風鈴丸さん

関ジャニ∞ ファンのつぶやき

ひるね

2019-07-19 18:21:07 | 日記
 
水曜日
 
自転車に乗り、
町中にある古い映画館へと向かう。
 
町中…といっても
駅から続く通りを一本外れるだけで
馴染んだ景色とは違う町が現れた。
 
昼間なのに
営業している店は少ない。
昔からある店よりも
シャッターばかりが目立つ。


破れた屋根に
煤けた”ス トリップ”の文字、
その隣に映画館はあった。
 
市内にシネコンができ
一度は閉鎖された劇場を、
有志が寄付金で復活させたらしい。
 
 
風神雷神があしらわれた
ネオン看板の下、
金色の文字で劇場の名が記された
ガラスの扉を引く。
 
 
中は薄暗く天井が低い。
昭和の建物の雰囲気って
木材と合わせた
壁紙の模様が独特。
人の出入りがあるからか
古さの割には据えた匂いはしない。
 
もぎりさんに
回数券のようなチケットを
定規で切ってもらい、
前の回が終わるまで
ロビーで待つように言われる。
 
 
パンフレットやチラシ
壁に貼られた昔のポスターを眺めつつ、
上映中の中国語と音楽に想いを巡らす。
 
 
別の従業員が入れ替わりの確認で
階段を駆け昇っていたが
中から出てきたのは一人だけ。
 
 
狭い扉を潜ると
200席位の座席が並ぶ。
他の客と間合いを取りつつ、
入ってすぐの
一階席の一番奥から館内を見渡す。
 
真上が二階席になるようで、
視界の左右に柱が見える。
舞台の更に奥に
小さなスクリーンがあり、
古い映画館というよりも
元々は劇場だったのかもしれない。
前方にはスピーカーと
スポットライトが
取り付けられていた。
 
そのまま壁際の
薄い合成皮革の座席に座る。
 
小さな閉じ込められた世界に
業務用クーラーの白さだけが浮き
奇妙な感じ。
 
 
スピーカーからジャズが流れている。
 
即興っぽいサックスのソロ、
盛り上がりのその途中
唐突に映画は始まった。
 
 
 
 
登場人物毎に描かれた『愛』の形。
 
そのいずれにも感情移入なんてできなくて、
否定するのは簡単なんだけど。
 
ただ、否定って
自分との照らし合わせでしかなくて。

どうせなら
同化してしまえばいいのに。
あちらとこちらの境界線を曖昧に。

 
その身一つで情に溺れることは
この上ない幸せなのかもしれない。
 
 
 
 
帰り道、
甘いつぶあんの詰まった
焼きたてのじまん焼きをほうばりながら
これが
焼き芋だったら良かったなあ~って。
 
そうすればきっと
分け合うことが出来たのだ。
 
同化も分離も思いのままに。
 
 
 
あとは、自転車に乗って家路に着くだけ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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