中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルアペフ山・タラナキ山登頂記:第4日目(3):ルアペフ山登頂(3)

2014年02月01日 04時45分49秒 | ニュージーランド:ルアペフ・タラナキ

                    <山頂近くの雪渓を登る>

[復刻版]
    ルアペフ山・タラナキ山登頂記:第4日目(3):ルアペフ山登頂(3)

                 (山旅スクール5期同窓生)
        2006年1月27日(金)~2月4日(土)


第3日目;2006年1月30日(月
) 

山頂の絶景

前の記事 ↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d7a04b6e9a83ea612f6f5d4fda6c15ca

<ルート地図>

登山ルート

※再掲

山頂周辺地図                      


<ルアペフ山山頂>

■ルアペフ山山頂に到着
 小休止の後,12時11分,再び歩き出す.
 少しばかり下って雪渓を渡る.そこからまた暫くの間,登り続ける.相変わらず雲に覆われていて眺望が全くない状態が続く.
 12時33分,霧の中,ルアペフ山の山頂,ドームピーク(標高2,672メートル;私の高度計では2,615m)に到着する.
 山頂はなだらかな丘陵になっている.日本の山とは違って,山頂を示す掲示番や神社のようなものは何一つない.ただ,目印と思われる小さな杭が立っているだけである.とはいえ,ここはニュージーランド北島の最高峰である.
 各自思い思いに杭の脇に立って記念写真を撮り合う.
 
<ルアペフ山山頂の小さな標識>                                       <避難小屋>

■シェルターの床下でランチ
  山頂は冷たい風が吹いていて,とにかく寒い.
 山頂を越えてほんの少し下ったところに,建っている小さなシェルターが濃い霧の中でぼんやりと見えている.
 ガイドがシェルターの方へ移動するように私達を促す.しかし,このシェルターの中は沢山の機材で一杯である.わずかに空いているスペースも,3人程度しか入れない.
 私達は仕方なく小屋の床下に潜り込む.ここに入れば冷たい風が入ってこないので,ユックリと昼食を楽しむことができる.実際,床下は結構暖かい.
  ガイドが,
  「特段急ぐ旅ではないし,時間に余裕があるので,ここで暫く休憩しよう。その内に天候が回復するかもしれない・・」
という.
 「それでは…」
ということで,私たちはゆっくりと腰を落ち着けて,ランチボックスを取り出す.
 ランチボックスの中から大きなサンドイッチが出てくる.柔らかいパンに沢山の野菜が挟み込まれている.私は野菜タップリのサンドイッチに大満足である.
 とはいえ,このサンドイッチ,美味しいのは良いが,いかにもでかくて量が多すぎる.半分も食べない内に満腹になってしまう.
 食事をしながらお互いにノンビリと雑談を楽しむ.

 
<避難小屋の下に潜り込む>                                            <ランチボックス;分厚いサンドイッチ>

<山頂の絶景>

■霧が晴れる 
 13時を過ぎた頃,空が急に明るくなり出す.
 13時05分,突然,左手,つまり東側に聳える山の頂が見えだす.
 雲間に浮かぶ三角形の山頂が青い空に囲まれ,雲の額縁に飾られた絵のように浮き出して見え始める.
 皆,歓喜の声を上げる.
 素晴らしい光景である.
 私たちは,夢中になってカメラのシャッターを押す.
 地図で照合すると,この三角の山はテヘウヘウ山(Te Heuheu;標高2,732m)らしい.

<霧の中からテヘウヘウ山が忽然と現れる>

山頂付近を散策
 霧が少し晴れたので山頂付近を散策する.
 ドームピークからガレた斜面を少し下ってみる.振り返ると避難小屋と小屋の付近で休憩を取っている登山客の姿が見える.
 向かって左側の斜面(西側になるのかな)には,まだ雪渓が残っている.
 余りしたまで降りてしまうと,帰りのの登りが辛いし,皆さんが心配するかもしれないので,ほどほどのところで立ち止まって,山頂を見上げたスケッチ(ボールペン画)を描く.

<山頂付近を散策>

■カセドラルロック
 雲が湧いたり消えたりしながらも,視界がさらに開けてくる.続いてすぐ右手,つまり南南東に聳えるゴツゴツとしたカセドラルロックス(Cathedral Rocks;標高2,663メートル)も見え始める.
 13時14分,,眼下の雲がとれて,テヘウヘウ山とカセドラルピークに囲まれ,一面の残雪に覆われた広大な平原が眼下に広がっているのが見え始める.旧火口原である.何とも荒ましく凄い光景である.
 写真では,どうも実感が出ないので,またまたボールペンを使ってスケッチを画く.下の絵の右側に聳えているのがカセドラルロックである.
 私はスケッチをしながら,いつの日にか,これらのスケッチ画を.30~40号程度の大きさの水彩画にしたいなと思っている.

<霧が晴れてカセドラルロックが姿を現す>

■集合写真
 まだ分厚い雲が上空を覆っているが,素晴らしい火口原をバックに登頂記念の集合写真を撮ろうということになる.
 前列の黄色い帽子を被っている女性がアルパインツアー社のツアーリーダーである.その他の方々はお二人を除いて全員が山旅スクール5期生である,なお残りのお二人の内,お一人は私たちと一緒にモンブラン山に登られた方,もう一人は山旅スクール同期生のご主人である.

<山頂で記念写真>

■サミットプラトー
 テヘウヘウ山の北側から,私達が立っているドームピークまで,サミットプラトー(Summit Plateau)と呼ばれるリムが,火口原をぐるりと取り囲むように聳えている.
 白い雪原の彼方,テヘウヘウ山の麓に,まるでラクダが隊列を組んでいるような岩列が,雪原の中に並んでいる.
 私のモヤモヤ気分は,この一瞬の光景を見ただけで,いっぺんに雲散霧消,帳消しにしても,なお余りがある気分である,とにかく大満足である.
 ガイドが,
 「反対側も見なさい・・・」
と私達を促す.
 尾根の反対側を覗くと,南側にごつごつとしたピラミッドピーク(Pyramid Peak;標高不明)が聳えている.ここから右手,つまり北をぐるりと廻って,私達の立っているドームピークに達っするリムがタフラングル山脈である.

<サミットプラトーとカセドラルロック>

■クレーター湖
 眼下には丸いクレーター湖が見えている.
 クレーター湖の水は土色で,表面から湯気がゆらゆらと立ち上っている.
 ガイドの説明によると,この湖の水深は90メートル,表面の水温は平均24℃だという.
 「ちょっと温いが,丁度良い湯加減ですね・・・」
と誰かが冗談を言う.
 「ハ,ハ,ハ・・・でも,この湖の水は強い酸性ですよ。入ったらトロトロに溶けちゃうよ・・・」
とガイドが答える.

<クレーター湖(火口湖)>


<クレーター湖全景>

<リフト駅まで下山>

■下山開始
 ルアペフ山ドームピークで素晴らしい風景を堪能した私達は,13時43分に山頂を出発して帰途につく.
 山頂から少し下ったところに横たわる雪渓を渡り,プラトーに沿って再び坂を登り返す.
 先ほど登ってきた山道への下山口を通りすぎで,そのままプラトーに沿って先へ進む.そして,東側の谷筋を下り始める.
  下山してから100メートルほど下った標高2,500メートル地点から,大きな雪渓の中に入り込む.かなり急傾斜の雪渓である.キックステップを繰り返しながら標高差で100メートルほど下った地点で,ガイドから雨具のズボンを履くように勧められる.この辺りから暫くの間,お尻制動で雪渓を滑り降りようとガイドが提案する.
  タラナキ山の雪渓をお尻で滑ったら,折角のゴアテックスの雨具が痛むな・・・と躊躇するが,日本の山域では,これほど大きな雪渓には,めったにお目にかかれない.
 すぐに,
 “ゴアテックスの1枚や2枚,どうなったって構わない・・・”
と気分が大らかになる.

<プラトーに沿って>

爽快な尻制動滑走
 雨具のズボンを着終わった人達から順次お滑りを開始する.私達のグループ以外にも,私達とほぼ同じ人数の外国人グループも一緒になって滑り始める.
 滑るほどに加速されて,結構スリルがある.外国人女性が「キャーキャー」と奇声を上げながら私の脇を滑っている.お尻を浮かせるようにして,リュックを直接雪渓に接するようにすると,抵抗が小さくなるためか,余計に加速する.これが結構楽しい.
 年甲斐もなく興奮しながら,どこまでも滑り降りる.まことに痛快である.
 結局,標高差約200メートル,滑走距離約600メートルを一気にお尻制動で滑り降りたことになる.

<数百メートルを一気に滑り降りる;気分最高>

雪渓で休憩
 その後は,露岩帯の合間に続く雪渓を下り続ける.この辺りまで降りてくると,少し狭い谷間に入り込む.冬場はゲレンデになるようである.途中で外人パーティを引率するガイドが,私達のガイドに,
 「そちらのルートは危ないよ・・・」
と大声で注意している.
 しかし,私達のガイド頭は,その注意を無視して,先頭のガイドに,
 「・・・構わず先へ進め・・・」
と指示をする.
 多少,英語の分かる私は,このやり取りを聞いていて,少し心配になるが,
 「まあ・・・ガイドが,そう判断したんだから,大丈夫だろう・・」
と自分を言い聞かせて,先頭のガイドに従う.
 フクロウ,バーダー,私の順に,ガイドの後ろにピッタリと付いたまま,かなり急速で下山を続ける.
 そのとき,後ろの方では,どなたかがガイド頭から,キックステップの実地訓練を受けていたらしい.

<外国人に混じって雪渓で休憩>

<リフトを乗り継ぐ>

リフト乗場が見る
 14時40分.先頭グループは川筋に出る.
 ここから暫くの間は,この川に沿って下り,東の方にトラバースする.この辺りからゴツゴツとした露岩帯になる.
 やがて,霧の彼方にリフト乗り場が見え始める.
 14時56分,私達はリフト乗り場に到着する.リフト乗り場では,ガイド頭が,まるで自分のリフトを扱うように,リフトの電源を自分で勝手に操作している.乗車券の検札もしない.
 14時58分,1組4~5人ずつリフトに乗り込む.リフトが動き始めると,歩いているときは,それほど気にならなかった霧雨が,激しく身体に当たる.
 “シマッタ! 雨具の上着を着ておけば良かった!”
と後悔する.
 このとき,一昨年の残雪期に北アルプスの五竜岳へ登った帰りに,雨具を着ないまま霧雨の中をリフトで下り,えらく寒くて参ったことを思い出す.

<雪渓を下る>

リフトを乗り継いで無事下山
 15時05分,上のリフトの終点に到着する.
 さらに,15時17分,下のリフトに乗り継ぐ.今度は2人1組で乗り込む.私はスケルトンさんと一緒になる.
 リフトが下るにつれて気温が上昇する.気温が上がるにつれて,だんだんと気分も良くなってくる.
 高度が下がるにつれて,いつの間にか霧が晴れて,眼下の山並みや点在する集落が良く見えるようになる.
 16時02分,下のリフトの下車口に到着する.
 天気が回復して,とても気持ちが良い気温になっている.
 全員が揃うと,ガイド頭が,
 「このままホテルへ帰るのはもったいないので,ロードオブザリングの撮影場所を案内しましょう」
と提案する.もちろん異論などない.

<リフトを乗り継いで下山;中央の二つの建物が乗り継ぎ場所>
                                                             
 (つづく)
次の記事 ↓
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「目次および索引」
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