英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(50)

2005年01月29日 | 不定詞
また、不定詞の副詞用法です。‘enough’とセットになるものです。以下、見ましょう。

(1)John is tall. (ジョンは背が高い。)

「高い」という表現は主観的な表現です。Aさんにとっての、「高い」と、Bさんにとっての、「高い」は、常に、数値的に、ピタリと一致するとは限りません。人それぞれの常識やら、価値観やらで、「高い」が決まるので、我が国では、170cmからが、「高い」ということに定める、などという、法律でも制定されなければ、「高い」は、客観的な表現にはなり得ません。そこで、以下、見ましょう。

(2)John is tall <enough to reach the ceiling>.
  (ジョンは、<天井に届くほど>背が高い。)

(2)のようにすれば、主観的な、「高い」に対して一応の基準が示せます。‘enough to’の不定詞を(1)に、ピタンとくっつけるだけでOKです。‘enough to’は、いわゆる、副詞用法の不定詞の変種ですが、このように主観的な表現に対して、一定の基準を示す手段として活躍します。 (副詞用法の不定詞に関しては、EG42、参照。)

(3)He is smart <enough to invent a time machine>. 
  (アタマイイのなんのって<タイムマシン発明するほど>だよ。)

(4)He runs fast <enough to keep up with the Porsche>. 
  (ヤツは<ポルシェに付いていけるほど>足が速いぞ。)

(5)He is rich <enough to own a Gundam>. 
  (アイツは<ガンダムを一機所有してるくらい>金持ちなんだ。)

「頭が良い」、「速く走る」、「金持ちだ」も、主観表現ですので、それが、どの程度なのかを、情報として後付けできます。つまり、‘enough to’を付け足してやることで、一応のイメージができるような具体性を帯びた文にしてやることができるんですね。文法的な注意点としては、‘enough to’は、一応、基本的には副詞用法の不定詞なんですが、名詞につくこともあります。

(4) a noise enough to wake the dead. (死人すら起きてしまうほどの騒音)

「騒音」は名詞ですが、意味的には、その「うるさい」程度が問題になりやすい、という点で、主観的です。そして‘enough to’の‘enough’には、文法的には、形容詞としての働きもあります。ですので、(4)のような表現が可能です。‘enough’が形容詞としてはたらく場合は、‘enough’の前置きも可能です。ただし、ちょっと、意味に違いがでるようですので、注意して下さい。

(5)a. enough money to lead a happy life. 
    (幸せな生活を送るに余裕たっぷりのお金)
   
   b. money enough to lead a happy life. 
    (とりあえず幸せな生活を送るには困らないだけのお金)

「お金」は量 (金額) が問題となりやすい点で、主観的ですね。(5a)だと、‘enough’と‘to lead a happy life’が、‘money’によって寸断されており、‘enough’単体が、直接‘money’にかかっている感じがするためか、不定詞との連携性があまり強く感じられず、むしろ、‘enough money’を1つのかたまりに取ってから、後付けで、‘to lead a happy life’がくっついている感じがします。事実、‘enough money’の直後に、少しポーズを入れたようなイントネーションになります。

(5b)だと、‘enough to lead a happy life’が一続きになっていて、‘enough’と‘to lead a happy life’のつながりが、強く感じられるため、「程度」をしっかり表現してくれるようになります。この場合も‘money’の直後に、少しポーズが入りますが、(5a)と違う点は、後続する表現が‘enough’を含め、‘enough to lead a happy life’にカタマリ感があり、‘money’が孤立している感じがあるということです。それと、もともとが、あまり主観的と感じられない表現には、‘enough’を単体で、名詞の前に置いて使うことができません。

(6)a. He was man enough to try it. (〇) (それを試みるとは男らしいやつだ。)
   b. He was enough man to try it. (×) (訳同上)

(6b)の‘enough man’「十分な男」(?)だけを取り出して、意味を考えても、あまりよくわかりません。つまり、カタマリ感がないわけです。つながり具合としては、やはり‘enough to try it’の方を、1つのカタマリとして捉えた、(6a)の方が良く感じます。

そもそも、‘man’「男」の場合、男じゃなきゃ女、女じゃなきゃ男、みたいに、二者択一式な、客観的側面の方が、色濃くでやすい表現なので、‘noise’「騒音」のように、「程度」が問題になりにくいんですが、イメージをふくらませて、男らしさ、という点に焦点を当てれば、何とか程度を問題にできる、という感じになります。

しかし、それでも、「十分な男」、という表現だけからでは、そこまでのイメージは、普通、なかなか、わかないものです。つまり、主観に依存しやすい表現、しにくい表現、というものがあるということですね。ここら辺りのイメージのしやすさ、しにくさを基準にして、カタマリ感の、「ある・ない」、が決定されますので、人によって、判断がゆれやすい、とも言えます。ちなみに、(7)みたいな感じなら、OKになります。

(7)enough men to make a woman satisfied in her choice.
  (選ぶ上での数としては、女が満足するほど十分な数の男)

(7)では、男の「数」を問題にしているという点で、その数が、どのくらいかという、程度表現が可能です。つまり、複数形になると、即座に、‘enough’との相性が良くなるわけです。これは、もちろん、‘enough’「十分な」の意味が、「数」に対しては、もとから相性が良いためです。

つまり、複数形に対しては、‘enough’は、常に安心して使えるということになります。他にも、‘enough to’は辞書をみると、何かと細かい説明や用法がありますが、ここまで知っていれば、もう十分、実用に耐えられるレベルです。

今回のポイントは、‘enough to’の不定詞は、ある主観表現に対して、それがどの程度なのかを具体的に述べたいときに、威力を発揮するということです。あまり、「主観・客観」を考える、というようなことを強調して教わることないためか、英語が苦手だと感じている人たちは、ある表現に対しての「主観性・客観性」に、なかなか意識が向かないようです。これはコトバの意味に関わるだけでなく、文法性をも左右する、重要な基準となることがよくありますので、ちょっと意識してみることを、お薦めします。

● 関連: EG42

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