道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

円山応挙展(三井記念美術館・中央区日本橋室町)

2010年11月17日 | 美術道楽
日本橋の三越前駅直結の位置にある三井記念美術館で開催中の円山応挙展に行きました。
京都に住んでおりましたころは日本美術にも関心のあった道楽ねずみも,最近は西洋絵画,しかも現代アートに関心の比重が高まっていますが,さすがに円山応挙という名前を聞きますと,出かけたくなります,

円山応挙の初期の作品から晩年の代表作までを展示しています。

応挙は最初,凸レンズを通して見た姿をもとに,遠近法をことさらに強調して描く眼鏡絵を描くところから,そのキャリアを出発しました。眼鏡絵自体は,オランダから輸入されたものだそうです。その技法から左右対称になった絵もあるようでして,応挙の作品にも金閣寺を描いた左右逆の絵がありました。応挙はまた金比羅宮の作品も残しています。この眼鏡絵の技法は,その後,応挙が飛躍するための基礎となったようです。

そのほか,波濤図,雨竹風竹図屏風,蘭亭曲水図襖,山水図屏風などの作品が展示されています。迫央構図とよばれる,屏風の左隻と右隻との間の中央の空間にあえて何も描かず,巨大な空間を演出するのが応挙の技法ということです

淀川下りをするような視点で,淀川の両岸を川の上下に描き,下の部分は倒立の絵とした「淀川両岸図」も面白かったです。見ている人が,淀川下りを一緒に楽しむことができるような絵です。

そして,最後に三井記念美術館の所蔵する「国宝雪松図屏風」と香住(兵庫県美方郡香美町)にある大乗寺の所蔵する「重要文化財 松に孔雀図襖」が同じ空間で,競演しています。

襖絵につきましては,一つ一つの絵ももちろん素晴らしいのですが,実際に用いられる場所を意識して,本当にうまく演出した絵を描いているようです。どれが奥に置かれ,どれが手前に置かれるか,そして奥の本尊の手前に来るのは何の絵になるのか等々よくよく計算して描かれています。遠近法を学んだ技術が,空間の演出に遺憾なく発揮されています。
やはりこうした襖絵は,実際の寺で見られたらどれだけいいのにと考えてしまいます。

それにしても,所蔵品だけでも三井記念美術館のコレクションはすごいと思います。そもそも,雪松図屏風はそもそも,応挙が三井家のために描いたものだそうです。三井家自体が応挙のパトロンで,代々円山派と深い関係があり,円山派で絵を学んだ三井家の当主(いくつか家があるようですので,宗家の当主かどうかよくわかりませんが。)までいたのだそうですから,三井家が応挙の作品を所蔵しているのは当然といえば当然のことなのですが,その当然であることのすごさに驚きます。
同じく財閥系でも,一代で成り上がった丸の内方面のところとは,歴史の長さも文化の厚みもずいぶんと違うなと実感します。こうした違いが企業のカラーの違いにも連なるのでしょうか,不動産もやはり三井の方がずっとグレードがよさそうだし・・・と最後は財閥系企業の比較からとても俗なことを考えてしまいました。

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2 コメント

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10年前 (のさ)
2010-11-17 12:28:39
京都の国立博物館で没後200年の展覧会があった折に行きました
写生の素描など繊細な線にため息がでた記憶があります
香住の大乗寺は有名ですね
カニを食べに行った時に訪問しました

この三井の展示会は数日前の新聞で感想が書かれていてそれで知りました
流石に三井家ですね
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うらやましいです (フランツ)
2010-11-17 19:08:58
こんばんは。
のささんは香住の大乗寺に行かれたことがあるのですか。

うらやましいです。
兵庫県の北部にこんなにすごい寺があるとは知りませんでした。
いつかでかけてみたいです。
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