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ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

Odyssey

2007-12-11 05:50:02 | 音楽
David T.Walkerの2度目の来日公演が今月ブルーノート東京で行われる。
チケットはもう買ってあるので今から楽しみだが、この人がバックを務めたアーティストはとにかく枚挙に暇がない。
アメリカはもとより井上陽水やドリカムまでという奥行きと幅広さなので、
とてもすべてを聴き通すことは不可能なわけだけど、せっかくのライブの前に少しは予習しておきたいところ。

Odyssey。僕はクラブなどにはあまり行かないので、このアルバムがいわゆるレア・グルーヴの一枚として
数年前に盛んにクラブで取り上げられていたということは知らない。
特に「Bttened Ships」のような跳ねたリズムのミディアム・チューンは確かにクラブ受けするだろうなあ、という気がする。

白色混合の7人組のOdysseyは72年にMotownのサブレーベルであるMo-westから出たアルバム。
アルバムはこの一枚きりのようだ。雰囲気的には5th Dimensionがちょっと若くなった感じ。
考えてみるとモータウンのアルバムを買うのも久しぶりだなあ・・・。

いわゆるヴォーカル・インストゥルメンタルのグループでDavid T.が参加しているのは「Our Lives Are Shaped By What We Love」の一曲のみ。
この1曲で聴ける彼のギターはまさにDavid T.節。
そう思って聴くと他の彼が参加していない曲に比べて落ちついた雰囲気が感じられる。
どんな人のバックで演奏しようとも必ず自分の存在感をそれとなく発揮する。
David T.Walkerのギターはさりげなく主張するのだ。

seasons colurs 秋冬撰曲集/松任谷由実

2007-11-17 08:13:43 | 音楽
春夏撰曲集もなかなか渋い選曲だったが、
この秋冬撰曲集も今まであまり目立たなかった曲たちに光を当てている印象がある。

「撰曲集」となっていることからも伺えるように、詩に重きを置いた作品集だと思う。
季節が選曲の条件なのだからその季節のことを歌詞の中で取り上げていることはもちろんなのだが、
どちらを選ぶかといったいったときには、曲そのものの雰囲気やヒットの度合いよりも、より詩のいい方を選んだということではないか。
「恋人はサンタクロース」みたいなキャッチーな曲があえてはずされているのも、そういう理由からではないだろうか。
歌手、作曲家、作詞家といった観点から見るとこのコンピレーションは明らかに作詞家ユーミンに焦点を当てたアルバムだ。

秋のほうは「NIGHT WALKER」がなんと言っても切なかった。
リアルタイムで聞いていた高校時代を思い出して、あの頃の風景がくっきりと立ち上がってきた。
当時聞いていた時よりももっとずっといい曲だなあ、と感じる。
歌はやはり時代とともにあるものなのだと思う。

冬の方は「ノーサイド」に改めて感服した。スポーツマンではないユーミンがそれでも、しっかりとこのスポーツの本質に迫っている。
ラグビーやサッカーは冬のスポーツというイメージが強い。
今でこそ冬でもピッチは青々としているが、10数年前までは冬になると芝は枯れていかにも寂寞とした感じだった。
シーズンの終盤、終わり行く選手は何を思ってボールを蹴るのか。

もう1曲は「Walk on,Walk on by」。収録アルバムは95年の『KATHMANDU』。
僕にとってはもう最近のアルバムという感じだが、こういう曲を選んでくるというのがいかにも渋い。
ユーミンがもっとも得意とするミディアム・テンポの曲でバカラック調のアレンジが印象的。
そのスマートなアレンジに「嫉妬」というネガティブな感情をするっと滑り込ませている。

ユーミンの場合、どうしても曲全体のもつ個性に目がいきがちではあるが、
改めて詩を咀嚼しながら聴いてみると、普段は聞き流していた曲の中にもまた違った良さを発見できる。
このシリーズはまさにそこを意図したアルバムだと思う。

David T. Walker

2007-11-15 05:32:29 | 音楽
とにかくジャケットがかっこいい。
どことなくウォーホールのコラージュのようで、ジミヘンのような佇まいもある。
Davit T.WalkerのOdeレーベル3部作の最初の作品がこれ。このあと『Press On』、『On Love』と続く。

全体に彼の音楽的なバックボーンに繋がるような選曲になっている。
Jackson Fiveの「Never Can Say Goodbye」、Stevie Wonderの「Loveing You Is Sweeter Than Ever」、
Barry Mannの「On Broadway」、Neil Youngの「Only Love Can Break Your Heart」、Marvin Gayeの「What's Goin' On」・・・。
カヴァーした曲の数々から、数々のミュージシャンのバックでギターを弾きながら、
彼がどうやってその曲に感応していったかが垣間見られる。
ギターという楽器でどうやって歌と関わりあっていくか、その一端をこのアルバムで聴くことができる。

白眉は、Mac Davisの「I Believe In Music」だろう。
ゴスペルのコーラスに対峙するギタープレイは歌を殺さず、それでいて自らをしっかりといささかの誇張もなく主張している。
一方で、「I Want To Talk To You」や「The Real T.」といった自作曲では自らのギタリストとしての矜持を如何なく発揮している。
ジャジーでシュールなテイストの「The Real T.」は緊張と弛緩がない交ぜになった名演。

バックを支えているのはJoe Sample(key)、Wilton Felder(bass)、Paul Humphrey(ds)、Billy Preston(key)といった名手たち。
アレンジャーにはGene Pageの名前もある。

12月にブルーノート東京で彼のライブが行われるが、出かけてみようと思っている。
今はいわばそのための予習期間である。
これから彼がバックで弾いているものも少し聴いてみようと思っているが、膨大で何から手をつけよう。
こういう「困った」が実は一番楽しい。

紅雀/松任谷由実

2007-11-13 05:15:27 | 音楽
ユーミンの旧譜のCDはずっと音が悪いままだったので買い換えることなくそのままになっていた。
これまであまり気にしてこなかったのだが『seasons colurs』が出たのをきっかけに、
CDショップでユーミンの棚を見てみると、何だ旧譜も一斉にちゃんとリマスターされているではないか。
しかも99年というからもうずいぶん前の話だ。不覚。

ということで、秋らしい一枚をと思って買ったのがこのアルバム。
今まではアナログ盤でしか聴いたことはない。
結婚後EMIに移籍して最初のアルバムでリリースは78年の春。
ユーミンの長いキャリアの中でももっとも地味なアルバム。前作の『14番目の月』からの反動からかぐっと落ち着いたトーンになっている。
歌詞の内容も内省的で当時のユーミンの歳が22,3歳だったことを思えば
ずいぶんと大人っぽいというか、若干の背伸びも感じられなくはない。

「ハルジョオン・ヒメジョオン」で、風景の普遍性を"私だけが変わりみんなそのまま"と歌い、
「残されたもの」では"もう捨てるものは何もなくなる またひとりだけの時が始まった"と歌う。
通底するテーマはどうあがいても戻っていく「ひとり」ということか。
結婚してパートナーを得た直後に孤独をひとつの題材に取ったというのが、ユーミンのユーミンたる所以か。

マイナーながらも曲調はバラエティに富んでいる。
フォルクローレ調の「ハルジョオン・ヒメジョオン」、「罪と罰」のボサ、バカラックを意識した「出さない手紙」など
結婚を転機に今までとは違った作風に挑もうとする意欲作という感じがする。
シングル・ヒットはない。ライブの定番といった派手な曲もないが、味わい深い作品が詰まったアルバムだと思う。

All Dressed Up/David Roberts

2007-11-12 05:25:57 | 音楽
このアルバムもFrankie Bleuと一緒に買った。動機も同じ。
そしてこれも日本のAOR評論の第一人者、金澤寿和氏が関わっている。
アルバムのリ・イシューに金澤氏が尽力したそうで、David Roberts本人ともコンタクトを取ってリ・イシューにこぎ付けたのだそうだ。

David Robertsも本人名義としてはこの作品だけしかない。現在は作曲家として裏方で活動しているそうである。
ボストン生まれのカナダ人で、音楽コンテストに入賞したことからこの世界に入ることになったのだそうだ。
AORの世界にはこういう大きなヒットには恵まれなかった人たちがたくさんいる。
音楽の性格からいって、いわゆるメガヒットというものとは縁が遠いのかもしれない。

TOTOのプロダクションで制作されたアルバムの水準はかなり高い。
Jeff Pocaroのドラム、Steve Lukatherのギター・・・、悪かろうはずがない。
伸びやかで透明感のある素直なハイトーンのヴォーカルが時代の空気をよく反映している。
先のFrankie Bleuと同じ1982年の作品で制作も同じLAとくれば漂う空気も通じるものがある。

そして、David Robertsの場合もやはりバラードに優れたものが多い。
こういう秀逸なバラードをたくさん詰め込んで夜の首都高速をドライブしてみたいものだが、
最近とんとそういう楽しみとも縁遠くなったものだと思う。

Who's Foolin' Who?/Frankie Bleu

2007-11-09 10:07:12 | 音楽
田舎に帰ったときにふらりと立ち寄ったCDショップに置いてあった。
この手のものはすぐに市場からなくなってしまうので見つけたときに即ゲットしておく。

1982年の作品。Frankie Bleuという人はこの一枚きりしかアルバムがない、いわゆるワンヒット・ワンダー。
AORというジャンルが最も花開いていた時代の一枚で、そうした音楽シーンの状況がなければ、
世に作品を問うこともなく終わっていたかもしれない。
作風は大仰なロックテイストのナンバーにメロウなミディアム・スローの曲がちりばめられている。
ナイーブなヴォーカルがジャケットの雰囲気に良く合っている。

詳細は金澤寿和氏のライナーにあるのだが、シアトル出身でJoe Chemayと友人関係であったところからこのアルバムの制作に至ったのだとか。
いろいろと調べてみると、かのThom Bellがプロデュースした「The Fish That Saved Pittsburgh」のサントラで同じ名前の人が歌っている。
このアルバムは持っているので、聞き返して同一人物かどうかを確認しようと思ったのだが、レコード棚のどこを探しても出てこない。
どこにしまいこんでしまったのだろう?
そんなわけで、彼とフィラデルフィアとの関係もよく分からずじまいだった。

アルバムには山下達郎の『Circus Town』にも参加していた、キーボードのJohn HobbsとギターのBilly Walkerの名前もある。
プロダクションそのものはLAのコネクションによるものと思われる。

全曲を退屈しないで聴けるという感じではないが、「Just For You」などにはBill LaBountyあたりに通じるテイストがあるし、
「Where Would I Be Now?」や「Take Your Time」あたりのバラードはなかなか秀逸でメロディセンスがすばらしい。

MY CREW/村田和人

2007-11-08 05:54:55 | 音楽
村田和人自身のプロデュースによる3作目がこの作品。
前2作のプロデュースを山下達郎のプロデュースに委ねていたが、
そのときに学んだプロデュースやアレンジの手法を実際に発揮して制作したとライナーにはある。
アルバムが発表されたのは1984年。当時村田は山下達郎のツアーメンバーとして参加しており、
僕もコンサート会場で目にしている。とても多忙な時期だったようである。

村田は自らのライブ用バンドを持っており、このアルバムはそのバンドを核にして作られている。
PIPERの山本圭右らがいたバンドにはかの小室哲哉も参加していたというのがちょっと意外だ。(アルバムには参加していない)

1曲目の「We Love You」がもう骨太なアメリカンロック。
ウエストコーストという括りの音楽から連想されるさまざまな引き出しが試されていおり、
「あの波をつかまえて」のようなハモンドオルガンをフィーチャーしたロッカバラードも楽しい。
そして、竹内まりやとのデュエットで知られている、隠れた名曲「Summer Vacation」も収録されている。
山下達郎が自分の番組で自らのヴォーカルに差し替えたものを披露したりしていたが、
ウェットな達郎よりも村田和人の声のほうが竹内まりやのヴォーカルにはよく合うような気がする。

とにかくディストーションの効いたサウンドからは煌く陽光がさんさんと降り注いでくる。
乾いた誇りっぽい蜃気楼のハイウェイ。その向こうからやってくるのが村田和人の歌声だ。

DOWN TOWN/エポ

2007-11-07 05:43:15 | 音楽
エポの旧作も紙ジャケで一新されている。
デビュー作。Sugar Babeの「Down Town」をカヴァーしている。
なんだか初々しい。エポはデビュー当時は体育大学の学生だったということからしても、とても素直な溌剌としたイメージがあった。
特に初期の作品群からはそうした健康的な雰囲気が感じられる。
その後はいろいろと紆余曲折があり、彼女自身ポップで健康的なイメージを払拭したような作品を出していた時期もある。
そのことで彼女自身が苦しんでいたふしもある。
例えば、ユーミンや矢野顕子みたいに若いときから変質しない一貫したものを持っているアーティストは、時代に対してのしなやかさがある。
ところが、初期のエポのような若さだけが持つフィジカルな側面がキャラクター・イメージになるとつらい。
素直なだけにどうにもならなくなる。
だから、近年のエポがフィジカルとは声そのもの、歌そのもののと捉えて向き合っていることは、
ある意味で必然的というかそれこそがエポだという気がする。
そしてファンとしてはそういうところに行き着いたことになんだかほっとさせられるのだ。

ほとんどを自作曲で占めているが、「約束は雨の中」や「珈琲タイム」のような曲は
やはり19才の女の子が背伸びして書いているといった感がしなくもない。
今本人が聴くとどう思うのだろう。やっぱり気恥ずかしいものなのだろうか。
一方で、「日曜はベルが鳴る前に」や「水平線追いかけて」ミディアムな曲には才能を予感させてくれる。

若い可能性を導いているのは、山下達郎、竹内まりや、林哲司、林立夫といった職人たち。
高校の後輩でもある若い佐橋佳幸も参加している。

FREE SOUL FLIGHT TO BRAZIL

2007-11-03 17:15:59 | 音楽
橋本徹主宰のコンピレーションシリーズ。以前に同じシリーズのハワイ編も聴いたことがある。

この手のものはあまり個別の楽曲には拘らずに、塊として楽しむのがいい。
もちろん、好きな曲や好きなアーティストの曲も何曲か入っているけれども、あまりそこには気を取られないで聴く。

ボサノヴァの魅力は何かと考えると、それは音数の少なさにあるような気がする。
日本人には早口に聞こえるポルトガル語がその音の隙間を埋めている、というのがボサの魅力ではないか。
だから、音の洪水に疲れてくるとついボサノヴァを聴きたくなる。

ギター・ワークショップVOL.1/憲司、香津美、勝敏&潤史

2007-11-01 23:03:25 | 音楽
このアルバム、結構昔から知っていたのだけど、どういうわけかアナログ盤に遭遇する機会を逸していてずっと聴けずにいた。
先日CDショップで再発されているのを見かけて思いがけずゲット。
こういうものは縁なので、見かけたときに買っておかないと次はいつめぐり合えるか分からない。

今は亡き大村憲司、渡辺香津美、森園勝敏、山際潤史という個性的なギタリストたちが一堂に会したコラボレーション・アルバム。
異色の組み合わせ、四人四様の個性を楽しむことができる。77年の録音。

森園勝敏。知る人ぞ知る「四人囃子」の元メンバー。
日本が誇るプログレバンドだった四人囃子を脱退後は、もう少しポップな方向に舵を切りフュージョンよりの音作りも多い。
このアルバムでは、どこかコミカルな雰囲気も漂わせている。

大村憲司は「赤い鳥」のメンバーだった。卓越したテクニックで早くから注目されたギタリストである。
YMOのサポートメンバーとしてプレイしていたこともある。
矢野顕子や大貫妙子といった人たちのバックでもバックを勤めており、歌心のあるギタリストだった。
このアルバムでもエモーショナルなプレイを披露している。またこのセッションでは坂本龍一が参加している。
98年、残念ながら50歳の若さで早世してしまった。天才といっていいミュージシャンだった。

現在も精力的な活動を展開している渡辺香津美のことを初めて知ったのはYMOのツアーメンバーとして参加したときだったと思う。
その後に発表されたアルバム『トチカ』はかなり話題になっており、当時私もよく聴いた。
一聴するだけでそれと分かる個性を持ったギタリストだ。

山岸潤史。関西ブルースを代表するギタリスト。それだけにこのメンバーの中ではちょっと異質な存在だろう。
The Young Rascalsの「Groovin'」を選曲しているところが面白い。
日本でも随一のRascalsフリークである、山下達郎をコーラスに招いており非常に興味深い1曲だ。

それぞれが2曲ずつを持ち寄り、最後はPeter Framptonの「I'm In You」を全員でコラボレーションしている。
このあたりの遊び心にも余裕を感じる。

今はなかなかこういった企画もののアルバムは出ない。
好事家受けするような、なんともいなたい企画。こういうものは秋の夜長にひとりで酒でも飲みながらこっそりと楽しむのだ。