プラトニック・ラブの男性から、頬にキスをされるようになって3度目ぐらいの時、唇にキスされたんです。
彼の部屋で、いろいろな話をして、食事をしに行くことになった時です。
その部屋を出るまぎわに、立ったまま、いつものように彼から頬にキスをされて……。
頬に押しつけられた彼の唇が、そのまま少し移動して私の唇をとらえたんです。
彼の舌が、口の中に差し込まれ、私の舌にからみついて……。
そうされる予感はあったものの、その瞬間、甘美なめまいを起こしそうなくらいの歓喜に包まれました。
ずっとずっと、プラトニック・ラブの関係と、そう思っていたのですから無理もありません。
ディープ・キスをされるかもしれないという予感は、現実にそうなるとしても、ずっと先のことのような気がしていたんです。
頬へのキスと違って、長いキスになりました。
頬へのキスと違って、彼の腕の中に抱き締められているのに気づきました。
そして彼の肉体に、私を抱きたい欲望のしるしがあるのに気づきました。
でも、私は彼に抱かれたい欲望は、なかったんです。ディープ・キスだけで満たされる心地でしたから。
けれど、男性の彼は……。
唇を離すと、性の欲望を抑えられないような息づかいで、いつものように私の頬に、キスをしたんです。
私は、性の欲望はなかったけれど、彼の腕の中に抱き締められているのが最高に快くて、ずっとそうしていたかったくらいです。
「お腹、すいた?」
と、彼は少しうわずったような声で言いました。
私は、コクンとうなずきました。
「じゃ、何か美味しいもの、食べに行こう」
今度は、ふだんの時に近い声に戻って、彼が言いました。
抱擁が解かれ、私の胸に、小さな後悔がかすめました。彼の肉体から、私を抱きたい欲望が、一瞬にして去ってしまったことを感じとったからです。
私自身は性の欲望がないくせに、彼の中にあったその欲望が消え去ったことが、私を落胆させたんです。
矛盾しているみたいですけど──。
彼の部屋で、いろいろな話をして、食事をしに行くことになった時です。
その部屋を出るまぎわに、立ったまま、いつものように彼から頬にキスをされて……。
頬に押しつけられた彼の唇が、そのまま少し移動して私の唇をとらえたんです。
彼の舌が、口の中に差し込まれ、私の舌にからみついて……。
そうされる予感はあったものの、その瞬間、甘美なめまいを起こしそうなくらいの歓喜に包まれました。
ずっとずっと、プラトニック・ラブの関係と、そう思っていたのですから無理もありません。
ディープ・キスをされるかもしれないという予感は、現実にそうなるとしても、ずっと先のことのような気がしていたんです。
頬へのキスと違って、長いキスになりました。
頬へのキスと違って、彼の腕の中に抱き締められているのに気づきました。
そして彼の肉体に、私を抱きたい欲望のしるしがあるのに気づきました。
でも、私は彼に抱かれたい欲望は、なかったんです。ディープ・キスだけで満たされる心地でしたから。
けれど、男性の彼は……。
唇を離すと、性の欲望を抑えられないような息づかいで、いつものように私の頬に、キスをしたんです。
私は、性の欲望はなかったけれど、彼の腕の中に抱き締められているのが最高に快くて、ずっとそうしていたかったくらいです。
「お腹、すいた?」
と、彼は少しうわずったような声で言いました。
私は、コクンとうなずきました。
「じゃ、何か美味しいもの、食べに行こう」
今度は、ふだんの時に近い声に戻って、彼が言いました。
抱擁が解かれ、私の胸に、小さな後悔がかすめました。彼の肉体から、私を抱きたい欲望が、一瞬にして去ってしまったことを感じとったからです。
私自身は性の欲望がないくせに、彼の中にあったその欲望が消え去ったことが、私を落胆させたんです。
矛盾しているみたいですけど──。