<山麓に咲く花>
天気予報に惑わされた丹沢:塔ノ岳(今年36回目)
(単独山行)
2008年8月16日(土)
■天気予報に惑わされる
深夜の天気予報では,丹沢方面の今日の予報は,午前中雨,午後から曇であった.そろそろ大倉尾根経由で塔ノ岳を往復しようかと思っていたが,さすがに雨の中を登る気にはならないので,今日はおとなしく家に籠もっていようと思っていた.所が,どうやら台風11号が発生したようである.そのためか,短時間の間に,天気予報が大幅に変わっている.
何時ものように,4時頃起床する.この頃はすっかり朝も遅くなり,4時ではまだ外は真っ暗である.4時半頃になると,東の空が明るくなる.天気予報では,雨の筈なのに,素晴らしい朝焼けである.西の空を眺めると,すっかり晴れ渡っていて,雲ひとつない富士山は裾のまでクッキリと見えている.もう一度,携帯電話で天気予報を確かめる.“今日は日中曇,ただし俄雨が降る可能性がある”とのことである.
「曇!?・・・でも,今,晴れているじゃないか・・・」
俄雨があるかもしれないが,明日,明後日の予報は,今日よりさらに悪い.予報が当たるか当たらないか分からないが・・・ならば,今日,塔ノ岳を往復してしまおう.
<今朝の朝焼け> <早朝の富士山>
■相変わらず残暑が厳しい
藤沢から小田急にのり渋沢へ.何時ものとおり渋沢7時16分発大倉行バス(通称2番バス)に乗車する.今日は土曜日.何時もならかなり沢山の登山客が乗るはずなのに,今日はほんの数名しか乗っていない.多分,あの天気予報を見た方々が,塔ノ岳へ登る予定を中止したからだと思われる.
大倉バス停は閑散としている.同じバスに乗っていた登山客の半数は,鍋割山方面へ出発する.私も軽くストレッチをしてから,7時34分に大倉から歩き出す.
相変わらず残暑が厳しい.予報では曇の筈だが,良く晴れ渡っていて,日光がジリジリと,背中の方から照りつける.道路は乾いている.私は今日の自分の体調を把握するために,自重しながら登り始める.杉林の中に入ると,林の中に貯まっていた「もわ~」とした熱気が,身体に付きまとってくるような感じになる.木の枝の間をすり抜けた日光が,登山道に斑模様の木の陰を写し出している.
余りに暑いためかどうか分からないが,付きまとってくる蚊やブヨの数は,それ程多くない.
■だんだんと雲が出てくる
7時54分に観音茶屋を通過する.ラップタイムは,前回(8月13日)より,やや遅いようである.まあこんなものかと思いながら,無理をしないように気を付けて登り続ける.8時08分に雑事場ノ平を通過する.ベンチには,どこかの小屋の方が大きな荷物を置いて休んでいる.
見晴茶屋を過ぎて,長い登り階段に差し掛かる.2人の老人男性が,杖を突きながら,階段の中腹を超ユックリの速度で登っているのが見える.
辺りの森の中で,小鳥が盛んに囀っているのが聞こえてくる.
8時25分に一本松を通過する.そして尾根道に出る.いくらか涼しくなるが,何時の間にか,辺り一面に雲が湧き始めている.風が無いので,太陽で暖められた地表の空気が山に沿って上昇気流となって昇る.やがて標高の高い所で気温が下がり,水蒸気が水滴に変わり雲になる・・・分かってはいるが,眺望が利かなくなるのが残念である.
<富士山:堀山の尾根からの眺望>
■堀山ノ家までの所要時間が1時間を越える
8時37分に駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間03分経過している.今日も1時間が切れない.この調子だと,山頂までに所要時間は2時間25分前後だと確信する.
気が付くと,私の廻りには,全く登山者の姿がない.今のところ,全くの1人旅である.
堀山の尾根を,やや歩行速度を上げて歩く.富士山が良く見える定点観測地点に差し掛かる.朝の内,良く見えていた富士山は,半ば雲の中である.この分だと,山頂に到着する頃には,富士山は雲に隠れて,全く見えなくなるにちがいない.
8時54分に小草平,堀山ノ家を通過する.ベンチでは,大学生ぐらいの若い男性,数名が休憩を取っている.私が近付くと一斉に挨拶をする.ハキハキとしていて気分がよい.
<今日の萱場平:暑いので森の中で休憩している人が多い>
■誰も居ない花立山荘
9時12分に萱場平を通過する.何時ものように定点観測の写真を撮る.萱場平では,これから登るのか,それとも下る途中なのか良く分からないが,沢山の登山客が休憩を取っている.
私は,そのまま,花立山荘へ向けて歩き続ける.相変わらず蒸し暑いので,あまり速度を上げずに,慎重に登り続ける.
花立山荘前の長い階段が始まる手前の大きな岩の所で,何時もの修行僧とすれ違う.前回の山行(8月13日)で,すれ違った場所より100メートルほど下である.それだけ,今日の私は登攀速度が遅いのだろう.
9時33分に花立山荘を通過する.ベンチには誰も居ない.辺りには全く人気がない.
<「氷」の旗が掲げられた花立山荘:下山時に撮影>
※登りで通過したときは,まだ開店していなかった.
■雲の中の富士山
9時35分に花立場を通過する.太平洋側は,一面に霧が立ち込めて,眺望は全く効かないが,鍋割山,蛭が岳方面は,霧もなく良く見えている.
9時44分に金冷シを通過する.最初の長い登り坂で,前方を歩いている登山者の姿が見える.登り坂を過ぎて,木道を過ぎる頃,登山者に追いつく.ご常連の女性である.
「暑いですね・・・済みません,先に行かせて貰います・・」
と挨拶して追い越させて頂く.
9時58分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉バス停からの所要時間は,途中で予想した通りで,2時間24分.前回より余計に時間が掛かっているが,まあ,こんなものだろう.
ほんの2~3人の登山客が山頂で休憩を取っている.土曜日にしては,随分と少ない.
辺りは夏雲に覆われていて,殆ど眺望が利かない.肝心の富士山も雲の中である.
■尊仏山荘
山頂で,冷たい微風に,しばらく当たってから,尊仏山荘に入る.先客は誰も居ない.小屋番も不在である.少々戸惑うが,構わず中に入って,席に座る.すると,奥の方から,小屋番のOさんが,ノッソリと現れる.定番のお茶を所望する.
10時現在の山頂の気温は+24.7℃.随分,高温である.私は,
「今日の2番バス.登山客はほんの数人でしたよ・・・」
と報告する.
「今日は天気予報が悪かったんで・・・登るのを控えた人が多いんでしょうね・・・」
どこからともなく,営業部長がノンビリと顔を出す.Oさんが小屋番のときは,ネコもノンビリ,ゆったりとしている.私の目の前で正座をする.可愛いので,何枚か,写真を撮る.
「これまで,何100枚も,お前さんの写真を撮ったよ・・・」
と言うと,Oさんが,
「・・・写真集でも出してくださいよ・・・」
という.そういわれても,写真集を出すとなると100万,200万の資金が必要になる.
「大金がないと,(本を出すなんて)無理ですよ」
と答える.するとOさんは,
「・・・最近,安くできるようになりましたよ.1冊4000円も出すと立派な写真集が出来ますよ」
私は,少なくとも1000部単位で市販本を出すことを前提に話をしていたが,Oさんの趣旨は,自分用に数冊作ることを前提にしていたようである.
やがて,先ほど追い越したご常連の女性が,尊仏山荘に到着する.
話題は北アルプス表銀座,浅間山などに移る.
突然,山荘の2階から,ゴロゴロと雷のような音が聞こえてくる.
「ネコですよ・・・ネコがイタズラしているんです」
とOさんが説明する.
今日は営業部長にも会えたし,そろそろ下山する潮時かなと思う.
<ご機嫌な営業部長>
■ノンビリと下る
今日の天気予報は,午後から次第に天気は悪化するようである.そういえば西の空に,積雲が出来はじめている.余り長居はしない方が良さそうである.
10時26分に,下山を開始する.今日は,12時40分のバスに乗ろうと思う.バスの時間に合わせて,ユックリ下ることにする.山頂付近で,鹿が1頭,ノンビリと草をはんでいる.なかなか絵になる風景である.
山頂直下の急な階段を下る.三々五々,山頂を目指す登山者とすれ違う.階段を下り終えて,次の下り階段の手前のなだらかな尾根で,丁度登ってきた尊仏山荘のオーナー,Hさんとすれ違う.Hさんはご常連と思われる男性と一緒である.
「いや~ぁ・・・今日は暑くて,ヘロヘロですよ・・・」
とHさんが私に話しかける.
「今日も暑かったですね.私も,今日は,2時間20分を切ることができなかったです」
と報告する.すると,もう一人の男性が,
「先ほど,貴方に追い越されましたよ・・・もう降りてきたんですか」
と言う.私は,この男性を追い越した記憶はないが,どこかで追い越したのであろう.
<鹿がノンビリの塔ノ岳山頂>
■ご常連「K大のNさん」
10時40分,金冷シを通過する.少し天候が回復して,雲間に周囲の山が見え始める.登山道の脇には,名前が良く分からないが,黄色い花が沢山咲いている.
10時44分,花立場の木道を歩いていると,前方から見覚えのある帽子が歩いてくる.ご常連のK大のNさんである.ほぼ2ヶ月ぶりの再会である.
「やあ,こんにちは・・・ペルーへ行って来られましたか?」
とNさんが私に聞く.
ここで,5分ほど立ち話をする.
話をしている内に,Nさんは,私と同じ2番バスに乗って居られたとのことである.
「とにかく,暑いので,何時もより30分ほど余計に時間を掛けて登ってきました・・」
Nさんと再会を約して,お別れする.
<山麓に咲く花:観音茶屋付近> <山麓に咲く花:登山口付近>
■むせるような暑さ
その後,予定のバスに乗り遅れないように,時計を見ながら,ノンビリと下る.
今日は土曜日のためか,随分沢山の若い人達の集団とすれ違う.また,土日の登山客を当て込んでか,何人もの荷揚げの人達と,すれ違う.
ちなみに,今日,私の下山時に開店していた山小屋は,上から順に,花立山荘,堀山ノ家,見晴山荘の3箇所であった.駒止茶屋と観音茶屋は閉店したまま.花立山荘には「氷水」の看板が出ていた.
一本松を過ぎる辺りから,濃緑の森林の中を,むせるような蒸し暑さ耐えながら下り続ける.
12時36分,予定通り,大倉バス停に到着する.下りの所要時間は2時間10分.
小田急電鉄で相模大野に到着すると,丁度,13時53分発の特急「えのしま55号」が入線する所である.300円也の特急券を購入して,特急に乗車する.300円も出したのでは,JRを使わずに,何のために,小田急のフリーキップを使ったか分からなくなる.
[ラップタイム]
7:34 大倉歩き出し
7:39 登山口
7:47 丹沢ベース
7:54 観音茶屋
7:59 分岐
8:08 雑事場ノ平
8:10 見晴茶屋
8:25 一本松
8:37 駒止茶屋
8:47 堀山
8:54 堀山ノ家
9:10 戸沢分岐
9:12 萱場平
9:33 花立山荘
9:44 金冷シ
9:58 塔ノ岳山頂 着
======================================
10:26 塔ノ岳山頂 発(+24.7℃)
10:40 金冷シ
10:54 花立山荘
11:11 萱場平
11:13 戸沢分岐
11:26 堀山ノ家
11:35 堀山
11:43 駒止茶屋
11:53 一本松
12:04 見晴茶屋
12:06 雑事場ノ平
12:13 分岐
12:16 観音茶屋
12:22 丹沢ベース
12:29 登山口
12:36 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km
■登攀所要時間
大倉発 7:34
塔ノ岳山頂着 9:58
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1,201m/2.40h=500.4m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:26
大倉着 12:36
(所要時間) 2時間10分(2.17)
下降速度
1,201m/2.17h=553.4m/h
(おわり)
前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f2f219b131ad17d01220d337ab06c384
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天気予報に惑わされた丹沢:塔ノ岳(今年36回目)
(単独山行)
2008年8月16日(土)
■天気予報に惑わされる
深夜の天気予報では,丹沢方面の今日の予報は,午前中雨,午後から曇であった.そろそろ大倉尾根経由で塔ノ岳を往復しようかと思っていたが,さすがに雨の中を登る気にはならないので,今日はおとなしく家に籠もっていようと思っていた.所が,どうやら台風11号が発生したようである.そのためか,短時間の間に,天気予報が大幅に変わっている.
何時ものように,4時頃起床する.この頃はすっかり朝も遅くなり,4時ではまだ外は真っ暗である.4時半頃になると,東の空が明るくなる.天気予報では,雨の筈なのに,素晴らしい朝焼けである.西の空を眺めると,すっかり晴れ渡っていて,雲ひとつない富士山は裾のまでクッキリと見えている.もう一度,携帯電話で天気予報を確かめる.“今日は日中曇,ただし俄雨が降る可能性がある”とのことである.
「曇!?・・・でも,今,晴れているじゃないか・・・」
俄雨があるかもしれないが,明日,明後日の予報は,今日よりさらに悪い.予報が当たるか当たらないか分からないが・・・ならば,今日,塔ノ岳を往復してしまおう.
<今朝の朝焼け> <早朝の富士山>
■相変わらず残暑が厳しい
藤沢から小田急にのり渋沢へ.何時ものとおり渋沢7時16分発大倉行バス(通称2番バス)に乗車する.今日は土曜日.何時もならかなり沢山の登山客が乗るはずなのに,今日はほんの数名しか乗っていない.多分,あの天気予報を見た方々が,塔ノ岳へ登る予定を中止したからだと思われる.
大倉バス停は閑散としている.同じバスに乗っていた登山客の半数は,鍋割山方面へ出発する.私も軽くストレッチをしてから,7時34分に大倉から歩き出す.
相変わらず残暑が厳しい.予報では曇の筈だが,良く晴れ渡っていて,日光がジリジリと,背中の方から照りつける.道路は乾いている.私は今日の自分の体調を把握するために,自重しながら登り始める.杉林の中に入ると,林の中に貯まっていた「もわ~」とした熱気が,身体に付きまとってくるような感じになる.木の枝の間をすり抜けた日光が,登山道に斑模様の木の陰を写し出している.
余りに暑いためかどうか分からないが,付きまとってくる蚊やブヨの数は,それ程多くない.
■だんだんと雲が出てくる
7時54分に観音茶屋を通過する.ラップタイムは,前回(8月13日)より,やや遅いようである.まあこんなものかと思いながら,無理をしないように気を付けて登り続ける.8時08分に雑事場ノ平を通過する.ベンチには,どこかの小屋の方が大きな荷物を置いて休んでいる.
見晴茶屋を過ぎて,長い登り階段に差し掛かる.2人の老人男性が,杖を突きながら,階段の中腹を超ユックリの速度で登っているのが見える.
辺りの森の中で,小鳥が盛んに囀っているのが聞こえてくる.
8時25分に一本松を通過する.そして尾根道に出る.いくらか涼しくなるが,何時の間にか,辺り一面に雲が湧き始めている.風が無いので,太陽で暖められた地表の空気が山に沿って上昇気流となって昇る.やがて標高の高い所で気温が下がり,水蒸気が水滴に変わり雲になる・・・分かってはいるが,眺望が利かなくなるのが残念である.
<富士山:堀山の尾根からの眺望>
■堀山ノ家までの所要時間が1時間を越える
8時37分に駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間03分経過している.今日も1時間が切れない.この調子だと,山頂までに所要時間は2時間25分前後だと確信する.
気が付くと,私の廻りには,全く登山者の姿がない.今のところ,全くの1人旅である.
堀山の尾根を,やや歩行速度を上げて歩く.富士山が良く見える定点観測地点に差し掛かる.朝の内,良く見えていた富士山は,半ば雲の中である.この分だと,山頂に到着する頃には,富士山は雲に隠れて,全く見えなくなるにちがいない.
8時54分に小草平,堀山ノ家を通過する.ベンチでは,大学生ぐらいの若い男性,数名が休憩を取っている.私が近付くと一斉に挨拶をする.ハキハキとしていて気分がよい.
<今日の萱場平:暑いので森の中で休憩している人が多い>
■誰も居ない花立山荘
9時12分に萱場平を通過する.何時ものように定点観測の写真を撮る.萱場平では,これから登るのか,それとも下る途中なのか良く分からないが,沢山の登山客が休憩を取っている.
私は,そのまま,花立山荘へ向けて歩き続ける.相変わらず蒸し暑いので,あまり速度を上げずに,慎重に登り続ける.
花立山荘前の長い階段が始まる手前の大きな岩の所で,何時もの修行僧とすれ違う.前回の山行(8月13日)で,すれ違った場所より100メートルほど下である.それだけ,今日の私は登攀速度が遅いのだろう.
9時33分に花立山荘を通過する.ベンチには誰も居ない.辺りには全く人気がない.
<「氷」の旗が掲げられた花立山荘:下山時に撮影>
※登りで通過したときは,まだ開店していなかった.
■雲の中の富士山
9時35分に花立場を通過する.太平洋側は,一面に霧が立ち込めて,眺望は全く効かないが,鍋割山,蛭が岳方面は,霧もなく良く見えている.
9時44分に金冷シを通過する.最初の長い登り坂で,前方を歩いている登山者の姿が見える.登り坂を過ぎて,木道を過ぎる頃,登山者に追いつく.ご常連の女性である.
「暑いですね・・・済みません,先に行かせて貰います・・」
と挨拶して追い越させて頂く.
9時58分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉バス停からの所要時間は,途中で予想した通りで,2時間24分.前回より余計に時間が掛かっているが,まあ,こんなものだろう.
ほんの2~3人の登山客が山頂で休憩を取っている.土曜日にしては,随分と少ない.
辺りは夏雲に覆われていて,殆ど眺望が利かない.肝心の富士山も雲の中である.
■尊仏山荘
山頂で,冷たい微風に,しばらく当たってから,尊仏山荘に入る.先客は誰も居ない.小屋番も不在である.少々戸惑うが,構わず中に入って,席に座る.すると,奥の方から,小屋番のOさんが,ノッソリと現れる.定番のお茶を所望する.
10時現在の山頂の気温は+24.7℃.随分,高温である.私は,
「今日の2番バス.登山客はほんの数人でしたよ・・・」
と報告する.
「今日は天気予報が悪かったんで・・・登るのを控えた人が多いんでしょうね・・・」
どこからともなく,営業部長がノンビリと顔を出す.Oさんが小屋番のときは,ネコもノンビリ,ゆったりとしている.私の目の前で正座をする.可愛いので,何枚か,写真を撮る.
「これまで,何100枚も,お前さんの写真を撮ったよ・・・」
と言うと,Oさんが,
「・・・写真集でも出してくださいよ・・・」
という.そういわれても,写真集を出すとなると100万,200万の資金が必要になる.
「大金がないと,(本を出すなんて)無理ですよ」
と答える.するとOさんは,
「・・・最近,安くできるようになりましたよ.1冊4000円も出すと立派な写真集が出来ますよ」
私は,少なくとも1000部単位で市販本を出すことを前提に話をしていたが,Oさんの趣旨は,自分用に数冊作ることを前提にしていたようである.
やがて,先ほど追い越したご常連の女性が,尊仏山荘に到着する.
話題は北アルプス表銀座,浅間山などに移る.
突然,山荘の2階から,ゴロゴロと雷のような音が聞こえてくる.
「ネコですよ・・・ネコがイタズラしているんです」
とOさんが説明する.
今日は営業部長にも会えたし,そろそろ下山する潮時かなと思う.
<ご機嫌な営業部長>
■ノンビリと下る
今日の天気予報は,午後から次第に天気は悪化するようである.そういえば西の空に,積雲が出来はじめている.余り長居はしない方が良さそうである.
10時26分に,下山を開始する.今日は,12時40分のバスに乗ろうと思う.バスの時間に合わせて,ユックリ下ることにする.山頂付近で,鹿が1頭,ノンビリと草をはんでいる.なかなか絵になる風景である.
山頂直下の急な階段を下る.三々五々,山頂を目指す登山者とすれ違う.階段を下り終えて,次の下り階段の手前のなだらかな尾根で,丁度登ってきた尊仏山荘のオーナー,Hさんとすれ違う.Hさんはご常連と思われる男性と一緒である.
「いや~ぁ・・・今日は暑くて,ヘロヘロですよ・・・」
とHさんが私に話しかける.
「今日も暑かったですね.私も,今日は,2時間20分を切ることができなかったです」
と報告する.すると,もう一人の男性が,
「先ほど,貴方に追い越されましたよ・・・もう降りてきたんですか」
と言う.私は,この男性を追い越した記憶はないが,どこかで追い越したのであろう.
<鹿がノンビリの塔ノ岳山頂>
■ご常連「K大のNさん」
10時40分,金冷シを通過する.少し天候が回復して,雲間に周囲の山が見え始める.登山道の脇には,名前が良く分からないが,黄色い花が沢山咲いている.
10時44分,花立場の木道を歩いていると,前方から見覚えのある帽子が歩いてくる.ご常連のK大のNさんである.ほぼ2ヶ月ぶりの再会である.
「やあ,こんにちは・・・ペルーへ行って来られましたか?」
とNさんが私に聞く.
ここで,5分ほど立ち話をする.
話をしている内に,Nさんは,私と同じ2番バスに乗って居られたとのことである.
「とにかく,暑いので,何時もより30分ほど余計に時間を掛けて登ってきました・・」
Nさんと再会を約して,お別れする.
<山麓に咲く花:観音茶屋付近> <山麓に咲く花:登山口付近>
■むせるような暑さ
その後,予定のバスに乗り遅れないように,時計を見ながら,ノンビリと下る.
今日は土曜日のためか,随分沢山の若い人達の集団とすれ違う.また,土日の登山客を当て込んでか,何人もの荷揚げの人達と,すれ違う.
ちなみに,今日,私の下山時に開店していた山小屋は,上から順に,花立山荘,堀山ノ家,見晴山荘の3箇所であった.駒止茶屋と観音茶屋は閉店したまま.花立山荘には「氷水」の看板が出ていた.
一本松を過ぎる辺りから,濃緑の森林の中を,むせるような蒸し暑さ耐えながら下り続ける.
12時36分,予定通り,大倉バス停に到着する.下りの所要時間は2時間10分.
小田急電鉄で相模大野に到着すると,丁度,13時53分発の特急「えのしま55号」が入線する所である.300円也の特急券を購入して,特急に乗車する.300円も出したのでは,JRを使わずに,何のために,小田急のフリーキップを使ったか分からなくなる.
[ラップタイム]
7:34 大倉歩き出し
7:39 登山口
7:47 丹沢ベース
7:54 観音茶屋
7:59 分岐
8:08 雑事場ノ平
8:10 見晴茶屋
8:25 一本松
8:37 駒止茶屋
8:47 堀山
8:54 堀山ノ家
9:10 戸沢分岐
9:12 萱場平
9:33 花立山荘
9:44 金冷シ
9:58 塔ノ岳山頂 着
======================================
10:26 塔ノ岳山頂 発(+24.7℃)
10:40 金冷シ
10:54 花立山荘
11:11 萱場平
11:13 戸沢分岐
11:26 堀山ノ家
11:35 堀山
11:43 駒止茶屋
11:53 一本松
12:04 見晴茶屋
12:06 雑事場ノ平
12:13 分岐
12:16 観音茶屋
12:22 丹沢ベース
12:29 登山口
12:36 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km
■登攀所要時間
大倉発 7:34
塔ノ岳山頂着 9:58
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1,201m/2.40h=500.4m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:26
大倉着 12:36
(所要時間) 2時間10分(2.17)
下降速度
1,201m/2.17h=553.4m/h
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