中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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閑話休題;胆石症闘病記(5);第1日目(2);検査と手術の準備

2016年04月12日 03時52分07秒 | 閑話休題:日々雑感

     閑話休題;胆石症闘病記(5);第1日目(2);検査と手術の準備

2016年3月28日(月)(つづき)  雨後曇

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<まずは検査>

■血液検査
  私が指定された病室はB棟2階の二人部屋.1泊3,000円の差額が必要な部屋である.差額は当然自己負担である.
 ”入院が長くなると,費用が堪らないな”
と思う反面,生まれて初めて経験する入院なので緊張する.これくらいの差額はは仕方がないなとも思う.
 みみっちい計算をするが,平素,私が塔ノ岳に出掛けると,交通費など1回当たり約3,000円の費用が掛かる.つまり1日当たりの差額は塔ノ岳詣で1回の費用とほぼ同じである.
 ”毎日,塔ノ岳に登っていると考えて,差額ベッド代は割り切って考えるしかないない”
とあらためて覚悟する.
 看護師の指示に従って,患者用のパジャマ上下に着替えて,次の指示を待つ.
 やがて看護師,TNさんが現れる.
 血液検査のために採血するという.
 最初,右手.上腕部に止血ベルト,
 「手を握って下さい…」
 今日の私は腕の静脈がわかりにくいらしく,1回目は失敗.腕を換えて,ようやく採血を済ませる.
 後日,診療明細書を見ると,このときの採血で行った血液化学検査では,ALT,AST,アブブミン,直接ビルフビン,総ビリルビン,ALP,γ-GT,アミラーゼ,クレアチン,尿素窒素,ナトリウムおよびクロームなどの項目を調べている.
 これらの項目の中には,平素,鎌倉のDTクリニックで定期的に調べていた項目も少なからずある.
 ”一体,これらのお馴染みの項目の値がどの程度だったんだろう…”
と気になるが,手術が予定通り行われたとから,手術が可能な範囲の値であったことは確実である.
 序でながら,HIVの検査も必須ということで行われた.しかも保険は利かず自費検査である.

■血液の凝固のチェック
 看護師が,
 「スミマセン,耳たぶにちょっと針を刺します…」
と言いながら,右耳の耳たぶから1~2滴,血液を採取する.
 「血小板のチェックですか…?」
と質問する.看護師は.
 「ハイ…そうです.でも血小板,よくご存じですね.血小板の質問など受けたことありません」
という.
 別に私が余計なことを知っているわけではない.昔々,新制高校の授業で習っただけのこと.
 採取した血液が所定の時間内に凝固するのを確かめてから,
 「…問題ありません」
と私に説明する.

■腹部のX線検査
 暫くしてから,また看護師に呼び出される.
 今度はX線検査だという.
 看護師にエスコートされて,X線検査室へ.
 検査室の係員に誘導されて,腹部のX線検査を受ける.正確な枚数は数えていないが.あちらこちら身体の向きを変えて,何枚もの写真を撮る.
 ”こんなにX線を浴びて大丈夫なんだろうか…”
 ちょっと気になる.
 後日もらった診療明細書によると,合計3枚のX線写真を撮ったようである.

■肺機能検査
 続いて肺活量の検査を受ける.
 「ハイ,大きく息を吸ってェ…っ,……ハイッ! 全部吐き出してェ~」
 プライベートな数値なので,詳細は伏せるが,計測した私の肺活量は約4千ウン百立方センチメートル.四捨五入すれば5,000立方センチメートル弱.
 5年ほど前に測定したときとほとんど同じ肺活量である.
 「随分,肺活量が大きいですね…貴方の年令では3,500立方センチメートル程度が普通ですよ…」
 次いで1秒率のチェック.これも同年配の平均値と比較すると,随分と良い値を示している.それもこれも,平素登山している塔ノ岳の恩恵だろう.塔ノ岳に感謝!
 まだ,自分の肺年令の計算はしていないが,多分,実年齢より10歳以上若いだろうと推定する.
 検査を終えて,一旦自室に戻る.

<MRIの検査>

■アッパッパーのような着衣

 暫くすると,若い男性の職員が,部屋に来て,
 「…これからMRIの検査をします.入れ歯や金属製品を身につけていませんね.では,衣類をこちらに着替えて下さい」
という.
 今着ているものは上下別々のパジャマ風.でも,MRIの検査を受けるにはアッパッパーのような着物に着替えるんだそうである.
 着替えた後,職員に付き添われて,隣のA棟のあるMRI検査室に誘導される.
 ”何だか怖いな~ぁ…”

■「息を吸ってぇ…吐いてぇ…」
 MRIの検査室に到着する.
 「今まで,MRIの検査を受けたことありますか?」
 「足の右膝を怪我したときに,右足をMRIで検査したことがありますが…」
 「そうですか.狭いところに入っても大丈夫ですか?」
 「はい.大丈夫です…多分.」
 「検査中に大きな音が出ます.それで,このレシーバーを耳に当ててもらいます.レシーババーからクラシック音楽を流します.こちらからのお願いはこのレシーバーを通じてお伝えします…」
 私の両耳をすっぽり覆うような大きなレシーバーを装着する.
 いよいよ検査が始まる.
 私は台の上に仰向けになって横たわる.私の姿勢を細かく修正した後,いよいよ検査開始である.レシーバーからは心地よいクラシック音楽が流れている.
 レシーバーを通じて,
 「では,始めます」
という合図がある.
 私の身体は,MRIのトンネルのような装置の中に,吸い込まれるように入っていく.せまいトンネルである.
 私はトンネルの内部を見廻しながら,『ガリバー旅行記』の「小人の国」を連想する.
 ”今,仰向けになった私は,沢山の小人に引きずられて,小人の国のトンネルへと引きずりこまれているんだ…”
 私が乗っている台がトンネル内で,がたんと停まる.
 レシーバーを通じて指令が聞こえてくる.
 「では,楽に息をして下さあい~っ!」
 数秒置いてから,
 「…ハイッ! 大きく吸ってえ…吐いてぇ…そのままじっとしてぇ…!」
 ガチャガチャガチャと大きな音.
 再び,
 「楽に息をしてえ・・・・」
 「ハイッ! 大きく吸ってえ…吐いてぇ…そのままジッとしてぇ…」
 ガチャガチャガチャ,
 こんなことを何回か繰り返して.MRIの調査を終える.
 私の外見は,ただのクソジジイだが,こう見えても,元々は理科系出身者である(もっとも知識の中身はシーラカンス的だが…).
 だから,MRIが‘Magnetic Resonance Imaging’の略であり,バラバラな向きになって存在する水素(H)の核スピンを強い静磁場を与えて測定するというおぼろげな知識は持っている.
 でも,いざ自分が被検体になってみて,
 ”何であんなガチャガチャと大きな音が出す必要があるんだろうか…”
 ”どうやって静磁場を回転させているんだろう…”
 ”どんな画像処理をしているんだろうか…”
 等々,色々と気になり始める.
 ”よぉ~しっ! 退院したらMRIのことを調べてみよう…”
と思いつく.
 この思いは退院するまで,ずっと私の頭の中にこびり付いたままであった.
 ”調べたって,お前さんのボンクラ頭とシーラカンス的な知識では分かりっこないよ…”
と私の体内に巣喰っているもう一人の私が,私を揶揄する.
 ”うるさいな…引っ込んでいろ!”
 でも,そんな啖呵を切った私も,調べても,多分,理解できないだろうなと予感している. 

<事前準備>

■臍の掃除
 MRIの検査を終えて自室へ戻る.そして,また上下セパレートの着衣に着替える.
 ”やれやれ,やっと終わった.”
 ちょっとばかり,ホッとした気分である.
 暫くすると,また,看護師がやってくる.
 「…臍のお掃除をしますので,横になって下さい」
 ”えっ! 臍の掃除ですか?”
 私には臍の掃除など,予期しないことなので,内心でビックリする.
 正直に言えば,生まれてこの方,臍の掃除などした記憶がない.そう言えば,臍には,臍の緒を切ってから今日までの垢がまるで年輪のように重なり合っているんだろうな.つまり臍のゴミは我が人生の縮図であり,記録でもある.
 年ごとに積み重なった臍のゴミの断面を分析すれば,過去の私の生き様が見える筈だ…あの戦中戦後の厳しい頃に蓄積された臍のゴミには,どんな特徴があるんだろうか?
 こんなことを考え始めると,無造作に臍の垢を取り除くのが,とても勿体ないなと思えてくる.看護師には,多分,私がそんなことを考えているとは.全く分からないだろう.
 看護師は,黙々と,綿棒と油のようなものを使って,私のへその中を”ゴニョ,ゴゴニョ”かき回す.その度に,別に痛くはないが,何だか奇妙な感覚が,臍から放射線状に腹部のあちこちに伝わる.引っ張られるような,くすぐったいような…何とも形容のしようがない奇妙な感じである.
 そんな奇妙なことを考えている内に,臍のゴミ掃除は無事終わる.
 「はい,これで終わりました.衣類を着て下さい…」


■腹バンドを購入
 臍のゴミ掃除を終えると,看護師が,
 「腹バンドをもっていますか…」
と私に質問する.
 持っていないと答えると,では売店で腹バンドを購入して下さいと言われる.
 「腹バンド…って,どんなものですか?」
 「手術の後,腹部を保護するものです.紐で結ぶものと,マジックテープで結ぶものの2種類があります.マジックテープのものは若干高いけど,取り扱いが便利です.」
とのこと.
 では売店が閉まらない内に,購入しなければならない.
 私は,すぐに隣のA棟1階にある売店を訪れる.店員は私を見て,
 「あら,…先ほどスリッパを買われた方ですね…」
という.
 腹バンドを購入した序でに,私が胆石症で入院したことをお話しする.
 「…私の主人も胆石が痛くなり,七転八倒の苦しみを味わいましたよ.そうなる前に手術を受けるんですね.良かったですね.」
と励まされる.
 指示された腹バンドを購入してから,ふたたび自室へ戻る.

<腹バンド>

<入院期間が分からなくなった>

■MRIの検査結果
 夕方,主治医のDT先生が私の様子を見に来る.
 先生のお話は以下の通りである.
 「MRIの結果,胆嚢にある大きな胆石の他に,胆管にも石が幾つかあるのが確認されました.これらは,入院中に取ってしまった方が良いです.
 …で,明日は,腹腔鏡を使って,胆嚢にある胆石を取りますが,引き続き,1~2日,間を空けて,胆管にある胆石を取りましょう.
 胆管の石を取り除くのは,内科医のTN先生が担当します.胃からカメラをいれて,患部の石を取り除きますが,1回の手術でとれるか,2回になるかは,実際にやってみないと分かりません…」
とのこと.
 これで,当初,予定していた4月1日退院の線は完全に消えた.
 結局,何時まで入院するか,現段階では,
分からない.
 DT先生が,
 「…私から奥さんに電話で,入院が延びることを,お伝えしておきましょう…」
と提案してくれる.

 「どうぞ,よろしくお願い致します」

■家内と長女に携帯メールで連絡
 早速,私は,家内と,自宅近くに住んでいる長女宛に,今日の検査結果と,入院が少し延びる.ただ,現段階では退院が何時になるか分からない旨,携帯メールをつかって伝える.
 ”困ったな…入院が長引くとなると,手持ちの現金で,入院費が支払えるかな…”
と心配になってくる.
 もっとも,現金が不足したら,病院近くのコンビニで,不足分を引き出せば済むことだが…
 そんな私のことはともかく,私が留守中に,近頃すっかり弱くなった家内のことが心配になる.家内も私とほとんど同年齢である.
 これも仕方のないことだが,近頃,お互いに健康状態が怪しくなっている.
 ”老々介護も現実味を帯びてきたな…”
 今まで,老老介護なんて考えてもみなかったが,いざ自分が入院するという現実に直面すると,
 ”これは他人事ではないぞ…老老介護のことを真剣に考えなければ…”
と気になり始める.

<入院第1日目の夜>

■夕食
 16時頃,夕食が配られる.配膳の係員が,
 「FHさんですね.」
と言いながら,私の左手首に装着されている腕輪で,名前を確認する.さらにお膳の上に置かれている名前札と一致するかを確かめてから,お膳を置いていく.
 「…ごゆっくり,どうぞ…」
と丁寧である.
 お膳の内容は,ざっとこんな感じである.
 本当は写真を掲載したいけれど,営業妨害になっても困るので,下手くそなスケッチを掲載するだけにしておこう.
 病院食なので,栄養士と調理師が腕を振るって作った理想的な食事であろう.
 でも,お粥は美味しいものの,ネーベン2品は良く火を通してあり,柔らかくて歯応えがない.だからちょっと物足りない.それに塩分が控えめなので,平素の好い加減な食事に馴れてしまった私には,いささか物足りない.
 でも我慢,我慢だ.これも身のためだ…と自分に言い聞かせながら頂戴する.この食事,健康にはとても良いことが分かっているから…

<第1日目の夕食>

■洗面
 30分ほどで早々と夕食が終わる.
 後はすることがない.
 とりあえず,洗面所で歯を磨く.
 洗面所で,立ったまま歯を磨いていると,通りすがりの看護師が,
 「大丈夫ですか…」
と駆け寄ってくる.
 そして,近くにある椅子を持ってきて,
 「この椅子を使って下さい…」
 私は,この看護師の細かい気遣いに感謝するとともに,私の立ち居振る舞いが,多分,ヨボヨボしていたに違いないと推察する.実に情けないことである.
 洗面を終えて,自分のベッドに戻る.
 気が付くと,先ほどまで,苦しそうに痰を切る音が聞こえていた同室ベッドBの方が居なくなっている.
 どうやら,この方は,今日,手術を受けたらしく,今夜はナースステーション近くのICU室で過ごすようである.
 したがって,今夜は,2人部屋を私1人で過ごすことになる.だから2人部屋とはいえ,実質的に1人部屋になっている.ある意味ではとてもラッキーである.

■老眼鏡を忘れた…
 さて,することがない.そこで,私は,昨日,購入した単行本でもユックリ読もう…と思う.
 リュックから老眼鏡を出す…つもりだが,老眼鏡が見当たらない.
 ”あれぇ~っ! 確かに老眼鏡をリュックに入れたのに…”
 私は,リュックの中の荷物を全部出して,老眼鏡の行方を捜すが,どうやら老眼鏡を持参するのを忘れたようである.これは,とんでもないウッカリミスである.
 本を目から遠く離せば,なんとか読めないことはないが,そんなことをしていると,目がすぐに疲れてしまい,長続きしない.
 夕方,看護師が血圧,体温,動脈血酸素飽和度(以下略して血中酸素濃度)を測りに来る.具体的数値はプライベートなことなので,伏せておくが,血圧がちょっと高めである.少々興奮気味なのか原因かも知れない.その他は正常値範囲である.
 登山が趣味の私は,高所登山のときに,簡易型パルスオキシメーターを使って,自分の血中酸素濃度を計測した経験がある.この病院で使用しているパルスオキシメーターは見るからに精密そうである.どこかの媒体に自動的に記録できる機能を持っているようである.
 私は独り言のように,
 ”…山で使うパルスオキシメーターに比較すると随分立派ですね…”
という.
 「パルスオキシメーターなんて,よくご存じですね…」
 このやり取りをキッカケにして,私の趣味の一つが登山だとお話しする.

■早々と就寝
 19時30分,館内アナウンス.面会に来ている方々への報せのようである.面会時間が終わったこと,どこかの駐車場に鍵を掛けることなどがアナウンスの内容である.
 病棟の消灯は21時30分と聞いているが,その前に眠くなる.
 こうして入院第1日目は終わった.
 明日はいよいよ手術だ.
 一体どうなるんだろう…少々心配である.
                                (1日目終わり)
                                (2日目に続く)
つづき(2日目)の記事

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胆石症闘病記の目次
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「閑話休題」の前回の記事
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「閑話休題」の次回の記事
(なし)

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 これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
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