昨日、家人の運転する車の助手席に同乗していた時のこと。
前方を運転していた赤の軽自動車が、急に左に進路をかえ、道路脇に停車しました。
結構迷惑な場所に急に止まったその軽自動車を避けるべく、
後続車もまた急なハンドル操作を余儀なくされたわけです。
マナーの悪い運転手が大嫌いな家人は、「なんだ、あの運転手は」とブツブツ言いながら通り過ぎ、軽自動車の運転席を見てみると、30代後半の女性が携帯画面を覗きながら一心不乱にメールをしていらっしゃる。
「メールしてたら、そりゃ自分の車がどんなに他の車に迷惑をかけているのか気付かないだろうよ」と、さらに怒り心頭の家人。
まぁ確かに、マナーのないドライバーがいると、運転席で感じるストレスは、助手席で感じるものをはるかに凌ぐものでしょう。
と、そこで私。
「想像してごらんさっきの赤の軽自動車に乗っていたのは、二宮明子さん(仮名)、39歳。彼女は未婚で、現在、結婚相手紹介サイトに登録しています。これまで数回お見合いパーティに参加するも、良縁はなし。しかし先月行ったパーティでは42歳のなかなか素敵な男性と良い感じになりました。顔はいま一つで離婚歴はあるものの、年収はそんなに悪くない。明子さんはすっかり気に入って、連絡先を交換し合い、先週彼とデートするところまでこぎつけたのです。明子さんにとっては自分をアピールできた、まずまずのデートだった思ったのですが、残念なことに、3日たっても彼からのメールは一切きません。『やっぱり私のことなんか、どうでも良かったのかしら』と、気が気でない毎日を送っていた時、彼からようやくメールが来たのです。……はい、それがさっきのメール。いま明子さんは必死に彼のメールを考えているとしたら?」
「そっかぁー。それじゃあ、仕方ないよね うまくいくと良いよね、明子さん…」と家人。
そして、今日。 家人の運転する車の助手席に同乗していた時のこと。
バス停傍の、非常に迷惑な場所に停車したプジョーの車で視界が遮られ、右折したかったものの、後続車が見えないためになかなかタイミングがつかめなかった家人。苛々していらっしゃる。
プジョーの運転席をみると、40代の男性が、これまた一心不乱に携帯メールをしています。
「メールするためにあんな場所に停車するのか…」と、またまたボルテージが上がりそうな予感。
で、すかさず私。
「想像してごらんあのプジョーに乗っているのは、田川義之さん(仮名)44歳。彼ら夫婦にはなかなか子供が授からず、長いこと不妊治療していました。そしてついに10年もの努力が実って、二年前、可愛らしい女の子を授かったのです。…ところが、可哀想なことに、その女の子は重度の心臓の病気を患っていることがわかったのです。娘の治療費を稼ぐため、義之さんは昼夜を問わず働きました。昼は金持ちの運転手、夜はガードマン。そしてついに治療費の600万円を稼いだのです。今日がついにその心臓手術の日なのですが、エゴイスティックな雇用主の金持ちは『手術中は娘の傍についていてやりたい』という彼の休日願いを聞き入れず、仕事先への運転を命じたのです。仕事の合間、彼は妻からの連絡を待ちます。手術は果たして成功したのか、否か……ところがどれだけ待っても携帯電話はならない。やはり病院では電話はつながらないのか?ではメールでは?……義之さんが不安と焦りで落ち着かない時、彼の電話に突然メール音が響いたのです。 ……はい、それが今の車の中だとしたら…」
「そっかぁー。それじゃあ、仕方ないよね。うまくいってると良いね、子供の手術…」と家人。
とどのつまり、一体私が何を言いたいのかと申しますと、
人生には物語とファンタジーが必要なんだなぁ………って、そういうこと
前方を運転していた赤の軽自動車が、急に左に進路をかえ、道路脇に停車しました。
結構迷惑な場所に急に止まったその軽自動車を避けるべく、
後続車もまた急なハンドル操作を余儀なくされたわけです。
マナーの悪い運転手が大嫌いな家人は、「なんだ、あの運転手は」とブツブツ言いながら通り過ぎ、軽自動車の運転席を見てみると、30代後半の女性が携帯画面を覗きながら一心不乱にメールをしていらっしゃる。
「メールしてたら、そりゃ自分の車がどんなに他の車に迷惑をかけているのか気付かないだろうよ」と、さらに怒り心頭の家人。
まぁ確かに、マナーのないドライバーがいると、運転席で感じるストレスは、助手席で感じるものをはるかに凌ぐものでしょう。
と、そこで私。
「想像してごらんさっきの赤の軽自動車に乗っていたのは、二宮明子さん(仮名)、39歳。彼女は未婚で、現在、結婚相手紹介サイトに登録しています。これまで数回お見合いパーティに参加するも、良縁はなし。しかし先月行ったパーティでは42歳のなかなか素敵な男性と良い感じになりました。顔はいま一つで離婚歴はあるものの、年収はそんなに悪くない。明子さんはすっかり気に入って、連絡先を交換し合い、先週彼とデートするところまでこぎつけたのです。明子さんにとっては自分をアピールできた、まずまずのデートだった思ったのですが、残念なことに、3日たっても彼からのメールは一切きません。『やっぱり私のことなんか、どうでも良かったのかしら』と、気が気でない毎日を送っていた時、彼からようやくメールが来たのです。……はい、それがさっきのメール。いま明子さんは必死に彼のメールを考えているとしたら?」
「そっかぁー。それじゃあ、仕方ないよね うまくいくと良いよね、明子さん…」と家人。
そして、今日。 家人の運転する車の助手席に同乗していた時のこと。
バス停傍の、非常に迷惑な場所に停車したプジョーの車で視界が遮られ、右折したかったものの、後続車が見えないためになかなかタイミングがつかめなかった家人。苛々していらっしゃる。
プジョーの運転席をみると、40代の男性が、これまた一心不乱に携帯メールをしています。
「メールするためにあんな場所に停車するのか…」と、またまたボルテージが上がりそうな予感。
で、すかさず私。
「想像してごらんあのプジョーに乗っているのは、田川義之さん(仮名)44歳。彼ら夫婦にはなかなか子供が授からず、長いこと不妊治療していました。そしてついに10年もの努力が実って、二年前、可愛らしい女の子を授かったのです。…ところが、可哀想なことに、その女の子は重度の心臓の病気を患っていることがわかったのです。娘の治療費を稼ぐため、義之さんは昼夜を問わず働きました。昼は金持ちの運転手、夜はガードマン。そしてついに治療費の600万円を稼いだのです。今日がついにその心臓手術の日なのですが、エゴイスティックな雇用主の金持ちは『手術中は娘の傍についていてやりたい』という彼の休日願いを聞き入れず、仕事先への運転を命じたのです。仕事の合間、彼は妻からの連絡を待ちます。手術は果たして成功したのか、否か……ところがどれだけ待っても携帯電話はならない。やはり病院では電話はつながらないのか?ではメールでは?……義之さんが不安と焦りで落ち着かない時、彼の電話に突然メール音が響いたのです。 ……はい、それが今の車の中だとしたら…」
「そっかぁー。それじゃあ、仕方ないよね。うまくいってると良いね、子供の手術…」と家人。
とどのつまり、一体私が何を言いたいのかと申しますと、
人生には物語とファンタジーが必要なんだなぁ………って、そういうこと