愛の初体験に対する、欲望はなくても、欲求はあったのですから、私の本能的なかすかな拒絶反応を察した彼から、
「いや? やめようか?」
なんて、やさしく言われたって、やめて欲しくないのは正直な気持ちであり、自然なことでしょう。
彼のその言葉に、私は夢中で首を横に振ったんです。そんな私に欲望より情愛が湧いたのか、好きだとか可愛いとか彼は言いながら唇を、私の顔のあちこちに押しあてて……。
ふたたび、行為が始まって、というより、行為を始めようとする行為が始まって……。
この時のことを、具体的に描写したい衝動に駆られますけど、それはやめておきます。
これは読み物でも小説でもなく、告白手記なんです。つい、もの書きの習性で、具体的に描写したくなってしまうんですね、きっと。
それで……。
愛の初体験行為を、彼が始めようとした時──。
目を閉じていた私は、下腹部のそこに、生まれて初めての物体の感触を覚えたんです。
それは、初体験行為のための、異性の身体の一部、であって、そうではない感触です。
ちょっと、ややこしいのですけど、避妊具を装着した、異性の肉体の一部、ということです。
ですから、私の下腹部のそこに押しつけられ、触れられたそれは、正確には避妊具の感触なんです。
それは、本当に妙な感覚でした。生まれて初めての感触。男性の肉体そのものではなく、避妊具の感触です。それを押しつけられた瞬間、
「ん……」
と、小さな声を洩らしてしまったのは無理もないこと。その部分に、初めて触れられた彼の指より、もっと妙な感覚、衝撃的な感触に、またしても私は本能的に拒絶しそうになってしまい──。
それもまた、無理もないことでしょう。
けれど、今度は彼は、やめようかと、やさしく言ってくれませんでした。
「いや? やめようか?」
なんて、やさしく言われたって、やめて欲しくないのは正直な気持ちであり、自然なことでしょう。
彼のその言葉に、私は夢中で首を横に振ったんです。そんな私に欲望より情愛が湧いたのか、好きだとか可愛いとか彼は言いながら唇を、私の顔のあちこちに押しあてて……。
ふたたび、行為が始まって、というより、行為を始めようとする行為が始まって……。
この時のことを、具体的に描写したい衝動に駆られますけど、それはやめておきます。
これは読み物でも小説でもなく、告白手記なんです。つい、もの書きの習性で、具体的に描写したくなってしまうんですね、きっと。
それで……。
愛の初体験行為を、彼が始めようとした時──。
目を閉じていた私は、下腹部のそこに、生まれて初めての物体の感触を覚えたんです。
それは、初体験行為のための、異性の身体の一部、であって、そうではない感触です。
ちょっと、ややこしいのですけど、避妊具を装着した、異性の肉体の一部、ということです。
ですから、私の下腹部のそこに押しつけられ、触れられたそれは、正確には避妊具の感触なんです。
それは、本当に妙な感覚でした。生まれて初めての感触。男性の肉体そのものではなく、避妊具の感触です。それを押しつけられた瞬間、
「ん……」
と、小さな声を洩らしてしまったのは無理もないこと。その部分に、初めて触れられた彼の指より、もっと妙な感覚、衝撃的な感触に、またしても私は本能的に拒絶しそうになってしまい──。
それもまた、無理もないことでしょう。
けれど、今度は彼は、やめようかと、やさしく言ってくれませんでした。