桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2011・7・5

2011年07月06日 | Weblog
書くか書くまいか迷っている。このことを書くとそのお客さんが店に来なくなる可能性がある。けど、それでも仕方ないとも思う。他のお客さんの為にもやっぱり書かなくてはならない。何時とは言わない。誰とも言わない。俺が遅い時間に店に入ったら、セミ常連の一人が息子さんと来ていた。以前その常連と話している時に息子さんのことが出てきたが、確かまだ未成年の筈だ。見かけもそう見える。それなのに彼の前にはモスコミュール。ウォッカのカクテルだ。念の為に聞いてみる。幾つだっけ?するとあっけらかんと17歳ですと答えられてしまう。お酒を家で飲んだりすることはあるだろう。面白がって飲ませたりする親もいるだろう。友達同士と教師に隠れて部室でビールを悪ぶって飲んだりすることもあるだろう。見つかったら退学だと覚悟していればそれはそれでいい。でも、ウチみたいな店では不味い。どんな常連の息子さんだってアルコールは禁止だ。彼がお代りをした時にジンジャエールに変えて貰ったことは当然だ。でも、ここにも別の問題がある。アルコールを飲まなければ17歳の少年はウチの店のカウンターに坐っていていいのか?これについては色々な意見があるだろう。昔、ある有名な脚本家に言われたことがある。親子連れで来ている客の隣に坐ることになった彼は、折角家庭を忘れて飲みに来ているのにファミレスみたいなムードにするなよ。親子連れをいれるならもうこないと。事実彼はそれから来ていない。でも、ウチはすき焼も出している店でもある。子供連れできてすき焼を頼まれても断る訳にはいかないし、芝居を見に来た小学生がカウンターでジュースをオーダーされても文句はいえない。でも、けど、しかしだ。殆どのお客さんが家庭を離れて一人きりになりたかったり、大人の会話をしたくてウチの店にきていることは、常連だったら分かっている筈だ。親子連れの存在はその気分を台無しにしてしまう。だからって全ての親子連れがいけないのかと云うとそうともいえない。父親が社会人になった息子にお酒を教えるなんて光景は大歓迎だ。父親が成人した娘を自慢したくて一緒にカクテルを飲んでいる光景は微笑ましい。どこまでが許されて、どこからが許されないのか、店によって違う。決まりはない。多分、風景だろう。その店の風景をお客がどうとらえているかだろう。例え17歳でも、二十歳過ぎに見える息子だったら、そして二人の姿がその店に似合っていて、店の人間が息子さんの本当の年齢を知らなかったらカクテルだろうがワインだろうがウイスキーだろうが、いくら飲んでもOK。お客の皆様、自分がウチの店で飲む風景を思い浮かべてください。お願いします……なんてことを書くと客を選別するなんて儲かっているみたいだなと言われそうだけど、この半年は震災の影響もあって売上が去年の70パーセント以下になっていて、経費を減らさないとどうにも立ち行かなくなると顧問税理士から忠告の電話がある。去年は役員報酬がゼロだったのだけど、秋に500万の融資を受けたこともあって今年は一月からちゃんと貰っていた。でも、A氏の50万円問題もあったりして、もう店の通帳は超低空飛行。七月から役員報酬を15万円にしろと云うアドバイスを受け入れざるをえない。Mは額面8万5000円。夫婦が午後から夜中まで働いて合計23万5千円。まぁ、暮らせてはいけますけどね、なんだか複雑。本当は幼稚園児でもいいから店にきてといいたい状況ですけど、ここは痩せ我慢だ。★勝手ながら7/9(土)は臨時休業いたします。