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島根県庁林業課林業普及スタッフからのお知らせ

竹林整備&災害に強い森林づくり

2015年04月24日 | 森林・林業関係の情報

去る2月14日に江津市桜江町川越において、荒廃竹林の整備と災害に強い森林づくりに関する研修会が開催されました。

この地域は平成25年度の豪雨災害により家の裏山やJR三江線沿いの沿線で山地災害が多く発生しました。

そこで、江の川流域を主な活動区域とする、樹冠ネットワーク(代表:樋口千代子氏)が地域住民と一緒になり、災害に強い森林づくりに取り組もうと考え、研修会を開催しました。

講師は、林野庁が進める災害に強い森林づくりのアドバイザーでもあり、国内外の山地災害の復旧指導に携わっておられる国土防災技術株式会社の田中賢治氏を招き指導を受けました。

研修開始時には15名でしたが、現場に移動する最中、興味のある住民が追加で参加し、25名の参加者となりました。

研修は、最初に荒廃竹林を樹冠ネットワークが整備した現場を見てから、座学を行いました。

荒廃竹林という人がいるが、竹林とは整備されたところであり、人の手が入らなくなり荒廃したところは、もはや竹林ではなく、竹藪である。

竹藪で、下草も生えなくなったところの土壌はアルカリ性が強くなり、根が浅いため崩壊が発生しやすくなる。

写真のように伐採した竹をフェンス(筋工)のように活用し、土砂を食い止める手法がある。打ち込む杭は伐採した竹を利用するのでなく、樹木の丸太を使用した方が良い。竹は直ぐに朽ちてしまい杭が倒れる。また、竹の切り株を利用する場合も同様に腐ってしまい、倒れる。

竹伐採と竹フェンスを作る時期は冬場が良い。作業を行うにしても、暑くなく、蚊もいない。春先や夏場は竹にデンプン質がおおく、腐りやすい。

竹をチップ化し、竹林等に敷き詰める場合、逆に夏場の方が良い。

堰堤の上流になる竹藪を整備する場合のポイントも田中氏から説明がありました。

筋工を斜面に作る場合、地形を観察し、崩壊が発生する箇所を見極めながら設置すること。筋工を設置する場合は、下流に行くに従って、少しずらしながら設置すること。

竹を腰高で伐採する場合、1年後には伐り株が腐るので、そのまま放置した場合、林地に穴が空き、傾斜地ではそこから雨水等が入り込み、山地崩壊につながるので、注意が必要である。

竹藪の整備に併せ、隣接するスギ林についても、山地崩壊の危険性について説明がありました。写真中央が田中氏。

現場で説明を受けた後、川越公民館において座学を受けました。

・人の手を加えないと、竹林はアルカリ性土壌に、笹は酸性土壌になる。

・竹藪を整理する場合、一度に伐採してしまうと、かえって山地災害を発生させることがあるので、注意すべきである。

・河川沿いの堤防に使用されているコンクリートの成分であるカルシウム分を竹が好むため、繁茂しやすくなる。

参加者は非常に熱心に受講し、現地同様、座学でも多くの質問が田中氏に投げかけられましたが、参加者にわかりやすく、説明いただき、いままで間違って理解していたことに気づかされました。

質問等も多く、限られた時間で濃密な研修となりました。参加者からは田中氏の次回研修を要望する声もありました。

研修を企画した樹冠ネットワークも地域住民の要望に応えられるような研修実施を今後も行う計画です。

 

 



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