中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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炎暑の中,体力の限界を自覚する丹沢;塔ノ岳(今年23回目)

2017年07月09日 05時56分29秒 | 丹沢の山旅

                      <緑陰の堀山尾根道>

  炎暑の中,体力の限界を自覚する丹沢;塔ノ岳(今年23回目)
          (単独山行)
   2017年7月8日(土) 曇・猛暑

■バス停大倉から歩き出す
 天気予報で,今日の土曜日は蒸し暑いことは十分承知の上で,いつもの土曜日のように,4時10分に自宅を出発する.まだ今の時期は日が長いので,こんな早い時間でもあたりはもうすっかり明るくなっている.それにまだ早朝なので十分に涼しくて気持ちがよい.
 自宅から山道を下って,約2.5キロメートル離れた大船駅までのんびりと歩く.そして,大船駅5時10分発東海道本線下り初電に乗車する.天気予報では晴れとのことであったが,靄のような雲が空一面にかかっていて何となくうっとうしい.
 小田原から小田急新宿行急行電車に乗り換える.新松田駅手前で富士山と矢倉岳が重なって見えるのを楽しみにしていたが,富士山は雲の中で,矢倉岳しか見えない.ちょっとがっかりである.
 6時11分,渋沢駅に到着する.そして,大倉行きバス停へ…
 今日の一番乗りは常連のYSさんである.
 しばらくすると下り電車が到着する.たちまちのうちにバス待ちの行列が増える.
 大倉行の臨時バスが出る.6時45分に発車.満員である.乗り合わせた常連は,毎日登山のTGさん,三角髭のTDさん,ISIさんなど.
 7時少し前にバスは大倉に到着する.
 気温が何度あるか分からないが,今日は朝から蒸し暑い.
 ”熱中症が怖いな…今日は無理しないぞ…”
と自分に言い聞かせて,7時02分に歩き出す.

■歩き出しから蒸し暑い
 幸いなことに路面は良く乾いている.
 ”これならば,山昼の心配は,まずないな”
 私は,平素から歩き出しの30分ぐらいの間,全く気勢が上がらない.同じバスに乗り合わせた常連さんだけでなく,実にたくさんの登山者に追い抜かれながら,”今日はしんどいな”と思いながら登り続ける.とにかく蒸し暑いのに最初から閉口する.
 今日は飲料水2リットルほどリュックに入れている.ほんのちょっとリュックが重くなっただけなのに,やけにリュックが重く感じる.
 とにかく蒸し暑い.
 わたしは,15分に一回(もっと頻繁だったかな…),ハイドレーションシステムに入れてある飲料水を2~3口ずつ飲みながら登り続ける.
 私は流れるような汗をかかないように注意をしながら登っているが,今日は気温が高いので,どんなに歩行速度を落としても汗が噴き出してくる.
 私は生まれも育ちも信州の高原だったので,もともと蒸し暑い気候は苦手である.でもここ2~3年,特に夏場の登山がしんどくなっている.
 ”やっぱり年のせいかな…そろそろ年貢の納め時かな…”
と思いながら,それこそのろのろペースでやっとこさ登り続ける.
 7時47分,ようやく見晴茶屋に到着する.茶屋前から相模湾方面の眺望が開ける.ちょっと立ち止まってここからの眺望をデジカメに納める.ただどこが水平線なのか,空と海が全く区別がつかない灰色になっている. 
 見晴茶屋はまだ開店していない.

<強い日差しをまともに浴びる見晴茶屋>

■見晴階段
 見晴階段にさしかかる.
 階段下から,坂を見上げながら,いつものように定点観測の写真を撮る.
 今日もたくさんの登山者の後ろ姿が写っている.
 階段道は全くの無風である.どんなにゆっくり登っても体中から汗が噴き出てくる.
 ”こんな状態では,とてもではないが塔ノだけ山頂まで登るのは無理かな…適当なところで下山しよう”
と心に決める.
 熱中症が気になるので,いつも水を口に含みながら,時分でもあきれるほどのノロノロ速度で何とか見晴階段を登り終える.
 モミジ坂に差し掛かる.ここまで来ると気分的に何となく楽になる,あとは何も考えずにひたすら登り続ける.
 ちょうどこのとき,下山してくるKSさんとすれ違う.例によって握手.
 「今日は蒸し暑いですね.山頂もずいぶん暑かったですよ…暑さには十分注意して…」
というアドバイスを受ける.
 相変わらす全く風がない.べとべとした暑い空気が体中にまとわりついている.頭の両側のこめがみから蒸気が噴き出しそうな気分のまま登り続ける.
 8時09分,お孫さんを連れたITさんに追いつく.ITさんは女流韋駄天,素晴らしい方である.
 「あら,FHさん…,お元気そうですね」
と私に話しかける.
 「いやぁ~…,そうでもないですよ.蒸し暑くてヘトヘト,息も絶え絶えです」
と答える.
 「でも…FHさん.今○○歳でしょう!! すごくお元気ですね…」
としきりに感心する.
 いくらへそ曲がりの偏屈爺でも褒められれば悪い気はしない.私は「またお会いしましょう」と挨拶して先に行かせてもらう.
 8時10分,ようやく一本松を通過する.大倉から一本松までの所要時間は1時間08分.この頃は,ここまでの標準時間を1時間と見ているので,13パーセントほど余計に時間がかかっていることになる.


<見晴階段>

■駒止茶屋
 駒止階段に差し掛かる.
 蒸し暑いときは,この階段を上るのもイヤになるが,我慢してゆっくりペースで登り続ける.まさに止まりそうな速度である.
 8時25分,ようやく駒止茶屋に到着する.
 大倉からの所要時間は1時間23分.いつもは1時間15分ぐらいを見積もっているので,10分近くビハインドである.
 ”まあ,いいか,この蒸し暑さでは,遅くてもしょうがないな…”

<駒止茶屋>

■小草平で一休み
 駒止茶屋を過ぎて堀山の尾根道に差し掛かる.
 ここまで登ると気分が晴れる.体の周りのべとべとした空気も少し動くような気がする.それだけでも嬉しい.ここだけは解放された気分で風景を楽しみなあら歩き続ける.
 やがて,富士山がよく見える場所に到着するが,残念ながら今日は雲のために富士山は全く見えない.
 8時35分,堀山の案内杭の前を通過する.ここからしばらくの間は緩やかな下り坂である.
 下り坂の先にある坂道を登り返して,8時43分,小草平にある堀山の家に到着する.ここで常連のHIさん,三角髭のTDと一緒になる.私は平素登山の途中で休憩はあまり取らないが,お二方が休憩を取られるのに釣られて,私も休憩を取る.
 小草平の気温は,堀山の家の温度計によると24℃.やっぱり蒸し暑い.
 大倉から小草平までの所要時間は1時間41分.涼しいときは1時間30分を目安にしているので,蒸し暑さが影響してか,かなり時間が余計にかかっているようである.

<小草平に到着>

■茅場平
 今日の蒸し暑さに参った私は,もう堀山の家で登るのをやめて下山しようかと本気で思う.でも,HIさんが腰を上げて登り始めるのを見て,
 ”まずは,とりあえず茅場平まで登ろうか…”
と思い立つ.
 傍らで休んで居られるTDさんに,
 「もう少し登りませんか…」
とお誘いするが,TDさんは,
 「今日はここで終わりです…」
とのこと.
 8時47分,私も重い腰を上げて登り始める.いつもならば標高が上がるにつれて,少しは涼しくなるはずだが,今日はいっこうにその気配がなく,いつまでも蒸し暑さが続く.私はやけになってずるずると登り続ける.
 もう少しで戸沢分岐というところで,私の後ろから誰かが迫ってくる気配を感じる.次のバスで来られた,俊足のMGさんである.
 9時13分,ようやく茅場平に到着する.ここまで登ると,
 ”花立山荘までもう一息だな…では花立山荘まで登ろう”
という気になる.

<茅場平>

■花立山荘
 茅場平の平坦道は,呼吸を整え,体の疲れをなるべく取るようにゆっくりと歩き続ける.すぐに階段道に差し掛かる.
 ”ここを我慢すれば,すぐに後七分坂(花立階段)だ…あきらめずに登り続けよう”
ということで,ごく低速でとにかく登り続ける.
 階段道が終わってガレ場に入る.後200メートルほどで後七分坂というところで,NMさんが私に追いつく.
 「あら…! FHさん!」
 私は,
 「どうぞお先へ…」
と挨拶.たちまちのうちにNMさんの後ろ姿が遠ざかる.
 やっと,後七分坂に到着する.ちょうどそのとき,次のバスで来られたTTさんが私に追いつく.
 「いやぁ~! 暑いですね.後七分坂はプレッシャーになるので,後15分坂にしましょうよ…」
と戯れ言を言いながら私を追い抜いていく.
 私は7分なんてとんでもない…10分もかけてやっと花立階段を登って,9時52分,ようやく花立山荘に到着する.
 大倉からの所要時間は,実に2時間50分,私の塔ノ岳登頂記録では最低記録である.
 このとき,私はそろそろ私の登山歴も矛を収めるときが来たなと自覚する.
 「やっぱり,寄る年波には逆らえないな…」
と少々寂しい気分になる.

■花立山
 私は,今日は思い切って,花立山荘から下山しようと決心する.
 そろそろ下山しようかと思ったちょうどそのとき,同じバスに乗車していたISIさんが,花立山荘に到着する.
 ISIさんと雑談しているところへ,花立山荘でおなじみの小屋番カナブン氏がひょっこり顔を出す.3人で雑談をしているうちに,私は,
 ”せっかくだから花立山まで登ろう”
という気分になる.
 ISIさんより少し遅れて,花立山荘から歩き出す.
 あいかわらず蒸し暑いが,さすがに花立山荘から先は幾分涼しくなる.ゆっくり歩いていると汗も引っ込んでくる.階段道を登り終えてガレ場に差し掛かる.ここまで登ると気分も晴れる.
 残念ながら富士山は雲の中だが,周囲の山はよく見えている.私は風景を楽しみながら,周囲の写真を撮りまくる.
 10時15分,花立山山頂を通過する.

<花立山山頂からの眺望>

塔ノ岳山頂
 花立山山頂を少し過ぎたところで,下山してくるTGさんとすれ違う.
 ”私がいくら遅いと言っても,これだけ差がついたか…”
と時分でもびっくりする.
 ”やっぱり,オレは塔ノだけ引退を考えた方がいいかな…”
とペスミスティックになる.
 続いて,馬ノ背の下り階段のところで,下山してくるMGさんとYSさんの2人とすれ違う.
 「なんだ! (FHが)遅いから,花立山荘で下山したのかと思いましたよ…」
 「蒸し暑いのに参りましたよ…せっかくだから山頂まで行ってきます…」
 10時23分,ようやく金冷シを通過する.
 金冷シまで登れば,塔ノ岳山頂まではもう楽勝である.遅いついでにだらだら登りを続けて,10時48分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.これは私の最低記録である.
 私が山頂に到着すると同時に,入れ替わるように,ISIさんが下山開始.
 「私も,すぐに降りまあす…」
と挨拶してお別れする.
 山頂の気温は,山頂ポールに取り付けてある温度計によれば28℃.本当かなと思うほど高温である.
 例により儀式として山頂からの風景をデジカメに納めるが,肝心の富士山が見えないし,代わり映えのしない写真ばかりなので,ブログへの掲載は省略する.


      <塔ノ岳山頂>

■独り下山

 山頂で,常連の方と少しお話をしてから,10時51分,塔ノ岳山頂から下山開始.
 今日は開始時間が遅いので,大倉発13時40分のバスに乗車するつもりである.それに単独の下山なのでどうしてもノソノソ下山になってしまう.
 11時08分,金冷やしを通過する.
 花立山山頂を過ぎて,花立山草手前のガレ場で,
 「あれ,FHさん…」
という声がする.NMさんである.
 NMさんはあっけにとられるほどの速度で下山していく.
 私がようやく花立山荘近くの階段を終える頃には,花立階段を下り始めている.
 11時22分,ようやく花立山荘に到着する.
 花立歓談を降り始める.前方にNMさんの後ろ姿が見えるかと思ったが,もう全く見えなくなっている.
 このとき,私もようやく目覚める.下りなんだから汗をかくこともないんなだから,もう少しまじめに下山しよう…私はだらだら下山をやめて,ノーマルモードに切り替える.
 11時38分,茅場平を通過する.蒸し暑い.ベンチでたくさんの登山者が休んでいる.
 11時51分,小草平.堀山の家を通過するのにちょっとためらうが,先週立ち寄ったばかりだし,家屋の中に常連客は居ないようなので,そのまま通過する.
 ”それにしても,三角髭のTDさんは,もうとっくに下山したのだのかな…”
 その後も順調に下山を続けて,12時07分,駒止茶屋,12時30分に見晴茶屋を通過する.
 ”この調子ながら,13時11分のバスに十分間に合うぞ…”

■リュックが重い!
 12時43分,観音茶屋が近づく.この調子だと下り所要時間は2時間一寸で大倉に到着する.13時12分のバスにも十分間に合う.
 私は観音茶屋の女主人に,
 「すみません…今日は素通りします」
と挨拶して,観音茶屋を通過する.
 でも,今日はやたらにリュックが重い感じがする.
 余談だが…
 出発するときに2リットルの水を持っていたが,観音茶屋を通過する頃には,ほとんど全部飲み干している.だから2キログラムほどは軽くなっているはずである.それなのに,特に右肩が痛くなる.
 ”なんで今日に限って,リュックが重いと感じるんだろう…?”
 いずれにしても,リュックの中に入れっぱなしにしている装備品を,全部引っ張り出して,不要不急のものは外さなければだめだなとつくづく思う.
 ”それにしても,随分と体力が減ったものだ…”
 私は時分の体力に対して,ますます疑心暗鬼になる.

■アクシデント
 丹沢ベースを通過して,石ころ道が終わるところで,白い乗用車が止まっている.狭いところで方向転換をしているようである.
 ”あれまあ…,こんなところで何をしているんだろう…”
 自家用車の周りには,TGさん,ISIさん,NMさん,MGさん,山旅スクール5期のTBさん,TNさんたちが心配そうに自動車を見つめている.
 「何事ですか…?」
とISIさんに伺う.
 「…さきほど下りで○○さんが転倒して,膝を打って怪我をしたんです…」
とのこと.
 私も下山途中で右膝の半月板を数ミリ砕いた経験がある.人ごとではない.○○さんの膝の怪我が何かは分からないが,一日も早く回付することを祈念している.

■終わり良ければすべてよし
 こんな騒動もあって,大倉到着は好きし遅れて,13時05分になる.
 大倉発13時11分のバスに乗車する.
 渋沢,小田原での電車の接続もよくて,15時前に無事帰宅する.
 まずは汗まみれの衣類の洗濯を済ませる.そしてシャワーを浴びる.これで心身ともにスッキリ.風通しの良い2階の部屋で30分ほど昼寝.これで気分爽快である.
 夕方,息子一家が来訪.かわいい孫娘を囲んで団らんの夕食を楽しむ.
 こうして蒸し暑さに負けた塔ノ岳詣でも終わりよければすべてよしである.

<屈辱のラップタイム>

 7:07  大倉歩きだし
 7:36  観音茶屋
 7:55  見晴茶屋
 8:28  駒止茶屋
 8:52  堀山の家(9:08まで休憩)
 9:58  花立山荘
10:19  金冷シ
10:39
  塔ノ岳山頂着
10:43    〃    発
10:58  金冷シ
11:13  花立山荘
11:54
  堀山の家(12:05まで休憩)
12:20  駒止茶屋
12:40  見晴茶屋
12:53  観音茶屋 
13:10  大倉着

[山行記録]

■水平歩行距離        7.0km(片道)

■累積登攀下降高度     1,269m

■上り所要時間(休憩時間込み)
  大倉発             7:07

    塔ノ岳山頂着        10:39
 
    (所要時間)        3時間32分(3.53h)
  水平歩行速度      7.0km/3.53h=1.98km/h
  登攀速度         1,269m/3.53h=359m/h

■下り所要時間(休憩時間込み)
  塔ノ岳発           10:43 
    大倉着            13:10
   (所要時間)        2時間27分(2.45h)
 水平歩行速度      7.0km/2.45h=2.86km/h
  下降速度         1,269m/2.45h=514m/h
                                                                                  (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6893c9d2d1e93c591e6f865252a3b2d7
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5aa1d50ac2bad4b2f435aa2d612240d8

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