ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ニュースの真相

2016-07-30 16:37:47 | な行


「スポットライト 世紀のスクープ」とはまた違った
ジャーナリズムに関する衝撃ストーリー。


「ニュースの真相」75点★★★★


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2004年4月。

CBSニュースの敏腕プロデューサー、メアリー(ケイト・ブランシェット)は
イラクのアブグレイブ刑務所での虐待事件を
「60ミニッツⅡ」でスクープし、

ベテランのアンカーマン、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)と
祝杯をあげていた。

そして
彼女は、すぐに次のテーマに取りかかる。

それは、現職大統領のジョージ・W・ブッシュが
かつてコネを使って
ベトナム戦争への派兵を逃れたのではないか?、という
軍歴詐称の疑惑だった。

だが、当時の関係者たちは一応に口をつぐむ。

そんななか、メアリーたちは
重要な資料を持つ、ある人物を見つけるのだが――?!


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2004年に起きた実話の映画化です。

大統領戦の行方を左右したかもしれない
あるスクープをめぐる
ジャーナリストたちの話。


「スポットライト」は地方新聞社の地味な部署が、
地道な取材と、ハラハラのせめぎ合いで
ホームランをかっ飛ばす!という展開だったけれど

こちらは
CBSニュースという大舞台で
経験もキャリアも十分な人々が主人公。

しかし、そんな彼らが経験する
「つまづき」の恐ろしさを描いていて
またハラハラなんですよ。



報道や、スクープにつきまとう
「ガセ」「ねつ造」「誤報」といった危険。

それを見抜けなかったことで
それまで築いたキャリアも、信頼も、
人生もすべてを失いかねない。


ニュースやジャーナリズムの世界には、
常にこうした
ヒリヒリするような緊張感があるのだと
改めて、怖いと思った。


そして、一度つまづくと
「問題の本質」から目はそらされ
「誰が責任を取るか」や、
失敗をした個人が徹底的に叩かれる。

さらに
報道する側もまた一企業であり、
政治や金に左右され、口をつぐみかねない恐ろしさ・・・。


でも、そのなかで
責任を一手に引き受けるケイト・ブランシェットと、
ダン・ラザー役のロバート・レッドフォードの絆や
彼女の下で働く調査員や記者の奮闘が光る。


そして、ジャーナリストだって人間。
思い込みや、勇み足による、判断の間違いだってあるんです、と
誠実に描かれているなと思いました。



権力に臆することなく、
つまづきに、いつまでも引っ張られるだけでなく

戦っている人々がいまもいる。――と、信じたい。
そう強く思った次第です。


正義が勝ってスカッとする・・・、とはいかないけど
これは重要な問いかけだと思います。

しかし
ケイト・ブランシェットの
クライマックスの反撃はマジかっこよすぎ。


★8/5(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。

「ニュースの真相」公式サイト
コメント (2)
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