ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

エル ELLE

2017-08-22 20:22:58 | あ行

強烈!
破壊神の如きイザベル・ユペールが凄すぎる・・・。


「エル ELLE」77点★★★★


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ゲーム会社の社長を務めるミシェル(イザベル・ユペール)は
自宅でいきなり覆面をした男に襲われる。

しかしその後、彼女は警察に通報するでもなく、
立ち上がり、淡々と割れたガラスを片付け始める。


翌朝、普段通りに出社した彼女は
若手スタッフたちの仕事に容赦なくダメ出しをする。

どうやら、彼女を敵と思っている人間は
少なくないようだ――。

そんななか、彼女のメールに
ショッキングな画像が届き――?!


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冒頭、ヒロイン・ミシェルが襲われるシーンも強烈だけど
いやあ、それを上回るのが彼女のキャラの強烈さ。


事件を聞いた友人に
「警察に行ったら」と言われても耳もかかさない。

新鋭ゲーム会社の社長として
部下たちの仕事ぶりを
バッサバッサと斬り捨てるし

イマイチな出来の息子に対する
ガッカリ感も本人にダダ漏れ(苦笑)

そんなもんだから
とにかく敵が多い。


しかし、鉄仮面というのだろうか
本人はどこふく風。


そんな彼女に
さらに謎のメールがきて、普通だったら怖い状態なんだけど
犯人を突き止めようとする彼女の行動や
「なぜ、彼女がそんなふうになったのか?!」の謎解きが怖くて

もうどっちが怖いんだかわからない(笑)

このひと、何者なのか――?


その破壊神の如きキャラクターに
飲み込まれそうになりつつ
目が離せないんです。


すくっと立つ、その姿は
「未来よ こんにちは」(16年)
ヒロインの進化形、いや別バージョンでもあると思う。
本当にこの人、こういう役がハマる。

しかもこの映画、
ちょこちょこヤバい笑いが盛り込まれていて
吹き出してしまうんですよ(笑)。

特にミシェルが
気に食わない息子の恋人を徹底的にいじるところがたまらない。
出産した彼女に対する、あのくだりには爆笑・・・(笑)

読めないキャラながら
母親にとっての息子という
歪みがちな感情がリアルに描かれてもいて

「氷の微笑」(92年)のヴァーホーヴェン監督、
さすがいろいろわかってらっしゃると
思うのでした。


★8/25(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「エル ELLE」公式サイト
コメント
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