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カリフォルニアで水素発電所の計画

2006-02-20 | 水素
BPとEdison Mission Group(電力会社)が水素を燃料に50万kWのガスタービン発電所をカリフォルニアに建設すると発表した。投資額は1b$です。

水素はどこから調達するかといえば石油コークスのガス化による。石油コークスはBPのCarson製油所で年産120万トン生産されているので、それを含めて近隣の製油所から集める予定だ。石油コークスは石油系残油(アスファルト)を熱分解して作られる。というわけで水素の大元は石油になります。ガス化した際の副生CO2を分離して、油井に圧入することでCO2を永久的に地中に閉じ込めると同時に、油井の圧力が上がるので、原油生産量が上がるという効果を狙っています。油井の候補としてはOccidenntal Petroleumがあがっている。

水素で発電という題目ですが、むしろ分離したCO2を如何に地下貯蔵(それも半永久的に)ということがこのPJのポイントと思われる。

このプロジェクトにより建設時の雇用1000人と運転のための永久雇用150人が新たに生まれる。2006年に技術と経済性のFS調査、2008年に投資を決定して、2011年には完成・運転の計画です。

このPJは石油コークス->ガス化->H2/CO2分離->ガスタービン発電です。
最終的に電力を得るわけですから、既存技術で言えば
(1)石油コークス->コークスボイラー・発電->CO2分離
(2)石油コークス->ガス化->ガスタービン発電->CO2分離
などと競合します。(1)は石油コークスを石炭に置き換えてもよいので、いわゆる石炭火力発電所になります。(2)はイーグルプロジェクトとして日本国内でも取り組まれています。
技術的にはH2/CO2ガスの分離と燃焼ガスからのCO2分離はどちらがよいでしょうか、という比較のPJと思われる。

一見して分かるとおり、(1)に比べて経済性がおとる。そこでBPのプロジェクトは新しいガス化技術として連邦政府より、州の電力供給安定化への寄与、の二つの面からIncentive(日本流に言えば補助金)を与えられるようだ。

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