花森えりか My Room

─愛と官能について語る部屋─

愛のジュース

2012-11-14 15:19:10 | P子の不倫
 ジュースといってもオレンジジュースやグレープジュースのことではありません。男と女の愛のジュース。そう、セックスの時、秘部にあふれる、あのラブ・ジュースです。
 友達のP子とワインを飲みながら、酔った勢いでエッチ談義をしている時──。
「男性が加齢と共に精力が弱くなるように、女性はラブ・ジュースが少なくなるって聞いたことがあるけど、P子は、どうなの?」
 残酷な質問をしてみたんです。P子って、他人が見たら多少は若く見え、本人は10歳以上若く見えると思い込んでる自惚れ屋だから、ちょっとからかいたくなったんです。きっと、悄然となって──と想像していたら、
「そのことなら全然、問題ないの。愛があればラブ・ジュースは出るものだし、若くたって愛がなければラブ・ジュースは出ないのが女の体の生理構造ですもン」
 澄まして、そう言うんです。
「それでも、若いころに比べれば……人間、生きている以上、肉体の衰えが避けられないのと同じように、ラブ・ジュースだって少しは減ってくるものじゃない?」
「実はね、あたしもそのことは何かで読んで知識として知ってたの。女も加齢と共にラブ・ジュースが出にくくなるってね。ところが……うふ」
「見栄張らないで、正直に言いなさいよ」
「女のあなたに見栄張ってどうするの。いつだったか、ずっと前、旦那様に聞いたことがあるの。あたしがいつかラブ・ジュースが出にくくなったら、どうする? って」
 旦那様、というのはP子の不倫相手の熟年男性です。
「何て言われたの? それでも愛は変わらないとか何とか言われたっていうんでしょう」
「一言、こう言ったわ。舐めればいいんだろ、って。うふ」
「ヤラシイけど、それはそうね」
「だって、旦那様って、あたしの体を舐めまくるのが大好き人間だから。グニャチンやフニャチンの時は、あたしの秘部を舐めてればカタチンになる人だからね。うふ」
「はいはい、そういうことなのね」
「でもね、まだ、そんなこと1度もないの。第一、あたしの体って水分過剰体質っていうか、もともと水分が多い体質なのよ。涙も唾液も胃酸も汗もラブ・ジュースも、平均よりかなり出る体質なの」
「結構な体質ね」
「それからね、ある食品を取ってるせいもあると思うの。女性ホルモンの成分のある食品を、毎日少量食べ続けてるからね、それもいいのかも」
「ある食品て?」
「それは教えられないわ。100万円貰ったって、ううん1000万円貰ったって教えない。だって、どこのスーパーでも簡単に手に入る食品じゃないし、少ししか置いてないのよ。あなたに教えて広まったりしたら、よけい買えなくなるでしょう」
「誰にも言わないから。私だけならいいでしょう。買わないって約束するから」
「女の約束なんて当てにならないわ。たいていのスーパーでは売ってることは売ってるけど、美味しくて理想的なのが少ししか置いてないのよね。同種類で似てる食品とか、安くて美味しくないのなら、たくさん売ってるけど、それじゃ駄目なの。デパ地下か、デパート系スーパーで、売ってることがあるけど、いつも、あたしが欲しいそれがあるとは限らないの。手に入れるのが、むずかしいってこと。あまり、まとめ買いすると、冷蔵庫に保存しても腐っちゃうしね」
「わかったわ、いいわよ、教えてくれなくたって。その食品のおかげで、ラブ・ジュースがあふれるほど出るなら結構なことじゃない」
「あーら、だから言ったでしょう。その食品食べてるせいっていうより、水分過剰体質だって。秘密のその食品はね、女性ホルモンを維持するために摂取してるのよ。女性ホルモン減ったら、きれいなお肌と髪と、女らしい体つきを維持できなくなるでしょう」
「生で食べるの? 加熱するの?」
「すり下ろすのよ。すり下ろしながら、女性ホルモン女性ホルモン女性ホルモン女性ホルモン女性ホルモンて、全部すり下ろし終わるまで唱えるの。それが大事なの。唱えるということは、お祈りするということだからね、神様に」
 女性ホルモンという言葉を繰り返すP子に、私は噴き出し、キャハハハハッと笑い転げてしまいました。