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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(85)

2005年05月11日 | 主語
日本語の側から、英語を考えるとき、よくやる間違いです。以下、見ましょう。

(1)オレは、世界征服なんて簡単だよ。
(2)私は、世界征服なんて不可能ですよ。

(1)や(2)の日本語は、普通に、OKですが、じゃ、これらを英語では、どう表現するか、ということになるんですけど、まず、以下のように表現してしまうことが、多いみたいですね。

(3)I am easy to conquer the world. (×) (訳同(1))
(4)I am impossible to conquer the world. (×) (訳同(2))

何と、(3)や(4)は、アウトなんですが、じゃ、どうすればOKになるんだ、ということですね。そこで、この場合、「‘it’~ (for ・・・) ‘to’不定詞」のカタチをした構文で、対応させることなら、可能ということです。

(5)It is easy for me to conquer the world. (〇) (訳同(1))
(6)It is impossible for me to conquer the world. (〇) (訳同(2))

(5)と(6)は、OKになる、ということなんですが、(3)と(4)の主語である、‘I’「オレ」、(または、「私」)を、‘for me’として、‘to conquer the world’「世界を征服する」、の直前に、もっていったわけですね。‘I’が退いた主語位置には、かわりに、形式主語の、‘it’が入り込みます。 (EG84参照)

ここで思い出して欲しいのは、EG23で扱った、‘easy’構文ですが、そこで確認したのは、‘easy’構文は、‘to’不定詞内の「目的語」を、移動する構文である、ということです。そして、その目的語の移動先は、以下のように、‘be easy’や、‘be impossible’の主語位置です。

(7)The world is easy (for me) to conquer _ . (〇) (訳同(1))
(8)The world is impossible (for me) to conquer _ . (〇) (訳同(2))

(5)~(8)を見て、その全てが、OKになる、ということなんですが、一方、(3)と(4)はアウトなんですね。日本語である(1)と(2)の側からすれば、(3)と(4)こそ、OKになって欲しいところなんですが。つまり、英語の主語には、単純に、日本語の、「~ は」で、対応させることができないものがある、ということです。

(9)Tom is kind to help Mary. (メアリーを助けるなんて、トムは親切だね。)
(10)It is kind of Tom to help Mary. (訳同上)

今度は、(9)ですが、これは、‘Tom is kind’「トムは親切だ」に、その判断の根拠を表す、‘to help Mary’「メアリーを助けるとは」が、くっ付いているものです。‘kind’「親切な」、という形容詞は、もちろん、ヒトの性質を表現している、と言えます。ですので、その主語は、‘Tom’となっていて、OKになるわけですね。

しかし、一方で、英語では、(10)も、OKになるのです。これは、‘kind’の意味がもっている特性からは、予測不可能なカタチですので、よく、(9)から、(10)への書きかえはパターン化されて、覚えるようになっています。

ポイントは、あたかも、‘of ~’の部分が、「‘for’~ ‘to’不定詞」のカタチをとる構文における、‘for ~’と同じように、‘to’不定詞の主語の役割を果たしている、ということです。ですので、‘of Tom’が主語で、‘to help Mary’が、述語の役割を果たしている、と言ってもよいでしょう。

(11)For Tom to help Mary is impossible. (〇)
  (トムがメアリーを助けるなんて、不可能だよ。)
(12)Of Tom to help Mary is kind. (×) (訳同(9)).

しかし、今度は、(11)と(12)を比較すると、明らかに、その文法性に、差が出てしまいます。(11)は、基本的にOKですが、‘is impossible’を述語として、主語に、「‘for’~ ‘to’不定詞」のカタチがきています。しかし、一方で、(12)はアウトで、‘is kind’を述語として、主語に、「‘of’~ ‘to’不定詞」のカタチがきています。(ただし、(11)は、主語が、述語と比べて、情報量が多すぎるため、座りが悪い文である、との判断を受けます。 (EG84参照))

そこで、問題は、(12)が、なぜ、もともと、全くダメなのか、ということですが、これは、‘impossible’と‘kind’の意味的な特性の違いに帰する問題、としか言えないもので、本来的に、‘be impossible’は、「ヒト」が主語でなければならない、などという、意味的な制限はなく、「‘for’~ ‘to’不定詞」全体のカタチが、その主語になっても、基本は、OKです。

しかし、一方、‘be kind’の場合は、あくまで、‘of ~’で表現されるものが、その本来的な、もともとの主語であり、かつ、「ヒト」、という指定を受けています。つまり、「‘of’~ ‘to’不定詞」全体のカタチが、‘be kind’の主語になるわけではない、ということなのです。ですので、どのようなカタチになろうとも、この指定を無視したものは、アウトになります。

(13)a. It is easy to use yellow on the blackboard. (〇) (黄色は、黒板には使いやすいね。)
   b. Yellow is easy to use _ on the blackboard. (〇) (訳同上)

(14)a. It is kind of yellow to be used on the blackboard. (×)
    (黄色は、黒板に使われると、親切だね。)
   b. Yellow is kind _ to be used on the blackboard. (×) (訳同上)

主語に指定がない、ということに関してですが、例えば、(13a-b)にあるように、‘easy’構文では、ただ、‘to’不定詞内の目的語が、主語として、移動してくるという、決まりがあるだけです。ですので、たまたま、移動の対象である目的語が、ヒトであった場合、偶然、ヒトが、‘be easy’の主語位置に移動してくるだろうし、一方、モノが目的語なら、モノが主語位置に移動してくるだけのことなんです。

しかし、(14a-b)が、両方とも、アウトであることからも明らかなように、‘kind’は、主語として取れるものに、「ヒト」という、意味的な制限が、課されています。これを、詳しく述べると、(14a)が、まず最初にあって、(14b)が変形によって派生された、と考えることはできない、ということです。

日本語にしてみても、わかるように、「黄色は親切だ」とか、「そのイスは親切だ」、などと言っても、ナンセンスですからね。これとは逆に、例えば、OKである(9)と(10)を考えてみると、むしろ、(9)が基本であって、派生的に、(10)もまた、成り立つ、というような印象があります。そして、この印象は、正しいのです。

やはり、‘easy’構文とは違って、(9)や(10)は、あくまでも、述語である、‘be kind’に、予め、「ヒト」が主語になる、という指定がなされていて、場合によっては、その主語が、‘of ~’というカタチになり、‘be kind’の後方にまわった後、‘it’が挿入される、特殊なケースの構文である、と考えてよいでしょう。

今回のポイントは、「主語・述語」の関係では、あくまでも、予め、述語の側から要求する主語に、制限範囲の大小がある、ということです。同じ形容詞でも、‘easy’や‘impossible’に課されている制限と、‘kind’に課されている制限は、もともと、違っている、ということです。これは、一見、当たり前で、簡単なようでいても、日本語の「~ は」につられて、つい、うっかり、(3)や(4)のような間違いをやってしまいます。

一方で、日本語の感覚からは、(10)のような、構文の存在を見過ごしてしまいます。さらに、(10)の存在を知ったからといって、(12)のようなカタチにすることもできないし、(14a-b)のようなカタチにすることもできません。英語には、カタチが似ている構文が多いので、まぎらわしいのですが、その大半は、述語の特性を知ることで、可能な変形が制限されてきますので、今回、ひとまず、その一部を知った、ということで。

●関連: EG23EG84

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