ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

J1第10節 大宮アルディージャ対FC東京対(さいたま・NACK5スタジアム大宮)0-3

2008-05-04 19:56:51 | サッカー
全面改装したNACK5大宮スタジアムを初めて訪れた。すばらしく見やすいサッカー専用スタジアムだ。
ジェフのフクアリなどもそうだが、最近キャパ的にも申し分のないすばらしいスタジアムがたくさんできてきてうらやましい限りだ。
大宮のサポーターの皆さんには誇れるスタジアムをいつまでも大切に愛し続けて欲しいと思う。

ゴールデンウィーク5連戦の3試合目。前節は内容はともかく結果を出した東京。過密日程の中でも着実に勝ち点を積み上げることが大事になってくる。
対する大宮も前節はアウェイでガンバを相手に終盤ロスタイム逆転劇を演じるなど強豪を相手にしぶといサッカーを続けている。
連戦の疲れも考慮すればアウェイで勝ち点1でも持ち帰れれば御の字といったところではないか。

大宮は中盤でしっかり繋いでビルドアップしていくというサッカーが浸透しているチームで、そういう意味では東京の目指すところと似ている。
そこにがっぷり組むようだと難しいと考えたのか、この試合での東京は相手の浅いディフェンスラインの裏に向けて長めのボールを蹴ってくる戦術に出た。
その作戦がまんまと功を奏した。最終ラインの藤山が前線に向けて蹴りだしたロングフィードがどこまで正確性を期したものかは、
どうも怪しい感じがしなくもないが、そのボールがまんまと梶山の頭に合ってしまうから、好調なチームというのはこういうものなのか。
前日に父親となったばかりの梶山の強運なのかもしれない。
中2日で疲れがあると思われていた大宮も前半はしっかりとポゼッションしており、むしろ主導権を握っていたのは大宮の方だっただけに、
東京としてはしてやったりの先取点だった。

大宮の誤算は追加点にあった。32分。今度は塩田の蹴ったGKが相手の裏に落ちてカボレがそれを難なくゴールに沈めた。
ラインコントロールの失敗で前半で2失点を喫したことで大宮はゲームプランが大きく狂ってしまった。
ポゼッションでもシュート数で東京を上回り、東京よりも1日少ない中2日のコンディションとしては、前半の出来は決して悪くなかった。
デニス・マルケスにボールが入ると素早く攻め込んできて、東京のDF陣もかなり慌てていた。
そういう意味では東京にとっては2-0というスコアは申し分のない形だ。

2点差というのはサッカーでは怖い点差とはよく言うが、大宮が1点を返すと一気に状況は混沌とするだろうと思っていた。
今の大宮はそれほど手ごわい相手だ。後半も再三東京のゴール前を脅かすが、フィニッシュの精度がいまひとつ低い。
東京はこのところ定番の栗澤に代えて大竹を投入。赤嶺を下げて怪我明けの近藤を試運転する。
城福監督としては2点先行で余裕の采配だ。大宮も森田を投入するなど必死の追い上げをみせる。

カボレに代わった平山はチャンスをなかなかものに出来なかったが、
74分、ドリブルで何とかペナルティ・エリアまでボールを持ち込み、それを走りこんできた長友が沈めて勝負は決した。

東京としては3点とも意図せざる形での得点だったが、それでも連戦を考えて効率よく点を取って無失点と、粘り強い守備としたたかさも身についてきた。
このような形で好調の大宮から勝ち点3をもぎ取ったのは嬉しい誤算だ。

連休連戦も残り2試合はホームということで、これはかなりのアドバンテージだ。
今が胸突き八丁。ここを乗り切れれば夏に向けてムーヴィング・サッカーの確立を目指してもう一段高い戦いを目指すことが出来る。







J1第9節 FC東京対大分トリニータ(調布・味の素スタジアム)1-0

2008-05-02 23:57:58 | サッカー
けが人や連戦の疲れでパフォーマンスが落ちて不恰好でも、何とか凌いで勝ち点を積み上げる。
優勝争いをするチームは、シーズン中の苦しい時期をこういう形で乗りきっていることが多い。
苦しみながらも勝つということが選手のモチベーションの維持につながるし、後々重要な局面で、苦しんでもぎ取った勝ち点が効いてくることにもなる。
東京は今までパフォーマンスはともかく粘って勝ち点をもぎ取ったというゲームが少ない。
フィジカル的なコンディションがそのままメンタル面に作用して自らずるずると脱落していくパターンが多かった。
かつて優勝を経験した鹿島や磐田の粘り強い戦いぶりをうらやましく思ったものだ。

さて、この大分との一戦はまさにそういった苦しい戦いとなった。
前節清水戦から中2日。ゴールデンウィーク連戦の2試合目。けが人も多く、清水戦では波に乗り切れずにセットプレーで与えた1点に泣いた。
連戦で勝ち点を積み上げていくためにも、また勢いをそがれないためにも連敗は避けなければならない。
大分は前節好調の横浜FMをホームで下しており、こちらも前線にけが人続出ながら調子は上向いている。

大分は典型的なアウェイの戦い方で入った。引いて守って奪ったら速攻のカウンターという狙いだろう。
一方の東京は、連戦の疲労をある程度考慮しながら、縦への長いパスも織り交ぜていた。
東京は久しぶりに茂庭が復帰して佐原とコンビを組む。ここにきて佐原がCBの軸として安定してきた感がある。
ボランチには金沢を起用して攻守のアクセントとし、栗澤にカボレの近くで汗をかいてもらうという狙いだ。

試合が動いたのは14分。栗澤の蹴ったCKを佐原が落とし、フリーで待ち受けていた赤嶺がダイレクトで放ったシュートがゴール隅に鋭く突き刺さる。
このところ目覚めたような赤嶺の一発で東京が先制した。

しかしここから、両者ともに低調な試合運びとなる。
どちらかに次の1点が入っていれば試合展開は大きく違ったものになったであろうが
先制された大分がなかなか前線にボールを入れてこないことに東京は助けられた。
カボレが巧みなボール捌きでゴール前に突進するのが何度か見られた程度で、どうにも省エネなサッカーで退屈なゲームだった。

どういう形であれ、きっちりと勝ち点3を積み上げたことは評価できる。連戦が続くがそろそろけが人の一人でも復帰して欲しいものだ。
次節の大宮は今までとは様子が違う。心してかからなければ痛い目にあう。

J1第7節 FC東京対川崎フロンターレ(調布・味の素スタジアム)4-2

2008-04-26 21:59:07 | サッカー
相変わらず、更新が後手を踏んでいて、今日はすでに8節の試合が終わっているのだが、1週間前の試合のレヴューを今頃・・・。

ダービーの次は「多摩川クラシコ」。忙しい。去年命名された川崎との多摩川決戦は多分にクラブ主導の感がしなくもない。
そのあたりはサポーターの間にも賛否両論があるようだが、同じ時期に下部のリーグで切磋琢磨してきた近しい間柄として、
こういう形でクラブ同士が手を取り合ってリーグを盛り上げようとするのは決して悪いことではない。
歴史は作るものと考えればあまり難しいことは考えずに、素直に乗っかってみると案外楽しい。

とは言え、クラシコと銘打たれた最初のシーズン(昨シーズン)、東京は川崎に2回とも大敗を喫している。
等々力でのアウェイゲームには5月としては寒い雨が降る中、駆けつけた覚えがある。
怪我から復帰したばかりの茂庭が川崎の強力な攻撃陣にずたずたに蹂躙された。5-2というスコア以上の屈辱感は記憶に新しい。
そして、最後は呆れて笑うしかなかったホームでの7失点。
もう何も言うことはない。去年はいいようにやられていて、チームとしての立ち位置の違いを存分に見せつけられた。

去年のトラウマもあるし、直近のナビスコでの磐田戦の低調ぶりもあった。
同じナビスコではジュニーニョがハットトリックというニュースもあってか、どうにも戦前からネガティブな雰囲気が抜けない。

前半はめまぐるしい展開となった。先制したのは川崎。16分中村の蹴ったFKを鄭が合わせて先制。この試合も主導権は川崎が握るかと思われた。
しかし、25分今度は栗澤のFKをカボレが押し込んで同点。
さらにその歓喜が冷めやらぬ26分。ふたたびFKのこぼれ玉を今度は谷口が決めてたちまち川崎が引き離す。
ここまでの得点はすべてセットプレーから。双方がいまひとつ落ち着かない展開となった。
追いついてすぐに引き離された東京に一瞬重苦しいムードが流れるが、川崎もすぐに引き離した効果が現れてこない。
東京はむしろ開き直ってボールを追う。押し込まれるのはむしろリードしている川崎という構図になった。
終了間際の43分。赤嶺のゴールでふたたび同点に追いつく。
先制し引き離しながら波に乗れない川崎に対して、前半終盤で追いついて折り返す東京が勢い立つ。

後半は川崎も仕掛けてくる。東京も前半のラッシュで疲れてきたのか押し込まれる場面も出てきた。
63分、東京は栗澤に代えて大竹を投入。
先週の東京ダービーでも大竹が入ったことで前線が一気に活性化したが、今日も大竹の投入で流れが変わった。
入って間もなく果敢に攻め込みループシュートを決めてしまう。振りぬかずにアウトにかけて浮かしたボールがゴールに吸い込まれる。
大竹の見事なゴールで初めて東京がリードする。

これで東京は勢いづく。川崎はサイドの攻防で長友と森が対峙したが、森が長友のスピードについていけない。
浅利、藤山、佐原のトライアングルは中村からジュニーニョに配給されるボールを寸断。
中盤が間延びした川崎陣内で東京のパスが面白いようにつながる。
極めつけが今野のダメ押しの4点目。後でビデオで見直すと12本ものパスが繋がった末のゴールだった。
最後にするするとDFの背後に走り抜けた今野に大竹の絶妙のスルーパスが通る。
この瞬間、初めて城福監督の掲げたMoving Footballが美しく結実した。

東京は7節終了時点で3位に躍進。ここしばらく未体験のゾーンである。
今の時点で順位を云々することにあまり意味はないが、けが人を抱えながら試行錯誤を繰り返しながらのこの成績は胸を張っていい。
連休中の5連戦で勝ち点をきっちりと積み重ねながら上位3分の1をキープできれば上出来だろう。

川崎は何が大きく変わったというわけでもないのだろうが、フッキの退団、関塚監督の入院など不安要因が重なってしまった。
もともと地力のあるチームだけにこのままでは終わらないだろう。
アウェイで対戦するときには、もっと厳しいチームになっているに違いない。








J1ナビスコカップ予選3節 FC東京対ジュビロ磐田(調布・味の素スタジアム)1-1

2008-04-22 05:55:05 | サッカー
代表も含めた過密日程の余波は毎年ナビスコカップにしわ寄せされる。
ダービーで劇的勝利を収めてから、中3日で行われる平日開催の予選リーグはさすがに観客動員も少なく、
モチベーションも含めて難しい試合になるな、という予感は戦前からあった。
そもそも東京はかつてこういうシチュエーションのゲームで締りの悪い試合を重ねてきた歴史がある。
選手のメンタリティという面においてこのチームが抱えている問題が往々にしてこういう局面で出てくるのだろう。
それもこれもひっくるめてクラブの伝統というのが如実に現れてくる部分だ。

試合は序盤から低調。東京は比較的優位にボールを持ってはいるが、それは単に磐田のマークが甘く、プレスをかけてこないから。
逆に東京も攻め急ぎはしないが中盤からのビルドアップに鋭さを欠く。
梶山がボランチの中央で意図的に配給する側に廻っていたが、
バランスを取ろうとするあまり、チームとしてのダイナミズムがそがれた格好となっているようだ。
磐田は前の試合で札幌に喫した黒星の影響からか元気がない。
何だか今日の試合の立ち位置のようにぼんやりとした、靄のかかったような前半だった。

ゲームは後半になって動いた。前半途中から負傷したカボレに代わって赤嶺が入った。
赤嶺のファイトで東京は徐々に活性化していく。磐田もシュートまで持ち込む場面が徐々に出てくる。
赤嶺のゴールが生まれたのは後半6分。ボール奪取した金沢からの縦に出たボールを走りこんできた赤嶺がそのままゴールに突き刺す。
少ないチャンスをしっかりとものにした。

前節の疲れからか双方とも大味な中盤となる。しっかりと繋ぐというのが今年の東京のテーマでもあるのだが、ともすると縦に急ぎたくなってしまう。
後半30分を過ぎると磐田のパワープレーもあって徐々に押し込まれる展開に。
犬塚の放ったシュートが味方に当たりネットに吸い込まれたシーンは、辛くもオフサイド。

後半終了間際、磐田は西が2枚目の警告を受けて退場。
10人の相手に対しアディショナルタイム4分を凌ぎきれれば、試合内容から言っても十分評価できるところだったが、やはりそうは行かない。
人数をかけていはいるが付ききれていないDFをかいくぐって放たれたシュートをいったんは塩田がはじく。
しかしうまく詰めて来た駒野に決められ同点。

やはり、といういやな予感が一番いやな形でそのまま現実のものになってしまう。
こういう試合展開でもしぶとく勝ち点3をもぎ取っていくというのが、東京の課題だとすれば、
こういう試合でもきちんと引き分けに持ち込んだ磐田にはやはりクラブとしてのDNAが宿っている。
今日の磐田から東京が学び取る教訓とはすなわちこういうことだろう。
ここを糧にできれば、失った勝ち点2も授業料としては高くない。

J1第6節 東京ヴェルディ対FC東京(調布・味の素スタジアム)1-2

2008-04-19 00:53:48 | サッカー
ここのところ忙しくて更新ができなかった。今頃の感もあるがレビューはしておこうと思う。

3年ぶりの東京ダービー。
最後の東京ダービーもここ味スタでのアウェイゲームだった。
先制されたが前半終了間際に梶山のゴールで追いつき、後半ロスタイムにササの劇的なゴールで逆転勝ちした。
この試合でヴェルディはJ1残留が厳しくなったのだった。
久しぶりにアウェイに陣取ってみると、あのササのゴールが鮮明に蘇ってくる。
鮮明に記憶が残るのはひとえにいつもとは逆側から見ているからだと思う。
そのことひとつとってもやはりダービーというのは特別なものだという感じがする。

さて、その当時とはお互いのメンバーもガラッと変わってしまった、08年のダービー。
05年当時、東京のゴールマウスを守っていた土肥は今やヴェルディの守護神だ。
ヴェルディの観客動員は相変わらず低調だ。相手がもっと入ってくれると本当の意味でダービーの醍醐味が出てくると思うのだが。
アウェイ・チケットを買った東京ファンのほうが多いような気がする。ゴール裏はいつものホームと変わらない入りだ。
東京のゴール裏はダービーを意図的に盛り上げようといつになく試合前からヒートアップしている。
いつにない雰囲気が伝播してゴール裏は独特の興奮状態にあった。

試合はその雰囲気に選手たちも多少呑まれたのか、双方とも硬い入りとなった。
ヴェルディはこの試合から川崎から電撃移籍してきたフッキが先発。
昨年までのコンビ、ディエゴとホットラインを形成する。
一方の東京はまずは、そのフッキを封じ込めようという構えだ。
前半、ヴェルディはポゼッションとパスで優位に試合を進めた。
東京は浅利をアンカーに配し、ベテラン藤山が経験で、佐原が高さを武器に守備ブロックを形成して
フッキへのパスの供給を絶つとともに、フッキに前を向かせない。
前半はこの東京の策が成功していたが、唯一藤山がフッキを捕まえ損ねて与えたFKをフッキに見事決められ、1点ビハインドで終わる。

東京としてはうまく抑えていただけに惜しい1点だったが、セット・プレーでの1点はさほどのショックもない。
何よりサポーターから負ける気がしないというメッセージを込めた大声援が送られている。
ヴェルディとしては後半何とか追加点を狙っていきたいところ。

後半もめまぐるしい試合展開を見せ、一進一退の攻防が続くが、東京にとってのターニングポイントは浅利から大竹にスイッチしたことだ。
これで東京は前がかりの攻撃への合図となる。羽生の見事な同点ミドルシュートはその大竹が起点となって生まれた。
そしてこれで俄然東京は押せ押せムードとなる。

羽生を下げてボランチに金沢を投入。これが相手の中盤の構成に影響を与えて、徐々にスペースが生まれてくる。
金沢がバランスを取ることで、長友が前に出やすくなりサイドでも優位に立つ。
そして、後半のロスタイムにその長友がペナルティエリアに進入し劇的な逆転オウンゴールを演出する。
この逆転ゴールこそは、負ける気がしない、このままでは終われない、終わらせないというサポーターの大声援が後押ししたものだと言っていい。
ここ数年来でまれに見るゴール裏の一体感だった。

試合は奇しくも05年と同じロスタイムでの逆転劇で東京が制した。
双方がスリリングな攻防を繰り広げたゲームは、東京ダービーの歴史にまたひとつの足跡を残した。
今年はまだ3試合も東京ダービーがあるのだ。今後の戦いも楽しみである。



J1第5節 FC東京対コンサドーレ札幌(調布・味の素スタジアム)1-0

2008-04-07 21:30:32 | サッカー
第5節。序盤のベースがそろそろ固まりつつあるこの時期。
1勝2分1敗と五分の戦いをの東京はJ1昇格チームの札幌をホーム味スタに迎えた。
札幌の持ち味は統率された守備からの速攻であり、昨季の厳しい昇格争いを制したしぶとさが身上。
三連戦の最後でもあり、お互いにけが人を抱えているだけに厳しいゲームが予想された。

東京は前節で茂庭が負傷しており、ブルーノ・クワドロスが初先発。前節、今季初出場を果たした佐原と最終ラインを統率する。
前節ハードワークをした長友がベンチスタートで、金沢が左SBに復帰。
ボランチはアンカーに浅利を据えて、今野、梶山をなるべく前でプレーさせたいという意図か。
ワントップのカボレに近い位置に羽生、大竹を配し攻撃的な意図を持った布陣となった。
一方の札幌はダヴィを負傷で欠いており、攻撃に不安が残る。
開始早々、札幌曽田のヘディングシュートに驚かされるが、前半は東京が優勢にゲームを進める。
相手のプレスが十分でなく中盤できっちりとパスがつながる。中盤でしっかりポゼッションできるのは見ていて楽しい。
前半12分、その中盤でボールを奪った浅利がカボレに向けて長めのフィード。
ボールはイーブンとなったが、カボレがしっかりとコントロールしてゴール右に流し込む。
どんな体勢からでもきちんとシュートを撃つということが大事だということがよく分かる。
東京は、その浅利の起用が利いていた。CBと連携しながらどっしりと構えて砦を築いているので、梶山がパスに専念できる。
また、羽生のフリーランニングがリズムを作り、大竹が果敢に挑戦していく。
怖いもの知らずなところが若者らしくていい。ここだと思うと迷わずシュートを撃ってくるところもいい。
この大竹といい長友といいムーヴィングフットボールの申し子といっていい選手たちがきっと明日の東京を作っていくのだろう。

後半に入り、前半の攻勢に疲れた東京が次第にペースを落とし始める。徐々に札幌にボールを持たれ始め、先制の1点が危うくなっていく。
カボレに代えて赤嶺、大竹に代えて長友を投入して再構築を図るが、札幌に押し込まれた局面の打開に結びつかない。

それにしても、大竹から長友にスイッチしてどこに入れてくるかと思ったが、サイドバックではなくて左のハーフに置いてきたところは面白かった。
しかも長友は局面によっては中に絞って、トップ下気味にプレイしていた。このあたりの城福采配は去年までの東京からは感じられなかったセンスだ。
猫の目のように変わるスタメンも含めて何が出てくるか分からない面白さがある。

札幌が決定機を作れなかったことと、東京DF陣の踏ん張りとで辛くも逃げ切ったが、とにかく1点差というのは最後まで痺れる。
ともあれ、東京は連敗を免れ勝点3を積み上げた。
いましばらくこうした苦しい試合が続くだろうが、こうやってしぶとく勝ち点を拾いながら上位に食らいついていくしかない。
そのためには連敗は禁物。5~8位ぐらいでついていければ、終盤で光明が開けてくることもあるだろう。
とにかく今年は可能性のある戦いをして欲しい。

スタートダッシュに成功したチーム、もたついているチームとさまざまだが、東京の立ち位置は今のところ、悪くない。

J1第4節 横浜F・マリノス対FC東京(横浜・ニッパツ三ツ沢球技場)3-0

2008-04-03 21:03:27 | サッカー
横浜の老獪さ、東京の精神的未熟さがもろに出てしまった。
もう少しフォーカスして、山瀬と梶山という10番の出来の差と言い換えてもいいかもしれない。

高い位置でプレスをかける、シンプルにはたく、カウンターは素早く、要所要所で横浜の戦術に対する意思統一ははっきりとしていた。
一方の東京は、梶山のところまでは何とか繋いでもそこから前に運ぶアイデアに乏しい。
個々の判断が遅れてパスコースを限定される。果たしてアタッキングサードからのギアチェンジが出来ずに手詰まり感が漂っていった。
二人目三人目の動き出しが極めて悪い。横浜が果敢にスペースに走りこんでいったのとは対照的だった。
それでも前半をスコアレスで凌ぎきったのは、横浜のエンジンのかかり具合が今ひとつだったことと、
東京のディフェンス陣の踏ん張りだった。とりわけ長友がハードワークを厭わなかったことと、初スタメンの佐原が安定した守備を披露したことだろう。
茂庭とのコンビも決して悪い出来ではなかった。苦しくなったのは、茂庭が35分過ぎに肩を痛めてしまってからだ。

後半開始早々、踏ん張りの利かない茂庭が山瀬に振り切られ、1点を献上。
東京はすかさず川口に代えてカボレを投入し局面の打開を図る。
後半開始から入った大竹がよく動いてボールが廻り始めた東京は、羽生のクロスの折り返しを、その大竹が鋭く振り抜いた。
GKに止められたものの、この試合最大のチャンスだった。

しかし、その直後に追加点を奪われて苦しくなった。
カボレはボール欲しさに下がってくるし、平山は鋭い寄せにボールをキープできない。
梶山の不用意なパスミスなどもあってリズムをつかめないまま、時間が過ぎていく。
結局、集中の切れかかったロスタイムに再び山瀬をフリーにしてしまい、いらぬ3点目を与えてしまう。
リーグ戦の終盤になれば得失点差で、1点の重みが出てくる局面もある。
負け試合は免れないにしても最後に集中を切らすようでは精神的な未熟さを露呈したといっていい。
与えてはいけない3点目だった。逆に3点目をしっかり取りにいった横浜の老獪さはさすがだ。

コンビネーションの構築にはまだ時間がかかるだろう。
どんなメンバーでも戦える集団を作ることに異論はない。
それだけにチーム戦術の浸透には今しばらく忍耐が必要だろう。我々観戦者も。
問題は連敗をしないこと。次はしっかり勝つんだというメンタルが必要になってくる。
次の札幌戦が今年の東京を占う上で最初の正念場だろう。

J1第1節 FC東京対ヴィッセル神戸(調布・味の素スタジアム)1-1

2008-03-09 12:33:57 | サッカー
球春到来。
Jリーグの2008年シーズンが開幕した。これから12月までの長丁場を戦うレースの始まりだ。
今年はワールドカップの予選、北京オリンピックも控えており、過酷な日程との戦いでもある。

開幕戦はいやおうなしに興奮が立ち上がってくる。今年の東京の初戦の相手はヴィッセル神戸。
昨年は東京と同じく中位にとどまったが、弱点を補う補強に成功し今年は上位進出をうかがう。
東京からは鈴木規郎が移籍加入しており因縁浅からぬ相手。新星東京にとっては今期を占う上で初戦の相手としては申し分ない。

城福新監督になってから試合はおろか練習も見ていない。
テレビでプレシーズンマッチを観戦したぐらいで、あとはネットなどの情報ぐらいしかフォローしていない。
城福東京がどんなサッカーを見せてくれるのかわくわくしながらスタジアムへと向かった。

東京のシステムは事前の情報どおり、クリスマスツリー型といわれる4-3-2-1。
4バックの左に長友、トレス・ボランチには新加入の羽生、梶山、今野の豪華布陣。
トップの下に石川と新加入のエメルソン。ワントップは平山が先発した。
ベンチには鳴り物入りで入団が決まってからわずか2週間あまりで調整してきたカボレと
新加入のブルーノ・クワドロス、ユースから上がってきた新人の大竹の姿もある。

東京の変化を端的に表していたのが石川だろう。
原監督時代の右サイドに張り付いていたサイドの職人というイメージは微塵もない。
むしろ中で左でとボールのあるところに煩瑣に顔を出して前線をかき回す。
サイドをえぐっても安易にクロスをあげずに、中に切れ込んでアクセントをつけてからフィニッシュへと持ち込む。

また、梶山、羽生、エメルソンが中盤でしっかりとボールを繋ぎ前に運ぼうとする意識の高さが伺える。
長めのパスも足元に送るのではなくスペースに出して意中の選手を走らせようというインテリジェンスが漂う。
パスの繋ぎや選手間の連携にはまだぎこちなさ、拙さも残るが、
このスキルにオートマティズムが加わってくると随分と見ごたえのあるサッカーになりそうな予感がある。

得点は前半39分、エメルソンの蹴ったFKに羽生が合わせ、そこに今野が飛び込むというサインプレー。
セットプレーからのこの頭脳プレーも今までの東京にはなかったものだ。

弱点はやはり繋ぐ意識が強いとそれが目的化してしまうことだ。きちんとシュートで終わらないとカウンターの餌食になる。
この試合でもカウンターからの危ない場面が何度かあった。

試合は神戸もセットプレーをきっちりと決めてドローに終わった。
しかしながら、途中出場のカボレは大物の片鱗を十分にうかがわせるプレーを見せてくれたし、大竹も可能性を感じさせてくれた。
この戦い方が成熟していくのに時間がかかるということは我々にも容易に想像できる。
今年は焦れないで見守っていこうと思う。

最も美しいスポーツ、フットボール。今年もまた奇跡の一瞬を見届けるためにスタジアムへと通おう。

2008年のFC東京は

2008-01-16 05:50:06 | サッカー
ストーブリーグたけなわである。
今年のJリーグの移籍市場はいつになく大きなうねりがある。
我らがFC東京も今年は大きく変わりそうだ。それは後述するして・・・。

本来であれば、2007年を総括した上で2008年の展望といきたいところだったが
年末年始のドサクサで書けなかったので、去年と今年を乱暴にサマリーしてしまう。

2007年東京は原博実監督をわずか一年で呼び戻した。
原さんは常々東京のサッカーを「東京は娯楽の多い世界有数の都会である。
その都会でわざわざお金を払ってまでサッカーを見に来てもらおうと思ったら
エンターテイメント性に優れたスペクタクルなサッカーを展開しなければならない。
1点を守りきるサッカーではなくて、2点取られたら3点を取って勝つような攻撃的なサッカーでなければならない。」と発言している。
大いに共感できるし、FC東京のサッカーが向かおうとする方向としてそれは間違っていないと思う。
原さんは好きな監督だ。しかし昨年原さんが復帰するというニュースを聞いたときには大きな違和感を抱いた。
原さんはFC東京をJ1において躍進させた中興の祖と言ってもいいだろう。
2003年シーズンには現在までの最高であるリーグ年間4位に導き、2004年にはナビスコカップで初タイトルをもたらした。
その功績は大きい。しかしナビスコカップを制した04年もリーグ戦の方は冴えなかったし、05年は10位に終わっている。
原さんのスタイルが相手チームに研究されて思うように成績が伸びなかったし、戦術的な行き詰まりもあった。
だから06年は原体制から脱却して新しいサッカーを模索しようとしたのではなかったか。

カウンター主体のサッカーからポゼッションを高めパスを繋いで崩していくサッカー。
それを実現するために招いたのはクラブ史上初の外国人監督ガーロだった。
これまでとは180度違うサッカーを初めての外国人監督でやろうというのだから
これは果敢な挑戦だったし、大きな期待を抱かせる挑戦でもあった。
しかし、こうしたサッカースタイルの大きな転換はそう簡単に実を結ぶものではない。
ましてや指導者はコミュニケーションに難のある外国人である。
それなのにフロントは拙速だった。結果が出ないと見るや早々にガーロ監督を更迭。
原監督のときのヘッドコーチだった倉又氏が後を引き継いで緊急事態を何とか乗り切ったのだった。

2007年は前の年にできなかったことをクラブとして再構築するべきであったと私は思う。
しかし、あろうことかフロントは原さんを呼び戻してしまった。この時点で私は相当に厳しいシーズンが始まると覚悟せざるを得なかった。
原スタイルからの脱却が06年だったはずである。それをわずか一年でいとも簡単に覆してしまった。
フロントのこの一貫性のなさ、堪え情のなさが不安だったのだ。
そして、このクラブがどこに行こうとしているのかが全く見えない中での船出となってしまったのが07年シーズンだった。

1年で原さんを戻すというのは危険な賭けでもあったと思う。
原さんはサポーターからも絶大な人気を持ったある種のカリスマである。
それだけにこんなに早く呼び戻して、もし失敗してしまったらもう東京には戻れなくなってしまう。
そのことをフロントがどこまで認識していたのか・・・。
だから原さんにとっては失敗の許されないシーズンになってしまった。そのことを原さんはよく理解していたと思う。
だからこそ、原さんの采配は至極保守的なものになってしまったのだと思う。
今野をストッパーで使ったり、結果の出ないワンチョペを見限らざるを得なかったのはその現われだったと思う。
その結果つまらないシーズンになってしまったのだ。冒険をしなくなった原東京は魅力に乏しかった。
かつてサイド攻撃を完遂するためにマリノスで干されていた石川を使ったり、
非難されながらも根気強く梶山を使い続けたりという、果敢な冒険がなくなったのだ。
負けの許されないサッカーをしなければならなかった原さんが気の毒だった。
興行的に計算のできる監督という目的も含めての原さんの復帰だったとするならば
あまりにも大きなミッションを原博実ひとりに背負わせてしまったと言えなくもない。
2007年は原さんと見果てぬ夢の続きを見ようとして、虚しく空回りし続けたシーズンだった。

そして2008年。城福浩新監督を迎えて再スタートを切る東京。
選手の出入りについては功労者の土肥や鳴り物入りで入団した福西をわずか一年で戦力外とするなど
転出が先行していたが今野の残留を皮切りに堅実な補強が進みつつある。
選手の放出には戦略的な意図を感じるし、去年の大物捕りに比べれば
ブルーノや羽生などウィークポイントと思われるところに、戦力として計算できる選手を着実に埋めてきている感がある。
しかも、監督の戦力的構想にかなった選手の獲得がある程度行われている様子も伺える。
その点で昨年よりも堅実で昨年の失敗を踏まえた補強が進んでいると思う。

「人もボールも動くサッカー」。ちょっと日本サッカー界でブームになっている感もあるスローガンだが、
城福さんの目指すサッカーはダイナミックなムービングサッカーのようである。
まだ具体的な姿は見えていないが、昨年までのサッカーとは大きく変わりそうでその意味では昨年よりも期待感の方が大きい。
新体制の船出はこの週末だそうだが、まずは怪我なくキャンプを乗り切って欲しい。

今年もまた震えるような興奮を求めてスタジアムという緑の海に乗り出していくことだろう。
開幕が待ち遠しい。

J1第34節 ヴァンフォーレ甲府対FC東京(甲府・小瀬スポーツ公園陸上競技場)0-1

2007-12-05 14:08:14 | サッカー
昨年も訪れたアウェイ甲府戦
昨年も思ったことだが、甲府の試合運営は素朴で温かい。アウェイチームが本当に歓迎されているんだなということを感じる。
今回も無料でほうとうの麺や観光案内のパンフレットを配っていた。別に物をくれたからというわけではないが、
試合に訪れた人たちに山梨を好きになってもらいたいという、地元の方々のもてなしの心を感じる。

さて、今年のJリーグもいよいよ最終節。個人的にもいろいろとあっていつになく長く感じられたシーズンだった。
率直に言って今年ほどつまらないシーズンはなかった。思い返してみて印象に残っている試合がないのだ。
「何かが足りない」、そういう"引っかかり"を感じながらスタジアムへ通い続けた。
試合を見ながら奮い立つような「何か」が足りない。それは何なのか。
03年のホーム最終節ヴェルディ戦、04年のナビスコカップ決勝、
05年のホームガンバ戦、06年の同じくホームガンバ戦、ホーム川崎戦・・・。
勝てないまでもひりひりとした興奮を味わうことのできた試合が毎年少なくとも1試合はあった。
見終わって「いいもの見せてもらったなあ」、「今年はこの試合が見られたからいいや」、と思える試合が何試合かはあった。
でも、今年のシーズンはそういう痺れるようなゲームにはついぞ出会えなかった。(残りの天皇杯には期待したいけど・・・)
そして、この甲府戦でも結局、そういう沸き立つような興奮を味わうことはできなかった。
"引っかかり"はこの試合でもぬぐえなかった。

序盤から試合を支配したのは甲府だった。2部降格が決定したチームの消化試合とは思えない闘争心で向かってくる。
最後ぐらいはホームで勝ってサポーターを喜ばせてあげたいというモチベーションを感じる。
セカンドボールをきっちりと競ってマイボールにすると、ショートパスを美しく繋いでくる。
スペースを埋める動きが鮮やかで、東京のプレスがかからない。
詰まってきたなと感じると即座にサイドチェンジを織り交ぜてくる。これぞモダンフットボールだ。
このチームがどうして降格するのかと思う。
バレーが去った後の甲府はペナルティエリアで最後の仕事をする選手がいない。
決定的なFWを欠いたことが大きい。惜しいと思う。このオートマティズムやオフ・ザ・ボールのクレバーな動き。
大木監督のサッカーはほとんど完成していたのに、最後のワンピースを埋められなかった。

東京は梶山、馬場の調子がいまひとつ。G大阪戦で見せたような流動的な躍動感が見られない。
石川は右サイドで奮闘するが、徳永との連携があまり見られない。左サイドの鈴木規郎は精細を欠いて動きが鈍い。

原さんのサイドアタックは完全にワンパターン化してしまっている。なぜか。
ひとえに中で仕事ができる選手がいないからではないかと思う。
外から中、中から外という自在なボール捌きがサイドアタックの生命線である。
02年、03年頃にケリーがトップ下を務めていたときにはセンターにきちっとボールが収まった。
右を疾走する石川からケリーにクロスが当たる。
それを石川を追い越した加地にもう一度捌き、中でアマラオとケリーが待ち受ける。
あるいは宮沢から正確なフィードを受け取った戸田がトップスピードで左サイド奥深くまで抉って行く。
スピーディで果敢なサイド攻撃で年間4位の座を射止めた03年頃が、
今思えば原トーキョーの最も完成していた時期だったのだと思う。(かなりノスタルジックな回顧だが・・・)

今はサイドで石川が奥深くまで持ち込んでも後ろからのフォローがない。
苦し紛れにクロスを入れても相手DFに囲まれて孤立するルーカスがいるばかりである。
一本調子で工夫がない。そしてそのパターンを相手に完全に読まれている。
中で待ち受けるべき馬場や栗澤の出来如何で石川が機能不全に陥ってしまう。
規郎に至ってはサイドでどういう動きをすればいいのかさえ分かっていない。
結局サイドアタックの再構築ができないまま1年を費やしたということだ。

ゲームは攻め立てる甲府に受けに廻る東京という構図のまま、時間だけが過ぎていく。
東京にとっては凡そ山場のない単調な展開。後半負傷で馬場がアウト、
代わりに入った川口がトップになり、ルーカスが1.5列目に下がる。
運動量の多い川口が前線でかき回すことで、ルーカスが前を向けるようになる。
甲府のディフェンス陣に疲れもあってか次第にギャップができてきた。
川口の奮闘で何とか流れを手繰り寄せた東京は、そのギャップを突いて終盤ルーカスがPKをゲット。
自らそれを沈めて辛くも逃げ切った。
勝利には再三のピンチを凌いだ塩田の鉄壁のセーヴィングも大きい。

最終戦でなんとか勝点3をもぎ取ったというだけの凡戦である。
甲府のサッカーのほうが格段に面白かった。
そう、面白い、わくわくするようなスペクタクル。それが今年の東京には見られなかった。
画して原さんの志向するサッカーは今年、開花することなく終わった。
そのことについてはまた書こうと思うが、来年は監督も代わり恐らくサッカーの質も変わるだろう。
ひとまずリーグ戦はこれで終わったが、残る天皇杯で最後の意地を見せて欲しい。

甲府からの帰り、観戦の仲間たちとほうとうを食べた。
寒いこれからの季節はかぼちゃやきのこがたっぷり入ったほうとうは体も温まってほっこりとする。
来年はこれが出来ないのが残念。甲府にはぜひ1年でJ1に戻ってきて欲しい。
もちろん東京がJ1にい続けることが前提だけど。