EG93の続きです。以下、見ましょう。
(1)John believes Mary to be honest. (ジョンは、メアリーを正直者だと信じている。)
(1)のように、‘believe’「~ 信じている」、のような動詞が使われている場合、「目的語+‘to’不定詞」の間に、「主語・述語」の関係がある、ということを、EG93で述べました。こういったカタチは、よく目にするので、個々の動詞ごとに、「動詞+目的語+‘to’不定詞」 (‘to’不定詞は、目的語を、解釈上の主語として取る) のカタチで使えるかどうかを、チェックして覚えてしまうのが、手っ取り早いんですが、今回、その注意点です。
(2)John wants Mary to be honest. (ジョンは、メアリーに正直であって欲しいと思っている。)
(2)のような、「‘want’+A+‘to’不定詞 (A に ~ して欲しい)」も、同様に、「A (目的語)+‘to’不定詞」の間に、「主語・述語」の関係があるので、この点、(2)は、(1)の仲間として扱ってもよく、そして、そう考えているヒトも、多いと思います。ただし、以下のような違いもあります。
(3)John believes himself to be honest. (〇)
(ジョンは、自分を正直者だと信じている。)
(4)John wants himeself to be honest. (×)
(ジョンは、自分が正直者でありたいと思っている。)
(3)と(4)は、それぞれ、再帰代名詞‘himeself’を、目的語に置いてみたのですが、(3)はOKで、一方、(4)はアウトです。そして、そういった文法性の可否が、逆になるケースもあります。以下を見ましょう。
(5)John believes to be honest. (×) (ジョンは、正直者だと信じている。)
(6)John wants to be honest. (〇) (ジョンは、正直者でありたいと思っている。)
(3)から、‘himself’を消去した(5)は、アウトになりますが、一方、(4)から、‘himself’を消去した(6)は、OKになります。つまり、(1)~(6)を、トータルで考えて、‘believe’は、どんな場合でも、目的語なしに、直接、‘to’不定詞をしたがえることができない動詞で、一方、‘want’は、主語と目的語が、イコール (=) の解釈になるときのみ、目的語が、消去されなければならない動詞、ということになります。
(7)Mary is believed _ to be honest. (〇)
(メアリーは、正直者だと信じられている。)
(8)Mary is wanted _ to be honest. (×)
(メアリーは、正直者であって欲しいと思われている。)
今度は、受身文ですが、(1)と(2)の目的語‘Mary’を、それぞれ、主語位置に移動させてみました。そこで、能動文(1)から(7)への受身文は、OKで、一方、能動文(2)から(8)への受身文は、アウトです。
ここから、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」の目的語は、勝手に消えたりせず、受身文の主語にもなれるので、比較的、素直な特性をもっている、と言えますが、一方、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」の目的語は、消去しなければならない場合もあるし、受身文の主語にもなれないので、変則的である、と言えます。さらに、以下を見ましょう。
(9)John believes strongly for Mary to be honest. (×)
(ジョンは、メアリーを正直者だと、強く信じている。)
(10)John wants very much for Mary to be honest. (〇)
(ジョンは、とても、メアリーに正直であって欲しがっている。)
(9)は、(1)に、副詞‘strongly’を割り込ませて、‘for’を‘Mary’の前に置いてみたのですが、これは当然、アウトです。しかし、一方、(10)では、(2)に、副詞句‘very much’を割り込ませて、‘for’を‘Mary’の前に置いてみたのですが、何と、OKになりました。つまり、何らかの語句が、‘want’と目的語の間に割り込むと、‘for’が出現する、ということなんです。これは、ちょっと、意外な結果ですね。さらに、以下を見ましょう。
(11)What John believes is for Mary to be honest. (×)
(ジョンが信じているのは、メアリーが正直者である、ということだ。)
(12)What John wants is for Mary to be honest. (〇)
(ジョンが望んでいるのは、メアリーが正直者である、ということだ。)
今度は、(11)と(12)、共に、主語に関係節‘what ~’を使ってみましたが、‘be’動詞の‘is ~’から、後半の表現を、どちらも、‘for Mary to be honest’「メアリーが正直者である」、としてみました。そして、ここでも、‘believe’を使った(11)は、アウトで、一方、‘want’を使った(12)は、OKになります。 (‘what’を使った関係節については、EG53、参照)
ここで、学校で習う英文法では、誰でも、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のカタチを習うので、(10)のように、いきなり‘for’が現れると、何かの間違いではないか、と思ってしまうわけですが、(12)を見ても、やはり、‘for’が現れて、OKになっています。
どうやら、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のカタチは、こういったカタチで、圧倒的によく使うので、教える際には、そういうものだと、暗記させるようになっている、ということらしいですね。だから、(10)や(12)のように、‘want’を使った構文で、‘for’が現れるのは、意外に感じられるんですが、実は、‘want’の構文は、後に続く目的語が、‘want’から切り離されると、‘for’が出現するんです。
と言うよりも、むしろ、考え方としては、「‘want’+‘for’+目的語+‘to’不定詞」のカタチが、もともとのカタチであって、ただし、条件として、‘want’と‘for’が、隣り合ったままの場合、消去しなければならない、ということになっているらしいんですね。ですので、‘want’と‘for’が、隣り合ったままではない、というのなら、そのまま、‘for’は生かされる、ということなんです。
そこで、こういった特徴を利用して、例えば、潜在的に‘for’を隠しもっている構文の場合、それが、(4)のような再帰代名詞や、(8)のような受身文を、アウトにする原因である、と考えることも可能ではないか、と思われます。つまり、本来的なカタチが、「動詞+目的語+‘to’不定詞」の構文のみ、その目的語が、再帰代名詞の場合、主語と、イコール (=) の関係で結ばれることに、特に障害とはならず、また、受身文の主語として移動することもできる、としてもよいかと思います。
今回のポイントは、「目的語+‘to’不定詞」のカタチを後にともなう、という共通点をもった、‘believe’と‘want’の違いを調べてみたのですが、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」は、別に、特別、変わった様子はありませんでした。しかし、一方、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」は、潜在的に、‘for’を隠しもっていることが原因で、随分と変則的な振る舞い方をする、ということが、明らかになりました。
確かに、「‘want’+‘for’+目的語+‘to’不定詞」のカタチが、もとにある、と言ったところで、実際は、‘for’なしで、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のカタチで使うことが、圧倒的に多いわけですから、‘believe’も‘want’も、同じで、「目的語+‘to’不定詞」のカタチの構文で使われる、と言ってしまいたくなるのは、わかるんですが、「英語脳」的には、やはり、少ない労力で、豊かな表現力を身に付けたいところなので、本当は、何が中核になっているのかを知る、ということが、どうしても必須になってきます。
今回のような、「動詞+目的語+‘to’不定詞」のタイプは、まだ言うべきことがありますが、とりあえず、また、別の機会です。
■注1 : ‘want’は、単独で使われる場合、‘You are wanted on the phone.’「電話が来てるよ。」、や、‘Wanted’「おたずね者」という、一種の、「決まり文句」、でなら、受身文は、OKとされますが、いずれにせよ、「決まり文句」、であり、あまり、生産的な受身文ではありません。
■注2 :略式で使われる場合、特に、‘want’と‘for’が、隣り合っている場合でも、必ずしも、‘for’が消去されなければならない、ということはありません。ちなみに、今回の、「動詞+‘for’+目的語+‘to’不定詞」という、‘want’タイプの動詞は、‘like’「好む」、‘prefer’「より好む」、‘hate’「嫌う」、といった、「感情」に関わる動詞、という共通点があります。
●関連: EG53、EG93
★みんなの英会話奮闘記★ ★元祖ブログランキング★ ★英語・人気blogランキング★
(1)John believes Mary to be honest. (ジョンは、メアリーを正直者だと信じている。)
(1)のように、‘believe’「~ 信じている」、のような動詞が使われている場合、「目的語+‘to’不定詞」の間に、「主語・述語」の関係がある、ということを、EG93で述べました。こういったカタチは、よく目にするので、個々の動詞ごとに、「動詞+目的語+‘to’不定詞」 (‘to’不定詞は、目的語を、解釈上の主語として取る) のカタチで使えるかどうかを、チェックして覚えてしまうのが、手っ取り早いんですが、今回、その注意点です。
(2)John wants Mary to be honest. (ジョンは、メアリーに正直であって欲しいと思っている。)
(2)のような、「‘want’+A+‘to’不定詞 (A に ~ して欲しい)」も、同様に、「A (目的語)+‘to’不定詞」の間に、「主語・述語」の関係があるので、この点、(2)は、(1)の仲間として扱ってもよく、そして、そう考えているヒトも、多いと思います。ただし、以下のような違いもあります。
(3)John believes himself to be honest. (〇)
(ジョンは、自分を正直者だと信じている。)
(4)John wants himeself to be honest. (×)
(ジョンは、自分が正直者でありたいと思っている。)
(3)と(4)は、それぞれ、再帰代名詞‘himeself’を、目的語に置いてみたのですが、(3)はOKで、一方、(4)はアウトです。そして、そういった文法性の可否が、逆になるケースもあります。以下を見ましょう。
(5)John believes to be honest. (×) (ジョンは、正直者だと信じている。)
(6)John wants to be honest. (〇) (ジョンは、正直者でありたいと思っている。)
(3)から、‘himself’を消去した(5)は、アウトになりますが、一方、(4)から、‘himself’を消去した(6)は、OKになります。つまり、(1)~(6)を、トータルで考えて、‘believe’は、どんな場合でも、目的語なしに、直接、‘to’不定詞をしたがえることができない動詞で、一方、‘want’は、主語と目的語が、イコール (=) の解釈になるときのみ、目的語が、消去されなければならない動詞、ということになります。
(7)Mary is believed _ to be honest. (〇)
(メアリーは、正直者だと信じられている。)
(8)Mary is wanted _ to be honest. (×)
(メアリーは、正直者であって欲しいと思われている。)
今度は、受身文ですが、(1)と(2)の目的語‘Mary’を、それぞれ、主語位置に移動させてみました。そこで、能動文(1)から(7)への受身文は、OKで、一方、能動文(2)から(8)への受身文は、アウトです。
ここから、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」の目的語は、勝手に消えたりせず、受身文の主語にもなれるので、比較的、素直な特性をもっている、と言えますが、一方、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」の目的語は、消去しなければならない場合もあるし、受身文の主語にもなれないので、変則的である、と言えます。さらに、以下を見ましょう。
(9)John believes strongly for Mary to be honest. (×)
(ジョンは、メアリーを正直者だと、強く信じている。)
(10)John wants very much for Mary to be honest. (〇)
(ジョンは、とても、メアリーに正直であって欲しがっている。)
(9)は、(1)に、副詞‘strongly’を割り込ませて、‘for’を‘Mary’の前に置いてみたのですが、これは当然、アウトです。しかし、一方、(10)では、(2)に、副詞句‘very much’を割り込ませて、‘for’を‘Mary’の前に置いてみたのですが、何と、OKになりました。つまり、何らかの語句が、‘want’と目的語の間に割り込むと、‘for’が出現する、ということなんです。これは、ちょっと、意外な結果ですね。さらに、以下を見ましょう。
(11)What John believes is for Mary to be honest. (×)
(ジョンが信じているのは、メアリーが正直者である、ということだ。)
(12)What John wants is for Mary to be honest. (〇)
(ジョンが望んでいるのは、メアリーが正直者である、ということだ。)
今度は、(11)と(12)、共に、主語に関係節‘what ~’を使ってみましたが、‘be’動詞の‘is ~’から、後半の表現を、どちらも、‘for Mary to be honest’「メアリーが正直者である」、としてみました。そして、ここでも、‘believe’を使った(11)は、アウトで、一方、‘want’を使った(12)は、OKになります。 (‘what’を使った関係節については、EG53、参照)
ここで、学校で習う英文法では、誰でも、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のカタチを習うので、(10)のように、いきなり‘for’が現れると、何かの間違いではないか、と思ってしまうわけですが、(12)を見ても、やはり、‘for’が現れて、OKになっています。
どうやら、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のカタチは、こういったカタチで、圧倒的によく使うので、教える際には、そういうものだと、暗記させるようになっている、ということらしいですね。だから、(10)や(12)のように、‘want’を使った構文で、‘for’が現れるのは、意外に感じられるんですが、実は、‘want’の構文は、後に続く目的語が、‘want’から切り離されると、‘for’が出現するんです。
と言うよりも、むしろ、考え方としては、「‘want’+‘for’+目的語+‘to’不定詞」のカタチが、もともとのカタチであって、ただし、条件として、‘want’と‘for’が、隣り合ったままの場合、消去しなければならない、ということになっているらしいんですね。ですので、‘want’と‘for’が、隣り合ったままではない、というのなら、そのまま、‘for’は生かされる、ということなんです。
そこで、こういった特徴を利用して、例えば、潜在的に‘for’を隠しもっている構文の場合、それが、(4)のような再帰代名詞や、(8)のような受身文を、アウトにする原因である、と考えることも可能ではないか、と思われます。つまり、本来的なカタチが、「動詞+目的語+‘to’不定詞」の構文のみ、その目的語が、再帰代名詞の場合、主語と、イコール (=) の関係で結ばれることに、特に障害とはならず、また、受身文の主語として移動することもできる、としてもよいかと思います。
今回のポイントは、「目的語+‘to’不定詞」のカタチを後にともなう、という共通点をもった、‘believe’と‘want’の違いを調べてみたのですが、「‘believe’+目的語+‘to’不定詞」は、別に、特別、変わった様子はありませんでした。しかし、一方、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」は、潜在的に、‘for’を隠しもっていることが原因で、随分と変則的な振る舞い方をする、ということが、明らかになりました。
確かに、「‘want’+‘for’+目的語+‘to’不定詞」のカタチが、もとにある、と言ったところで、実際は、‘for’なしで、「‘want’+目的語+‘to’不定詞」のカタチで使うことが、圧倒的に多いわけですから、‘believe’も‘want’も、同じで、「目的語+‘to’不定詞」のカタチの構文で使われる、と言ってしまいたくなるのは、わかるんですが、「英語脳」的には、やはり、少ない労力で、豊かな表現力を身に付けたいところなので、本当は、何が中核になっているのかを知る、ということが、どうしても必須になってきます。
今回のような、「動詞+目的語+‘to’不定詞」のタイプは、まだ言うべきことがありますが、とりあえず、また、別の機会です。
■注1 : ‘want’は、単独で使われる場合、‘You are wanted on the phone.’「電話が来てるよ。」、や、‘Wanted’「おたずね者」という、一種の、「決まり文句」、でなら、受身文は、OKとされますが、いずれにせよ、「決まり文句」、であり、あまり、生産的な受身文ではありません。
■注2 :略式で使われる場合、特に、‘want’と‘for’が、隣り合っている場合でも、必ずしも、‘for’が消去されなければならない、ということはありません。ちなみに、今回の、「動詞+‘for’+目的語+‘to’不定詞」という、‘want’タイプの動詞は、‘like’「好む」、‘prefer’「より好む」、‘hate’「嫌う」、といった、「感情」に関わる動詞、という共通点があります。
●関連: EG53、EG93
★みんなの英会話奮闘記★ ★元祖ブログランキング★ ★英語・人気blogランキング★
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます