<塔ノ岳山頂からの眺望>
寒くて静まり返った丹沢:塔ノ岳(今年3回目)
(単独山行)
2010年1月22日(金)
■温かい日の後に・・
この所,まるで桜の花が咲きそうな温かい日が続いていた.その間,私は塔ノ岳に登りたいなと思っていたが,霜柱が融けてしまった泥だらけの登山道を歩くのが嫌なため,登るのを先延ばししていた.
今日は暖冬をもたらした高気圧が東海上に抜けて,入れ替わるように西から冷たい冬の風が吹き始めている.
朝,4時に眼を覚ました私は,
「よし・・今日こそ塔ノ岳へ行こう・・」
と思い立つ.とはいえ,私も人並みに寒がりである.いくら冬暖かい鎌倉でも,特段,暖房もしていない早朝の部屋は冷え切っている.温かい布団から起き上がるには,いささかの勇気がいる.4~5分の間,どうしようかと迷っていたが,意を決して起床する.そして,山登りの身支度を整えてしまうと,行くぞという固い決心に変わる.
■2番バスの登山客はほんのわずか
私はサンデー毎日の生活を始めて3年を経過した.1回の塔ノ岳詣での費用に3,000円ほどの経費が掛る塔ノ岳行を,そう頻繁に続けては,年金暮らしの生活にいささかの差障りがあるのは否めない.最近,渋沢発大蔵行の1番バスに乗りたいばかりに,交通費が往復で500余り余計にかかる小田原経由の経路を使っていたが,今日は小田急電鉄のフリー切符を使って,藤沢・相模大野経由で出かけることにする.
大船発5時44分の電車に乗る.小田原廻りでも相模大野廻りでも,大船発は同じ時刻の電車である.ところが,渋沢に到着する時間は30分ほどの差異になる.
何時もとは少し勝手が違う2番バスに乗車する.登山客の人数はたった4名.余りの少なさに拍子抜けする.もちろん,顔見知りの人は誰もいない.
■鎌倉散策の積りで歩こう
何時もより30分ほど遅い7時34分に大倉を歩き出す.外気はピリリと寒い.
今日は冬登山の装備で来ているので,リュックの重さは8~9キログラム程度.何時もより2キログラムほど重い.
足許は良く乾いている.歩き出してすぐに私の前後に登山客の姿は全く見当たらなくなる.歩き出してみると,今日も何となく体が重い.やっぱり,前回の登山から,1週間ほど間が空けてしまったので,歩き出しの調子が良くない.私は無理はしないぞと,心を引き締める.
天気は上々である.朝の明るい太陽が,登山道周辺のスギ林に差し込んで眩しく光っている.杉の葉っぱには黄色い花粉がかなり目立つようになっている.今年のスギの花粉が多いか少ないか私にはわからないが,寒いとはいえ,確実に季節が進んでいるようである.
心地よいこぼれ日を浴びながら歩いていると,心がリラックスしてくるのが自分でも分かる.
「そうだ! 今日は,鎌倉を散策するときのように,周囲の風物をユックリ愛でながら歩こう!」
と,突然,思い立つ.
この大倉尾根を登るときに,何時もラップタイムばかり気にしている.自分の体力を知るために,何時も3分,5分の速い,遅い,を気にしながら登山している.体力はラップタイムを測定したからといって高まるものでもあるまい.今日は,思い切りリラックスして,風物を眺めながら登るぞと固く決意する.
<明るい太陽が差し込む登山道>
■無風,小鳥の囀りもない
私は,何時もの鎌倉歩きと同じ気分で歩き続ける.そういえば,鎌倉も丹沢も同じ神奈川県ではないか.
そう思いながらも,いつもの癖で,ついついラップタイムを記録してしまう.
歩き出してから登山口までで,何時もより1分余計に時間がかかっている.丹沢ベースまでで2分遅くなる.
「ははぁ・・・こういうデータも面白いな・・・」
私の興味は,またまた変な方向に逸れてしまう.
丹沢ベースから先の観音茶屋,雑事場の平とラップタイムを計測する度に1分ずつ余計に時間がかかっている.そうなると,このままの調子で登っていたら,山頂までどのくらいの時間がかかるのかが興味の対象になってくる.
8時14分に見晴山荘を通過して,最初の急坂に差し掛かる.何時もなら前方に人影が見えることが多いが,今日は誰もいない.進行方向右手から,明るい朝日が差し込んでいる.無風.周囲の梢もそよとも動かない.小鳥の囀りも全く聞こえない.
<堀山の尾根からの富士山眺望」>
■今日も富士山が良く見える
8時46分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから,1時間12分経過している.
「なるほど,こういうラップになるのか!」
至極当然な結果だと納得する.
駒止茶屋を通過する辺りから,泥道になる.ただ,今は寒いために凍結している.
やがて,堀山の尾根歩きになる.大倉尾根ルートで,この辺りが歩いていて一番楽しいところである.西側には,今日も富士山がとても良く見えている.南の方から富士山の山麓に向かって雲が棚引いている.
「綺麗だな~ぁ・・・」
見慣れた景色だが,何回眺めても飽きない.
■登山道の改修工事が進む
9時03分,堀山の家を通過する.相変わらず小草平からも真っ白な富士山が見えている.
鳥も啼かず風もそよとも吹かない坂道を,私ただ一人登り続ける.何となくメランコリックな気分になってくる.
やがて階段道に差し掛かる.
このところ,登山道の改修工事が急速に進んでいる.戸沢分岐手前の階段道の改修工事が丁度始まっている.そのために,う回路を経由して登る.
<工事中のう回路>
■凍結している萱場平
9時24分,萱場平を通過する.地面は凍結しているが,日光を浴びて,黒色になって融け始めている.
辺りには誰もいない.鳥の声もない.全く音もない.風もない.動くものもない.ただただ静まり返っている.その静けさを壊している存在は私一人のようだ.
<今日の萱場平>
■韋駄天のTさんとすれ違う
やがて,花立山荘手前の7分坂に差し掛かる.
「あと7分の辛抱,あと7分の辛抱・・」
と思いながら,登り始める.
登りながら,頭の中では,いろいろなことを考えている(このブログの前回の記事に掲載).
突然,坂の途中で,
「FHさん.おはよう・・今日は2番バスですか?」
と挨拶を受ける.下ってきた韋駄天のTさんである.相変わらず俊足である.
「・・山頂に残雪,ありましたか?」
「全くないです.昨日,一昨日は,泥だらけで大変でした・・」
<韋駄天のTさんが下る>
■花立山荘
9時48分,花立山荘に到着する.ベンチに3人のグループが座り込んでいる.30~40歳代の男女である.
私は軽く挨拶をして,ベンチ脇から富士山の写真を撮る.40歳代と思われる男性が,いきなり,私に話しかける.
「何時も登っているんですか?」
「ええ・・まあ,,,年に50~60回位でしょうか」
「ということは,毎週,1回ですね・・」
「そうですね.ただ,登れるときは週に2回登るつもりにならないと,なかなか週1回にならないです・・」
と立ち話をする.
「それでは,お先に失礼します・・」
<花立山荘>
■花立場からの眺望
10時,花立場(花立山)に到着する.素晴らしい風景である.少し雲が出てきたが,富士山,南アルプス,八ヶ岳が良く見えている.先ほど,突然,3人に会った後,また辺りには誰も居なくなる.見慣れた風景だが,ここで何枚かの写真を撮る.
<花立場からの富士山>
■塔ノ岳山頂
10時06分,金冷シを通過する.
ゆっくりと登ってきたので,疲労感はあまりない.そのまま,惰性のように登り続けて,10時24分,塔ノ岳山頂に到着する.数日前に登った時には一面の銀世界だったが,残雪は全く見当たらない.無風なのでそれほど寒くない.
大倉からの所要時間は,2時間50分.最遅記録である.今日は終始鎌倉歩きをしたので,この結果に納得する.でも,2時間25分で歩いても,2時間50分で歩いても,疲労度にはあまり大差ないような気がする.
山頂から周囲の風景を写真に収めてから,尊仏山荘に入る.
<今日の塔ノ岳山頂>
<塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
山荘に入る.先客は60歳代の男性1人.ご常連のようである.今日の小屋番はオーナーのHさん.
早速,山頂の気温を見る.マイナス3.2℃.まあまあの寒さである.何時ものように300円也のお茶を所望する.
暫くすると,Hさんが,私の顔を見ながら,
「ネコは2階にいますよ・・・」
という.
誰かが,
「Hさんは,ネコの天敵ですよ・・・」
と言っていた.私は,ネコの写真を撮りたいなと思っていたが,Hさんには言いそびれていた.でも,登山靴を脱いで2階まで上って,ネコの写真をとるまでの気分にはならない.私はネコの写真を諦める.
Hさんが私に,
「・・この間,野詩歌さんが来ましたよ・・・」
と教えてくれる.野詩歌さんの姓が,たまたま有名な女性登山家と同じなので,居合わせた男性が,
「えっ・・あの野詩歌さんが来られたんですか!」
とビックリする.
「いえ,違うんです・・・登山学校で同窓だった人です・・」
と私があわてて訂正する.
そろそろ下山しようかと思ったときに,花立山荘のベンチで出会った3人組が山荘に到着する.男性が話好きである.
「俺,3か月前に肺の手術をしたばかりで,息が苦しいんです.もともとはこの程度の運動は平気だったんですよ・・・」
話を聞いた私の方がびっくりする.手術後,たった3ケ月で登山するなんて・・・凄いな.
「所で,お宅.何歳?」
私は包み隠さず,自分の年齢をお話しする.
「凄く健康そうですね.どこも悪いところはないんでしょう?」
私は返答に窮する.
<新しい木道>
■新階段の歩き初め
10時48分,尊仏山荘を出発して下山を開始する.
何時の間にか,富士山は雲に覆われて見えなくなっている.今日は寒いためか,すれ違う登山客の数は少ない.
凍りついていた泥も融け始めている.
戸沢分岐下の階段の補修工事が丁度終わったときに,私は工事現場に到着する.作業員が,通行止めのロープを解いて,新しい階段を降りるように促す.多分,私が新装階段を最初に下った登山客だろう.
12時54分,大倉に到着する.
[ラップタイム]
7:34 大倉歩き出し
7:56 観音茶屋
8:14 見晴茶屋
8:46 駒止茶屋
9:03 堀山の家
9:48 花立山荘
10:06 金冷シ
10:24 塔ノ岳山頂 着
==========================================
10:48 塔ノ岳山頂 発(-2.8℃)
11:02 金冷シ
11:14 花立山荘
11:49 堀山の家
12:05 駒止茶屋
12:26 見晴茶屋
12:38 観音茶屋
12:54 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:34
塔ノ岳 着 10:24
(所要時間) 2時間50分(2.83h)
登攀速度 1269m/2.83h=448.4m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:48
大倉 着 12:54
(所要時間) 2時間06分(2.10h)
下降速度 1269m/2.10h=604.3m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/95669fd2a1889117e23eaf89df37bc84
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1fc510c053f2b30d64f310693f1baee1
寒くて静まり返った丹沢:塔ノ岳(今年3回目)
(単独山行)
2010年1月22日(金)
■温かい日の後に・・
この所,まるで桜の花が咲きそうな温かい日が続いていた.その間,私は塔ノ岳に登りたいなと思っていたが,霜柱が融けてしまった泥だらけの登山道を歩くのが嫌なため,登るのを先延ばししていた.
今日は暖冬をもたらした高気圧が東海上に抜けて,入れ替わるように西から冷たい冬の風が吹き始めている.
朝,4時に眼を覚ました私は,
「よし・・今日こそ塔ノ岳へ行こう・・」
と思い立つ.とはいえ,私も人並みに寒がりである.いくら冬暖かい鎌倉でも,特段,暖房もしていない早朝の部屋は冷え切っている.温かい布団から起き上がるには,いささかの勇気がいる.4~5分の間,どうしようかと迷っていたが,意を決して起床する.そして,山登りの身支度を整えてしまうと,行くぞという固い決心に変わる.
■2番バスの登山客はほんのわずか
私はサンデー毎日の生活を始めて3年を経過した.1回の塔ノ岳詣での費用に3,000円ほどの経費が掛る塔ノ岳行を,そう頻繁に続けては,年金暮らしの生活にいささかの差障りがあるのは否めない.最近,渋沢発大蔵行の1番バスに乗りたいばかりに,交通費が往復で500余り余計にかかる小田原経由の経路を使っていたが,今日は小田急電鉄のフリー切符を使って,藤沢・相模大野経由で出かけることにする.
大船発5時44分の電車に乗る.小田原廻りでも相模大野廻りでも,大船発は同じ時刻の電車である.ところが,渋沢に到着する時間は30分ほどの差異になる.
何時もとは少し勝手が違う2番バスに乗車する.登山客の人数はたった4名.余りの少なさに拍子抜けする.もちろん,顔見知りの人は誰もいない.
■鎌倉散策の積りで歩こう
何時もより30分ほど遅い7時34分に大倉を歩き出す.外気はピリリと寒い.
今日は冬登山の装備で来ているので,リュックの重さは8~9キログラム程度.何時もより2キログラムほど重い.
足許は良く乾いている.歩き出してすぐに私の前後に登山客の姿は全く見当たらなくなる.歩き出してみると,今日も何となく体が重い.やっぱり,前回の登山から,1週間ほど間が空けてしまったので,歩き出しの調子が良くない.私は無理はしないぞと,心を引き締める.
天気は上々である.朝の明るい太陽が,登山道周辺のスギ林に差し込んで眩しく光っている.杉の葉っぱには黄色い花粉がかなり目立つようになっている.今年のスギの花粉が多いか少ないか私にはわからないが,寒いとはいえ,確実に季節が進んでいるようである.
心地よいこぼれ日を浴びながら歩いていると,心がリラックスしてくるのが自分でも分かる.
「そうだ! 今日は,鎌倉を散策するときのように,周囲の風物をユックリ愛でながら歩こう!」
と,突然,思い立つ.
この大倉尾根を登るときに,何時もラップタイムばかり気にしている.自分の体力を知るために,何時も3分,5分の速い,遅い,を気にしながら登山している.体力はラップタイムを測定したからといって高まるものでもあるまい.今日は,思い切りリラックスして,風物を眺めながら登るぞと固く決意する.
<明るい太陽が差し込む登山道>
■無風,小鳥の囀りもない
私は,何時もの鎌倉歩きと同じ気分で歩き続ける.そういえば,鎌倉も丹沢も同じ神奈川県ではないか.
そう思いながらも,いつもの癖で,ついついラップタイムを記録してしまう.
歩き出してから登山口までで,何時もより1分余計に時間がかかっている.丹沢ベースまでで2分遅くなる.
「ははぁ・・・こういうデータも面白いな・・・」
私の興味は,またまた変な方向に逸れてしまう.
丹沢ベースから先の観音茶屋,雑事場の平とラップタイムを計測する度に1分ずつ余計に時間がかかっている.そうなると,このままの調子で登っていたら,山頂までどのくらいの時間がかかるのかが興味の対象になってくる.
8時14分に見晴山荘を通過して,最初の急坂に差し掛かる.何時もなら前方に人影が見えることが多いが,今日は誰もいない.進行方向右手から,明るい朝日が差し込んでいる.無風.周囲の梢もそよとも動かない.小鳥の囀りも全く聞こえない.
<堀山の尾根からの富士山眺望」>
■今日も富士山が良く見える
8時46分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから,1時間12分経過している.
「なるほど,こういうラップになるのか!」
至極当然な結果だと納得する.
駒止茶屋を通過する辺りから,泥道になる.ただ,今は寒いために凍結している.
やがて,堀山の尾根歩きになる.大倉尾根ルートで,この辺りが歩いていて一番楽しいところである.西側には,今日も富士山がとても良く見えている.南の方から富士山の山麓に向かって雲が棚引いている.
「綺麗だな~ぁ・・・」
見慣れた景色だが,何回眺めても飽きない.
■登山道の改修工事が進む
9時03分,堀山の家を通過する.相変わらず小草平からも真っ白な富士山が見えている.
鳥も啼かず風もそよとも吹かない坂道を,私ただ一人登り続ける.何となくメランコリックな気分になってくる.
やがて階段道に差し掛かる.
このところ,登山道の改修工事が急速に進んでいる.戸沢分岐手前の階段道の改修工事が丁度始まっている.そのために,う回路を経由して登る.
<工事中のう回路>
■凍結している萱場平
9時24分,萱場平を通過する.地面は凍結しているが,日光を浴びて,黒色になって融け始めている.
辺りには誰もいない.鳥の声もない.全く音もない.風もない.動くものもない.ただただ静まり返っている.その静けさを壊している存在は私一人のようだ.
<今日の萱場平>
■韋駄天のTさんとすれ違う
やがて,花立山荘手前の7分坂に差し掛かる.
「あと7分の辛抱,あと7分の辛抱・・」
と思いながら,登り始める.
登りながら,頭の中では,いろいろなことを考えている(このブログの前回の記事に掲載).
突然,坂の途中で,
「FHさん.おはよう・・今日は2番バスですか?」
と挨拶を受ける.下ってきた韋駄天のTさんである.相変わらず俊足である.
「・・山頂に残雪,ありましたか?」
「全くないです.昨日,一昨日は,泥だらけで大変でした・・」
<韋駄天のTさんが下る>
■花立山荘
9時48分,花立山荘に到着する.ベンチに3人のグループが座り込んでいる.30~40歳代の男女である.
私は軽く挨拶をして,ベンチ脇から富士山の写真を撮る.40歳代と思われる男性が,いきなり,私に話しかける.
「何時も登っているんですか?」
「ええ・・まあ,,,年に50~60回位でしょうか」
「ということは,毎週,1回ですね・・」
「そうですね.ただ,登れるときは週に2回登るつもりにならないと,なかなか週1回にならないです・・」
と立ち話をする.
「それでは,お先に失礼します・・」
<花立山荘>
■花立場からの眺望
10時,花立場(花立山)に到着する.素晴らしい風景である.少し雲が出てきたが,富士山,南アルプス,八ヶ岳が良く見えている.先ほど,突然,3人に会った後,また辺りには誰も居なくなる.見慣れた風景だが,ここで何枚かの写真を撮る.
<花立場からの富士山>
■塔ノ岳山頂
10時06分,金冷シを通過する.
ゆっくりと登ってきたので,疲労感はあまりない.そのまま,惰性のように登り続けて,10時24分,塔ノ岳山頂に到着する.数日前に登った時には一面の銀世界だったが,残雪は全く見当たらない.無風なのでそれほど寒くない.
大倉からの所要時間は,2時間50分.最遅記録である.今日は終始鎌倉歩きをしたので,この結果に納得する.でも,2時間25分で歩いても,2時間50分で歩いても,疲労度にはあまり大差ないような気がする.
山頂から周囲の風景を写真に収めてから,尊仏山荘に入る.
<今日の塔ノ岳山頂>
<塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
山荘に入る.先客は60歳代の男性1人.ご常連のようである.今日の小屋番はオーナーのHさん.
早速,山頂の気温を見る.マイナス3.2℃.まあまあの寒さである.何時ものように300円也のお茶を所望する.
暫くすると,Hさんが,私の顔を見ながら,
「ネコは2階にいますよ・・・」
という.
誰かが,
「Hさんは,ネコの天敵ですよ・・・」
と言っていた.私は,ネコの写真を撮りたいなと思っていたが,Hさんには言いそびれていた.でも,登山靴を脱いで2階まで上って,ネコの写真をとるまでの気分にはならない.私はネコの写真を諦める.
Hさんが私に,
「・・この間,野詩歌さんが来ましたよ・・・」
と教えてくれる.野詩歌さんの姓が,たまたま有名な女性登山家と同じなので,居合わせた男性が,
「えっ・・あの野詩歌さんが来られたんですか!」
とビックリする.
「いえ,違うんです・・・登山学校で同窓だった人です・・」
と私があわてて訂正する.
そろそろ下山しようかと思ったときに,花立山荘のベンチで出会った3人組が山荘に到着する.男性が話好きである.
「俺,3か月前に肺の手術をしたばかりで,息が苦しいんです.もともとはこの程度の運動は平気だったんですよ・・・」
話を聞いた私の方がびっくりする.手術後,たった3ケ月で登山するなんて・・・凄いな.
「所で,お宅.何歳?」
私は包み隠さず,自分の年齢をお話しする.
「凄く健康そうですね.どこも悪いところはないんでしょう?」
私は返答に窮する.
<新しい木道>
■新階段の歩き初め
10時48分,尊仏山荘を出発して下山を開始する.
何時の間にか,富士山は雲に覆われて見えなくなっている.今日は寒いためか,すれ違う登山客の数は少ない.
凍りついていた泥も融け始めている.
戸沢分岐下の階段の補修工事が丁度終わったときに,私は工事現場に到着する.作業員が,通行止めのロープを解いて,新しい階段を降りるように促す.多分,私が新装階段を最初に下った登山客だろう.
12時54分,大倉に到着する.
[ラップタイム]
7:34 大倉歩き出し
7:56 観音茶屋
8:14 見晴茶屋
8:46 駒止茶屋
9:03 堀山の家
9:48 花立山荘
10:06 金冷シ
10:24 塔ノ岳山頂 着
==========================================
10:48 塔ノ岳山頂 発(-2.8℃)
11:02 金冷シ
11:14 花立山荘
11:49 堀山の家
12:05 駒止茶屋
12:26 見晴茶屋
12:38 観音茶屋
12:54 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:34
塔ノ岳 着 10:24
(所要時間) 2時間50分(2.83h)
登攀速度 1269m/2.83h=448.4m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:48
大倉 着 12:54
(所要時間) 2時間06分(2.10h)
下降速度 1269m/2.10h=604.3m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/95669fd2a1889117e23eaf89df37bc84
「丹沢の山旅」の次回の記事
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