アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

Arrival

2009-01-22 21:36:21 | 音楽
『Arrival』 ABBA   ☆☆☆☆

 70年代から80年代にかけて世界的ヒット曲を連発したスーパーグループ、アバ4枚目のオリジナル・アルバム。ちょうど「Dancing Queen」で大ブレークした頃で、上昇気流に乗ったバンドの勢いと輝きに溢れている。もちろん「Dancing Queen」も収録されている。オリジナル・アルバムを全部聴いたわけじゃないが、いくつか聴いた範囲ではこれが一番好きだ。

 知らない人はあんまりいないと思うが、アバはスウェーデンのグループで、メンバー4人のイニシャルをとってABBAというユニット名になっている。男二人がソングライティング・チーム、女二人がシンガーだが、このフリーダとアグネッタの声の相性がまさに絶妙で、彼女たちの力強く鮮烈なコーラス・ワークがアバ最大の武器といっていいだろう。フリーダがちょっと大人っぽい声で、アグネッタが透明感のある高い声だ。ちなみにアバのステージを昔テレビで見たことがあるが、二人とも身体にぴったりした衣装を着ていて、すごい美人というわけじゃないけれどもかなりセクシーだった。一時期あのピンク・レディーもアバを意識していたらしい。

 アルバムはアコースティック・ギターの響きが爽やかな「When I Kissed the Teacher」で幕を開ける。光り輝くようなアバのコーラスワークがいきなり全開で、一気に引き込まれる。少女マンガみたいな歌詞の可愛らしい曲だ。そして続くのが必殺のキラー・チューン「Dancing Queen」。華やかさと泣きのツボをおさえまくったメロディ、ウキウキするような軽快なリズム、艶のあるヴォーカルに優美なコーラス、そしてゴージャスなピアノとストリングス。ポップソングとしてまさにパーフェクトな出来である。古びやすいディスコ・チューンでありながら今聴いてもまったく古くないのがすごい。そして三曲目はアグネッタがリード・ヴォーカルの優しいバラード「My Love, My Life」。これはどのベストアルバムにも入っていない、このアルバムでしか聴けない名曲だが、まさにとろけるようなコーラスの美しさ。こうして聴くと本当にこの人たちのコーラスは絶品だ。この冒頭三曲でもうノックアウトされる。

 その後もアバらしい軽快でキャッチーな曲が連発されるが、私のお気に入りは「That's Me」「Tiger」とラストの「Arrival」。「That's Me」はピアノとシンセサイザーがひときわ軽快な曲だが、分厚いバックコーラスが非常に気持ちいい。やはり、私にとってアバはコーラス・グループである。10ccやオフコースに通じるものがある。タイトル・チューンの「Arrival」はバグパイプがメインの、なんだかスコットランド民謡みたいなインスト曲だが、もちろんフリーダとアグネッタの美しいコーラスが入っている。この曲でしみじみして終わるという構成がまたいい。


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