遺書に「死んだら火葬にしてほしい」とあるのに当惑し、彼らに宛てた母の手紙と日記を読み始める・・・。
1965年 秋、アイオワ州マディソン郡の片田舎 ーーー 農場主の妻フランチェスカは夫と二人の子供に囲まれ、平凡な主婦として静かで穏やかな毎日を送っていた。そんなある日、夫のリチャード(ジム・ヘイニー "Pretty In Pink" )が子供二人を連れてイリノイ州の品評会に出かけ、彼女は「4日間」自分だけの時間を過ごすことに。新鮮で開放的な気分になった彼女の前に、ある男が道を尋ねにやって来た。その男はプロ・カメラマンのロバート・キンケイド(C・イーストウッド filmography )で、珍しい屋根のある “ローズマン・ブリッジ” を撮影しに来たという。その “橋” までの道案内に、ロバートの車に同乗したフランチェスカ。こうして “ふたり” にとっての “永遠の4日間” がはじまった・・・・・。
イーストウッド扮するカメラマンが撮影にきた7つの “カヴァード・ブリッジ(屋根つきの橋)” は、100年以上も昔に架けられた歴史的建造物で、別名 'Kissing Bridge' と呼ばれるデート・スポット。残念ながらそのうちの1つは、撮影の10年ほど前に火事で焼失したらしい。現地の「廃屋」に手を入れて造られた “フランチェスカの家” は、全米のみならず世界各国から多くの見学者が訪れる観光スポットとなっており、この珠玉のラブ・ストーリーを、たった「42日間」で撮り終えたイーストウッドの、いつもながらの手腕にも脱帽 ーーー。
イーストウッドが本作の相手役を誰にしようか考えていたところ、彼の母親が「この役は若い女優さんじゃダメね。M・ストリープなんかどうかしら?」と提案された(さすが!)と、自らのドキュメンタリー "Clint Eastwood: Out Of The Shadows" で語っている。この「特別版」には『メイキング:永遠のラブ・ストーリー』という特典が収録されており、ドキュメンタリーに続きM・ストリープが「俳優」「監督」としてのイーストウッドについて語っているのも見逃せない。
たった一度しかない人生・・・「正しいこと」でなかったとしても、最期まで胸に秘めた “想い” を貫いたこのふたりを、私はこの上なく “純粋” で “美しい” と思う。身を引き裂かれるような「選択」をせざるを得なかった、彼らの判断は「正しかった」と思う。辛い決断をしたからこそ、最期までやり遂げたからこそ、永遠に色褪せることのない素晴らしい愛を手に入れることができたと思うから ーーー。
よく練られた脚本、巧みな演出、役者としてのイーストウッドの中に常に横たわっている反逆的な男の浪漫と孤独感 ーーー。どれをとっても秀逸。ちなみに全編に Jazz が流れていますが、ふたりが出かけた隣町のジャズ・バーで演奏している 'James River Band' のベースはイーストウッドの息子カイル( "Honkytonk Man" ← 出演 "GRAN TORINO" "Letters From Iwo Jima" ← 音楽担当)。そして "For All We Know" など、切なくも美しいジョニー・ハートマンのヴォーカルが胸に響きます・・・。
ーーー “生涯に一度の恋” という奇跡がめぐってきたら、あなたはどうしますか?