気象予報士 村上繁郎のブログ

気象予報会社「ファインウェザー」の気象予報士です。身近な気象現象や季節の出来事などを気象予報士の目を通して綴ります。

降水確率 50%とは・・

2012-05-29 09:53:09 | 気候

29日は、上空の強い寒気を伴った気圧の谷の通過で、本州中部から東北地方では

積乱雲の発達しやすい、かなり不安定な大気の状態になる。

気象庁が29日未明に発表した29日21時(日本時間)の予想天気図(数値予報)。

上は500hPaの気圧の高度を表す。北海道付近に上空の低気圧(切り離し低気圧)がある。

下の地上天気図では、本州中部から東北地方では降水が予想されている(点線で囲まれた

エリア)。

別の予想図では、関東南部、500hPaの高度(5700m付近の)気温は、-19℃。850hPaの高度

(1500m)では10℃。経験から、湿度や風向にもよるが、その差が25度前後より大きくなると雷雲

が発達しやすくなるが、今日は、その差はさらに大きい29度になる。寒気が入り始めるタイミング

が、日射で地上気温が上昇する昼過ぎからとなり、雷雲が発達する条件はそろう。

そして、29日12時から18時までの降水確率は関東の多くの地域で50%、あるいは60%。

にわか雨や雷雨(不安定降水)で50%を越える降水確率はかなり高いほうだ。

 

この、「『降水確率50%』というのは半分々々ということになり、下駄を投げるのと同じではない

のか?」と、冗談半分に言われたことがある。

1mm以上の雨量があると『降水』と記録されるが、日本では1mm以上の雨が降る日の割合が

三分の一ぐらいらしい。確率で言えば33%。いつも降水確率を30%、と発表していれば、いい

加減、ということになる。

それからすると、50%の降水確率はかなり高い値になる。50%の降水確率のとき(時間帯)、対象

の地点では二回に一回は1mm以上の雨に降られるということになる。

1mmの雨、というのは、路面が濡れるほどの降り方である。そのように考えると、50%の降水確率

のとき傘を用意するのは当然であり、洗濯物の干しっぱなしはできない。

余談だが、降水確率は四捨五入されいる。0%降水確率は、5%未満を含み、『絶対雨が降らない』

ということではない。また、100%の降水確率も、95%以上、ということであり、『絶対雨が降る』と

いうことではない。

個人的には、傘を必ず用意するのは、降水確率40%以上としている。

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薔薇にはまる?

2012-05-27 22:14:16 | 気候

小田原フラワーガーデンのバラが見頃。6月始めまで楽しめるらしい。

 

『香りのジャスミン』、なら、花そのものの存在感はバラに勝るものはないだろう。

ほのかなバラの香りももちろんすばらしいが、丹精込めて育てられたバラの花の美しさには圧倒

される。

その存在感のため、昔から薔薇に関する言い伝えやエピソードは多い。

『薔薇ははまる』といわれるが、栽培を始めると、その奥の深さから抜け出せなくなる、というのは

わかる気がする。

『赤い薔薇には棘がある・・。』  薔薇にはまらぬよう注意しよう。

   *    *    *

上空に寒気を伴った気圧の谷の通過の影響で、本州中部から東北では29日までは雷雲の発達に

要注意。

 

 

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ジャスミンの香り

2012-05-26 23:42:27 | 気候

以前、キンモクセイの香りについて書き込んだことがあったが、現在、拙宅は、同じくモクセイ科の

ジャスミンの香りに溢れている。

写真はお隣さんの垣根に繁茂するジャスミン。花が咲き始めてから半月ほどになる。

キンモクセイの香りのときと同様、晴れた日中は風も吹き、日射による対流も強く、香りの成分は

拡散するため、時々香る程度だが、曇りや雨の日、そして夜間は気流は弱まり、空気は滞留

しやすくなり、ジャスミンは香り続ける。トイレなどの芳香剤はまったく不必要(もともと使って

いないが)。

そして風呂場は『バスクリン』状態になる。天然の香りなので心地よいが、空気の流れによっては

劇的に香りが強まり、『お香』のごとく強く匂うことがある。

香水というのは、やはり、ほのかに香るのがよい。香水の使い方には注意しましょう。

 *   *   *

26日昼過ぎ、気象庁発表の29日9時(日本時間)の予想天気図(数値予報)。

上側は500hPaの気圧の高度(約5700m)の気温、下側は850hPaの高度(約1500m)の

気温が予想されている。500hPaでは関東南部で-18℃、850hPaでは8℃。その差は約26度。

この気温差は結構大きく、いわゆる『不安定な大気の状態』になる。上昇気流は強まり、

積乱雲が発達しやすくなる。上空の寒気が日本海から南下してくる27日から29日にかけて

は、東日本から東北地方では雷雲に要注意となる。 

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金環日食顛末

2012-05-23 23:50:33 | 気候

全国的に大フィーバー!

しかし、神奈川県西部から静岡県東部は、『蚊帳の外』

小田原では、明け方から、時折 雨。7時前に薄雲越しに、半分ほどかけた太陽が10秒間ほど

見えたが、7時10分頃からは、しっかり雨。撮影用機材は撤収となった。

金環食の時間帯は降雨のため朝食タイムとなり、テレビの中継で日食鑑賞。

6時半頃の衛星雲画像で、東京都以北は晴れているのが確認できていたが、移動する気は

なかった。皆既日食ならあたふたしていたかもしれない。

8時20分頃になり、ようやく雲が切れ始め、その頃撮影したのが上のショット。

関東南部ほど雲が広がりやすいのは覚悟していたが、雨雲にまで発達するのは予想できなかっ

た。

天体観測なんてのは、まあこんなものでしょう。

しかし、前日予想していたよりも広い範囲で金環日食が観測でき、世間は大変盛り上り、

それはそれでよかったと思う。

 

 

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マーフィーの法則

2012-05-20 11:02:25 | 気候

『洗車をしたら雨が降り出す。』

『タバコに火をつけたらタップリ待たされていた電車やバスが来た。』

『竿からちょっと目を離したら魚のアタリがあった。』

よくあることだが、望んでいない結果が、高い確率で起きてしまう(ように感じる)のを

マーフィーの法則というらしい。

『バターを塗ったパンが床に落ちるとき、じゅうたんが高価なものであるほど、バターを

下にして落ちる確率が高い』などというのもある。

科学的根拠はなく、主観的・感情的な『法則』だが、『確率』で済ましてしまえば味気ない結果も、

『マーフィーの法則』を持ち出すと話は面白くなる。

19日の太陽、最近としては黒点が多い。

21日は西日本から東日本の太平洋側を中心に金環日食が観測できる。

日本に住んでいる人の7割の人が、移動することなく、リング状の太陽を見ることができるらしい。

ある調査では、8割の人が日食を観測する(したい)ということだ。

21日は、日本の東から北日本に高気圧が張り出し、本州の南の海上に前線がのびてくる。

金環日食帯に沿うように雲が広がやすくなる。昼過ぎからは小雨も予想される。

朝のうちは薄雲を通して日食を観測できるかもしれないが、なかなか厳しい状況になりそうだ。

7~8千万人の期待が『マーフィーの法則』を後押ししてしまうのだろうか。

 

 

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太平洋戦争の遺産

2012-05-16 10:57:52 | 気候

真鶴岬の沖にある、景勝の地『三ッ石』。美しい初日の出は有名。

写真は熱海側から望む三ッ石。見る方向により、岩が二つにも三つにも見える。

その岩の間にある平らな部分。接近してみると、

見事なコンクリートで固められた石垣になっている。この景勝地にはかなり不自然な構造物。

以前、真鶴育ちの友人にこの石垣のことをきいたところ、「太平洋戦争のとき、三ツ石を敵艦に見立て

魚雷の発射訓練をするため石垣を造った。」らしい。真鶴町役場の方におききしたところ、石垣は魚雷

発射訓練のため、というのは間違いないらしいが、実際に訓練が行われたかは不明、ということだった。

北側より発射した魚雷が三ツ石をそれて、熱海を直撃した、ということも聞いたがそれも未確認。

確かに、三ツ石のシルエットはアングルにより軍艦そのものである。

この石垣、磯釣りをされる方はすでにご存知だとは思うが、真鶴岬から見るとほとんど気がつかない。

台風が接近すればうねりや荒波が押し寄せる三ツ石海岸であるが、半世紀以上にわたり破壊されて

いないということは、かなり頑強に造ったのだろう。

東京湾の第一海保や第二海保は太平洋戦争の遺産として有名だが、景勝地真鶴岬にもそれはあった。

  *    *    *

17日夜から18日にかけて、上空の寒気(寒冷渦)が本州を通過する。

東日本では、18日朝を中心に大気の状態がかなり不安定になる。18日未明から雲の動きに警戒だ。

 

金環日食の21日は、東日本は高気圧の後ろ側になり、西から気圧の谷が近づく予想。西日本から

雲が広がる。

 

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積乱雲の進行方向

2012-05-09 10:51:55 | 気候

『雷三日』と言われるが、9日から10日にかけて、上空の寒気が南下し、雷雲の発生しやすい

不安定な大気の状態が続く。9日は北日本から東日本、10日は東日本中心になるようだ。

6日は茨城から栃木で雷雲が大暴れ、日本国内としてはかなり強い竜巻が発生した。

竜巻は同時刻に複数発生し、気象庁によれば、それぞれ東北東へ進んだ。下の天気図は、

6日9時(日本時間)の高層天気図(実況)。

上側の天気図は500hPaの気圧の地上からの高度を表す。その等高線(5560、などの数字が海抜高度)は

関東地方では西南西から東北東に描かれているが、上空の空気はこの等高線に沿って流れる。

積乱雲は上空の気流に流されるので、6日の関東地方の積乱雲は東北東へ進んだ。

そして、下は9日、10日の予想高層天気図(数値予報)が下。500hPaの気圧の高度を表す。

上の2枚は9日9時と21時(日本時間)。下の2枚は10日9時と21時。

9日は関東付近では、等高線が西南西から東北東にひかれ、雲は関東地方では6日と同じように

東北東へ進む。10日になると、寒冷渦の中心が関東北部を通過し、関東南部では、等高線の走向は

西北西から東南東へ向かい、上空の風に流される雲は10日は東南東へ進むと予想され、6日や

今日9日とは異なる。等高線が東北東に向いているときは雷雲が通過しにくかった関東南部の

神奈川や千葉に、10日は雷雲が進みやすくなる。

10日は関東南部では9日以上に雷雨に警戒が必要。東北東にある雲の動きに要注意だ。

 

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あと半月で・・・

2012-05-06 00:10:15 | 気候

5月6日は満月。正確には6日の12時34分に満月になる。

写真は6日0時ごろ撮影。写真の向かって右側部分がまだ少し欠けている。

そして、半月後、この月が新月になる21日には、いよいよ金環日食。

ちなみに、6日は月が地球に最も近い。そして、金環日食前日の20日には、月は地球からもっとも

遠くなる。その、見かけの月の大きさ(視直径)は、20日は6日の約88%。今回は、月の見かけの

直径が特に小さいときに起きる日食なので、金環日食となる。

コロナが観測できるより幻想的な皆既日食に魅力は感じるが、贅沢を言ってはいけない。

金環日食になる時間帯も、関東地方では7時半過ぎ、ということで、観測するには程よい太陽の高度。

世界でも有数のいくつもの大都会を通過する金環日食、というのもかなり珍しい。

そして、この金環日食はアメリカ西海岸、オレゴン州南部、カリフォルニア州北部、ネバダ州・テキサス

州でも夕方日没ぎりぎりに観測できる(日本時間の21日10時ごろ)。アメリカでもフィーバーするだろう。

問題は天候だが、5月は、晴れる確率は決して高くはない。『残念賞』も覚悟しなくてはならないだろう。

 *    *    *

次に日本で金環日食が見られるのは2030年6月1日、北海道の大部分。そして、2035年9月2日には

北陸から関東にかけて皆既日食が見られる。長生きしたい・・。

今回、いい加減なサングラスやフィルターで日食観測をして網膜を損傷すると、23年後の皆既日食を

観測できない、という寂しいことになるので、くれぐれも注意しましょう。

(以上のデータは誠文堂新光社「天文年間」による)

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雨が止む時刻は・・

2012-05-02 13:05:04 | 気候

今の季節は、寒気と暖気のせめぎ合いが続き、天気は周期的に変わる。

雨に降られることのない大型連休、というのは珍しい。

今年の連休も、ついに深い気圧の谷が進んできた・・。それも、ゆっくりと。

上は、気象庁、2日昼過ぎ発表の36時間先(日本時間3日21時)の予想天気図(数値予報)。

左上は500hPaの気圧面の高度。日本海にLマークがある。切り離し低気圧などと呼ばれ、

上空の深い気圧の谷を象徴する。

左下は地上天気図。前線は描かれていないが、低気圧が関東沿岸を通過している。

右上は、5500m付近(500hPa高度)の気温と700hPa高度の湿り具合。

右下は、1500m付近(850hPaの高度)の気温と空気の上昇・下降の状態。

低気圧の接近に伴い、関東から東海の南東斜面を中心に大雨が予想される。2日昼ごろには、

すでに、東海から関東西部に大雨に関する警報が発表されている。

3日は、大型連休の中心とも言える休日。各地で恒例となる大きなイベントが予定されている。

主催者には、『開催か中止か』、胃に穴の開きそうな、決断の時が迫っていることだろう。

すでに雨は降り始め、問題は雨の止む時刻となる。

さて、今回、低気圧の動きは遅い。日本の東の海上の高気圧がブロックしているため、日本海にある

切り離し低気圧も動きが遅く、その南東側にある地上低気圧もゆっくりとした動きになる。

関東南部では南岸低気圧が伊豆諸島を通過すると、雨(雪)が止むパターンが多い。

今回は、低気圧が伊豆半島を通過するのが昼頃であろうか。低気圧に向かって西から乾いた空気が入り、

雨は次第に小ぶりとなる。南の海上からの暖湿気流も、3日昼ごろにはピークを過ぎるようだ。

まだまだいろいろな予測資料が発表されるが、現時点では3日は、神奈川県西部では、昼ごろには

雨は次第に小降りになり、夕方には雨は上がるだろうか。

  *     *     *

3日は昼過ぎからのイベントならば、時折降る雨をしのぐことができるなら開催可能と思えるが・・。

足場の良し悪し、もあるが、主催者にとって、今、最も気になる気象情報、『いつ雨は止むのか?』。

雨の降り始め時刻、量的予測は重要な情報であるが、『雨の止む時刻』の情報を必要とする人も多く、

重要であり、正確を期すことが必要である。

 

 

 

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