EG93、EG94の続きです。EG94では、「動詞+目的語+‘to’不定詞」のカタチを取る構文に対して、同じ条件でテストをした結果、動詞によっては、違いが見られる、ということでした。以下、見ましょう。
(1)John believed Mary to be in the basement.
(ジョンは、メアリーが地下室にいると信じていた。)
(2)John persuaded Mary to be in the basement.
(ジョンは、メアリーに地下室にいるよう説得した。)
(1)と(2)は、共に、「動詞+目的語+‘to’不定詞」のカタチです。(1)の‘believe’も、(2)の‘persuade’も、共通点は、「目的語+‘to’不定詞」の部分に、解釈上、‘Mary is in the basement.’「メアリーが地下室にいる」、という、「主語・述語」の関係が成り立っている、ということです。
(3)Mary was believed _ to be in the basement. (〇)
(メアリーは、地下室にいると信じられていた。)
(4)Mary was persuaded _ to be in the basement. (〇)
(メアリーは、地下室にいるよう説得された。)
そこで、(1)から(3)、(2)から(4)、というように、それぞれ、‘Mary’を主語位置に移動させて、受身文をつくってみましたが、共に、何の問題もなく、OKになります。(3)の‘believe’の受身文に関しては、既に、OKであることは、わかっていますね。 (EG94、参照) では、次にいきましょう。
(5)John believed himself to be in the basement. (〇)
(ジョンは、自分が地下室にいると信じていた。)
(6)John persuaded himself to be in the basement. (〇)
(ジョンは、地下室にいるよう自分で自分を説得した。)
今度は、(5)と(6)ですが、やはり、共にOKです。(5)も(6)も、目的語の部分に、再帰代名詞を置いてみたわけですが、共に、何の問題もなくOKですので、両者には、特に差は感じられませんね。続けて、以下も見ましょう。
(7)John believed strongly for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンは、メアリーが地下室にいると、強く信じていた。)
(8)John persuaded strongly for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンは、メアリーに地下室にいるよう、強く説得した。)
(7)と(8)の場合は、共にアウトになりました。どちらも、副詞‘strongly’を割り込ませて、‘for’を‘Mary’の前に置いてみたのですが、やはり、アウトということですね。この‘for’に関してですが、今度は、以下のような、違ったやり方で、見てみたいと思います。
(9)What John believed is for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンが信じていたのは、メアリーが地下室にいる、ということだ。)
(10)What John persuaded is for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンが説得したのは、メアリーに地下室にいるように、ということだ。)
(9)と(10)の場合も、共にアウトです。(9)と(10)は、主語に関係節‘what ~’を使ってみましたが、‘be’動詞の‘is ~’から、後半の表現を、どちらも、‘for Mary to be in the basement’、として、目的語の前に、‘for’を置いてみました。やはり、両方ともアウトですから、特に差は感じられませんね。 (‘what’を使った関係節については、EG53、参照)
(11)John wanted Mary to be in the basement.
(ジョンは、メアリーに地下室にいて欲しいと思っていた。)
(12)Mary was wanted _ to be in the basement. (×)
(メアリーは、地下室にいて欲しいと思われていた。)
(13)John wanted himeself to be in the basement. (×)
(ジョンは、自分が地下室にいたいと思っていた。)
(14)John wanted very much for Mary to be in the basement. (〇)
(ジョンは、とても、メアリーに地下室にいて欲しがった。)
(15)What John wanted is for Mary to be in the basement. (〇)
(ジョンが望んでいたのは、メアリーが地下室にいる、ということだ。)
ここで、思い出して欲しいのですが、EG94では、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のタイプは、実は、「‘want’+‘for’+目的語+‘to’不定詞」のカタチがもとになっていて、普段は、(11)のように、表面上、‘for’を隠しているが、(14)や(15)のように、‘want’と目的語が隣りあわないように、お互いを遠ざけると、‘for’が、ヒョッコリ顔を出す、ということを確認しました。
そして、さらに、その‘for’を取る、という性質が原因となって、(12)の受身文や、(13)の再帰代名詞 が、アウトになるのではないか、ということを、想定したわけですね。
ですので、今回、新たに確認した、「‘persuade’+目的語+‘to’不定詞」の場合は、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」と、文法的に、同じ振る舞い方をする、つまり、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」とは、逆の振る舞い方をするということなので、‘want’タイプの仲間ではなく、‘believe’タイプの仲間である、ということになります。
具体的に、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」との相違点は、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」と、「‘persuade’+目的語+‘to’不定詞」は、共に、受身文の変形が可能で、再帰代名詞の出現も許すが、その一方で、動詞と目的語を切り離して遠ざけても、‘for’が現れない、という共通点があります。
そこで、こういった分類の背後にある考えは、‘want’タイプが、‘for’を隠しもつ、という性質に起因するもので、この点、‘believe’や‘persuade’が、同じタイプである、という結論には、説得力があります。つまり、‘believe’も、‘persuade’も、同様に、‘for’を取らない (‘for’を隠しもつことがない)、だから、受身文にすることや、再帰代名詞の出現が、可能なのだ、という説明を裏付けることになります。
今回のポイントは、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」は、特殊な構文である、ということを、新たに、他の動詞を加えて比較してみることで、その確からしさを検証してみた、ということです。そこで得られた結論は、やはり、‘want’のような、本来的に、‘for’を取る (隠しもつ) タイプの動詞は、それが原因で、受身文への変形や、再帰代名詞の出現を許さない、といった説明が成り立つ、ということです。
その一方で、‘believe’や‘persuade’のような、本来的に‘for’を取らない動詞は、ごく普通に、受身文への変形や、再帰代名詞の出現を許す、といった、特に変則性のない、一般的な文法的振る舞いをする、ということですので、同じタイプの動詞として、一括りにできそうだ、ということです。
が、しかし、今さらですが、果たして、このような結論で終わってしまってもよいのでしょうか。まだ他に検証すべきことは残っていないのでしょうか。もう少し、結論は先にまわしてもよいような気がしますので、次回、またこのテーマを、掘り下げて、扱ってみたいと思います。
●関連: EG53、EG93、EG94
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(1)John believed Mary to be in the basement.
(ジョンは、メアリーが地下室にいると信じていた。)
(2)John persuaded Mary to be in the basement.
(ジョンは、メアリーに地下室にいるよう説得した。)
(1)と(2)は、共に、「動詞+目的語+‘to’不定詞」のカタチです。(1)の‘believe’も、(2)の‘persuade’も、共通点は、「目的語+‘to’不定詞」の部分に、解釈上、‘Mary is in the basement.’「メアリーが地下室にいる」、という、「主語・述語」の関係が成り立っている、ということです。
(3)Mary was believed _ to be in the basement. (〇)
(メアリーは、地下室にいると信じられていた。)
(4)Mary was persuaded _ to be in the basement. (〇)
(メアリーは、地下室にいるよう説得された。)
そこで、(1)から(3)、(2)から(4)、というように、それぞれ、‘Mary’を主語位置に移動させて、受身文をつくってみましたが、共に、何の問題もなく、OKになります。(3)の‘believe’の受身文に関しては、既に、OKであることは、わかっていますね。 (EG94、参照) では、次にいきましょう。
(5)John believed himself to be in the basement. (〇)
(ジョンは、自分が地下室にいると信じていた。)
(6)John persuaded himself to be in the basement. (〇)
(ジョンは、地下室にいるよう自分で自分を説得した。)
今度は、(5)と(6)ですが、やはり、共にOKです。(5)も(6)も、目的語の部分に、再帰代名詞を置いてみたわけですが、共に、何の問題もなくOKですので、両者には、特に差は感じられませんね。続けて、以下も見ましょう。
(7)John believed strongly for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンは、メアリーが地下室にいると、強く信じていた。)
(8)John persuaded strongly for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンは、メアリーに地下室にいるよう、強く説得した。)
(7)と(8)の場合は、共にアウトになりました。どちらも、副詞‘strongly’を割り込ませて、‘for’を‘Mary’の前に置いてみたのですが、やはり、アウトということですね。この‘for’に関してですが、今度は、以下のような、違ったやり方で、見てみたいと思います。
(9)What John believed is for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンが信じていたのは、メアリーが地下室にいる、ということだ。)
(10)What John persuaded is for Mary to be in the basement. (×)
(ジョンが説得したのは、メアリーに地下室にいるように、ということだ。)
(9)と(10)の場合も、共にアウトです。(9)と(10)は、主語に関係節‘what ~’を使ってみましたが、‘be’動詞の‘is ~’から、後半の表現を、どちらも、‘for Mary to be in the basement’、として、目的語の前に、‘for’を置いてみました。やはり、両方ともアウトですから、特に差は感じられませんね。 (‘what’を使った関係節については、EG53、参照)
(11)John wanted Mary to be in the basement.
(ジョンは、メアリーに地下室にいて欲しいと思っていた。)
(12)Mary was wanted _ to be in the basement. (×)
(メアリーは、地下室にいて欲しいと思われていた。)
(13)John wanted himeself to be in the basement. (×)
(ジョンは、自分が地下室にいたいと思っていた。)
(14)John wanted very much for Mary to be in the basement. (〇)
(ジョンは、とても、メアリーに地下室にいて欲しがった。)
(15)What John wanted is for Mary to be in the basement. (〇)
(ジョンが望んでいたのは、メアリーが地下室にいる、ということだ。)
ここで、思い出して欲しいのですが、EG94では、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のタイプは、実は、「‘want’+‘for’+目的語+‘to’不定詞」のカタチがもとになっていて、普段は、(11)のように、表面上、‘for’を隠しているが、(14)や(15)のように、‘want’と目的語が隣りあわないように、お互いを遠ざけると、‘for’が、ヒョッコリ顔を出す、ということを確認しました。
そして、さらに、その‘for’を取る、という性質が原因となって、(12)の受身文や、(13)の再帰代名詞 が、アウトになるのではないか、ということを、想定したわけですね。
ですので、今回、新たに確認した、「‘persuade’+目的語+‘to’不定詞」の場合は、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」と、文法的に、同じ振る舞い方をする、つまり、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」とは、逆の振る舞い方をするということなので、‘want’タイプの仲間ではなく、‘believe’タイプの仲間である、ということになります。
具体的に、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」との相違点は、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」と、「‘persuade’+目的語+‘to’不定詞」は、共に、受身文の変形が可能で、再帰代名詞の出現も許すが、その一方で、動詞と目的語を切り離して遠ざけても、‘for’が現れない、という共通点があります。
そこで、こういった分類の背後にある考えは、‘want’タイプが、‘for’を隠しもつ、という性質に起因するもので、この点、‘believe’や‘persuade’が、同じタイプである、という結論には、説得力があります。つまり、‘believe’も、‘persuade’も、同様に、‘for’を取らない (‘for’を隠しもつことがない)、だから、受身文にすることや、再帰代名詞の出現が、可能なのだ、という説明を裏付けることになります。
今回のポイントは、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」は、特殊な構文である、ということを、新たに、他の動詞を加えて比較してみることで、その確からしさを検証してみた、ということです。そこで得られた結論は、やはり、‘want’のような、本来的に、‘for’を取る (隠しもつ) タイプの動詞は、それが原因で、受身文への変形や、再帰代名詞の出現を許さない、といった説明が成り立つ、ということです。
その一方で、‘believe’や‘persuade’のような、本来的に‘for’を取らない動詞は、ごく普通に、受身文への変形や、再帰代名詞の出現を許す、といった、特に変則性のない、一般的な文法的振る舞いをする、ということですので、同じタイプの動詞として、一括りにできそうだ、ということです。
が、しかし、今さらですが、果たして、このような結論で終わってしまってもよいのでしょうか。まだ他に検証すべきことは残っていないのでしょうか。もう少し、結論は先にまわしてもよいような気がしますので、次回、またこのテーマを、掘り下げて、扱ってみたいと思います。
●関連: EG53、EG93、EG94
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