クラシック 名盤探訪

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強風と雨の中の北海道 松前から函館へ

2010年05月13日 | 歴史・旅(国内)
コース順路:コース満足度★★★★ 料理度★★★★ 4月13日~14日
函館駅→松前(バス)→松前城→光善寺→龍雲院→法源寺→法憧寺→松前家藩主墓所→松前藩屋敷→阿含寺→道の駅北前船松前→函館駅

全国的に時期はずれの超寒波と暴風雨が訪れた4月の中旬、北海道唯一の藩として本州との交易で栄えた松前藩の歴史の跡、そして榎本武揚が夢を賭けて立て篭もった五稜郭を尋ねようと、あえて嵐の中、予定していた松前と函館への旅を強行する。

まずは松前氏が徳川藩のひとつとして、この地を治めることになったいきさつを紐解いてみる。
もともとは蝦夷地を支配していたのは、蛎崎(かきざき)氏と称する一族であった。
室町時代中期の1457年にアイヌの大規模な蜂起「コシャマインの乱」が起きたが、これを奥州の南部氏に追われて蝦夷地に渡った武田信広が平定、後にその信広が蛎崎家を継ぎ、歴史上の松前氏の始祖と呼ばれるようになる。
豊臣秀吉の天下統一後、五代目の蛎崎慶広が蝦夷地の支配者として認められ、1599年に慶広は大坂城で徳川家康に臣従することを誓い、姓を松前と改め蝦夷の地を治めることとなる。
 

もともと大館にあった蛎崎氏の居館は不便な山城であったこともあり、1606年に慶広は海に近い福山の地に松前城の前身となる福山館を建てる。
スタートした松前藩の石高はわずか1万石であったが、ニシンや昆布、鮭などの海産物の専売、そしてアイヌとの交易で富が築かれ、実質は10万石にも相当したらしい。
松前藩の過酷な収奪に苦しめられたアイヌの反乱に、最大の悲劇と言われる「シャクシャインの乱」がある。
1669年に日高から松前に向けてアイヌが起こした乱で、松前藩は津軽・南部・秋田藩の助けをかりてやっと鎮圧し、「和睦の宴」の席で大酋長シャクシャインを惨殺し、部下とともに耳をそいだという悲惨な話が残っている。
 

松前の寺町と言うところには、北海道のほかの地には見られない古い造りの由緒ある寺が多く残っている。
光善寺は1533年に建立され、後水尾天皇から山号と法衣を賜ったという。
見過ごしてしまったが、19世紀中ごろに作られた奥殿の美しい庭は北海道でも屈指のものらしい。
龍雲院は1625年に開かれた寺だが、建物は江戸時代のままの伽藍を残している貴重なものと言われている。
 

戊辰戦争での焼失を免れたという法源寺の山門は立派な造りで、国の重要文化財にも指定されている。
松前城資料館に展示されていた蠣崎波響の画は、その色彩と構図の素晴らしさでとても印象に残っていたが、その波響の墓がこの寺の境内に置かれている。
説明書の文章を要約すると「・・・12代資広の第5子として生まれ、松前藩家老となる。幼少より画を好み、文人墨客との交遊も多く、当時の北海道随一の文化人。松前応挙とも称されフランスのブザンソン博物館にある夷酋列像は特に著名・・・」とあり、彼の優れた才能を偲ばせるものとなっている。
  

法憧寺は松前家の菩提寺で、裏手の道を進むと松前藩の始祖・武田信弘から19代にわたる歴代藩主・その室や子などが眠る墓所に出る。
墓碑は五輪塔形式で、風雪を避ける為か石造りの屋形風覆屋に収められているのが特徴的。
 

「松前の五月は江戸にもない」と言われた藩政時代の松前、その姿を再現した「松前藩屋敷」を訪れる。
全部で14棟あり、珍しい海の関所「沖の口奉行所」、藩士の屋敷「武家屋敷」、鰊漁に挑むヤン衆が集う「番屋」、それと「髪結い」など見所が結構ある。
最後に訪れた阿含寺の山門も印象的で、これはかつての松前城の堀上門を移築したものだという。
 

翌日も大荒れの天気で、函館に行くバスがストップとなり、泊った旅館に引き返すというアクシデントが発生。
やっと再開したバスから眺める日本海の荒波が、すざましい勢いで海岸に打ち寄せている。
五稜郭のすぐ近くにあるバス停に下り、一路五稜郭タワーを目指し、最上階から眼下に広がる五稜郭跡を一望する。
 

展示されている「五稜郭物語」を読むと、幕末期に造られた洋式城郭「五稜郭」が函館戦争の舞台となり、榎本武揚・土方歳三らの夢を賭けた戦いの軌跡というものが良く分かる。
函館山から見る夜景の素晴らしさは有名だが、高さ90mの五稜郭タワーから見る函館市内とその後ろに控える函館山の眺めもなかなか魅力的。
 

今回の旅は冷たい風と激しい雨の中の足取りとなってしまったが、内容的には印象深いところが多く、五月連休明けの桜の時期に再びぜひ訪れたいと思う。
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